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【資料】過酸化水素除染における安全管理
過酸化水素は人間にとっても有害であるため、多くの国ではばく露限界値が
定められています。
除染室および設備周辺の作業員に対しては、偶発的な事故による
過酸化水素のばく露を避けるための対策が必要です。
当資料では、過酸化水素蒸気の特性や、検知器の材質についてなど、
過酸化水素除染における安全管理についてご紹介しています。
是非、ご一読ください。
【掲載内容】
■はじめに
■課題
・過酸化水素蒸気の特性
・検知器の材質について
・校正
※詳しくはPDF資料をご覧いただくか、お気軽にお問い合わせ下さい。
このカタログについて
ドキュメント名 | 解説資料『過酸化水素除染における安全管理』 |
---|---|
ドキュメント種別 | 事例紹介 |
ファイルサイズ | 1.3Mb |
登録カテゴリ | |
取り扱い企業 | ドレーゲルジャパン株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
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このカタログの内容
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過酸化水素除染における
安全管理
1994年、ドレーゲルは、低濃度過酸化水素蒸気 のモニタリングが可能
な、初の電気化学式過酸化水素(H2O2)センサを発売しました。過酸化
水素はバクテリアを死滅させる殺菌効果に優れることから、一般的な
除染剤として 充填機やアイソレータ、グローブボックス、ワークベン
チ、クリーンルームなどの除染に広く利用されています。
© Drägerwerk AG & Co. KGaA 1
D-111046-2013
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過酸化水素除染における安全管理
はじめに かせません。 あらゆるリスク要因を明確化し、ガス測定器や
個人用保護具、作業マニュアル等を活用しながらばく露の
管理と対策を万全にしましょう。
過酸化水素蒸気 は、気化させた過酸化水素水を室内に噴射
して発生させます。微 生物の高い除染効率を得るために
は、十分な濃度とばく露時間が必要です。過 酸化水素は人間
にとっても有害であるため、多 くの国ではばく露限界値が定
められています。除 染室および設備周辺の作業員に対して
は、偶発的な事故による過酸化水素のばく露を避けるため 主な関連業種:
の対策が必要です。
– 製薬・化学
また、除染の終了後は清浄な空気で室内を換気しますが、
– ヘルスケア・病院
作業員が入室したり新たに物質を持ち込む前に、空気の成
– 食品・飲料
分分析も必要です。過 酸化水素濃度が1ppm以下の無害レベ
– 研究所・クリーンルーム
ルまで低下していることを確認しましょう。
– 畜産
– HVAC(暖房・換気・空調)システムの除染
過酸化水素蒸気の発生器自体も危険な装置であるため、そ
– 凍結乾燥機(フリーズドライヤ)の除染
の周辺や接続ホース付近も過酸化水素漏洩の監視対象と
なります。
ガイドラインの要求基準を満たすためにはリスク分析が欠
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1-7-94
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過酸化水素除染における安全管理
課題
過酸化水素蒸気 の特性
は蒸気であってガスではありません。つ まり空気中の濃度
が、対応する温度(および圧力)で蒸気圧を超えることはあり
ません。し たがって、露点以上になると過酸化水素蒸気はエ
アロゾル化するかあるいは凝縮します。
過酸化水素は水溶性であり、一 般的に、30~35%の過酸化水
素水がの生成に利用されます。常 態に比べて蒸気の方が15
倍もの効果を得られるため、水溶液を蒸気化して利用する
のが一般的です。過 酸化水素は水に接触すると吸収される
ため、その分、大気中の過酸化水素濃度が低下します。ま
た、過酸化水素は 酸素と水に分解されやすい不安定な化合
物であるため、濃 度が経時的に低下します。そのため、通常
は溶液に安定剤を添加して使用します。蒸 気化中はこの安
定剤も一緒に噴射され、同様に室内凝縮を生じます。過酸
化水素は吸収性が極めて高いため、濃 度管理が難しい物質
です。壁 面を飽和させるには相当な量の過酸化水素蒸気が
必要なことから、高 濃度よりも低濃度の方が管理が困難で
す。ま た吸引式の検知器では、過酸化水素がセンサに到達
する前にホース素材に吸収されてしまうため、そ の分の誤 主な管理目的:
差や測定遅延時間を考慮しなければなりません。ホ ース内
面に吸着した過酸化水素は、換気時間にも影響を及ぼしま – 作業環境のモニタリング
す。ド レーゲルのセンサは、過酸化水素蒸気を体積濃度 – 漏洩検知
(ppm)で測定することができます。 – 入室管理
– 除染サイクルパラメータの確認
検知器の材質について – フィルタやスクラバーからの排ガス管理
過酸化水素は反応性の高い化合物であるため、 ドレーゲル
のガス検知器本体およびセンサは化学耐性に優れたポリア
ミド12混合素材を採用しています。 高濃度過酸化水素蒸気
に頻繁にばく露される環境では、センサ部のみを延長して測 ドレーゲルが提供する過酸化水素モニタリング
定箇所に配置し、検知器本体は雰囲気外に設置するようにし ソリューション:
てください。 製品仕様を逸脱した環境でのご使用は、十分な
検証を行った上でご検討ください。 – ドレーゲル検知管による濃度測定
– 携 帯型ガス検知器によるパーソナル・モニタリング
校正 – 定 置型ガス検知器による、高・低濃度ガスのスポット
前述した物理的・化学的特性のため、過酸化水素での校正 またはエリアモニタリング
は非常に難しい作業です。 過酸化水素蒸気は適切な設備環
境の下で生成しなければならず、またその濃度は分析装置
を用いて確認する必要があるため、 これを現場で実施する
ことはできません。
© Drägerwerk AG & Co. KGaA 3
DL-9283-2014
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過酸化水素除染における安全管理
センサは、校正前後の測定値を記載した校正証明書ととも
クリーンルーム除染の原理 にご返送します。 ドレーゲルの過酸化水素センサは二酸化
硫黄(SO2)に対して交差感度を有しています。 両ガスの感度
過酸化水素蒸気 比は相対感度ですが、 この値は統計的なものであり、時定
数に基づくものではありません。 新品センサの許容誤差は
±10%であることから、 精度と信頼性において、二酸化硫黄を
用いた校正よりも実ガスである過酸化水素を使用した校正
の方が望ましいと言えます。 その他の仕様についてはデー
クリーンルーム タシートをご参照ください。
注)過酸化水素ガスによる校正サービスは日本国内では未
対応です。
ドレーゲルのソリューション
作業環境のモニタリングと漏洩検知
アイソレータ内部 アイソレータ内部 場所を特定せず作業者の環境を常に監視したい場合は携
帯型ガス検知器、 特定区域の継続モニタリング用としては
定置型ガス検知器があります。 定置型の場合は、対象ガス
を正しく検知できるよう、 ガスの拡散や気流の向きなどを考
パージエア 慮して適切な場所に設置する必要があります。 Dräger Flow
Checkを利用すると気流の可視化が可能です(海外販売の
高濃度 Polytron み)。
センサ 0-2000 ppm
HEPA バルブ 1 除染サイクルパラメータと入室管理
バルブ 2 アイソレータやクリーンルームの除染サイクルは、次の4つ
Polytron Polytron に分割することができます。 まず第一のフェーズは除湿で
低濃度
センサ 0-300 ppm 吸引ポンプ
す。 このフェースでは湿度を下げるために除湿機を使って
部屋の空気を循環します。 部屋の大きさにもよりますが、こ
の工程は約20分を要します。 次の除染フェーズで過酸化水
素を蒸気化し、室内に噴射します。 こちらは約30分の工程で
す。 除染は時折「dwell」工程と呼ばれることがあります。 過酸
図1、2:
クリーンルームおよびアイソレータにおけるガスモニタリング・システムの概念図 化水素濃度は所定の時間を一定に保ち、 その間、事前に決
定したプロセスパラメータを適用します。 このパラメータ
は、要求される微生物の死滅率に応じてバリデーションを
そのため、ドレーゲルは、 校正情報をセンサ内部に保持でき 行って定義します。
る構造を採用することによって、 取り外したセンサを送付し
ていただいて、ドレーゲルのサービスセンターで校正を実 換気は、最長で5時間程度要する場合もある、除染サイクル
施できる体制を構築しました。 その間のモニタリングは、あ の中では最も長い工程です。 過酸化水素の噴射を停止後、
らかじめ用意したスペアセンサで行います。 校正を終えた 触媒を介した空気または清浄な空気によって換気を行い、
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気流 気流
気流 気流
気流 気流
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過酸化水素除染における安全管理
過酸化水素濃度を管理値以下にまで低下させます。除染サ
イクルは、各装置ごとにGMP基準に準拠したクオリフィ
ケーション、バリデーションが必要です。 ケミカルインジ
ケータ(CI)とバイオロジカルインジケータ(BI)によって除染
効率を測定し、 過酸化水素除染のプロセスパラメータを決
定します。
高濃度過酸化水素の濃度監視とその記録には、ドレーゲル
センサ H2O2 HCのご利用が最適です。 換気後の濃度確認
用には、HCセンサとLCセンサのいずれも利用が可能です。
吸引オプションを利用すれば、LCセンサを高濃度過酸化水
素のばく露から防ぐことがでぎます。 吸引オプションは、HC
センサからの出力信号で始動させることができます。
DRÄGER POLYTRON 7000: ドレーゲル定置型ガス検知器用電気化学式過酸化水
素センサ
定置型ガス検知警報器(ドレーゲルセンサを装着して
使用) 主な特長: DrägerSensor H2O2 LC (68 09 705)
測定範囲: 0.1-300 ppmDrägerSensor H2O2 HC
– 内蔵ポンプ 68 09 675)
– 内蔵リレーモジュール 測定範囲: 100-7000 ppm
– デ バイス診断やデータロガーなどの機能拡張用ドング
ル Dräger X-am 5100 過酸化水素 (53 65 522)
– 4-20mA、HART、LON、PROFIBUS、フィールドバスなど 測定範囲: 0-20 ppm
の各種インターフェース
– 最大30mのセンサ延長ケーブル Dräger 検知管 過酸化水素 0.1/a (81 01 041)
測定範囲: 0.1-3 ppm
© Drägerwerk AG & Co. KGaA 5
ST-765-2004
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過酸化水素除染における安全管理
センサは、測定範囲を超える濃度の過酸化水素に一旦ばく
露すると、 正常に復帰するまでに時間を要しますのでご注
意ください。 なお、ドレーゲルのガス検知器システムは、除染
プロセスの制御用途には適していません。
ドレーゲルの利点
– 過酸化水素蒸気のリアルタイムモニタリング
– 過酸化水素ガスによるプレ・キャリブレーション
– 代替ガス二酸化硫黄によるオンサイト・バンプテ
ストおよび校正
– 広範な測定範囲
– 迅速で安定性に優れたガス応答性
– 過酸化水素ガスによる校正サービス
IMPRINT
GERMANY
Dräger Safety AG & Co. KGaA
Revalstraße 1
23560 Lübeck
www.draeger.com
© Drägerwerk AG & Co. KGaA 6
D-111340-2013