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EtherNet/IP -IIoT関連技術白書

ホワイトペーパー

~EtherNet/IP並びにCIPと繋がるIIoTの周辺技術 や規格の概要と関係性の理解を深める~ <<2020年度 第1版>>

本白書はIT(情報技術)とOT(Operational Technology 運用技術)システムの統
合が進む昨今のFA・PA業界において、システム統合のグランドデザインを描く
上で必要な、Ethernet/IP並びにCIPと繋がるIIoTの主要技術や規格の概要と関係性
の理解を深めるため、以下の3つを目的とし、3部構成の資料として作成されて
います。
1.IIoT全体システムの理解を深める手助け(本編)
本編は、製造業が抱える課題とIIoT導入のメリットおよびIIoTを導入するた
めのネットワーク設計の基礎を解説しています。
2.グランドデザインを描くためのガイド(技術資料編)
技術資料編では、ユーザが実際にIIoTシステムを構築するうえで理解してお
いた方が良い技術を解説しています。これらの技術を理解し使いこなすこと
で、有益なIIoTシステムを構築できると思います。
なお、本技術資料は、作成された時点での技術解説であり、また、概要しか
記述していません。詳細は、各規格や専門書等をあたっていただきますよう
にお願いします。
3.具体的な製品やソリューションの紹介(ケーススタディ編)
ケーススタディ編では、各ベンダが実際に構築したシステムをモデル化して、
解説しています。これらのケーススタディを学ぶことで、実際の現場・ビジ
ネスに役立つ知識や知見を得られると思います。
なお、各ケーススタディは個別企業の事例を皆様にお役に立てるように汎用
化して記述しているため、実際に適用されている事例とは異なる場合がある
ことをご了承ください。

このカタログについて

ドキュメント名 EtherNet/IP -IIoT関連技術白書
ドキュメント種別 ホワイトペーパー
ファイルサイズ 13.1Mb
取り扱い企業 シスコシステムズ合同会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧)

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シスコシステムズ合同会社

このカタログの内容

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EtherNet/IP -IIoT関連技術白書 ~EtherNet/IP並びにCIPと繋がるIIoTの周辺技術 や規格の概要と関係性の理解を深める~ <<2020年度 第1版>>

EtherNet/IP -IIoT関連技術白書 ~EtherNet/IP並びにCIPと繋がるIIoTの周辺技術 や規格の概要と関係性の理解を深める~ <<2020年度第1版>> 発行年月 2020年10月 発行者 ODVA TAG Japan E-mail:ODVA-TAG.Japan@odva.org 「EtherNet/IP IIoT技術白書」 page 1 © 2020 ODVA, Inc. All rights reserved.
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スライド番号 2

Industrial 工場における Internet モノのインターネット Of とは何か? Things いかにして実現できるのか? 本白書はIT(情報技術)とOT(Operational Technology 運用技術)システムの統 合が進む昨今のFA・PA業界において、システム統合のグランドデザインを描く 上で必要な、Ethernet/IP並びにCIPと繋がるIIoTの主要技術や規格の概要と関係性 の理解を深めるため、以下の3つを目的とし、3部構成の資料として作成されて います。 1.IIoT全体システムの理解を深める手助け(本編) 本編は、製造業が抱える課題とIIoT導入のメリットおよびIIoTを導入するた めのネットワーク設計の基礎を解説しています。 2.グランドデザインを描くためのガイド(技術資料編) 技術資料編では、ユーザが実際にIIoTシステムを構築するうえで理解してお いた方が良い技術を解説しています。これらの技術を理解し使いこなすこと で、有益なIIoTシステムを構築できると思います。 なお、本技術資料は、作成された時点での技術解説であり、また、概要しか 記述していません。詳細は、各規格や専門書等をあたっていただきますよう にお願いします。 3.具体的な製品やソリューションの紹介(ケーススタディ編) ケーススタディ編では、各ベンダが実際に構築したシステムをモデル化して、 解説しています。これらのケーススタディを学ぶことで、実際の現場・ビジ ネスに役立つ知識や知見を得られると思います。 なお、各ケーススタディは個別企業の事例を皆様にお役に立てるように汎用 化して記述しているため、実際に適用されている事例とは異なる場合がある ことをご了承ください。 一般的には、本編を先に読んでいただき、製造業の課題やIIoT導入のメリット を理解いただいてから個別の技術詳細や実際のケーススタディを読んでいただけ れば、より一層理解が深まると思います。 「EtherNet/IP IIoT技術白書」 page 2 © 2020 ODVA, Inc. All rights reserved.
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スライド番号 3

目次 <本編> 1. ソサエティ 5.0 2. IIoT が製造業に与えるインパクト 3. 製造現場で増加している課題 4. IIoT 導入後の姿(メリット) 5. IIoT のための工場ネットワーク基礎知識 <技術資料編> 5-1. EtherNet/IPのメリット 5-2. TSN 5-3. Wireless 5-4. IO-Link 5-5. OPC-UA/MQTT 5-6. Edge Computing 5-7. 工場での5G適用のメリット 5-8. デジタルトランスフォーメーション(DX) 5-9. AI/分析 5-10. 予兆診断/予防保全 5-11. 見える化/見せる化 5-12. セキュリティ <ケーススタディ編> 6-1. ヒルシャー・ジャパン株式会社 6-2. シスコシステムズ合同会社 6-3. ルネサスエレクトロニクス株式会社 6-4. ワゴジャパン株式会社 6-5. パンドウイットコーポレーション日本支社 6-6. フォーティネットジャパン株式会社 6-7. テキサス・インスツルメンツ株式会社 6-8. ターク・ジャパン株式会社 6-9. 昭和電線ケーブルシステム株式会社 6-10. HMSインダストリアルネットワークス株式会社 6-11.シュナイダーエレクトリックホールディングス株式会社 「EtherNet/IP IIoT技術白書」 page 3 © 2020 ODVA, Inc. All rights reserved.
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スライド番号 4

1 Society5.0 Society 5.0 日本では、 IoT(Internet of Things)によって全ての人とモノがつながることによって、分 野横断的な連携によって新たな価値を生み出すことができる社会の実現を「Society5.0(超 スマート社会 )」のキーワードで進めることを内閣府が科学技術政策として掲げています。 Society 5.0とは、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間 (現実空間)を高度に融合さ せたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会 (Society) です。 第5期科学技術基本計画の日本が目指すべき社会の姿として、狩猟社会 (Society 1.0)、農 耕社会 (Society 2.0)、工業社会 (Society 3.0)、情報社会 (Society 4.0)に続く、新たな社会を 指すものとして提唱されました。 情報社会 (Society4.0)では、サイバー空間のクラウドサービス(データベース)にイン ターネット経由でアクセスして、情報やデータの入手、分析する事で価値が生まれていまし た。Society 5.0では、フィジカル空間のセンサーからの膨大な情報がサイバー空間に集積 され、このビッグデータを人工知能(AI)が解析し、その解析結果がフィジカル空間の人間 に様々な形でフィードバックされることで、今までとは異なる新たな価値が産業や社会にも たらされることになります。また、これまで人間が行っていた作業や調整をAIやロボットが 代行・支援することで、煩雑な作業から解放され、人が快適で活気に満ちた質の高い生活を 送ることができる人間が中心となる社会を実現し、国連の「持続可能な開発目標 (Sustainable Development Goals : SDGs)」の達成にも通じています。 Society5.0 は、交通、医療・介護、ものづくり、農業、食品、防災、エネルギーの各分 野での課題、施策の目標が掲げられて戦略的な取り組みが進められています。 社 会 の Society1.0 Society2.0 Society3.0 Society4.0 Society5.0 変 狩猟社会 農耕社会 工業社会 情報社会 超スマート社会 化 新たな Connected Industries 社会を形成人間中心 課題解決型 産 • 様々なつながりによる新たな付加価値創出 業 • 従来、独立・対立関係にあったものが融合し、変化 の 在 ⇒ 新たなビジネスモデルが誕生 り 方 個々の産業ごとに発展 もの×もの 人間×機械・システム の 変 企業×企業 人間×人間 (知識や技術の継承) 化 生産×消費 日本の現場力×デジタル 多様な協働 技 術 の 第1次産業革命 第2次産業革命 第3次産業革命 第4次産業革命 変 動力取得 動力革新 自動化進展 自律的最適化 化 (蒸気機関) (電機・モーター) (コンピュータ) (大量情報を基にした人工知能による行動の最適化) 出展:経済産業省「新産業構造ビジョン」 「EtherNet/IP IIoT技術白書」 page 4 © 2020 ODVA, Inc. All rights reserved.
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スライド番号 5

1 Society5.0 Society5.0 「ものづくり」での新たな価値 ものづくりに於いては、Society 5.0では社会全体としての産業競争力強化、災害時の対 応、人手不足解消、多様なニーズへの対応、温室効果ガス排出削減、経費削減、顧客満足度 向上、消費活性化などの課題解決を目指しています。 AIを使って顧客や消費者の需要、各サプライヤーの在庫情報、配送情報といった様々な情 報を解析することにより、「これまで取引のない他分野や系列のサプライヤーを連携させ、 ニーズに対応したフレキシブルな生産計画・在庫管理をすること」「AIやロボット活用、工 場間連携による生産の効率化、省人化、熟練技術の継承(匠の技のモデル化)、多品種少量 生産」「異業種協調配送やトラックの隊列走行などによる物流の効率化を図ること 」「顧 客や消費者においてもニーズに合った安価な品物を納期遅れなく入手できる」といったこと が可能になります。 ものづくりの現場は、このバリューチェーンの中で重要な情報を握っており、生産に関す る情報が上流、下流へ大きな影響を与えることになります。 IoT技術を使ったリアルタイム でシームレスな情報の流れを支えることが可能な、ものづくり現場への変革が求められてい ます。 「EtherNet/IP IIoT技術白書」 page 5 © 2020 ODVA, Inc. All rights reserved.
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スライド番号 6

2 IIoT が製造業に与えるインパクト IIoTがもたらす変化と製造部門の期待 モノのインターネット(Internet of Things: IoT)では、あらゆるものに埋め込まれたテ クノロジーによって情報を収集し、伝送、活用することができるようになります。製造部 門においては、IoTに対してダウンタイムや不具合の削減など、より生産現場が直面する 課題に対する期待が高いことが調査からうかがうことができます。イーサネットとスマー トデバイスが現場で普及し、OT(オペレーショナル テクノロジー)とITの統合が急速に 進み、情報の流通化が進むと、新たな視点で事業全体を見通し、新たな機会を得ることが 可能になります。 内部の評価基準  主要な指標をリアルタイムで監視し共有することで、従業員が問題を特定し、 事態が悪化する前や問題が発生する前に解決できるようになります。 外部の事業活動  生産スケジュールの見直し、人員配置や資材調達の変更などの情報や、サプラ イヤのパフォーマンスデータ(納品の遅れ、在庫切れなど)を組み入れること ができます。 市場の変化  サプライチェーンや購買担当者がベンダーとより深く連携できるようになり、 リードタイムや品質の管理、コスト管理などをより高度に行うことができます。 「EtherNet/IP IIoT技術白書」 page 6 © 2020 ODVA, Inc. All rights reserved.
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スライド番号 7

既存設備の課題と期待 現在あるほとんどの工場インフラは、IoTの活用を前提として作られたものではありま せん。2013年の次世代製造業調査によれば、最新の事業システムと設備が整い、次世代に 会社を引き継ぐための主要戦略に長期的に対応できると回答した企業は、驚くほど少数に とどまっています(図を参照)。 これが示しているのは、製造メーカにとって、設備やシステムを現代の情報化社会に適 合させることは、明らかなビジネスチャンスであるということです。また既に、最新のOT とITを導入することで、収益性改善、競争優位性の強化を実現している企業も現れていま す。 ネットワーク統合のリスクとITとOT(オペレーショナル テクノロジー)にもとめられること 企業ネットワークに対する攻撃は、いつ起こるか分かりません。スマートフォンやタブ レットを使って製造を監視している場合、そうした携帯型の端末が侵入経路となり、内部 からの意図的な攻撃や不注意による攻撃に加え、認可されたリモートアクセスや不正なリ モートアクセスを通じて外部からの攻撃が生じる恐れもあります。不正アクセスの場合、 攻撃者の狙いは、データまたは情報の入手や、製造を完全に止めることなどが考えられま す。さらに悪質な攻撃により、安全や公益が危険にさらされるような損害が工場に及ぶ恐 れもあります。また古いシステムを最新のOTに接続したり、最新のシステムを古いOTに 接続したりする場合も、大きなリスクが生じます。たとえば不適切な製品仕様、品質の低 下、機器やラインの停止といった問題につながるケースが考えられます。 このようなリスクを防ぐためには、セキュリティポリシーによって、企業から最終ユー ザーまでをカバーする必要があります。こうした領域は従来あまり考慮されていなかった 分野であるため、ITとOTが連携し、事業のニーズに即した対応をすることが求められます。 「EtherNet/IP IIoT技術白書」 page 7 © 2020 ODVA, Inc. All rights reserved.
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スライド番号 8

3製造現場で増加している課題 近い将来の問題として深刻な「人手不足」が挙げられます。若年人口の減少、製造業への 就業人口の減少により製造業務に対する人的リソースが十分に確保できない状況が既に出始 めています。加えて経験豊富なベテラン世代の引退が省人化への対応を余儀なくされており、 製造業の情報化はまさに“待ったなし”の状況に追い込まれています。 このような状況下において工場の省人化・情報化はどのくらい進んでいるでしょうか? データ収集という面においては既に多くの企業で実現していますが、データ活用とデータ統 合の面においては十分とは言えない状況です。 今後は活用方法を含め、どのように「見せる化」が重要になります。 まずは会社全体としてデータ活用の設計図を作成した後、部門毎に分断されているデータを 統合する仕組みを作っていく事が肝要となります。 例えば、ある業界では、ラインが1分間停止するだけで5億円の損失が発生するといわれてい ます。オートメーション化が進み、プロセスが複雑化している現在、小さなトラブルが大き な損失へとつながります。ラインが停止した原因を分析するために必要なデータを即座に揃 えられるきちんとした定義と、AIを活用した分析システムの利用も視野に入れた柔軟なシス テム構築が必要です。 そして情報統合に際し必須となるのがセキュリティ対策です。IIoTによって圧倒的につな がる場所・ものが増えることで、自社データが危険にさらされるリスクも増大します。この リスクは製造システムについても同様です。不用意にデバイスをネットワークへ接続させな い事はもとより、悪意のあるデバイスが接続された場合の多層に渡る検知・防御方策をネッ トワークシステム設計段階において十分に考慮し、セキュリティ対策の見直しは定期的に実 施される必要があります。 また、共通のセキュリティポリシーが反映させやすい制御ネットワークの選択は、会社全体 としてIIoTのメリットを享受する上で重要なポイントとなります。 「EtherNet/IP IIoT技術白書」 page 8 © 2020 ODVA, Inc. All rights reserved.
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スライド番号 9

4 IIoT導入後の姿(メリット) それではIIoT はどんなメリットを我々にもたらしてくれるのでしょうか? まず、情報・データの流通が進み、収集・分析がリアルタイムで実施され、適切なタイミ ングで適切な人に情報の共有がされるようになります。たとえば、設備の稼働状況がリアル タイムに把握でき、不具合にいち早く対応できるだけでなく、蓄積されたデータを分析する ことで、トラブルを未然に防ぐことも可能になります。これにより、生産ラインのダウンタ イム削減を実現することができます。 さらに、社内外のオペレーションや生産プロセスがつながれば、マーケティング・企画か ら購買・製造・出荷・配送・納品までのプロセスで情報が共有され、データの活用度が飛躍 的に拡大、全体のプロセスを最適化し、コスト削減や売上増につなげることができます。 そしてこれを支えるネットワークインフラ自体も、IIoTで効率的に運用することができま す。バラバラに構築された複数のネットワークやシステムを、1つのプラットフォーム上で 管理運用することで、コストの削減と、メンテナンス効率を向上することができます。例え ば、サーバやストレージなどのインフラを共通化することで、より効率的な運用が可能とな ります。 また、IPカメラやモバイルデバイスの活用により、どこにいつ誰がいるか、危険物は放置 されていないかなど、人やモノのトラッキングも可能となり、物理的なセキュリティも高度 に実現されます。さらに統合されたネットワーク運用により、個別ニーズに合ったセキュリ ティ環境が構築され、セキュアなネットワークで安心・安全に社内外のデータの流通化を実 現できます。 IIoT は効率的で、かつセキュアなオペレーションを実現できるのです。 「EtherNet/IP IIoT技術白書」 page 9 © 2020 ODVA, Inc. All rights reserved.
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5 IIoTのための工場ネットワーク基礎知識 FAネットワークは従来フィールドバスと呼ばれる、制御コントローラや製造装置に特化 した制御プロトコルに依存した独自のシリアル通信ネットワークが主流でした。フィールド バスは特定デバイスの制御や通信用に設計されるため、何種類ものフィールドバスが同じ工 場内に存在し、ネットワークがサイロ(閉回路)化してしまうというデメリットがあります。 このサイロ化解消と情報システムとの親和性を高めるために、各フィールドバス標準化団 体はフィールドバスを置き換えるイーサネットベースの産業用イーサネットプロトコルをリ リースしています(下図参照)。 フィールドバスを産業用イーサネットに置き換えていくことで、PCやサーバ、ネット ワークスイッチといったIT機器で既にオフィスでは広く普及した安価なイーサネットインフ ラを使った通信が可能になり、データ収集や管理、生産計画・実行のシステム構築、運用が 容易になります。 産業用イーサネットにも複数の種類(プロトコル)が依然として存在しており、異なるプ ロトコルのデバイス同士は相互通信ができず、イーサネットゲートウエイ(プロトコル変換 装置)やミドルウエアを経由した通信が必要です。 「EtherNet/IP IIoT技術白書」 page 10 © 2020 ODVA, Inc. All rights reserved.
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理想的なIoTネットワーク設計-CPwE プラントワイドネットワーク 既存の工場内イーサネットは概ね、各工程内や装置内のデータを収集、管理するための サイロ化されたローカルエリアネットワークであり、異なる工程を接続したり、装置(コ ントローラ)間をまたぐネットワーク通信はあまり想定されておらず、きちんとしたネッ トワークインフラや管理体制が整っていません。 昨今のIoT機運の高まりにより、膨大な数のフィールドデバイスをネットワークに接続す るための信頼性の高いセキュアなネットワークが必要とされていますが、既存のネット ワーク設計が脆弱で管理面が不十分であるため、かえってネットワーク遅延や通信断、情 報セキュリティの悪化などのトラブル発生が増えているのが実情です。 これからのIoT時代に求められるスマートファクトリへの変革には工場ネットワークの強 化、再設計が必須であり、そのための設計指針(リファレンスアーキテクチャ)が Converged Plant-wide Ethernet(CPwE)です。 「EtherNet/IP IIoT技術白書」 page 11 © 2020 ODVA, Inc. All rights reserved.
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スライド番号 12

フィールドデバイスの接続 従来のフィールドバスネットワークはPLCを基点としたネットワークでしたが、IoT時代 のイーサネットベースの産業用フィールドネットワークではイーサネットスイッチを基点 としたネットワークへ大きくトポロジー(設計)の考え方を変えていく必要があります。 CIP Safety & Motion 構築事例 セーフティ(安全)やモーションコント ロールといった非常に信頼性や応答性の高さ を求められるアプリケーションではこれまで 専用フィールドバスが主流でした。これを イーサネットベースのフィールドバスに置き 換えることで、装置やセルの配線コストを低 減でき、製造ラインのスタートアップ時間を 短縮できます。また上位システムとの接続性 や管理のしやすさが向上するため、大きく普 及が進んでいます。 CIP Safetyでは、機能安全規格IEC 61508 のSIL3(Safety Integrity Level 3)および ISO 13849-1に対応した最高レベルの安全基準に対応しています。 CIP Motionでは高精度多軸同期分散制御を実現しており、標準イーサネット上において 1ms周期で100 軸の同期制御が可能になっています。 「EtherNet/IP IIoT技術白書」 page 12 © 2020 ODVA, Inc. All rights reserved.
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スライド番号 13

EtherNet/IP~IO-Linkの接続 ネットワーク最下層のセンサやア クチュエータ接続にもIO-Linkに代表 されるデジタル化が急速に進んでい ます。IO-Linkは国際標準 化(IEC 61131-9)されており、フィールドバ スに依存しない、汎用的に使用でき るフィールドインタフェースです。 IO-Linkの特徴  IO-Linkマスターとデバイス間の1 対1 通信  従来のセンサ、アクチュエータがそのま ま使える  耐ノイズ性が高く、センサ識別や断線検 知、取付交換設定が容易 EtherNet/IPとは CIP(Common Industrial Protocol)制御用通信プロトコルを標準イーサネット上の アプリケーション層で実行する、オープンでグローバルな産業用イーサネットです。 EtherNet/IPの特徴  標準イーサネットを使用しているので、イーサネット技術の進歩に追従するこ とが容易です。(例:IPV6、 ギガビットイーサネット、PoE、等)  イーサネット技術をフィールドネットワークと融合させることで新たな情報化 ソリューションを提供します。  プロデューサ/コンシューマモデルに基づきUDPを使用してリアルタイムマル チキャスト通信を行います。  UDPではサポートしていない到達確認をCIPアプリケーションでサポートする ことで、制御通信に高い信頼性とリアルタイム性を提供します。  制御機器レベルのリングネットワーク「DLR」(Device Level Ring)はネット ワーク障害時に高速な経路切替(5ms以内)による高い信頼性を提供します。  EtherNet/IPは、国際標準規格であるIECやSEMI業界での標準に対応しています。  IEC 61158  IEC 61784  SEMI E54.13-1011  ISO 15745  GB/Z 26157.1-2010 「EtherNet/IP IIoT技術白書」 page 13 © 2020 ODVA, Inc. All rights reserved.
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5-1 EtherNet/IPの長所 IEEE802.3 標準イーサネット上に制御通信プロトコルを実装した IIoTに最適な産業ネットワーク EtherNet/IP™は標準イーサネットテクノロジー(TCP/IPスイートと組み合わせた IEEE 802.3)を使用したインターネットや企業間接続ネットワーク・アプリケーションに制限を 与える事無く使用できる、 完全に標準イーサネット上のアプリケーション層に実装された 産業用ネットワークです。 現在 I IoT(Industr ial Internet of Things)は次世代の製造システム構築にあたり非常に重 要なキーワードとなっています。ネットワーク上で使用されている他のアプリケーションに 影響を与えない事は情報統合の観点から非常に重要です。 制御ネットワークがインターネットプロトコルをサポートする事はこれからの必須条件で あるだけではなく、いかに容易に ITシステムと融合できるかが選択のポイントとなります。 4つの異なるネットワーク共通のプロトコルです 左記はOSI参照モデルをベースにし たODVAがサポートしている4つの ネットワークの階層図です。全てアプ リケーション層にCIP(Common アプリケーション層 プレゼンテーション層 Industr ial Protocol)を実装していま セッション層 す。これら4つのネットワークは同じ CIPを使用しているため、ネットワー クの種類は違ってもシームレスな相互 通信ができるよう作られています。 トランスポート層 ネットワーク層 EtherNet/IPは様々なネットワーク トポロジをサポートします。スター、 データリンク層 リニア、リング接続、10/100MB、 物理層 1GBの通信速度、通信媒体も銅ケーブ ル、光ケーブル及び無線が使用できる ので設備の要求仕様に合わせた最適な 選択が可能です。 EtherNet/IPのマーケットシェア 2018年に初めて産業イーサネット機器の出荷が フィールドバス機器を上回って以来、さらに製造 業でのイーサネット化が加速されています。 その中でEtherNet/IPのシェアも年々増加(昨年 の15%→17%)している事は I IoTへの対応のし易 さと機能・性能が幅広い製造業に受け入れられた 結果です。 2020年5月 https://www.hms-networks.com/ja/news-and-insights/news-from- HMS社資料 hms/2020/05/29/industrial-network-market-shares-2020-according- to-hms-networks 「EtherNet/IP IIoT技術白書」 page 14 © 2020 ODVA, Inc. All rights reserved.
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5-1 EtherNet/IPの長所 EtherNet/IPの特徴的な機能 1. CIP Safety™ • 標準イーサネット上で安全通信を行う。CIP Safety通信はエンドトゥエンドで行うの で、イーサネット上に他の通信が混在していても安全通信が可能です。 2. QuickConnect™ • ロボットのツールチェンジャーなどで要求される電源断からの復帰時間を最小限に抑える技術 3. CIP Sync™ • IEEE1588をベースにEIPデバイスに高精度時刻同期サービスを提供する技術 4. CIP Motion™ • EtherNet/IP上で高精度多軸同期制御を行う技術 5. DLR(Device Level Ring) • 経路切替に要する時間が非常に高速な信頼性の高いリングトポロジを提供する技術 EtherNet/IPの今後 1. OPC UAとの融合 • I IOT及びリアルタイムオートメーションアプリケーションのユースケースの技術要 件を分析し、CIPとOPC UAを組み合わせたサービスの付加価値をつけたデバイスに 関して評価するための特別委員会を結成し、この調査を完了。新しいSIG(Special Interest Group)の設立を承認しました。 このSIGは、OTシステムと ITシステム間 の情報交換と組み合わせて、産業オートメーションの要件に対応するセンサ、アク チュエータ、コントローラ、ソフトウェア、およびクラウドのための、オープンで 統一された標準ベースの新しいフルスタックの I IoT通信ソリューションを定義しま す。 2. TSN(Time Sensitive Network)の対応 • イーサネット標準サービスとしてOSI参照モデル第2層に実装される技術をEtherNet/IPが利 用する事で、大幅な性能向上が見込まれます。全くの標準イーサネット上に実装された EtherNet/IPは最もTSNを利用しやすい産業ネットワークです。(EtherNet/IP on TSN) ODVAに参画しているメジャーメンバーが既にSIGに参加しています。 「EtherNet/IP IIoT技術白書」 page 15 © 2020 ODVA, Inc. All rights reserved.
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5-2 TSN (Time Sensitive Networking) TSN (Time-Sensitive Networking)とは? TSNは、標準イーサネットをベースにし、ネットワークが、より決定性 (Deterministic) のある挙動 をするよう設計された、IEEE(米国電気電子学会)のイーサネットの拡張規格です。車や生産ライン などで使用される制御系では、ネットワークを経由する制御データのレイテンシとジッタがとても重 要になり、遅延発生の頻度が少なくても許容できません。このようなシステムでは、短いサイクルタ イムで高精度にクロックを配信する、決定性のあるリアルタイム・イーサネットが必要になります。 TSNの拡張機能 TSNは、LAN(ローカル・エリア・ネットワーク)レベルのソリューションであり、非TSNイーサ ネットと一緒に動作することもできますが、適時性はTSN LANの内部でしか保証されません。TSNは 大まかに12のIEEE 802規格からなり、相互運用性など、IEEE 802イーサネットの長所を損なうことな く、決定性とQoSに対処することを目指しています。しかし、802.1AS-Revision(Rev) のように、まだ 承認されていない個々の規格があり、普及した他の規格と同様に、TSN規格の技術的内容は進化を続 けています。 図1に示すように、TSN機能を含むIEEE 802イーサネットは、レイヤ2、つまりデータリンク層のテ クノロジーです。アプリケーションでは、TSN上にUDP/IPなどの上位レイヤ・プロトコルが必要にな ります。 産業オートメーション 産業オートメーション 産業オートメーション プロトコル A プロトコル B プロトコル C レイヤー 5 - 7 ペイロード ペイロード ペイロード レイヤー 4 トランスポート層 TCP ヘッダ UDP ヘッダ レイヤー 3 ネットワーク層 IP ヘッダ IP ヘッダ IP カプセル化 IP カプセル化 レイヤー 2 データリンク層 IEEE 802.1 標準TSN メカニズム IEEE 802.1 標準MAC レイヤー 1 物理層 IEEE 802.3 標準 PHY イーサネット 図1 : IEEE TSN および通信スタック パケット転送に決定性を要求するネットワークでは、全デバイスに時刻の共通認識が必要です。 802.1AS-Revision規格では、1つまたは複数のクロック・マスタが全デバイスに対し、イーサネッ ト・パケット上で時刻を配信し、時間的制約のあるアプリケーション用の時刻情報と同期をおこない ます。 「EtherNet/IP IIoT技術白書」 page 16 © 2020 ODVA, Inc. All rights reserved.
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スライド番号 17

5-2 TSN (Time Sensitive Networking) ストア・アンド・フォワード型イーサネットの場合、回線上で1つのパケットの送信が始まると、 そのパケットの終端が届けられるまで、他のパケットを回線からブロックします。ヘッド・オブ・ ラインのブロック問題を軽減するため、IEEEでは、フレーム割り込み(Frame Preemption : 802. 1Qbu)と関連物理層規格であるインタースパーシング・エクスプレス・トラフィック(802.3br) を定めました。サイクリック・キューイングと転送 (802.1Qch) により、全ストリームに対して完全 に決定性のある遅延が定義されます。 通常、イーサネット・ネットワークは、欠落したイーサネット・フレームを回復するTCP (Transmission Control Protocol) 再送や、ネットワーク経由の新たな経路を構築するSTP (Spanning Tree Protocol) などの上位レベルのプロトコルに依存しており、いずれも、フレームを配信するため に、確定できない長さの時間を犠牲にしています。 TSNは、冗長性を用いて、ケーブル切断、スイッチ故障などの単一障害点があった場合でもレイ テンシを保証します。複数経路があるLANトポロジ内部で、フレーム配信を予防的に保証するため、 信頼性のためのフレーム複製と削除 (802.1CB) では、送信者がフレームを選択的に複製し、宛先で 複製を廃棄することにより、冗長性を確保します。 産業用イーサネットへのTSNのインパクト TSNは、かつては専用の産業用フィールド・バス(産業用イーサネットとも呼ばれる)でしか利 用できなかったリアルタイム機能を標準IEEEイーサネットに追加します。しかし、イーサネット上 で使用されるプロトコルを不要にしたリ、置き換えるものではありません。 EtherNet/IP™やPROFINET®などの産業用イーサネット・プロトコルは、IEEEイーサネットのラー ニング・ブリッジを基本のスイッチング・テクノロジーとして既に想定しています。このようなプ ロトコルでは、産業用イーサネットでTSN標準ハードウェアを使用するために、TAS拡張※ とフ レーム割り込みに対応できるようになっています。EtherNet/IPはデータ交換にUDPパケットを使用 しますが、PROFINETはコンシューマ/プロバイダのデータ用にレイヤ2バッファ・モデルを直接サ ポートします。PROFINETとEtherNet/IPはともにTSNスイッチング・レイヤとの互換性があり、リア ルタイム強化によるメリットがあります。 冗長性プロトコルのIEEE規格化はまだ完了しておらず、802.1CBが、EtherNet/IPのDLR(Device Level Ring)やPROFINETのMRP(Media Redundancy Protocol)といった冗長性プロトコルの代わりと なるかどうかは、現時点ではわかりません。 ※TAS(Time Aware Shaper)拡張 (802.1Qbv)は、スイッチがリアルタイム・トラフィックのサイクル・タイムを認識で きるようにします。 関連リソース 産業オートメーション用TSN www.tij.co.jp/jp/lit/jajy078a TI.comのインダストリー4.0ページ http://www.tij.co.jp/ja-jp/applications/industrial/industry-4-0.html 「EtherNet/IP IIoT技術白書」 page 17 © 2020 ODVA, Inc. All rights reserved.
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5-3 Wireless 無線LANの規格 無線LANの規格化は最初にIEEE 802.11が1997年に標準化されました。その後に標準化作業が完了し た802.11bで一気に利用されるようになり現在に至ります。802.11bリリース当初はパソコンに拡張 カードを挿して使用する形態だったためなかなか普及しませんでしたが、パソコン自体に無線機能 を統合したモデルが出たことで普及に拍車がかかりました。また無線LANで使用される周波数帯域 には2種類あり、2.4GHz帯と5GHz帯になります。2.4GHz帯は様々な機器で使われており、そのため に使用にあたっては電波干渉に注意する必要があります。5GHz帯は電波干渉が起こり難いのです が障害物に弱いという特徴があります。 無線LANで対応している規格は種々存在しますが、2.4GHz帯では主に802.11b/g/nが、5GHz帯では 802.11a/n/acが主に使われております。現状2.4GHz帯では802.11nが、5GHz帯では802.11acが最大 速度を出せる規格で、規格上の最大値はそれぞれ600Mbps、6.9Gbpsとなります。また今後はさら に高速な9.6Gbpsに対応した802.11axもリリースされる予定です。 無線LANの速度向上に関する機能追加はチャネルボンディングと変調方式の変更によって主に行わ れております。なおチャネルボンディングは無線で利用するチャネルを複数同時に使用する技術で、 802.11nでは40MHz幅を使用しておりましたが802.11acではwave1(規格のリリース番号)で80MHz、 wave2で160MHzに拡大しました。これにより802.11n時の40MHzに比べ2.17倍(wave1)のスルー プット向上を図りました。変調方式に関しては802.11nでは64QAMで行っていたところを256QAM を採用しております。 ただしそれぞれ懸念点もあり、チャネルボンディングでは80MHz幅を使おうとするとその分のチャ ネルのバッティングやDFS(Dynamic Frequency Selection: 動的周波数選択)が発生し速度低下を引き 起こしたり、256QAMで通信できる範囲がわずか7%と言う制限があります。 それぞれ回避するための機能をメーカー毎に実装しているため、導入にあたっては最大パフォーマ ンスを発揮できる機能の有無の確認も重要になります。 「EtherNet/IP IIoT技術白書」 page 18 © 2020 ODVA, Inc. All rights reserved.
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5-3 Wireless 産業用無線アクセスポイントに求められる認定規格 家庭やオフィス内で使用される無線アクセスポイントと異なり、産業向けには下図の様々な規格 に対応する必要があります。規格に関しては業界固有の物もありますが、例としては耐振動性や耐 震、耐衝撃を規定した基本的環境試験規格のIEC 60068、電磁適合性を規定したEN 61000-4イミュ ニティ試験等が挙げられます。業界固有規格としては、工業環境で使用される機器に対するEMC規 格のEN 61000-6-2や鉄道系のEN 61373やEN 50121が挙げられます。 またハードウェア特性として、ヒートシンクが内蔵されたアルミダイキャスト筐体が望ましく、 -50℃〜75℃程度 の耐久性、IP67対応の防塵、防水性、M12コネクタへの対応が求められます。設 置場所によっては防爆対応が必須となります。 環境性能 • 低温 • 振動 • 静電放電 • 乾熱 • 衝撃 • 放射電磁波 • 温度変化 • 自然落下 • 電気的高速過渡 • 温湿度 • 耐震 • サージ 業界規格 • 鉄道 • 工業 • 計測、制御、試験用機器の EMC • 難燃性 • 軽工業 • プログラマブル コントローラ 工場内無線LAN導入時の注意点 工場内への無線LAN導入にあたっては、オフィス内への導入と同様に電波環境設計を事前に実施 する必要があります。その際に工場においては現地の電波状況等を実際に調査する、サイトサーベ イが非常に重要となります。オフィス内のように見通しが良いとは限らず、また思わぬ電波を出し ている機器も存在する可能性があるためです。無線アクセスポイント設置場所の調査も大切で、天 井裏のような電波環境の劣悪な場所に設置した場合は、以下のような問題が発生する可能性があり ます。 • 電波強度が安定せず無線クライアントが移動しなくても頻繁にローミングしてしまいます。 利用されるアプリケーションやサービスが中断したりする事も考えられます。 • 電波が安定しないことによって送信データレートが変動したり大量のパケットが再送されたり します。 また設置場所に関わらずこれらの問題が発生した場合に対応するためには、電波の状況を管理す るための機能が必須となります。例えば電波出力を調整し干渉を回避させたり、無線のカバレッジ ホールを検出して最小限にするように電波出力を調整したり、無線アクセスポイント間のチャネル を動的に決定して干渉を抑制したりといった機能が有効です。 他には今後のIoT化を考慮すると工場内に数百から数千のIoT機器が接続される可能性があります。 これらの大量のIoT機器(無線クライアント)を効率良く無線アクセスポイントに収容するためには、 高密度環境下での無線アクセスポイント設計が必要になると思われます。例えば無線アクセスポイ ントから出す電波範囲を狭めてカバレッジエリアを細かく決めていくといったテクニックが有用に なります。 「EtherNet/IP IIoT技術白書」 page 19 © 2020 ODVA, Inc. All rights reserved.
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5-4 IO-Link IO-Linkとは? IO-Linkは、生産システムの末端に位置するセンサやアクチュエータなどのI/O機器用シリアル通信プ ロトコルです。IO-Linkに対応したI/O機器はIO-Linkデバイスと呼ばれ、IO-Linkマスタ機能を持ったリ モートI/OまたはPLCに連結するI/OカードのIO-Linkマスタポート(チャンネル)に接続し、1対1の双方 向シリアル通信を確立します。この双方向通信では、IO-LinkデバイスのI/O制御の他に、IO-Linkデバイ スのパラメータコンフィグレーションや診断情報の確認が可能。今まで出力ポイントや測定範囲などパ ラメータ設定できるセンサは、センサに搭載されているボタン操作や専用ツールを使用して直接コン フィグレーションを行う必要がありましたが、IO-Link対応センサやアクチュエータの場合、PLCやIO- Linkマスタのエンジニアリングツール上で、IO-Link通信を使用してコンフィグレーションやパラメータ の管理などが可能です。 IO-Linkデバイスには、デバイス情 報を記述した電子ファイル IODDファ イルが用意されています。このIODD ファイルには、IO-Linkデバイスに関 するデバイスデータや各種パラメー タ情報、通信プロパティなど様々な 情報が格納されており、エンジニア リングツールに組み込んで使用する ことで効率的なコンフィグレーショ ンが可能になります。 IO-Linkは、国際規格 IEC 61131-09(シングルドロップデジタル通信インターフェイス)に準拠した 2013年を境に、オープンな通信規格としてファクトリーオートメーションを中心に急速な広がりを見 せています。急速に普及 している理由の一つに、IO-Linkは上位となるフィールドバスの種類に依存 しないという特徴があります。IO-Linkマスタは、IO-Link通信とフィールドバスまたはPLCとの通信ゲー トウェイとなり、シームレスな制御ネットワークをサポートします。 従来のアナログ入出力機器やシリアル通信機器では、多芯ケーブルやシールド付きケーブルなどを使 用する必要がありましたが、IO-Linkはノイズ耐性が高い双方向通信システムなので、一般的な非シー ルド3線ケーブルの使用が可能です。 IO-Linkデバイスは、IO-Linkマスタと接続しIO-Link通信を行いますが、汎用I/Oチャンネルと接続可能 なSIOモードを搭載しているIO-Linkデバイスもあります。SIOモード対応IO-Linkデバイスは、IO-Linkマ スタと接続されていない場合、SIOモードへ自動的に切り替わり汎用I/O機器として動作します。IO- Linkデバイスは、IO-Linkマスタが無い現場でもスマートなI/O機器として使用することが可能です。 IO-Linkデバイス ピンアサイン 「EtherNet/IP IIoT技術白書」 page 20 © 2020 ODVA, Inc. All rights reserved.