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【資料】水素のリスク管理
今日、水素は未来の燃料として脚光を浴びています。しかし、新しい
エネルギー源には一連のリスクが伴い、適切なリスク管理が必要です。
当資料では、「新しいエネルギー源がもたらす新たなリスク」をはじめ、
「水素の扱いにおける安全課題」や「ドレーゲルが提供する利点」など掲載。
ぜひ、ご一読ください。
【掲載内容(一部)】
■よりクリーンな世界への願い
■新しいエネルギー源がもたらす新たなリスク
■水素の扱いにおける安全課題
■リスク管理:手順
■防爆の階層
※詳しくはPDF資料をご覧いただくか、お気軽にお問い合わせ下さい。
このカタログについて
ドキュメント名 | 水素のリスク管理 |
---|---|
ドキュメント種別 | 事例紹介 |
ファイルサイズ | 1.5Mb |
登録カテゴリ | |
取り扱い企業 | ドレーゲルジャパン株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
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このカタログの内容
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水素のリスク管理:
プラントの安全を確保する
ためにリスクを認識・排除する
今日、水素は未来の燃料として脚光を浴びています。しかし、新しいエネルギー
源には一連のリスクが伴い、適切なリスク管理が必要です。製造プロセスから、
圧縮設備、貯蔵・分配のためのパイプラインまで、水素を扱う際には、プラント
全体における安全性プロセスを再評価することが必須です。
© Drägerwerk AG & Co. KGaA 1
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水素のリスク管理
よりクリーンな世界への願い
宇宙の原子のうち1000個中900個を占める水素は、間違いなく持続 2030年までに、年間最大1,000万トンの再生可能水素を製造する能
可能な社会に役立つガスです。 二酸化炭素を発生させない水素に 力を有することを約束しました。
は、さまざまな使用方法があります。 実際に、水素の利用について
は、全く新しいエコシステムが現在開発されつつあります。 これに それだけではありません。 チリは最も安価なグリーン水素を2030
は、低炭素原料やクリーンな移動ソリューションの開発、建物の熱電 年までに生み出し、グリーン水素の輸出国上位3国のうちの1国にな
供給、低炭素燃料、エネルギーキャリア、エネルギー源としての役割 ることを目標に掲げています。 アラブ首長国連邦も同様の目標を
などが含まれます。 視野に入れており、新たな水素戦略では、2030年までに世界の水
素市場の1/4のシェアを得ることを目標にしています。 世界中の国
世界中で注目されている水素は、脱炭素産業、長距離輸送や航空 々が、エネルギーシステムの脱炭素に役立つものとして水素に注
業界で役立つと広く見なされています。 激しい議論が交わされた 目しており、二酸化炭素の実質ゼロ排出を目標に掲げる上で、水素
国連の第26回気候変動枠組条約締約国会議 (COP26)で、EUは が重要な役割を果たすというのが、一般的な合意です。
発電、需給バランスと ロジスティックス
モビリティ H₂ 貯蔵
(洋上) バッファ エネルギーキャリア
NG/H₂ ターミナル
風力エネルギー
(洋上/陸上)
太陽光 発電所
エネルギー LNG/H₂貯蔵
パワーツーガス
(Power to Gas)
電解
(H₂製造) パイプライン輸送
水素ステー
ション LNG/H₂貯蔵 熱変換貯蔵
H₂と天然ガスの (Power to Heat)
リペアワーク 混合 発電所
ショップ
モビリティ 工業向け原料 建物への熱と
電力供給
工業用原料
肥料 鉄鋼
パワーツーリキッド
(Power to Liquids) セメント 地域暖房
製油所
化学物質
新しいエネルギー源がもたらす新たなリスク
しかし、新しいエネルギーには未知の事象が伴います。 大規模な水 水素は可燃性の高いガスであり、製造と貯蔵段階で複数のリスクを
素製造が増加するにつれ、製造プロセスから圧縮設備、パイプライ もたらします。 そのため、製造プラントは製造チェーン全体にわた
ン、貯蔵と分配への経路におけるプラントの安全を確保するため り完全なレビューを行い、すべてのポイントで安全性ニーズに適切
に、新しいリスク評価と徹底したシームレスなソリューションの開発 に取り組む必要があります。 さらに、水素の安全課題の存在は、どこ
ニーズが高まります。 駆動技術、燃料電池などの最終製品に存在す でも同じように発生するとはいえ、設備の設置方法によってリスク
るリスクも考慮する必要があります。 発生ポイントが異なるため、各プラントに合った方法で対処しなけ
ればいけません。
需要の高まりに伴う市場への新たな参入者のすべてが、水素がも
たらすリスクを理解しているとは限りません。 知識、情報、ソリュー
ションは、十分な安全性を確保するために不可欠です。
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水素のリスク管理
詳細: 水素の扱いにおける安全課題
職場で水素を扱う際には、いくつかの安全課題を考慮する必要があります。
• 高い可燃性: 水素は非常に低いエネルギーで着火するため • 透過性: 水素分子は非常に小さく、材料に簡単に浸透し得ます。
(0.02mJ)、爆発が主な脅威の1つになります。 水素はガスと漏洩 水素と接触する材質は全て、適切に選択、扱い、維持することが
面の間に生じる摩擦により、感知できる程度の静電気 (1mJ) に 不可欠です。
より自動発火する場合があります。 水素はまた、他の可燃性物質
に比べて非常に広い燃焼範囲 (大気中において4〜75%) を有
しています。 燃焼に最適な条件 (29%の水素ー空気中) では、水
素の着火に必要なエネルギー量は、他の一般的な燃料より低く • ガスポケット: 水素は空気だけでなく、メタンなどの炭化水素よ
なっています。 従って、使用する機器は爆発危険場所での使用 り低密度です。 非常に軽いガス (ガソリン蒸気の57倍、空気の14
に適しているものである必要があります。 倍軽い) であり、ガス検知器がガス漏れを検知する前に、素早く
拡散してしまう可能性があります。 リークが発生すると、ガス雲
が天井付近に形成されることがあります。 そのため、ガス検知器
は高い位置に設置される必要があります。
• 目に見えない炎: 水素の炎は非常に淡く、日中はほとんど見えま
せん。 しかし、特定のタイプの紫外線を放射するため、 水素炎の
存在を警告するには、専用の火災検知器が必要となります。
• COアラーム: 適用方法によっては、一酸化炭素 (CO) もモニタリ
ングする必要があります。 COセンサは水素にも感度を示し、誤
警報を発する場合があるため、水素補正タイプのCOセンサが
• 無臭: 水素は臭いでは検知できません。 天然ガスとプロパンも 必要です。
無臭ガスですが、硫黄のような匂いが付加されるため人間が検
知可能です。 現在、水素の拡散の動きについていけるほど軽い
臭気物質はありません。 臭気物質は燃料電池も汚染する可能性
があります。
リスクがあるところには、安全ソリューションが必要
どのプラントでも、作業員のリスクを最小化するだけでなく、 しかし、水素は無臭であり、人間の目に見えないため、体に備わった
プラント自体の健全性を確保するためにも、安全性は優先される 感覚により警戒を高めることができません。 そのため、危険を軽減
べきです。 水素の性質と貯蔵時の高圧により、水素を扱うプラント するためには包括的なプラント安全システムが要求されます。
では、こういった問題がより頻繁に発生し、より深刻になる可能性が
あります。
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水素のリスク管理
リスク管理: 手順
では、リスク管理を効果的に実施するにはどうすれば良いの の作業員の保護まで、リスクを効果的に最小化するための行動を
でしょう?一般的に、これは危険が発生する可能性のある場 どこでどのように取れるかを評価するための、制御の階層を明らか
所を特定するためのプロセスを詳しく検討する、安全管理ワ にすることが関わります。
ークショップから始めるべきです。 安全目標も定義され、新た
な安全基準実施手順も説明される必要があります。 操業中 もちろん、プラントにどれほどしっかりと安全措置を施しても、水素
のプラントに、これらの事項に取り組む内部組織がまだ設置 の特性により、緊急事態はなお起こり得ます。 そのような場合に備
されていない場合は、リスク分析を実施し、安全な環境を確 え、適切な危機管理手順が準備されていることが必要です。
保するために外部パートナーを採用することが不可欠です。
これには、危険物自体の排除 (可能な場合) から、個人用保護具で
制御の階層
効果
が高い
排除 物理的に危険物を排除
置換 危険物の置換
危険物から作業員を隔離
工学的制御 定置式ガス検知システム プラント防火システム 換気設備
防爆電気機器 技術的安全機器 (TPRDなど)
作業方法の変更
管理的制 御 安全マトリックス (もしも... その後...) 緊急時および危険 許可された活動の定義
電気設備の緊急停止 予防管理 水素の事前拡散
PPE
(保護具) 個人用防護服による作業員の保護
ポータブルガス検知器 静電安全靴
効果 熱画像カメラ 指示/トレーニング
が低い
防爆の階層
作業員とプラントを爆発の危険性から保護するには、いくつかの層 • 二次的 – 着火源の防止: 防爆ゾーン専用の防爆認証された機
が関係します。 器、電気式ではなく機械式の装置(バルブなど)、接地および電
導床。
• 基本的 – 爆発性雰囲気の予防: リークの予防、ガスの素早い拡 • 三次的/構造的 – 爆発した場合の損傷と影響の防止と低減: 耐
散に対応する換気設備の導入、特定のガスを早い段階で検知 火および防炎素材/構造の使用、自動排気弁/エリアの使用、明
する機器。 確に示された避難通路。
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水素のリスク管理
安全コンサルティングの課題: 保護目標の定義
リスクは「発生の可能性 x 損害の重篤度」と 定義することができま していると思ってしまうということがよくあるからです。 さらに、過去
す。 取るすべての行動が、この数式が導く結果に良い、または悪い 数年にわたり職場で深刻なことは起こっていない場合には、すぐに
影響を与えます。 だからこそ、リスク分析が非常に重要なのです。リ 何かをすべきであるという緊急性を、その企業は感じていないかも
スク管理計画を決めるためには、会社の保護目標を定義しなけれ しれません。 しかし、水素は独特なガスで、他の物質とは異なる反
ばいけません。 会社は作業員、環境、有形資産を保護することを目 応を示します。 危険は非常に現実的で、常に何かが発生する可能
指し、保護目的に対する損傷の許容レベルを定義する必要があり 性を秘めているというのが本当のところです。 プロセスが実証済
ます。 しかし、これらの保護は、国ごとに異なる衛生安全法にも従わ みであったとしても、新たな要素が組み込まれるとすべてが変わり
なければいけません。 ます。
安全性の懸念への対応におけるもう1つの問題が、作業員が抱く
誤った安心感です。 安全対策が整っていれば、プラントは作業に適
環境
有形資産
作業員
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水素のリスク管理
水素が提示する一連の特殊な疑問 プロフェッショナルな安全コンサルティング
水素のような新しいテクノロジーには、安全性の全体論的視野が 専門家による分析、リスクアセスメント、ソリューションの構築にお
必要です。 そのため、適切な質問を投げかけることが重要です。 いて、ドレーゲルは長年の経験から得た専門知識と最新鋭のテクノ
ロジーを活用し、企業全体の安全性確保をお手伝いします。
• 新しい装置にはどのような関連するプロセスがあり得るか?
• リ スクは作業員にどのような結果をもたらすか? • まず、プラントとプロセスの分析およびリスクアセスメントに
• 従業員を最適に保護する方法は? より、安全性を強化できる可能性のある箇所の特定において、
• 既存の安全措置は新しいテクノロジーに最適か? お客様をサポートします。
• その後、従業員の健康を守り、会社の効果的な緊急管理に役
簡単なケース・スタディ: 立つカスタマイズされたソリューションを開発することができ
ディーゼル燃料を使用しているバス会社が最近、専門家の手によ ます。
り設備にガス検知システムを導入しました。 タンクシステムを含
め、バスは自社内の工場で修理されます。 ディーゼル燃料が漏れる
可能性があるので、ノナン検知用にIRセンサ式ガス検知器が装備
されました。 その後ある時点で、会社は水素駆動式バスの使用に
転向します。 現代的なガス検知システムが設置されているため、ス
タッフは職場は安全だと見なし、水素のリークの検知にも同じ機器
を使えると信じています。 しかし、水素は空気よりかなり軽いため、
非常に素早く上昇します。一方、ディーゼルから蒸発した飽和炭化
水素類は地面近くで検知されます。 さらに、水素はディーゼル燃料
の蒸気と同じセンサでは検知できないため、ガス検知システムは
水素のリーク検知には、もはや使うことはできません。 幅広いガス
の特性が多くのさまざまなリスクにつながるため、新しいリスクに
は異なる安全対策が必要です。 従業員は変化する安全課題と保護 ドレーゲルは、プラント全体のソリューションをご提供できますが、
対策の適切な適用について認識する必要があります。 設備のどの部分を分析するかに応じて、異なるモデルの評価を適
用します。 最初の分析は作業で、すべての関連部門に立ち合ってい
ただきます。 保護目標とリスク評価条件は皆で決定します。 その後、
リスクを特定するために詳細な現場視察を実施します。 次のステ
ップは、発生可能性の評価と、損害の深刻度の決定 (低、中、高での
分類) を含むリスク分析と評価です。 さらに、企業の既存の安全対
策を考慮しながら、中・高リスクを効果的に削減するために、保護措
置と行動領域を決定します。
その後、必要となる投資、責任のプランニング、緊急運営管理、教育
的トレーニング、さらなるテクノロジーとカスタマイズされた追加
ステップの導入など、さらなる措置を企業とともに定義することが
従業員への義務 できます。 分析・評価の全レポートが提供されるので、企業は関連
企業は作業員を法的要件に沿って保護することが義務付けられ 評価シナリオとそれに付随するすべてのリスクの完全な文書にア
ています。 そして、設備を可能な限り広い範囲にわたり守ることも クセスすることが可能です。
また、企業の経済的関心です。 だからこそ、現在のテクノロジー、科
学、プラントで実施されているあらゆる再開発を考慮した、定期的
な専門家によるリスクアセスメントが必要なのです。
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水素のリスク管理
ドレーゲルが提供する利点
どの業界に対しても、ドレーゲルは完全なリスクアセスメントを実 適切な検知ソリューション、安全対策、ベストプラクティスのアプロ
施し、効果的なソリューションを構築するための適切なツールを有 ーチを選択することが、水素をスマートかつ安全に取扱う上でカギ
しています。 ガス検知テクノロジー、個人用保護具、工学的安全ソリ となります。
ューションの分野における専門的ノウハウを活用して、ドレーゲル
は製油所、その他のプロセス産業、自動車、製薬、病院などを含むさ 職場の安全性と従業員の個人保護具において、ドレーゲルは徹底
まざまな分野にわたり安全措置を確立してきました。 エキスパート した安全ソリューションの一環として、全面的な安全コンサルティ
は高価値の情報だけでなく、統合された総合的ソリューションをあ ングと施工サービスを提供します。 あらゆる種類のガス検知器、呼
らゆる状況にもたらし、プラントと作業員の安全性、そして地域の 吸保護具、個人用保護具が、作業員と設備の安全維持をサポートし
安全要件へのコンプライアンスを確保します。 ます。
これは水素産業においても同様です。 現在まだ世界中で台頭しつ ドレーゲルの産業向け安全ソリューションに関する詳しい情報は
つある比較的新しいテクノロジーであっても、ドレーゲルはすでに www.draeger.com/ja_jp/Safety/Industrial-Safety-Solutions をご覧くだ
多くの安全コンセプトをこの分野で創出してきました。 さい。
産業のための水素の
安全性に関する詳細は、
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DMC-103175 | 22.06-1