フレキソパッケージ印刷コンバーター向け基礎ガイド
カラー プロセス コントロール
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CONTENTS
1 常に正確で一貫した色の重要性 4
パッケージ業界の動向 6
2 なぜ大切なのでしょうか? 8
市場動向に適合 10
コストを削減し、生産性・作業能力を向上するには? 12
お客様にもたらすメリット 14
エックスライト社のサポート 16
3 色彩成熟度モデル 18
カラーマネージメントの成熟度スケール上の位置 20
スケールアップの重要性 22
グレードアップのソリューション 24
4 知識の収集 26
事前準備は終了していますか? 28
利益の出ない作業の原因を突き止めるには 30
5 導入を成功に導くために 36
導入時の成功のポイント 38
弊社が提供する各種トレーニング 40
6 事業計画の構築 42
投資対効果の説明 44
事業のニーズと目標 46
2
最適なエックスライト ソリューション 51
投資対効果の計算 61
7 ユーザー事例 66
オルティメイト・パッケージング社 68
コバリス社 74
複数の工場を持つフレキソ印刷パッケージング・コンバーター 80
3
印刷業界はデジタル時代の進化に伴い、業界の地位と
活力を維持してきました。
ブランドやメーカーは、マスメディアの急増に伴い、パッケージに対する密なコミュニ
ケーションを図る必要があります。さらに、小売業界に参入するために、斬新な製品や
アイデアが重要になってきています。
一方、これはサプライチェーンに圧力をかけるもので、コンセプトから生産までの時間
を短縮し、単品管理から製品群に「ブランドの一貫性」を確保しなければなりません。
パッケージング・コンバーターは、厳密で時間を要する業界基準に対応しています。ク
ライアントからのファイルやプルーフに基づいて、生産環境に対する基準色を設定し、
カラーマッチングを行います。この際、新規に生産される色が、店舗にある在庫品のパ
ッケージ色と一致することが重要です。ワークフロー工程において生産基準を効果的に
維持、コミュニケーション、使用することで、最良の結果が実現します。
多くのパッケージング・コンバーターは、作業やコストを削減する新規ツール、業界基
準、ベストプラクティスを展開してきました。それにより、パッケージング需要の増加
に対応し、顧客満足度を高め、常に競合相手の一歩前を進んでいるのです。
ワークフローの最適化がもたらすメリットを理解するには、
まず、なぜ最適化する必要があるかを認識することです。
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パッケージ業界の動向
BRAND
BRAND
BRAND
ブランディング リテーリング
製品パッケージは、店頭で消費者にアピ ブランド製品は多数の商品が展示される大
ールする公の場に展示され、購入を左右 型店舗で、消費者の視線を獲得するための
する重要な要素となります。そのため、 戦略として、パッケージの素材や色を展開
ブランド商品は消費者の目と興味を惹き しています。一方、パッケージは異なる工
つけるために、パッケージのデザインを 場や素材で生産されるため、すべての工場
頻繁に変更しています。製品パッケージ が信頼のおけるカラースタンダードを共有
を生産する作業や工場では、正確なカラ することが重要です。
ーマッチングを行う必要があります。カ
小売向けのプライベートブランドが増加す
ラーマッチングを確実に行うには、ブラ
る中、有名ブランドに似た製品が多く出回
ンドの製品ラインアップやグローバルサ
っています。そのため、フランチャイズチ
プライチェーンに、色の一貫性と再現性
ェーンは差別化を図り、ブランド名を保護
を確保しなければなりません。
するために、一貫した、実現可能なカラー
スタンダードが必要です。
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BRAND BRAND
BRAND
BRAND
BRAND
BRAND
BRAND
テクノロジー パッケージング
パッケージング・コンバーターのニー 商業印刷のニーズがデジタル化していく
ズや生産方法は常に進化しています。 中で、これまで他の商業分野に従事して
今日、カラースタンダードや素材のデ いた印刷会社が、パッケージ市場の新た
ータはソフトウェア/測定装置に搭載 なプレーヤーとなってきています。数多
され、クラウドベースのデータを用い くの新しいプレーヤーが参入し、既存の
たコミュニケーションが行われていま パッケージング業者は合併・統合による
す。クラウドシステムはサプライチェ 大企業へと成長しています。パッケージ
ーン全体で使用されるため、新規デジ ング・コンバーターがサービスの差別化
タルスタンダードに準拠するソリュー を図るには、もはや魅力的な価格を提供
ションが必要です。 するだけでは不十分です。新規ビジネス
を迅速に獲得する必要もあるのです。
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正確な色を確保するために多大な時間を費やしますが、
どの時点で効率が下がりますか?
先進的なパッケージング・コンバーターは、市場の動向に適応するため、作業方
法を徐々に調整してきました。そして現在、多くの老舗パッケージ企業が、急速
に変化するデジタル社会に対応するため、試行錯誤によって開発された印刷方法
を再評価しています。多くのパッケージング・コンバーターは、結果が予想され
る既存のプロセスに満足していますが、実はその思い込みがコスト、時間、効率
性を犠牲にし、成長と競合力の妨げになっているのです。
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市場動向に適合
今日の市場は、従来の目視評価から、主観的な判断に依存せず、一貫性と再現性を
実証する「分光測色計」を使用したアプローチへと移行しています。
エックスライト社はこの進展の中心となり、色を共有・検証する、オープンソース
の標準ファイル形式「CxF ファイル」を開発しました。
それぞれのコンバーターが独自のワークフローで作業を行えば、意見の相違が生
じ、また作業場によって異なる結果が発生します。
基材・アートワークの変更、サプライヤーの拡大など、複雑な要素を管理するに
は、一貫した品質と手順に基づいて作業を行うことが重要です。
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ワークフロー全体でデジタルスタンダードを共有することにより、仕様の指定から
品質管理まで、すべての関係者が一貫したリファレンスを使用することができま
す。コンバーターはこのコミュニケーション手段をさらに洗練するために、基材、
基準色、許容値を含むカラーデータを作業のワークフローに一体化します。各作業
に合わせてワークフローを実行することで、現場の従業員が、標準化された正確な
情報にアクセス可能になります。作業に関するすべてのデータにアクセスすること
で、より包括的なスコアカードが可能となり、良好なデータ結果をクライアントと
共有することができるのです。正確なスコアカードはコンバーター自身の、継続的
な改善対策の取り組みにも役立ちます。
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コストを削減し、生産性と
作業能力を向上するには?
従来の標準作業に発生していた無駄・非効率を徹底的に排
除すれば、これまでは難しいと思われていたワークフロー
の簡素化が実現します。
正確な目視評価、コミュニケーション、マッチング作業は、生産性と品質を向上
し、コストを削減します。パッケージ印刷の仕様準備から調色、生産に至るワーク
フローを通して、迅速、直感的、コスト効果の高い、正確に測定・検証されたデー
タを確保します。
コンセプト&開発 生産
需要 需要
市場進出時間 承認時間
より多くの基材に対する 品質
より多くの色 コストパフォーマンス
BRAND
BRAND デザイン色
vs.
ブランド インスピレーション 実現可能な色 印刷準備 インキ 先面印刷 再印刷
マネージメント &デザイン 調色
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代表的な効果例:
• クライアントの仕様:ブランド会社やデザイナーは、制
作チームが使用する同じファイル形式で色を指定できるた
BRAND め、正確なカラーコミュニケーションが実現します。
• インキ調色:デジタル調色値により、最初から常に最適な
インクを調合し、作業時間を短縮します。残肉インキは次
の作業に再利用できるため、ロスが発生しません。
• 印刷生産:印刷時にリアルタイムの品質データを出力。プ
ルーフや印刷の承認時間を短縮します。基材、インキ、印
刷時間の無駄を大幅に削減します。
• カラーマネージメント:クラウドベースのジョブ管理機能
は、勤務時間、ワークステーション、印刷現場が異なる場
合でも、すべてのユーザーが装置のキャリブレーション、
品質データ、カラー仕様を含むデータ共有を可能にしま
す。これは特に、複数の工場を運営する印刷会社に有効な
点です。
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お客様にもたらすメリット
印刷機の最も重要な要素は「稼働時間」です。
印刷機の稼働時間が増えれば増えるほど、より多くの仕事を受け
入れることができます。また、それぞれの仕事の割り当て時間を
効率よく短縮することで、クライアントが承認する製品をより早
く市場に投入することができます。
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= $
作業の効率化は、印刷機の稼働時間を増やし、メイクレディ時間を短縮。納期やク
ライアントとの迅速な対応が可能になります。デジタル管理されたワークフローは
作業時間を削減するだけでなく、基材やインキの無駄を排除し、やり直し作業を低
減。全体的な労働生産性を向上します。
テクノロジーの使用を展開することで、市場動向に適合し、旧式のカラーマネージ
メントを行う競合他社に打ち勝つことができます。また、生産工程をより深く、よ
り統合的に管理することで、常に一貫した高品質な色を確保することができます。
調色値、ジョブ、色を保存することは、独自のデジタルカラーライブラリーの開発
をサポートし、迅速な作業をサポートします。
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エックスライト社のサポート
エックスライト社はカラーオーソリティー企業として、自動車、塗
料・塗装、プラスチック、テキスタイル、塗料販売、医療、写真、プ
リメディア・印刷、ヘルス製品・化粧品の業界向けに、サイエンス/
テクノロジー、カラーアート、アプリケーションを一体化しました。
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エックスライト社は、カラーインスピレーション、色の選択、測色、調色、カラーコミ
ュニケーション、カラーマッチングの分野で、比類のない専門知識を持つ企業として知
られています。弊社では、グローバルに共通するカラーデータ形式「CxF」を開発。測
色の業界基準を確立するこのデータ形式は、お客様から好評を得ています。
弊社は、各企業のワークフローに基づき、ニーズと成長のチャンスを見出し、ソリュー
ションをカスタマイズします。弊社の業界専門知識と慎重な調査により、プロセスを
自動化し、またコントロールツールを使用することで、メイクレディの作業、基材の無
駄、生産時間を削減します。
ツールの準備はほんの一歩に過ぎません。生産の効率化を図り、成長をサポートするた
め、ツールを最大限に活用していただくことが弊社の責任であると考えています。弊社
では、市場に類のないトータルサポート、トレーニング、サービスを提供しています。
弊社は、新しいソリューションを効果的に導入するためのリソースと時間の割り当て、
品質データとスコアカードの作成方法、ワークフローの評価、改善点の見出し、さらに
ワークフローを最適化するための手順や問題解決をサポートします。
先見の明を養うことが大切です。皆様が時間とコストを重視し、一貫した高品質の色を
作成する「業界トップ企業」としての評判を確立します。新しい仕事の一般競争入札に
参加するだけではないのです。市場をリードし、より多くのクライアントに対し信頼の
おける長期的なパートナー企業になることです。
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必要なソリューションをどのように選択するか
新しいソリューションを導入する前に、現在どのような測色・評価が行われているかを理
解することが重要です。
本チャプターで説明するエックスライト社の「色彩成熟度モデル」は、皆様が社内のどこ
に位置するかを確認します。
これには、カラーの濃度評価が、純粋にインキフィルムの膜厚を測定するだけの従来の作
業から、グローバルに共通するデジタルスタンダードを使用する実証的なカラーマッチン
グまで様々なものがあります。
事業を多面的に捉え、下記を質問します。
• 現在のワークフローで、カラースタンダードをどのように開発、管理、活用してい
ますか?
• どのようなソフトウェア・アプリケーションを使用していますか?
• ソフトウェアは最新バージョンですか?また、ソフトウェアは定期的に更新されて
いますか?
• 現在どのような測定装置を使用していますか?
• 一般的にどのような印刷用途・用紙に対応していますか?
• これらのツールは生産ライン全体に、どのように組み込まれていますか?
これは何の認識につながるのでしょうか?
より実証的なカラースタンダードと評価は、シンプルな作業に
も有効です。そして、作業が複雑であればあるほど、常に一貫
した結果を得るための自動ツールが必要になります。
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カラーマネージメントの
成熟度スケールにおける位置
色彩成熟度モデル
評価 色彩成熟度評価 カラースタンダード インキ調色 印刷品質管理 カラースタンダードの管理
実証: 見え・特徴 ベタ色、アミ点、オーバープリント、グレ インキメーカーが管理 インラインまたはニアラインをサポー 印刷時の検査を定期的かつ一貫して実行。
事実に基づく ーバランスなどの属性に対するデジタルス し、印刷機のレシピ ト。装置相関プログラムを準備。ハ ジョブ仕様のレポートをリアルタイムに出
タンダード。スタンダードはクラウドベー を補正 ードウェアとソフトウェアを使用し 力し、社内でのトレーサビリティーと透明
• 装置は色と画像をチェック・レポートし、すべての用途と業界に対応 スのサーバーで管理され、サプライヤーや た分光測定。L*a*b* と ΔE のデータ 性を確保、またクライアントにリアルタイ
クライアント含むすべての場所で統一。ス 分析。連結された各ワークステーショ ムのオンラインレポートを提供。明確に定
• インライン品質管理システムを用いて、色だけでなく画像検証にも展開
タンダードは定期的に監視・合理化。ブラ ン。スタンダードをクラウドベースの 義された標準業務手順書があり、それが遵
ンドには、パッケージ、マーケティング、 サーバーからアクセスし、一貫性と垂 守されるだけでなく、定期的に監視・更新
生産間においてカラースタンダードをコー 直相関性を維持。詳細なレポートとト されていること。
ディネート。 ラッキング機能。
印刷ワークフローの一体化 ベタ色、アミ点、オーバープリント、グレ コンバーターはインキル ハードウェアとソフトウェアを使用し 定期的かつ一貫した検査により、ジョブ仕
ーバランスなどの属性に対するデジタル ームと協力し、独自のス た分光測定。L*a*b* と ΔE のデータ 様とプレスルームのパフォーマンスレポー
スタンダード。スタンダードは企業のネッ タンダードと調色値を現 分析。連結された各ワークステーショ トを出力。社内でのトレーサビリティーと
• 装置はデジタルスタンダードとワークフローをチェックし、レポートを出力 トワーク上で管理され、すべての現場に 場で管理 ン。スタンダードはネットワークサー 透明性を確保し、持続的な改善活動をサポ
共通。 バーからアクセスし、一貫性を維持。 ート。明確に定義された標準業務手順書が
• ワークフローのセット(ハードウェア、デジタルスタンダード、スコアカ
詳細なレポート機能。 あり、それが遵守されるだけでなく、定期
ード)を差別化・保護 的に監視・更新されていること。
デジタルデータを用いた品質保証 ベタ色のデジタルスタンダードと明確に定 現場における調色と、 ハードウェアとソフトウェアを使用し 定期的な印刷機のチェックにより、トレー
義されたワークフロー 残肉インキの再調色・ た分光測定。L*a*b* と ΔE のデータ サビリティーを確保。ジョブレポートは印
再利用 分析。レポートやワークステーション 刷後に出力。明確に定義された標準業務手
• 装置はデジタルスタンダードとワークフローをチェック の連結なし。 順書を用意・実行。
視覚+サポート 不良なデジタルスタンダード 調色値は親会社のインキ L*a*b* および ΔE のデータを用いて スポットチェックのみで、多くの場合は印
メーカーが提供 ハードウェアのみで測定し、現物リフ 刷が完了した後に行われるため、印刷時の
ァレンスと比較。 修正は不可。充実なレポートが出力されな
• 装置で現物のスタンダードに対するチェック
い。標準業務手順書が用意されているが、
• 新規アートワーク手順:Pantone ブック → プルーフ → ドローダウン → すべての工程向けでなく、また実際には実
本刷り
行されないことが多い。
• 本刷りは今後の貴重なサンプル
視覚評価 現物スタンダードとの比較・目視チェック 事前に混合されたインキ 指定されたリファレンスに応じて供給 濃度測定または視覚評価
を、色見本またはカラー
• 現物スタンダードに対する目視チェック ライブラリーに発注
主観的:
判断基準
視覚評価 測色 高度な測定