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【スマートファクトリー 】ニッサンインテリジェント ファクトリー実現への道、 その成功のポイント

事例紹介

日産自動車様最先端工場「ニッサンインテリジェントファクトリー」における、製造現場DX推進のリアルな取り組みをご紹介

デジタル技術やロボットとの協調により、溶接や組み立て、塗装や外観検査などを自動化し、これらの情報の統合管理により、高度なモノづくりを行っているのが、日産自動車の最先端工場「ニッサンインテリジェントファクトリー」である。さまざまな課題がある中、どのように製造現場のDX を推進したのか、取り組みを紹介する。
(MONOist(https://monoist.itmedia.co.jp/)2022年11月掲載コンテンツ再構成)

このカタログについて

ドキュメント名 【スマートファクトリー 】ニッサンインテリジェント ファクトリー実現への道、 その成功のポイント
ドキュメント種別 事例紹介
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取り扱い企業 シスコシステムズ合同会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧)

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このカタログの内容

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スマートファクトリー ニッサンインテリジェント ファクトリー実現への道、 その成功のポイント デジタル技術やロボットとの協調により、溶接や組み立て、塗装や外観検査などを自動化し、これらの情報の統合管理によ り、高度なモノづくりを行っているのが、日産自動車の最先端工場「ニッサンインテリジェントファクトリー」である。さま ざまな課題がある中、どのように製造現場のDXを推進したのか、取り組みを紹介する。  製造現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)が広がる 中、製造現場でもさまざまなデジタル技術が活用されるようになっ ている。ただ、従来の工場はデジタル技術の活用を前提としたもの ではないため、DXを推進する中でさまざまな課題が生まれてきて いるのが現状だ。先進企業では、これらの課題をどのように乗り越 え、高度なモノづくりを実現しているのだろうか。 新たなクルマづくりコンセプト 「ニッサンインテリジェントファクトリー」  日産自動車では、新たに独自のクルマづくりコンセプトとして ニッサンインテリジェントファクトリーのイメージ 提供:日産自動車 「ニッサンインテリジェントファクトリー」を打ち出し、製造現場の DXを推進している。電動化技術やコネクテッド技術を数多く搭載 した次世代のクルマへの対応、匠の技を伝承したロボットによる高  工場内には、267台の 360度カメラを設置しており、集中管理 品質の量産、人とロボットが共生する働きやすい職場、ゼロエミッ 室から常時設備の情報を監視している。完成検査についても IoT ションの生産システムの実現を目指している。これらを体現する生 (モノのインターネット)を活用することで、検査結果を全てデジタ 産ラインとして、同コンセプトを栃木工場の EV(電気自動車)「ア ルデータとして自動で記録する。その他、設備のデータを記録し異 リア」生産ラインに導入し、自動化された高効率生産と高品質なモ 常時に振り返ることができる設備用ドライブレコーダーなども導入 ノづくりを実現している。 している。  例えば、高度な匠の技が必要になるクルマのドアの組み付け作業  同工場では、新型アリアの心臓部である e-パワートレインの組 をロボットに移植し完全自動化を実現。組み付け位置をリアルタイ み立てラインも新設されているが、特にデジタルアイテムの導入と ムに計測し 0.2mmの精度で補正し正しい組み付けを行っている。 活用が進んでいる。今回はこのパワートレイン工場のDX活動の事 また、塗装品質の外観検査を完全自動化し、ロボットが 1台当た 例を中心に、工場 DXの課題とその乗り越え方について紹介する。 り累計約 6000カ所の検査ポイントを点検する。内装でもヘッドラ イニングやコックピットモジュールの組み付けもロボットを用いて自 e-パワートレイン組み立てラインの製造現場 動化に成功した他、モーター、バッテリー、リアサスペンションな DXへの道のり どパワートレインユニットの一括搭載を実現した。さらに、プラット  先進技術を用いてさまざまな価値を実現している「ニッサンイン フォームに合わせた 27通りのモジュールの組み合わせに対応する テリジェントファクトリー」だが、こうした高度なモノづくりは一朝 ことで、EV、e-POWER対応車、ガソリン車を、1つのラインで 一夕でできたものではない。日産自動車としてもさまざまな試行錯 生産することを可能とした。 誤を進めてきた中で、形作られてきたものだ。
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 日産自動車が、製造現場のDXを推進し始めたのは 2014年の 管理」などを推進した。これらのデータを管理する IoTプラット ことだ。当時はインダストリー 4.0や IoTなどが大きな注目を集め フォームをオンプレミスで構築し、システム構築を進めた。ただ、軌 ていたが、その中でさまざまな情報を集め、DX戦略を取りまとめ 道に乗せるまでには、さまざまな難しさがあったという。 た。こうした戦略を具現化する第 1弾プロジェクトとして取り組ん  村井氏が「最も大きな課題でした」と振り返るのが、当時のシス だのが、可変圧縮比エンジンであるVCターボエンジンの生産ライ テム開発の進め方である。工場側で期待される要件やリードタイム ンでのデジタル技術の導入だ。ただ、最初の大きな取り組みであっ に対して、大きなギャップがあった。「それぞれのアイテムの開発期 たため「うまくいかなかったところも多くありました」と日産自動車 間が長いため、システム開発コストが大きく、また、製造現場から パワートレイン生産技術開発本部 主管 村井勇一氏は 当時を振り の改善要求に素早く反応したPDCAを回せませんでした。進める 返る。 上で発生する要件変更に柔軟に対応できず、現場からの期待値も  横浜工場の VCターボエンジンの生産ラインでは「整流化したモ 下がり、最終的には現場で使ってもらえない状態にまで陥りまし ノの流れを目指す」をスローガンに「集中監視室の設置」「設備停 た」と村井氏は当時の苦労について述べている。 止情報のスマートウォッチ通知」「リアルタイム状態監視による先手  これらが発生した要因として村井氏は 2つを指摘する。1つはシ ステムの開発フローが複雑で、工場、情報システム部門、外部ベン ダーなどが複雑に絡み合い、伝言ゲームとなっていたという点だ。多 くの人が多くのフローで進めているために、リードタイムも長くな り、コストも大きくなってしまう。もう 1つが、システム開発者が製 造現場を理解していないという点だ。村井氏は「システム開発のプ ロであっても、製造現場のことを理解できていないと、現場で使え るシステムを作ることはできません。各種用語の定義や KP(I 重要 業績評価指標)の計算式を示しても、現場で実際に使われる場面 をイメージできないと、工場側で当たり前だと思って要件書に書か 日産自動車 ないような内容がどうしても漏れてしまい、満足するシステムになり パワートレイン生産技術開発本部 主管 村井勇一氏 ません」と問題の要因について語っている。 e-パワートレイン生産ラインにおいて実行したシステム開発体制 提供:日産自動車
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 e-パワートレイン組み立てラインでこれらを解決するために実現  そこで「デジタル技術導入後の保守、運用」についても体制を したのが「工場側でのシステム内製化」だ。一般 ITを含む上位シ 整備。情報システム部門、製造部門、保全部門、外部ベンダー間 ステムと、現場で使用するエッジシステムを切り分け、エッジ側に工 で、しっかりとした役割分担を決め、さらに中間領域についても即 場でシステム開発が可能な環境を準備した。その環境で開発できる 時に対策を判断できるように不具合要因の切り分けを行う専門家 メンバーを工場側に配置し内製化を実現した。 を現場に配置するようにした。  村井氏は「われわれ工場側が開発する範囲は、早急にデータが  さらに「セキュリティ」に関しては、「ソフトの守り」として、ウ 見たいものです。具体的には品質情報、設備情報の見える化です。 イルス対策ソフトの最新パターンファイル化、もしくはホワイトリス 逆に生産管理や保全システムなどの複雑で大規模なシステムは、従 ト型の使用を推進するとともに、「ハードの守り」として、指定デバ 来通り、情報システム部門にしっかりと作りこんでもらいます。そ イス以外のネットワーク接続の遮断を実施している。加えて「モバ れぞれの不得意なところを補い、得意なところを生かす使い分けを イルの守り」として、スマートデバイス所在のリアルタイム監視や、 するように改善しました」と語っている。 アプリの利用制限などを行うようにした。 新たに浮上した DXを支えるネットワークとセキュリティ、 「デジタル保守」と「セキュリティ」の問題 シスコとの協力  さらに、デジタル技術の導入を進める際に、新たな問題として顕  これらの解決に大きな役割を果たしたのが、シスコの協力だったと 在化したのが「デジタル技術導入後の保守、運用」と「セキュリ いう。村井氏は「現場のハブからネットワークアーキテクチャ全体を ティ」の問題である。デジタル技術の保守や運用の体制が確保され 通して最適な工場のネットワークインフラやセキュリティの在り方を ていなければ、データ自体の信頼性が失われ、システムとしての価 一緒に考えてくれたということが大きかったです」と語っている。 値を失うことになる。また、これだけさまざまなモノがつながってく  また、セキュリティだけではなく、ネットワーク品質の向上という る中で、サイバー攻撃で工場が直接攻撃される危険性なども出てき 面でも大きな効果を発揮している。従来の工場では、工場における ており、これらの対策が新たに必要となってきていた。 上位システムのネットワーク環境についてはシスコの製品を導入し、 栃木工場の新モーター組み立てラインへのデジタル技術の導入 提供:日産自動車
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製造現場のネットワークシステムでは他のベンダー製品を活用して 2024年に いたが、組織としての運用保守問題と同様、両者間で不具合が発 全固体電池のパイロットラインを展開 生した場合、どちらのネットワークおよび関連する機器の問題なの かの切り分けが難しく復旧までに時間がかかるケースがあった。こ  日産自動車ではさらに、これらの製造現場での IoT活用を広げ れらをシスコのソリューションで統一することで、統合的に可視化 ていくとともに、理想のモノづくりへ向けた新たな技術の活用を広 でき問題究明を容易にできる他、不具合要因の切り分けなどの負 げていく方針だ。例えば、新たな技術として導入したのが「インテ 荷も大きく低減できたとしている。 リジェントオペレーションサポートシステム」だ。これは、MR  「われわれにとって初めての経験であることも多く、グローバルで (Mixed Reality)を活用し、トレーニングや検査、遠隔サポート 多くの実績を持つシスコの知見やノウハウは非常に重要なものでし を実現する仕組みだ。導入により、従来比で習熟期間 50%減、指 た。また、自社製品だけにこだわることなく、他社の製品なども含 導時間 90%減などを実現できているという。 めて、最適なネットワークやセキュリティの在り方を提案いただけた  村井氏は「今回得られたノウハウはさらに他の工場にも展開して ことにも安心感がありました。工場のネットワーク機器は安くてよ いきます。2028年にはEV用全固体電池を生産する計画ですが、そ いと考えていましたが、稼働させ続けられる信頼性が重要になる のパイロットラインを 2024年に横浜工場に立ち上げます。その生 中、費用対効果についての考え方も変わってきました」と村井氏は 産ラインでどのような技術や仕組みを適用させていくのかを現在試 述べている。 行錯誤しているところです」と今後の取り組みについて語っている。  これらの安定したセキュアなネットワーク環境を土台とし、e-パ  製造現場のDXは、導入が広がっているとはいえ、まだまだ試行 ワートレイン組み立てラインでは、さまざまな IoT、デジタル技術 錯誤が必要となり、製造業にとって未知のケースもまだまだ多いの 活用を実施している。生産ラインの立ち上げ時期はちょうどコロナ が現状だ。さらに、これらの新たな技術は、ネットワークやセキュ 禍で移動規制が厳しかった時期と重なっており、リモートでのサプ リティが前提となっているが、工場では十分なインフラが整備され ライヤーサポートや、県外から工場への遠隔支援などが求められる ているとはいえない。こうした中で製造現場のDX推進に悩む企業 時期だったが、ネットワーク環境が安定していたために問題なく立 にとっては、グローバルで豊富なDXの実績を持ち、ネットワーク ち上げられたという。 やセキュリティの専門企業であるシスコは、良いパートナーとなって くれることだろう。 ●お問い合わせ シスコシステムズ合同会社 〒 107-6227 東京都港区赤坂 9-7-1 ミッドタウン・タワー www.cisco.com/jp シスココンタクトセンター 0120-092-255(平日 10:00-12:00、13:00-17:00) ※この冊子は、MONOist(https://monoist.itmedia.co.jp/)に 2022年 11月に掲載されたコンテンツを再構成したものです。 https://monoist.itmedia.co.jp/mn/articles/2211/16/news001.html copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.