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高速化・高性能化を実現!メーカーに非常に効率的で効果的なプロセスをご提供
当資料は、バーチャルコミッショニング(仮想試運転)を活用して、マシンの高速化・高性能化を実現するためのガイドです。
競争の激しい製造業界において、バーチャルコミッショニングは、非常に効率的で効果的なプロセスを提供します。
■ バーチャルコミッショニング(仮想試運転)のためのデジタルツイン ■
シミュレーションベースのモータ選定やPLCコードテストなどにデジタルツインを使用して、機械設計から勘に基づいた推測を排除できます。
モデル駆動形のデジタルツインを可能にする『MapleSim』は、動作を予測するためのテストデータを必要としないため、物理的なプロトタイプを構築する前の概念設計に使用することができます。設計が決まれば、デジタルツインをコントローラに接続して、バーチャルコミッショニングの段階で統合テストを行い、生産現場での問題を解決することができます。
この資料では:
◆ 生産システムの開発や試運転を行っている企業の変化についてご紹介します。
◆ バーチャルコミッショニングに関連する人材、プロセス、テクノロジーが、製造上の意思決定にどのような影響を与えるかを知ることができます。
◆ 開発期間の短縮やコストの削減など、バーチャルコミッショニングの価値を高める方法を理解することができます。
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このカタログについて
ドキュメント名 | 【資料】バーチャルコミッショニング なぜ新しい設計は失敗するのか |
---|---|
ドキュメント種別 | ホワイトペーパー |
ファイルサイズ | 1.4Mb |
登録カテゴリ | |
取り扱い企業 | Maplesoft Japan株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
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このカタログの内容
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バーチャルコミッショニング:
なぜ新しい設計は失敗するのか
バーチャルコミッショニング(仮想試運転)を活用してマシンの高速化・高性能化を実現するためのガイド
A C y b e r n e t G r o u p C o m p a n y
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概要
テクノロジーの進歩によって、製造業は劇的な変 • 最初のセクションでは、製造コストの継続的な
革を迎えています。あらゆるもののインターネット化 削減や革新的な製品変更の影響など、生産シ
(IoT)、自動化、高度なデジタル化、および電化の ステムの開発および試運転に関する組織の変
台頭は、業界を前進させ、メーカーが幅広い最先端 更要因を明らかにします。
の製品を提供するのに役立っています。技術の変化
は、生産ラインを大規模に最適化し、大幅な時間と • 2番目のセクションでは、バーチャルコミッショニ
コストの節約を達成することで、メーカーに利益を ングについて説明します。バーチャルコミッショ
もたらしています。 ニングに関連する人員やプロセス、テクノロジ
ーを検討します。また、結果として生じる、メーカ
ただし、競争の激しい製造業界のニーズを満たすた ーが行わなければならない実務とプロセスの
めに、現在の生産システムでは、広範な開発と検証 変更、組織の役割と技術や知識ベースに対す
が必要とされます。これはリスクの高い活動です。メ る変更、そして主要な技術的な成功要因を特定
ーカーは、システムをアップグレードしたり、新しく導 します。
入する際に、非常に厳しいスケジュールと予算上の
制約に従わなければなりません。 • 3番目の最後のセクションでは、開発時間の短
縮、生産システムのアップグレードの徹底的な
結局のところ、製造施設は休止期間中に収益を生 検証によるコストの削減、広範なイノベーション
み出すことができず、新しいまたはアップグレードさ を可能にする機能など、バーチャルコミッショニ
れた生産システムが工場に届くのを待つしかあり ングの有用性を評価する道のりを特定します。
ません。
それぞれの生産システムには独自のライフサイクル
バーチャルコミッショニング(仮想試運転)が、その があり、業界の需要に遅れずに対応するためには、
解決策となります。シミュレーションを使用すること 新しい機器とプロセスを取り入れていく必要があり
で、生産計画担当者は、物理的に試運転を開始す ます。バーチャルコミッショニングは、メーカーに非
る前にシステムの開発と検証を始められます。また、 常に効率的で効果的なプロセスを提供します。変更
コストと長期の生産遅延のリスクの両方を削減し、 のリスクを軽減し、生産現場のイノベーションを促
メーカーがより良い意思決定を行えるようにします。 進します。
この e-book は、バーチャルコミッショニングを採用
するに当たってのガイダンスを提供するものです。
展開に関するいくつかの問題にも言及しています。
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生産システムの計画と試運転
すべての生産システムは、計画と検証という2つの大きな開発段階を経ます。計画期
間中に、メーカーは設備を選択し、セルを配置し、ラインのレイアウトを行い、製造に
必要な要件を満たすように施設全体を体系化します。また、開発段階で、セルとライ
ン、設備を稼働するヒューマン・マシン・インターフェイス(HMI)、そしてプログラマブ
ル・ロジック・コントローラー(PLC)ハードウェアのソフトウェアロジックを計画し、開
発します。
検証段階で、メーカーは、生産システムが実際に製造要件を満たしているかどうかを
テストし、HMIおよびPLCロジックに関連するすべての問題を解決します。この後者の
部分は、ソフトウェアのバグの特定と修正に非常に似ています。したがって、通常、こ
の作業は生産システムの「デバッグ」と呼ばれます。
主な目標は、新規またはアップグレードされた生産システムの、スムーズかつ迅速な
展開を容易にすることです。これには課題がないわけではありません。このようなシ
ステムは、非常に複雑に入り組んだHMIとPLCから構成されています。複雑で相互接
続された一連の機器を使用しているために、1つの構成要素への些細な変更が、生
産施設全体でのドミノ効果を引き起こします。そのため、メーカーが最新の生産シス
テムを計画・設置し、試運転を行うことは容易ではありません。バーチャルコミッショ
ニングを採用することで、いくつかの導入上の問題を解決することができます。
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下がり続ける製造コスト
財務予測では、製造コストは今後も下がり続けると
予測されています。具体的には、材料費と製造間接
費が全体的に下がっていきます。メーカーはこの変
化を利用して、サプライヤーからの価格の引き下げ
を狙っています。このような低下は、生産コスト削減
の必要性につながります。
こうした傾向に対処し、マージンを保護するために、
メーカーは斬新で低コストなアプローチを実践しな
ければなりません。例えば、複数の生産工程を1つ
に統合して、納期の短縮と保持コストの削減を図る
ことができます。システムを最適化することで、製造
プロセスからより多くの無駄を削減することもでき
ます。また、より多くの自動化を採用することも可能
でしょう。いずれの場合も、メーカーは、エラーを起こ
さず、ダウンタイムが最も少ない、新しい生産システ
ムやアップグレードされた生産システムを取り入れ
なければなりません。繰り返しになりますが、これら
の変更は資本と運用の両方で費用を発生させるの
で、メーカーの収益性を最大化するために、関連す
るリスクを軽減する必要があります。
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製品は革新的な変化を
遂げつつあります
いくつかの例外を除いて、今日の製品は、消費者の需要の高まりとデジタル化の発
展によって進化しています。自動車はこの進化の代表的な例です。自動車はもはや
単純な乗り物とは見なされておらず、電動化された自律型テクノロジーを搭載した
モビリティソリューションと捉えられています。さらにはデジタルデバイスと統合され
ており、運転手と同乗者が今求める接続性を提供します。同時に、自動運転車は自
動車市場を前進させ続け、新しいビジネスモデルと移動手段を生み出します。これ
は製品変革の一例にすぎません。このような変化は、ほぼすべての業界で起きてて
います。
このような業界横断的な変化により、メーカーは施設や工場の改造を余儀なくされ
ています。既存の生産システムでは、このような新製品を作ることは不可能です。こ
の急速な変化の中で成功の波に乗るには、メーカーは新規生産システムの導入や
アップグレードを迅速に実装しなければなりません。新しい生産システムがデバッグ
プロセスを実行している間、施設や工場を休止状態にすることはできません。代わり
に、新しい生産システムの開発と検証を加速させる必要があります。生産スピードが
遅ければ市場シェアを失うことにつながるため、この変化を利用して、サプライヤー
に低価格を要求します。このような価格低下は、生産コストを削減する必要性につ
ながります。
大事なポイント
• 材料と製造の諸経費の減少は、メーカーがマージンを確保するのに役立つ
ような、より効率的な生産システムの開発を推進します。
• メーカーは、新しいまたはアップグレードされた生産システムを迅速に導入
しなければなりません。さもなくば、過度のダウンタイムによって市場シェア
を失うリスクがあります。
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人、プロセス、そしてテクノロジー
バーチャルコミッショニングとは、シミュレーションとモデリングを使って、新しい生産
システムや既存システムへの変更案をテストし、検証する方法です。バーチャルコミ
ッショニングでは、機器を物理的に試運転する前に、仮想環境でHMIおよびPLCハ
ードウェアのロジックとプログラミングのデバッグを行います。これにより、収益の損
失と長期にわたるダウンタイムのリスクが軽減されます。
バーチャルコミッショニングを始める際に、メーカーは2つの重要な変更に注目する
必要があります。
1つ目の変更は、1Dシステムシミュレーションの導入と普及です。この導
1 入が、システムの動作を評価して提案された変更をテストおよび最適化
するための、安全で仮想的な場所を提供します。このような分析は、計画
段階から始まります。シミュレーションを使うことで、メーカーは物理的な
機器を試運転する前に、より適切な判断を下せるようになります。バーチャ
ルコミッショニングは、まず生産システムの1Dモデルの作成から始まりま
す。次に、生産計画担当者は、他の生産システムのモデル等を使ってモデ
ルのテストを行い、製造ライン、セル、またはプラント全体の正確なシミュ
レーションを確認します。異なるモデルを組み合わせることで、システムの
相互運用性を保証し、周囲のシステムへの影響を検討できます。
2番目の変更では、1Dシステムシミュレーションを物理的なHMIおよび
2 PLCと段階的に交換または統合して、ロジックとプログラミングを検証しま
す。計画担当者は、ソフトウェア環境内で1つ以上のハードウェアの動作
を再現し、それを実際の物理的なハードウェアに接続します。ここでの目
標は、製造工場で使用される実際のハードウェアを模倣する仮想環境を
作成し、エンジニアが物理的な試運転を完了するずっと前に、生産計画担
当者が生産システムの個々の部分を検証できるようにすることです。
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実践とプロセスの変更
バーチャルコミッショニングを採用するには、メーカ のデジタルアプローチは、ソフトウェアのコンパイ
ーの業務手順にも変更を加える必要があります。メ ルを必要としない、素早く簡単なバーチャル検証
ーカーは、試運転プロセスの初期段階から生産計画 方法です。
チームを参加させる必要があります。これには文化の
変化を伴います。問題を早期に特定して修正する手 • Software-in-the-Loop(ソフトウェア・イン・ザ・ル
段が提供されるため、プランナーの時間をこれらのプ ープ。略称はSiL):次に、ソフトウェアがコンパイ
ロセスに先行して費やすことは、長期的に見れば効 ルされた時点で、生産計画担当者はモデルのロ
果的です。バーチャルコミッショニングの提唱者は、 ジックが同一であるかどうかを 確認します。 コー
この利点を経営陣に明確に伝えて、賛同を得る必要 ドは自動的に生成され、エミュレーターで実行さ
があります。 れて、ターゲットとなるHMIまたはPLCのハードウ
ェアを模倣します。次に、プランナーはモデリング
1Dシステムシミュレーションを、生産システムの開発 環境内でソフトウェアをテストし、生産計画担当
全体で早期から継続的に使用するには、さらなる変 者が仮想シミュレーション環境内でさまざまで詳
化が必要です。メーカーは、既存のワークフローを変 細な制御戦略を使って、ソフトウェアの開発およ
更し、多数の新プロセスを取り入れる必要がありま び検証を行えるようにします。エラーが発生する
す。実施する順番には、次のようなプロセスが含まれ としたら、MiLからSiLステージへの移行中に発
ます。 生します。
• Model-in-the-Loop(モデル・イン・ザ・ループ。略 • Hardware-in-the-Loop(ハードウェア・イン・ザ・
称はMiL):最初に、生産計画担当者はPLCまた ループ。略称はHiL):このステップにより、生産計
はHMIソフトウェアロジックのデジタルモデルを 画担当者は、現実に即してはいるがバーチャル
作成します。次に、それを生産セルまたはラインの な刺激やシナリオに対して、PLCまたはHMIコン
シミュレーションモデルに接続します。彼らは連 トローラーで実行されるコンパイル済みソフトウ
成解析を実行して、提案された生産システムが ェアが、期待通りにリアルタイムで動作するかど
期待通りに動作するかどうかを判断します。この うかを確認できます。生産計画担当者は、HiLも
プロセスは完全にデジタル化された作業です。こ 使用して、物理的なシステムのモデルが有効かど
れによって、生産計画担当者は、設備を物理的に うかを判断します。この段階で、メーカーは物理
試運転させる時間と費用をかけずに、情報に基 的な試運転と、実際の環境に移行する前のコン
づいた意思決定を行ってシステムを最適化する トローラーのテストに近づきます。プランナーは、
ことができます。シミュレーションでエラーが発生 発生する可能性は低いものの、極端で壊滅的な
した場合は、ロジックモデルを変更して、シミュレ 可能性のある出来事等についてもテストします。
ーションを再実行します。その後、生産計画担当 これらのテストを行うことで、万が一に備えて、そ
者は、正しい結果が出るまで、モデルを微調整し のような事故や出来事を軽減する計画を 立てら
続けます。 生産システムをデバッグするためのこ れます。
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役割、技術および知識の変更
バーチャルコミッショニングを使用する場合、メーカーは1Dシステムシミュレーショ
ンを基に、HMIまたはPLCロジックと生産システム内の機器との間の相互作用を理
解します。そのためには、生産計画チームには、次のような特定の専門的なスキルセ
ットが必要になります。
• システムレベルおよびコンポーネントレベルでの、モデルの構築、検証および
最適化
• シミュレーションの精度を高めるための、各種モデリング手法の使用
• モデルの予測を検証するための、適切なテストの設計と実施
• 特定の技術的な問題に対処するための、シミュレーション計画の作成
生産計画チームは、物理環境と仮想環境が交わる部分でも作業する必要がありま
す。現実の環境に移行する前に、物理的なHMIおよびPLCコントローラーをソフトウ
ェアシミュレーションおよびテストに接続しなければなりません。生産計画チームは
すでにこれらのスキルセットを持っているか、組織内の熟練したインストールチーム
と密接に連携しているかも知れません。いずれにせよ、生産計画チームは、各バーチ
ャルコミッショニングの段階を使い、必要なシミュレーションを実行するために、これ
らのスキルを社内で取り入れなければなりません。
バーチャルコミッショニングに不慣れなメーカーが、必要なスキルと経験を持つ社
員をすでに採用している可能性はまれです。したがって、バーチャルコミッショニング
を始めようとする組織は、バーチャルでの業務を果たすために必要なスキルを備え
た労働者を獲得する必要があります。
プロジェクトの要件に応じて、熟練した労働力を構築する方法はいくつかあります。
既存の生産計画担当者にトレーニングを受けさせたり、新しい才能を雇ったり、専門
の請負業者と協力することができます。永久雇用は長期的な解決策ですが、請負業
者を使えば、適切なスキルを適切なタイミングで、柔軟に調達できます。
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カギとなる技術的な成功要因と
Maplesoftソリューション
今日の1Dモデルとシミュレーションにより、生産計 しかし、これらのモデルを設計する人は、それぞれ
画担当者は仮想世界の中で、安全でシームレスに 異なるソフトウェアシステムを使用しています。ソフト
変更をテストできます。MiL、SiLおよびHiLプロセス ウェアアプリケーションも時間の経過とともに変化
の反復性によって、生産計画担当者はプロジェクト し、相互運用性の問題を悪化させます。ここで、生産
サイクルの早い段階でシステム動作を分析し、設備 計画担当者がさまざまなシミュレーションでモデル
を物理的に試運転することなく必要な変更を行い、 を再利用する際に役に立つのが、コンポーネントラ
幅広い設計オプションを検討できます。また、システ イブラリです。ライブラリ内のすべてのコンポーネン
ムをモックアップし、指定されたパラメーター内でさ トは、動作を検証し、シミュレーションの精度を保証
まざまな調査を実施して、システムのパフォーマンス するために徹底的なテストを必要とします。検証さ
向上に欠かせない変数を理解することもできます。 れたコンポーネントライブラリは、生産計画担当者
小さな変更が施設に与える影響を調査することも に、正確で完全なバーチャルコミッショニングのシミ
可能です。 ュレーションを実行するための強力なツールセット
を提供します。
その結果、メーカーは、生産設備とプロセスを最適
化するために必要な、多数の複雑なトレードオフの メーカーは、コンポーネントライブラリをゼロから作
バランスを取ることができます。これは、ビジネスとし 成する必要はありません。MapleSimソリューション
ての収益性と持続可能性を推進するのに役立ちま を使用すれば、生産計画担当者は必要最小限の工
す。1Dモデルとシミュレーションを使用すれば、デジ 数でバーチャルコミッショニングを採用できます。
タルドメインの問題を完全に調査し、問題の根本原
因を特定し、問題を解決するための最善の決定を MapleSimは、メーカーにコンポーネントライブラリ
下すことができます。1Dモデルとシミュレーションが の作成と、MapleSimの既存のブロックライブラリの
提供する知見のおかげで、メーカーはより賢明な決 機能を最大限に活用できるようにする、高度なシス
断を行えます。このテクノロジーは、サプライチェーン テムレベルのモデリングツールです。
の多くの分野でも使用できます。メーカーは、シミュ
レーションを拡張して単一環境内でシステム全体を
モデル化することも可能になります。これにより、提
案された変更の影響をテストしたり、異なるライン、
セルまたはシステム間の予期せぬ相互作用から生
じる問題を検出できます。このレベルでの接続を実
現するには、バーチャルコミッショニングモデルが連
携していなければなりません。
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カギとなる技術的な成功要因と
Maplesoftソリューション
生産計画担当者は、直感的に使えるドラッグ・アンド・ドロップ・インターフェイ
スを使用してモデリング環境を構築し、他のFunctional Mock-up Interface(フ
ァンクショナル・モックアップ・インターフェイス。略称はFMI)互換ソフトウェア
で作成された既存モデルを取り込みます。
FMI規格は、標準化された形式での異種モデルの交換を容易にします。メー
カーはプロプライエタリモデルを交換し、MapleSimツールセットの既存モ
デルを使用します。生産計画担当者が2つのモデルを接続して、生産環境の
包括的な見通しを生成する場合、このプロセスは協調シミュレーション(Co-
Simulation)と呼ばれます。これは、FMIが提供する相互運用性標準によっての
み達成可能です。
これらのテクノロジーとツールは、物理的なシステムの単なる仮想表現で
あるデジタルツインのシームレスな作成も可能にします。生産計画担当者
は、MapleSimのカスタマイズ可能なコンポーネントまたはCADインポートを使
用してメカニズムを構築します。MapleSimは、仮想モデルをエクスポートして、
バーチャルコミッショニングのワークフローにプッシュする前に、デジタルツイ
ンを作動させて分析を行います。
これは繰り返しのプロセスになります。デジタルツインは、目的の結果が得られ
るまで、更新と改善が続けられます。モデルベースのデジタルツインは、動作を
予測するために物理的なパフォーマンスデータを必要としないため、幅広いエ
ンジニアリングタスクにも使用されています。これには、バーチャルコミッショニ
ング、概念設計の開発とテスト、障害を予防的に検出するための完全なオンラ
イン診断、および生産現場へのよりスマートなデバイスの導入が含まれます。
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価値への道のり
バーチャルコミッショニングは、時間やコスト、リソースに関する、実証済みの具体的
なメリットを含めて、さまざまな価値をメーカーに提供します。このシミュレーションフ
レームワークにより、メーカーは、新しい生産ラインや施設の試運転に係るタイムス
ケールを短縮し、既存の施設を維持および管理するコストを削減し、ビジネス全体
でイノベーションを促進できるようになります。
フル生産までの時間短縮
バーチャルコミッショニングは、新システムやアップグレードされたシステムがフル
生産に移行するまでにかかる時間を短縮し、オンサイトのコミッショニングを加速さ
せます。システムを物理的にデバッグするために必要な時間を最短に抑え、これら
の時間のかかるタスクを仮想ドメインに移動します。バーチャルコミッショニングは、
従来の 計画>インストール>テスト>デバッグ>再テスト>デバッグ段階を、計画>
インストール>検証という2段階のステップに置き換えます。メーカーはまた、マルチ
タスクを実行し、複数のプロジェクトでバーチャルテストを実行します。これにより、
システムの欠陥やソフトウェアのバグを検出して取り除き、技術的、パフォーマンス
的および機能的なさまざまな問題を事前に解決することができます。
メーカーは、組織のビジネス目標に応じて、さまざまな方法でバーチャルコミッショ
ニングの投資収益率(ROI)を示します。方法の1つとしては、生産のダウンタイムの減
少から生じる総収益の計算があります。すべての新しい生産システムまたはアップグ
レードを物理的に複製およびデバッグするには、多大な時間と費用がかかります。
もう1つの手法は、工場全体のダウンタイムを最小限に抑えることです。提唱者は、
組織全体に対して、これらバーチャルコミッショニングの具体的なメリットを伝える
必要があります。
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生産システムのアップグ
レードの精査によるコス
ト削減
バーチャルコミッショニングは、プランナーが設計変
更を精査できるようにすることでコストを削減しま
す。システムに物理的な変更を加える前に、さまざま
な変更をモデル化してテストできます。システム変更
に関連するリスクが軽減されるようになり、生産計
画担当者はコスト削減の機会を特定できます。
したがって、バーチャルコミッショニングは、従来の
試運転と比較して大幅に改善されています。たとえ
ば、メーカーが、既存のシステムを改善し、生産プロ
セスの特定のセクションの無駄を削減すると信じる
戦略を考案したとします。バーチャルコミッショニン
グがなければ、この提案されたアプローチを検証す
るための計算は単純で不正確なものとなり、それゆ
え、バーチャルコミッショニングの利点を提供できま
せん。
対照的に、バーチャルコミッショニングを使用した
完全なコスト削減の分析は、これらの懸念を軽減し
ます。生産計画担当者は、デジタルな環境で、生産
システムに対するさまざまな変更を調査することが
できます。このようなシミュレーションでは、使用する
プロセスの微調整が簡単なだけでなく、セル、ライ
ンおよびシステムレベルで動作結果を確認するの
も簡単です。コスト削減の評価は、提案されたあら
ゆるシステムアップグレードを、デジタルでテストお
よび強化する包括的な方法であり、生産計画担当
者がビジネスの賛同を得られるようにします。
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より多くのイノベーション生産を
決定する
バーチャルコミッショニングは、生産システムの技術革新を促進します。設計の
可能性を包括的な範囲で繰り返し適用し、最適なソリューションを見つけるた
めの、効率的で実行可能な手段を提供します。生産計画担当者は、仮想世界で
システムを計画しながら、より多くのシナリオとオプションをテストします。シス
テムの仮想コンポーネントは、実際の試運転を無駄にすることなく、現実世界
の複製物の動作を模倣します。これがイノベーションを推進します。プランナー
はまた、この調査プロセスを自動化し、人間の想像力の範囲を超えた設計の
可能性を発見できるようにします。その結果、生産計画担当者は、システム動作
に関する幅広い知見を得ることができ、システム設計について、十分な情報に
基づいたより適切な意思決定を行えるようになります。
システムの理解が深まったおかげで、プランナーは、メーカーにとって革新的な
アプローチを特定する能力を養えるようになります。
生産計画チームも、製造ライン、セル、および施設全体にわたる変更の影響を
調査します。設計が物理的な試運転に近づくにつれて、チームは、製造施設によ
り幅広く影響するような変更を徹底的にテストします。このような詳細な調査に
よって、計画チームが安心感を得るだけではなく、プランナーがコストを削減し
て生産を増やすための追加の方法を特定できるようにもなります。つまり、シス
テムの設計および製造プロセス全体での大規模な最適化は、メーカーの収益
の増加につながります。
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まとめと推奨事項
まとめ 推奨事項
製造コストの低下はサプライヤーの利益を脅かし、今まで以上に効率的な生 検証1回当たりの金銭的影響を計算しましょう
産システムの開発を押し進めています。ただし、メーカーは、市場シェアの喪失
を回避するために、最小限のダウンタイムで変更を行わなければなりません。 • 今後のプロジェクトで、物理的な試運転に必要とされるテストとデバッグ
の「回数」を特定します。
メーカーは、MiL、SiLおよびHiLバーチャルコミッショニングプロセスを含
む、1Dシステムシミュレーションを採用する必要があります。これには、バーチャ • それが1回に減った場合に、節約される時間を計算します。
ルコミッショニングのメリットを最大限に享受するためのスキルアップと新しい • 財務の関係者と話し合ってください。それらの節約を実現するための経
ソフトウェアソリューションの導入が必要となります。 済的影響を測定します。
利点としては、提案されたソリューションの完全な生産稼働までの時間の短 変更の範囲を理解しましょう
縮、システムを物理的にデバッグする必要がなくなること、そして、すべての製
品システムのアップグレードを分析することによるコスト削減があります。これ • 生産フロー全体にわたって人 と々話し合い、問題点を特定します。
らの利点は共に技術革新を加速させ、メーカーがより良い生産決定をするの • 特にカスタマイズされたソリューションを探している場合は、テクノロジー
を助けます。 をよく調べて、自分たちの組織に最適なものを見つけてください。
• 小さな規模から始めて、最初にパイロットプロジェクトでバーチャルコミッ
ショニングを試してください。
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