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―めっき処理工程での実施事例―
メガヘルツ超音波による精密洗浄技術
―めっき処理工程での実施事例―
はじめに
超音波の安定したコントロールには、洗浄液の安定した均一な状態が必要である。
特に、洗浄液の溶存気体が均一な濃度で洗浄水槽内に分布をした状態では、
超音波が水槽全体に均一に広がり、超音波(音圧、周波数、変化)の制御が
目的に合わせて実現出来る。
しかし、超音波・ファインバブルの洗浄現象には、洗浄対象物を含め、
超音波振動子・水槽・治具・・・沢山の条件
(サイズ、材質、構造、製造方法、設置方法・・)があり、
それぞれの影響が複雑に関連している。
(例:キャビテーション・音響流が、溶存気体濃度の分布を変化させている)
その中で、最も重要な事項が、非線形現象としての音響流の変化である。
超音波を測定・解析(バイスペクトル)・評価することで、
超音波の分類に基づいた、超音波(キャビテーション・音響流)の
ダイナミック制御を実現した。
このカタログについて
ドキュメント名 | メガヘルツ超音波による精密洗浄技術 |
---|---|
ドキュメント種別 | 事例紹介 |
ファイルサイズ | 3.5Mb |
登録カテゴリ | |
取り扱い企業 | 超音波システム研究所 (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
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このカタログの内容
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メガヘルツ超音波による精密洗浄技術
―めっき処理工程での実施事例― 2024.3.18 超音波システム研究所
はじめに
超音波の安定したコントロールには、洗浄液の安定した均一な状態が必要である。
特に、洗浄液の溶存気体が均一な濃度で洗浄水槽内に分布をした状態では、超音波
が水槽全体に均一に広がり、超音波(音圧、周波数、変化)の制御が目的に合わせ
て実現出来る。しかし、超音波・ファインバブルの洗浄現象には、洗浄対象物を含
め、超音波振動子・水槽・治具・・・沢山の条件(サイズ、材質、構造、製造方法、
設置方法・・)があり、それぞれの影響が複雑に関連している。
(例:キャビテーション・音響流が、溶存気体濃度の分布を変化させている)
その中で、最も重要な事項が、非線形現象としての音響流の変化である。
超音波を測定・解析(バイスペクトル)・評価することで、超音波の分類に基づいた、
超音波(キャビテーション・音響流)のダイナミック制御を実現した。
図 1:キャビテーション・音響流の分類 図 1-2 変動型の分類
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特に、メガヘルツの超音波に関するスイープ発振条件の設定により、ナノレベルの
金属表面組織への刺激、各種化学反応に関するコントロール、新素材の精密洗
浄、・・・新しい効果に発展している。
写真 1:超音波洗浄
写真 2:めっき処理
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2.どのようにして解決するのか?
2.1 洗浄液の均一化、
水槽・超音波振動子・治具の表面残留応力の緩和
脱気ファインバブル発生液循環装置による、洗浄液(洗剤濃度、溶剤濃度、溶存酸
素濃度)の均一化により、超音波(音圧レベル、周波数分布)を安定して制御可能
な状態にする。
<<脱気ファインバブル発生液循環装置>>
2.1-1)揚程の高いマグネットポンプあるいはギアポンプの吸い込み側のホ
ースを絞ることで、キャビテーションを発生させる。(ポンプメーカーの禁止
事項だが20年以上問題なく動作する)
2.1-2)キャビテーションにより溶存気体を含んだ気泡が発生する。
注:ポンプに大きな負圧が発生するため、気密性の高い、ホース接続技術が必要
上記が脱気液循環の状態。
写真 3:脱気ファインバブル発生液循環システム
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2.1-3)洗浄液の溶存気体濃度が低下すると、
キャビテーションによる溶存気体の気泡サイズが小さくなる。
2.1-4)水槽に合わせた適切な液循環の設定により、水槽内の洗浄液全体が
循環することで、20μ以下のファインバブルが発生する。
注:適切な液循環の設定技術が必要
上記が脱気ファインバブル発生液循環の状態。
写真 4:超音波と脱気ファインバブル発生液循環の効果
2.1-5)上記の脱気ファインバブル発生液循環状態に対して
(高次の高調波を伴ったダイナミックな)超音波を照射すると、
ファインバブルを超音波が分散・粉砕して、ウルトラファインバブルが発生する。
測定を行うと、ウルトラファインバブルの分布量がファインバブルの分布量より
多くなる。
注:水槽や超音波振動子の表面にゆがみがある場合は、
この状態で 3 ヶ月~6 ヶ月使用すると、溶接部、加工部・・の表面残留応力が
緩和され、30%-100%超音波の伝搬効率が改善する。
上記が、超音波制御可能な液循環状態。
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2.2 均一な洗浄液と適切な液循環に基づいて、
100MHz 以上のダイナミックに変化する超音波伝搬状態を実現する
メガヘルツ超音波のスイープ発振条件と液循環制御を、音圧測定解析に基づいて
最適化することで、音響流制御による、超音波のダイナミック制御が実現する。
特に、メガヘルツの超音波利用による、水槽の表面残留応力が緩和処理されること
で、音響流(非線形現象)のコントロールがより効率的になる。
図2:超音波洗浄機と音圧データ
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図3:超音波の音圧測定解析
2.3 音圧データの測定・解析・評価
洗浄目的に最適な超音波伝搬状態(音響流)を、量産対応として実現する
2-3-1)(時系列の)音圧データに関して、
多変量自己回帰モデルによるフィードバック解析により
測定データの統計的な性質(超音波の安定性・変化)について解析評価
2-3-2)超音波発振部の影響をインパルス応答特性・自己相関の解析により
各種対象物(水槽・・・)に関して超音波振動現象の応答特性として解析評価
2-3-3)2ヶ所、あるいは3ヶ所を同時に音圧測定することにより
超音波の相互作用を、パワー寄与率の解析により評価
2-3-4)超音波の利用(洗浄・加工・攪拌・・)に関して
超音波効果の主要因である対象物あるいは対象液に伝搬する超音波の
非線形(バイスペクトル)解析により、超音波のダイナミック特性を解析評価
写真5:「R」を利用した、音圧データの解析
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図4:音圧データの解析結果(自己相関・バイスペクトルの変化)
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2.4<各種効果:洗浄液の改善 他>
ファインバブル・超音波・液循環の効果について、実際に継続的に使用することで、様々な効
果 が 実 現 す る 。 洗 浄 液 の 改 善 ・ ・ ・ ・ に 関 す る 参 考 資 料 を 紹 介 す る 。
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<<特許出願>> 特開 2021-161532 超音波めっき
(日本バレル工業株式会社様で実施中 良好な結果が出ています)
特開 2021-125866 超音波制御(超音波発振制御プローブ)
特開 2021-171909 超音波加工
上記の技術を、コンサルティング提供しています
興味のある方はメールでお問い合わせください
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まとめ
新素材の研究開発に関して、様々な超音波処理に関するコンサルティング対応経験から
100MHz以上の超音波刺激は、新しい組み合わせとともに、大きな可能性を感じている。
特に、トポロジカル物質のようなジャンルや根本的な学問(数学の圏論やシステムに関する哲
学的な思考)を取り入れることで、今後ますます超音波技術は飛躍すると感じる。
実際には、説明のできない様々な現象を確認しているが論理的な検討も行いながら新たな応用
を検討していきたいと考えている。
参考文献
1)赤池 弘次/共著 中川 東一郎/共著:
ダイナミックシステムの統計的解析と制御:サイエンス社(1972年)
2)ベ.ア.アグラナート/[他]共著 青山 忠明/訳 遠藤 敬一/訳:
超音波工学と応用技術:日ソ通信社(1991年)
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超音波の伝搬特性
1)振動モードの検出(自己相関の変化)
2)非線形現象の検出(バイスペクトルの変化)
3)応答特性の検出(インパルス応答の解析)
4)相互作用の検出(パワー寄与率の解析)
注:「R」フリーな統計処理言語かつ環境
autcor:自己相関の解析関数
bispec:バイスペクトルの解析関数
mulmar:インパルス応答の解析関数
mulnos:パワー寄与率の解析関数
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以上