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『冷媒としてのアンモニア』

ハンドブック

資料『冷媒としてのアンモニア』〈無料進呈〉

アンモニアを冷媒として用いた冷却は効率が良く、資源の節約にもなり、
一般的には安全ですが、想定外のガス漏れは完全に防ぐことはできません。

しかし、新しいガス検知警報システムは、設備のダウンタイムを削減し、
従業員の健康を守り、警報を発した際に、違いを生むクリティカルな
数秒間を生み出します。

当資料では、「警報設定値」や「アンモニア冷蔵システムの構成例」などを
図を用いて詳しく解説しております。

ぜひ、ご一読ください。

【掲載内容(抜粋)】
■古典的な冷媒
■臭覚で検知される有毒物質
■漏洩を迅速に検知し、事故を回避
■アンモニアの検知:極端な状況下での課題
■定置式ガス検知器を設置する際に何に考慮すべきでしょうか?

※詳しくはPDF資料をご覧いただくか、お気軽にお問い合わせ下さい。

このカタログについて

ドキュメント名 『冷媒としてのアンモニア』
ドキュメント種別 ハンドブック
ファイルサイズ 1.7Mb
登録カテゴリ
取り扱い企業 ドレーゲルジャパン株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧)

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このカタログの内容

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冷媒としてのアンモニア: 何に注意すべきでしょうか? アンモニアを冷媒として用いた冷却は効率が良く、資源の節 約にもなり、一般的には安全ですが、 想定外のガス漏れは完 全に防ぐことはできません。 しかし、最新のガス検知警報シス テムは、設備のダウンタイムを削減し、従業員の健康を守り、 警報を発した際に、違いを生むクリティカルな数秒間を生み 出します。 © Drägerwerk AG & Co. KGaA 1
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冷媒としてのアンモニア 古典的な冷媒 冷媒としてのアンモニア: 重要な数値の一覧 酪農場や瓶詰工場、食肉処理場など食品の生産工場では、冷却ト モル質量 ンネルを使用しており、冷媒なしには業務を行えません。 また、食 17.03kg/kmol 料品の生産、処理、保存または特別な技術や処理のための保管中 沸点 -33.3°C には、低温状態が維持される必要があります。 アンモニア(化学 標準状態での物質 ガス状、圧力下で液化 式:NH3)は、過去100年以上にわたりこの冷媒用途で使用されてき の状態 (20°Cで8.6bar) ており、現在はこの窒素と水素のアルカリ化合物であるアンモニア 爆発下限界* 3 が、冷蔵システム市場でかつてないほどシェアを伸ばしています。 15vol.%(または108,000mg/m ) これは驚くべきことではありません。なぜなら、1870年にカール・フォ 爆発上限界* 30.2vol.%(または240,000mg/m3) ン・リンデが初めてビールの冷蔵に使用したこの自然冷媒には、数 *20°Cで1.013barの場合 多くの利点があるからです。 アンモニアは、気化熱が1368 kJ/kgで 着火温度 あるため体積冷却能力が高く、非常に効果的な冷却剤です。 650°C 検出閾値 5ppm 3.5mg/m3 アンモニアは、その高い冷却能力のため、フロンと比較して約 (0.02〜70ppm) 13〜15%という少量を使用するだけでシステムの冷却に使用でき 中毒症状 2,500ppm 1,750mg/m3 ます。 そのため、NH3は非常に経済的です。 さらに、アンモニアベー 致命的な被害を生じる濃度 5,000ppm 3,500mg/m3 スの冷却システムの設置は、他の同様のシステムに比べて約 10〜20%安価であるだけでなく、運転コストも大幅に安くすみます。 出典: www.euroammon.com; www.vfdb.de; vfdb information sheet for fire service operations in case of danger due to ammonia さらなる利点として、 フロンよりも、環境適合性が優れています。 アンモニアの地球温暖化係数(GWP)はほぼゼロに近く、オゾン層 破壊係数(ODP)はゼロです。 アンモニア 化学式: NH3 外観: 無色ガス © Drägerwerk AG & Co. KGaA 2
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冷媒としてのアンモニア 臭覚で検知される有毒物質 ムの部品を損傷し、制御不能なガス漏れを引き起こす可能性があ ります。 アンモニアを原因とする腐食は、穴を形成して貫通させる だけでなく、亀裂を引き起こします。 これらは非常に小さく、検知す 1億3,000万トン以上のアンモニアが、毎年世界中で生成され、 るのが難しい場合がよくあります。 その量は増え続けています。 NH3は、最も幅広く製造されている化 学物質であると同時に、産業部門において最も幅広く使用されて 2. 毒性 いる有害危険物質でもあります。 これには、いくつかの理由があ アンモニアは気体状態、そして主に液体状態において呼吸器官に ります: 有毒であり、強い刺激と腐食作用をもたらします。 最も強い反応 は粘膜などの湿性の体表面に見られ、痛みを伴う化学火傷を引き 1. 爆発と火災のリスク 起こし、例えば角膜に触れると、失明を引き起こす可能性がありま アンモニアは可燃性ガスであり、気体状態では、乾燥した空気中 す。 液体アンモニアの温度は-33°C以下で、 皮膚に触れると重度の で、可燃性または爆発の恐れのある雰囲気を形成する場合があり 凍傷を引き起こします。 吸い込むと気道と肺を損傷する可能性が ます。 可燃濃度範囲は15〜33vol.%ですが、 発火に必要な温度は比 あります。 軽度のアンモニア中毒の症状には、窒息感、呼吸困難、 較的高く、630°C以上です。 目眩、喉のしゃく熱感、唾液分泌量の増加、胃痛、嘔吐などがありま す。 長期間暴露すると呼吸器官と消化器官を損傷します。 吸い込 NH3は一般的に空気より軽く、高い拡散速度で大気中に拡散しま んだ後、数時間経ってから、重度の症状が見られる場合もあります。 す。 閉鎖空間やコンテナ内では、十分な濃度の酸素があったとし 1700ppm以上のレベルで暴露すると、生命に危険が及びます。 ても、その酸素に置き換わる可能性があります。 NH3は水蒸気に対 する親和力が高く、大気中の水蒸気と反応し、素早く化合物を形成 します。 漏洩が発生した場合に備え、アンモニア蒸気の上昇を防 労働安全およびプラント安全のための アンモニア許容濃度 ぐためのウォーターカーテンが用いられます。 これにより、ガスは エアロゾル状のアンモニアの形で地面に沈殿し、白い霧として現 WES れます。 TWA 25ppm 17mg/m3 (オーストラリアとニュージーランド ) WES STEL 35ppm 24mg/m3 アンモニアは比較的可燃性が低く、供給される火炎がある場合に (オーストラリアとニュージーランド) のみ、継続的に燃焼します。 空気中の水蒸気含有量が11vol.%を超 OSHA PEL 50ppm 35mg/m3 えると、可燃性および爆発性の化合物が発生する可能性はなくな 3 ります。 アンモニアは世界中で大量に使用されているにもかかわ ACGIH TLV 25ppm 17mg/m らず、NH3のみを原因とする爆発や火災の発生はきわめて稀です。 ACGIH STEL 35ppm 既知の事象はどれもほぼ限定的に、閉鎖された部屋またはコンテ ナで発生しています。 つまり、換気されていない部屋の濃度が、爆 TRGS900 MAK 50ppm 35mg/m3 発限界(立方メートルあたり105g)を超えるか、高エネルギー発火源 MAK 20ppm 14mg/m3 がある場合にのみ爆発のリスクが発生します。 DFG フランス VLE 50ppm 溶接、はんだ付けおよび切断が必要となるアンモニア冷蔵システ ムのメンテナンス作業は、特別な注意を払って実施する必要があ 英国 LTEL 25ppm ります。 オイルミストが存在すれば、空気混合物当たりのNH3の爆 EU OEL-TWA 20ppm 発限界を下げる可能性があるからです。 そのため、溶接作業を開 始する前に、NH3設備をパージして残存アンモニアを除去しなけれ EU OEL-STEL 50ppm ばなりません。 IDLH 500ppm 別の安全面での懸念としては、アンモニアの鉄、銅、亜鉛、スズおよ 詳しい情報については、www.draeger.com/voiceをご覧ください。 びそれらの合金における腐食作用があります。 漏洩は冷却システ © Drägerwerk AG & Co. KGaA 3
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冷媒としてのアンモニア しかし、アンモニアが関わる致命的な事故はあまり発生していませ ん。 5ppmという非常に低い濃度でも気づく特徴的なつんと鼻を突 く匂いにより、有害濃度の閾値よりかなり低い段階で通常は検知さ れます。 これには、利点と欠点があります。 低い濃度でも強い臭気 を感じることで、濃度が危険なレベルでない場合でも、従業員はパ ニックに陥る可能性があります。 これも、信頼のおける正確な検知 が不可欠である理由の一つです。 正確な検知は、判断ミスや過剰 反応の防止に役立ちます。 漏洩を迅速に検知し、事故を回避 腐食、漏洩、操業エラー: アンモニア漏洩事故は、冷蔵システムが 専門技術者により適切にメンテナンスされているときでも、多くの 理由により発生します。 複雑な産業用冷蔵システムにおける冷媒 の漏洩による損失は、システムの稼働期間や状態により毎年 2〜17%程度であると専門家は推定しています。** 残存した液体ア ンモニアが、停止中のポンプやラインに封入されると、温度が上が って膨張した際に、そこに亀裂がしばしば発生します。 他にも、充 填、メンテナンス、洗浄などでも、危険なシナリオが存在します。 漏洩は素早く検知することが不可欠です。 冷蔵システム自体やそ こに保管されている製品への損傷を避けるために必要となる冷媒 補充の作業は、最小限に抑えられるべきです。 また一方で、危険濃 度を知らせる正しい警報であろうと、誤警報であろうと、あらゆる製 **脚注: Euroammon information no. 2, may 2011, 造プロセスを中断することには費用がかかるという側面もありま http://www.eurammon.com/download/eurammon02dt.pdf アクセス日: 2015年11月25日 す。 これが、アンモニア漏洩は、特に高い正確性をもって検知され る必要がある理由です。 警報設定値 :例 EN* 378-3 TRD** 452 A2 EN 50054 第一警報 500ppm / 380mg/m3 400ppm 第二警報 800ppm 爆発危険警報 30,000ppm / 22800mg/m3 LEL 154,000ppm *EN =欧州規格 ここで適用されているオーストラリアとニュージーランドの現地規格はAS/NZS 1677.1.1998。 **ドイツの圧力タンク用技術規則 © Drägerwerk AG & Co. KGaA 4
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冷媒としてのアンモニア アンモニアの検知: 極端な状況下での 成されることがあります。 可能であれば、センサはこれら、その他の 課題 潜在的変動要素から最も保護される場所に設置すべきです。 アンモニア冷蔵システムの構成例 アンモニア冷媒が採用されているプラントにおいて、安全な作業 と製造状態を確実にすることは、安全性の面から見て簡単なこと ではありません。 変動する温度や高湿度といった不利な気候条件 アンモニア冷媒システム ガス + 液体 の下では、毒性の高い危険物質を確実にモニタリングする必要が あります。 分離器 コンプレッサ スクリュー ピストン 安全性の基本の一つは、システムの継続的なモニタリングです。 液体 蒸発器 このような場合に、できるだけ早く閾値を超えた濃度を検知し、従 業員に警告するには、定置式ガス検知システムが最も効果的で、 信頼できる方法です。 従業員が持ち運べる、または重要な場所に 低温 一次的に設置できるポータブルガス検知警報器でも漏れを検知 貯蔵室 することができます。 警報が発生した際には、緊急隊員や従業員が コンデンサ 適切な個人用保護具を着用することも必要です。 危険レベルによ りますが、これには、ろ過式の防毒マスクや、周囲の大気から独立し た空気を供給する給気式呼吸用保護具、化学防護服、避難用保護 具が含まれます。 アンモニアタンク (-8°C) NH3 定置式ガス検知器を設置する際に何に 循環ポンプ 考慮すべきでしょうか? 3. センサ性能に留意する 1. 適切な測定地点に設置する 冷凍・冷蔵温度、変動する温度、水蒸気、腐食。 すべてのセンサが、 アンモニアベースの冷蔵システムでは、ガス検知器は、通常、コン 冷蔵システムの厳しい環境での使用に適しているわけではありま プレッサルーム内や、バルブステーションの近くに設置されます。 せん。 しかし、同時に高いレベルの精度が、特にアンモニア検知の これは配管末端を点検する目的等のためです。 コンプレッサルー 分野では重要です。 従って、信頼できる測定性能を得るためには、 ムのセンサは、通常天井近くに設置されますが、これは、アンモニア 選択したガス検知器が、幅広い温度範囲やその他の一般的な課題 は空気の約半分の重さであるため、漏れが発生するとすぐに拡散 に耐えるのに十分な堅牢性を有していることが最も重要です。 し上昇するからです。 部屋の下部の方でアンモニアが臭わない 場合でも、天井部では濃度がかなり高くなっている可能性がありま 4. 適切な警報設定値を選択する す。 検知器を設置する際には、センサが蒸発器からの空気流に影 アンモニア冷蔵システムの近傍には、低い濃度のアンモニアによ 響されない場所を選びます。 るバックグラウンドが存在することがよくあります。 頻繁な誤警報 を回避するために、規定する警報設定値は、TLVレベルより少し高 2. 潜在的な変動要素 い濃度にしておくことが望ましいと言えます。 高品質なセンサは、 コンプレッサルームでは、極端な温度の変動がよく見られます。 信頼のおける正確な測定をサポートし、誤警報の発生と設備のダ 暖房や冷房中は結露により水蒸気が発生し、繊細な装置の性能に ウンタイムを最小限に抑えます。 影響を与えることがあります。 水蒸気は、蒸発器の除霜手順中も生 © Drägerwerk AG & Co. KGaA 5
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冷媒としてのアンモニア 5. 定期メンテナンスに注意を払う 正しい吸収缶を選択 信頼のおける正確な測定のために、ガス検知システムは定期的に 校正され、一定の間隔をおいてメンテナンスも行われる必要があ ります。 これは、システムが過酷な状態で作動している場合は尚 漏洩検出システムが被害を受けている状況下で作業を行う緊急 更です。 高い品質のサービスへの投資は良い結果をもたらしま 隊員は、安全のために個人用ガス検知警報器を使用しなければな す。 専門知識を有する技術者は、経年劣化や損傷の兆候に早く気 りません。 冷蔵循環システムを開放する場合など、アンモニアが づき、調整します。 それによって、装置の信頼性が高められ、製品寿 漏れる危険性がある、または急速に漏れている場所での作業で 命が伸びます。 は、個人用保護具が常に利用可能な状態にあり、また実際に使用さ れる必要があります。 堅牢な安全ソリューション 個人用保護具には以下が含まれます。 – アンモニア用吸収缶が取り付けられた全面形面体 アンモニアの事故の大多数は、危険物質である気体状のアンモニ ( 識別のグリーン、文字K)、 目の保護部分が一体化された製品 アにより引き起こされます。 負傷者が汚染区域に取り残されている – 安全手袋 場合は、その救助が最優先事項です。 給気式の呼吸用保護具は、 – ゴム長靴 消防隊や救急隊員にとって不可欠です。 同時に、汚染大気への接 – 保護ゴーグル 触から目を安全に保護するヘッドピースも、重要なコンポーネント の一つです。 多くの場合、危険な状態が予想される場面では、気密 警報が発生した際は、給気式の避難保護具が、プラントからの避難 形化学防護服が常に必要です。 をサポートします。 有毒ガスから保護する吸収缶付き避難用保護 具もまた、避難する従業員に安全性を提供します。 冷蔵システムから液体アンモニアが漏れている場合は、より厄介 な状況です。 液化アンモニアの温度は-33°C以下であるため、皮膚 それぞれのケースに合ったソリューションの必要性 に液体が触れてしまうと凍傷になります。 その深刻度は、接触した アンモニアベースの冷蔵システムは、特に安全管理の難しいシス 表面積と量により異なります。 低温の液体は素材を腐食させるた テムです。 ガス検知器、保護具、避難用保護具のすべてに、プラント め、汎用的に用いられるような保護具では対応できません。 作業を に特化した要素がすべて考慮された個別のソリューションが必要 開始する際は、耐低温性能のある素材を使用した化学防護服の着 です。 新たな機器と既存のインフラへのコンポーネントの統合、ど 用が推奨されます。 凍傷から皮膚を守るためには、暖かい作業着 ちらの場合も、基本的な化学的および物理的原理の基礎知識、技 だけでなく、ウールのソックスライナーと指手袋を防護服の下に着 術的パラメーター、非常に複雑なプランニングプロセスである法 用する必要があります。 的要件が必要となります。 専門家のアドバイスが、購入、設置、試運 転、 およびメンテナンスのすべての段階で価値を生みます。 IMPRINT GERMANY Dräger Safety AG & Co. KGaA Revalstraße 1 23560 Lübeck www.draeger.com © Drägerwerk AG & Co. KGaA 6 PDF-11562