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【資料】緊急時対応計画のための好適な避難用呼吸保護具の選択
多くの産業災害は、SOPやフェイルセーフの信頼性設計で守られているから
大丈夫だという誤った安心感に起因しています。
米国労働安全衛生庁のガイドラインの付属書Cでは、危険なプロセスに携わる
作業員は少なくとも「3つの防護線」で保護されるべきことが規定されています。
効果的な危険管理計画においては、3つの防護線が同時に連動して機能しなければ
なりません。
当資料では、緊急時対応計画のための好適な避難用呼吸保護具の選択について
ご紹介しています。
【掲載内容】
■危険性物質リスク管理の三脚椅子
■プロセスハザード分析の実施
■用途にあった避難用の呼吸保護具の選び方
■呼吸用保護具タイプ別の長所と短所
■トレーニング:効果的な緊急対応準備の最終ステッププログラム
■三番目の脚を強化
※詳しくはPDF資料をご覧いただくか、お気軽にお問い合わせ下さい。
このカタログについて
ドキュメント名 | 【資料】緊急時対応計画のための好適な避難用呼吸保護具の選択 |
---|---|
ドキュメント種別 | 事例紹介 |
ファイルサイズ | 1.4Mb |
登録カテゴリ | |
取り扱い企業 | ドレーゲルジャパン株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
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このカタログの内容
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緊急時対応計画のための
最適な避難用呼吸保護具の選択
多くの産業災害は、SOPやフェイルセーフの信頼性設計
で守られているから大丈夫だという誤った安心感に起因
しています。
危険性物質リスク管理の三脚椅子 は、避難/対応手段を提供することで 用保護具の確保は、危険性物質の放出
米国労働安全衛生庁(OSHA)のガイドラ プラントと人的資産を守ります。これ をまず防ぐための努力と同じくらい、リ
イン(OSHA 29 CFR 1910.110)の 付属書 はシンプルな避難計画から避難用呼 スク管理に大きな割合を占めるべきも
C(プロセス安全管理に関する順守ガイ 吸保護具、避難室/ 安全ゾーン、危険物 のです。
ドラインと推奨)では、危険なプロセス (消火)対応チーム、捜索救助手順の
に携わる作業員は少なくとも「3つの防 提供を含む複雑な緊急時対応まで、 プロセスハザード分析の実施
護線」で保護されるべきことが規定され リスクと危険物により内容は異なりま 危険性物質リスク管理計画における三
ています。効果的な危険管理計画にお す。多くの産業災害は、SOPやフェイル 番目の脚の強化を試みる場合、まず最
いては、これら3つの防護線が同時に連 セーフの信頼性設計で守られている 初のステップは、プロセスハザード分析
動して機能しなければなりません。これ から大丈夫だという誤った安心感に (PHA)を実施し、作業現場に存在する
は危険性物質リスク管理の「三脚椅子」 起因しています。 リスク、SOPやフェイルセーフ設計が機
とも言えるアプローチで、次の3つの 能しなかった場合の事態を確実に理解
「防衛線」、つまり「脚」で構成されます。 これらの3つの要素が連動して機能し することです。
ないと、災害規模や死亡率は指数関数
1. 封じ込め :標準操作手順書(SOP)と 的に上昇する可能性があります。特に 労働災害には様々な要因がありますが、
工学的制御装置はすべての危険性物 三番目の脚は見過ごされることが多い ここでは人の呼吸器系に大きなリスク
質制御のために設計されています。 要素です。災害発生そのものを防ぐわ となる3つの一般的な労働災害につい
(例えば、承認された装置、パイプ、 けではないため、避難用呼吸用保護具 て説明します。
弁、プロセス設計仕様などを用い、被 は必要悪、つまり冗長的な順守措置に
害の拡散を防ぎます。) すぎないと考えられる場合があるから - 火 災のリスク。火災はすべての産業
です。別の言い方をすれば、優れたSOP 環境で起こり得るリスクですが、人
2. バックアップ制御 :最初の防護措 とフェイルセーフ計画があれば、事故 間にとって一番怖いのが煙です。火
置がうまくいかなかった場合は、作業 発生を防ぐことができ、避難用呼吸用保 災による死亡原因はほとんど一酸
員および環境への暴露を制御あるい 護具に投資する必要はないと考えてし 化炭素中毒によるものであり、火傷
は軽減する措置をとります(。例えば、 まうのです。とはいえ、過去の労働災害 ではありません。高熱処理を行う、あ
リリーフ弁、スクラバー、フレア、サー の多くがSOPとフェイルセーフに対する るいは可燃性の物質を扱う作業現
ジ/ オーバーフロータンク、消火シス 誤った安心感から起きています。 これ 場の場合は火災に対する予防措置
テムなどを用いて物質の拡散を制御 らの事例における人命の喪失の多くは、 を確実に導入する必要があります。
します。) しっかりとした緊急時対応計画により防
ぐことができたはずのものです。 - 有毒物質の漏洩。これには、プロセ
3. 緊急時対応計画 :一番目と二番目 ス、容器からの高濃度の化学物質、
の防護措置が機能しなかった場合 適切な種類、適切な数量の避難用呼吸 蒸気、ガスの放出が含まれます。こ
D-57036-2012
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02 | DRÄGER 最適な避難用呼吸用保護具の選択
図 1 の場合、プロセスハザード分析(PHA)
で特定されているため、通常、放出さ
れた毒性物質が何であるかはわか
ろ過式 送気マスク 自給式
呼吸用保護具 呼吸用保 呼吸用保護具 っています。例えば、石油掘削リグか
護具 らは硫化水素が、化学プラントから
は塩素、ホスゲン、アンモニアなどが
避難用 全面形 避難用 送気マスク 酸素呼吸器 空気呼吸器
マウス 面体 フード 避難用 放出されることが知られています
ピース ボンベ付
火災 避難 x x - 環境の激変。人の呼吸器系に対する
一般的なリスクの三番目が環境大気
有毒物質漏洩
「高」リスク x x x の変化で、閉鎖空間では特に急速に
危険な状態になり、有毒物質が高濃
有毒物質漏洩
「特定」リスク x x x x x 度で蓄積したり、酸素欠乏状態が起こ
り、窒息死が起こり得ます。
有毒物質漏洩/
「低」リスク x x x x x x
このようなタイプのリスクが存在するこ
環境大気の変化
酸素欠乏 x x x とが明らかとなった場合、次のステップ
はその環境における緊急時の災害重大
環境大気の変化
有害物質の蓄積 x x x x x 度を理解することです。この情報は適切
な避難用呼吸用保護具の選択に重要
です。ここでは、 米国国立労働安全衛生
避難用ボンベ付き送気マスク(複合式エアラインマスク) 研究所(NIOSH)作成の「CBRN 災害時の
避難用ボンベ付き Dräger PAS Colt ろ過式避難用呼吸用保護具の規格につ
長所 : 短所 : いてのコンセプト」で規定された「高い、
- 危険にさらされることなく、送 - 重く、携帯が難しい(ベルト 特定、低い」の災害重大度分類を使用し
気マスクの作業モードから避難モ 取り付け不可) ます。
ードへとシームレスに切り替えるこ - 「避難専用」呼吸用保護具として
とができる 設計されている 高い : 種類が特定できない有害物質が
- プレッシャデマンド形の全面形面 - 定期的なメンテナンスが必要
体を使用することで「生命および - 高価な避難用装備 高濃度あるいは濃度不明で放出された、
健康に直ちに危険を及ぼす(IDLH) あるいは存在するシナリオ。酸素欠乏
」環境において5〜15分の最も高い 環境(米国では19.5vol%未満,日本では
レベルの保護を提供 18vol%未満)も含む。
- 「避難専用」製品よりも多用途
での利用が可能
- 酸欠大気環境でも使用可能 特定 : 既知の有害物質が既知の濃度で
- リ ユーサブル(再利用可能) 放出された、あるいは存在するシナリオ。
(「特定」の危険が存在する環境には常
に十分な酸素があること)。
APR 化学/煙 避難用フード
Dräger Parat 7500 低い : 既知の有害物質が低濃度で放出
された、あるいは存在するシナリオ(。「低
長所 : 短所 : い」危険が存在する環境には十分な酸
- 特定の高濃度危険性物質に対し保 - 大気中の酸素が欠乏する環境下
護を提供。同時に複数の危険性物 では 使用不可 素があること)。
- 質に対応可能 - シングルユース(使い捨て)
- 特定の用途において、費用対効果 - 「避難専用」呼吸用保護具として リスクのタイプと程度を理解することは、
に優れた、圧縮空気避難保護具の 設計されている 想定される用途条件に合格した呼吸用
代替品 保護具を選択する際の基盤となります。
- 目、顔、頭を保護
- 視認性に優れ、難燃性 ただし、呼吸保護具がそれぞれの状況で
- 会話によるコミュニケーションが 機能するからといって、それが最適な選
可能、 着用が簡単 択とは限りません。最高の安全性を確保
- 携帯が簡単(ベルト取付型)、軽量、 し、所有コストを削減するには、用途条件
低メンテナンス、簡単に長期保管 に合格した呼吸用保護具の長所と短所
が可能 を検討する必要があります。例えば、圧
縮空気タイプの呼吸用保護具は想定さ
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れた用途に適しているのかもしれませ
避難用マウスピース んが、より小型で携帯が簡単、値段も安
Dräger Parat 3200 い避難用装備で十分な場合もあります。
長所 : 短所 : 選択肢を吟味することで、より安価に作
- 極めて小さく軽量、携帯が簡単 - 目や頭を保護しない 業場の安全を確保することが可能かも
- 安価 - 会話によるコミュニケーション不可 しれないのです。
- 特定の低濃度毒性物質に対して効 - 大気中の酸素が欠乏する環境で
果的な保護を提供 は使用不可
(有機化合物蒸気、酸性ガスなど) - 同時に複数の危険性に対応でき 用途にあった避難用の呼吸保護具の選び方
- 着用が簡単 ない リスクが明らかになったら、次のステッ
- シングルユース(使い捨て) プは用途にあった適切な避難用呼吸用
- 長期保管できない 保護具の選択です。これは基本的に2つ
- 「避難専用」呼吸保護具に指定さ のステップで構成されます :まず、想定さ
れている
れた状況で効果的な保護を提供する避
難用呼吸用保護具の候補を絞り込みま
す。次に、候補製品それぞれの長所短所
全面形防毒マスク
マルチガス対応吸収缶付き Dräger X-plore 5500 を検討し、最適な製品を選びます。現在
市場に出ている呼吸用保護具に採用さ
長所 : 短所 : れているテクノロジーには次のようなも
- 特定の高濃度の有毒物質に対して - 携帯や保管、緊急時におけるアク のがあります :
保護を提供 セスが難しい
- ぴったりと密着するエラストマー - 着用に時間がかかる
シールの 表面構造 - 大気中の酸素が欠乏する環境で - 避難用マウスピース、全面形防毒マ
- 会話によるコミュニケーションが は使用不可 スク、ろ過式避難用フードを含む
可能 ろ過式呼吸用保護具(APR)
- 目に対する保護を提供 - 自給式避難用呼吸保護具(EEBA)
- リユーサブル(再利用可能、吸収缶 - 避難用ボンベ付きプレッシャデマン
交換可能)
- 比較的長い使用可能時間 ド形エアラインマスク(SAR)
- 「避難専用」製品よりも - 自給式空気呼吸器 (SCBA)
多用途での利用が可能
これらの呼吸用保護具の多くは様々な
用途で利用できます。図1は、各テクノロ
給気式 ジーが保護を提供する災害タイプをま
圧縮空気式避難用呼吸用保護具 とめたものです。
長所 : 短所 :
- 酸素欠乏環境でも使用可能 - 重く、携帯が難しい(ベルト 取り付 呼吸用保護具タイプ別の長所と短所
- 空気供給源からの継続的な送気 け不可) 呼吸保護具はタイプによりそれぞれ長所
で5〜15分間にわたり 有毒ガス、蒸 - 「避難専用」呼吸保護具に指定さ と短所があります。利点と欠点を理解す
気、化学物質からの保護を提供 れている ることで、使用者の安全性を向上させ、機
- 会話によるコミュニケーションが - 定期的なメンテナンスが必要 器の所有コストを低減しながら、情報に
可能 - より高価な避難用装備
- 着用と操作が簡単 - 視認性が高くない、あるいは難燃性 基づいた意思決定ができます。
- リユーサブル(再利用可能)
空気呼吸器
Dräger PSS 3000
長所 : 短所 :
- すべての危険性物質に対する最大 - 重く持ち運びが不便(作業用 呼吸
の保護、より長い使用時間 より長 器として利用する場合以外)
い使用時間 - 緊急時に素早く着用できない(頻
- 会 話によるコミュニケーションが可能 繁に着用あるいは練習していな
- 「避難専用」製品よりも多用途での い場合は特に時間がかかる)
利用が可能(捜索・救助活動を含む) - 定期的なメンテナンスが必要
- リユーサブル(再利用可能) - きわめて高価な避難用装備
- 長期保管可能
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04 | DRÄGER 最適な避難用呼吸用保護具の選択
トレーニング :効果的な緊急対応準備 素早く効果的に着用するためのトレー もらう必要があります。有毒物質への暴
の 最終ステップ プログラム ニングを提供しなくてはなりません。 露がもたらす事態に対する十分な理解
最適な呼吸用保護具を選択したら、最 により、作業員が緊急時に避難用呼吸
後のステップ。優れた緊急時対応計画 緊急時にはパニックに陥りやすいこと 用保護具を実際に利用できる可能性が
をさらにレベルアップするのが、トレー を認識することが重要です。毒性物質 高まります。
ニングです!世界一の呼吸用保護具を によっては、ほんの数秒の差が命取りに
持っていても、その使い方を知らなけ なることもあるため、保護具の着用と使 三番目の脚を強化
れば意味がありません。避難用呼吸用 用は無意識で行えるよう 練習する必 まとめ:緊急時対応用の呼吸保護具の
保護具が必要な状況に身を置きたいと 要があります。 選択と導入にきちんと時間をかけるこ
思う人はまずいませんが、それを必要と とにより、作業員はもちろん、究極的に
するかもしれない潜在的なユーザーに 避難用呼吸用保護具がなぜ必要なの は会社の資産を守る強固な第三防衛
対しては定期的かつ頻繁に、保護具を か、まず作業員にその理由を理解して 線を構築することになるのです。
Written by Alex Gaggin, who is a Respiratory Product Specialist with Dräger. Originally published in the June, 2012 issue of Occupational
Safety and Health magazine. For more information, go to www.draeger.com or email Alexander.gaggin@draeger.com.
全製品、機能、またはサービスがすべての国で販売されているとは限りません。
記載された商標は、一部の国でのみ登録されており、この資料が公開される国で登録されているとは限りません。
現在の状況については、 www.draeger.com/trademarks でご覧ください。 記載内容は、予告なく変更する場合があります。
本社 ドレーゲルジャパン株式会社 大阪営業所
Drägerwerk AG & Co. KGaA 東京本社 〒564-0062
Moislinger Allee 53–55 〒 141-0021 大阪府吹田市垂水町3–3–17
23558 Lübeck, Germany 東京都品川区上大崎2–13–17 Tel 06-6310-7550
目黒東急ビル 4F Fax 06-6310-7556
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