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2020年、世界で新型コロナウイルスが猛威を振るっています。 皮肉にも、このことがきっかけでなかなか進まなかったテレワークの導入などが進んでいます。
しかし、コロナ禍に関わらず、企業の経営者はリスクマネジメントを行い、さまざまな脅威へ備えなければいけません。
リスクとして少子高齢化など、人への依存を減らすということを考える必要があります。
今回、メディアスケッチ代表取締役 兼 サイバー大学専任講師、AI/IoTコンサルタントの伊本貴士氏による経営視点でのコロナ対策について紹介します。
このカタログについて
ドキュメント名 | コロナ禍で経営者が考えること (後編) | AI・IoTコンサルタント 伊本貴士の経営に役立つ最新技術解体新書 |
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ドキュメント種別 | ホワイトペーパー |
ファイルサイズ | 1007.6Kb |
登録カテゴリ | |
取り扱い企業 | オリックス・レンテック株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
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このカタログの内容
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後編
コロナ禍で
経営者が考えること
第三章:新時代のサプライチェーン・リスクマネジメント
第四章:コロナ収束後を見据えて製造業が今考えるべきこと
執筆者 伊本 貴士(いもと たかし)
メディアスケッチ株式会社代表取締役。IoTやAIなど、最新技術のコンサルティングサービスを
提供。製造業や建設業などを中心に企業のアドバイザーや技術顧問を務める。また、スマートシ
ティの専門家として地方自治体のアドバイザーや補助金審査員なども務めている。人材教育分
野においても、サイバー大学専任講師や日経ビジネススクール、日経xTech塾などの講師も務める。
スマートシティや最新技術の評論家として、各地で講演をする傍らメディアにも出演。(フジテ
レビ・ホンマでっか!?TV、テレビ朝日・サンデーLIVE!!、TBS・あさチャン!など)
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第三章「新時代のサプライチェーン・リスクマネジメント」
Risk Management
これまでにおいても、経営や管理において最も重要な役割は「リスクマネジメント」です。
リスクマネジメントというものは、非常に重要な考えにも関わらず実際にリスクに直面しない段階
においてはないがしろになりがちです。
逆に、昨今のコロナ禍に直面した状況においては、誰もがリスクマネジメントに関心を持ち協力を得
やすい時期と言えます。今後の2,30年を見据えた新しいリスクマネジメントを考え、その対策を始める
時期と言えます。
■仕入れのリスクマネジメント
幸いにして、一部の品を除いて中国からの仕入れに関しては大きな支障は出ていません。一方で、こ
のようなパンデミック(世界的大流行)が再び発生しないという保証はどこにもありません。
思い返せば、これまでにも規模や影響に違いはありますが、SARSやMERSといったコロナウイルス
がまん延した過去があり、RNA一本鎖で構成される一連のコロナウイルスには変異しやすい特徴もあり、
また新型のコロナウイルスが世の中に現れる可能性は十分にあると考えた方が良いでしょう。
そう考えると、これまでのように、品質や価格だけで特定の仕入れ先に絞ってサプライチェーンを構
成するのではなく、複数の仕入れ先を確保し、あらゆる事態においても安定できるというリスクバラン
スの観点が必要になります。
わかりやすい例で言えば、日本におけるマスクの品不足は深刻でもはや中国からの仕入れだけでは
十分には賄えないほどの需要があります。
ここで、企業がとる戦略としては二つあります。
一つは、ベトナムなどのこれまで取引のなかった他の国からの仕入れを行うということ。もう一つは
自社において国内で新たにマスクを生産するということです。
■仕入れ先分散化と共通インターフェースの採用
仕入れ先を複数にするというのは、言うのは簡単ですが実現は簡単ではありません。リスク分散の観
点からは、同じ地域ではなくできるだけ違う地域にある仕入れ先を複数確保すべきです。
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ここで、国内の企業から仕入れるという選択肢も出てきます。
実は最近電子基板の製造においては、日本国内の企業に発注する案件が増えてきています。
一時は価格の安さという観点から中国への発注が多く、日本における中小の製造会社は非常に厳し
い状況に置かれていましたが、それも新型コロナウイルスの影響で変わりつつあります。
つまり、日本国内の中小企業にとってこの状況は厳しくもあり、新しいチャンス獲得の時期でもあります。
Apple社はiPhoneなどの製品を作るにあたって、ほとんどの部品を複数の仕入れ先から確保する「組
み合わせ型開発」を採用しています。
例えば、液晶パネル一つとっても、日本、台湾、韓国の企業など複数の国から仕入れを行っています。
これには、さまざまなメリットがあります。
まずは、複数企業を競わせることで価格競争をさせることができます。また、政治的な情勢変化が発
生したとしても、さまざまな選択肢があり情勢に合わせて仕入れのバランスを調整することができます。
実際にiPhoneを開発する際においても、その時々においてどの企業からどれだけの割合で仕入れる
かは変わります。
つまり、0,1でどこから仕入れ、仕入れないかではなく、割合でバランスをとる戦略です。
ここで重要なポイントがあります。
このように複数へ発注する場合、特殊な仕様や独自インターフェースを採用すると、それぞれの企業
と調整が必要になります。また、新規の仕入れ先を確保するときにも調整が必要になります。
また、独自仕様は製造時に独自ラインが必要となり、価格も高くなります。
よって、部品に関する仕様に関してはなるべく国際的に標準となっているものを採用すべきです。
これは電子基板のみならず、全てにおいて同じです。
■3Dプリンタの使い道
もう一つの選択肢として、自社で部品を作るという選択肢があります。
もちろん、全てを自社生産するのは難しいでしょう。
ただし、3Dプリンタの登場によってそれはある程度可能かもしれません。
「ある程度」と言っているのには、意味があります。
多くの企業は3Dプリンタの活用を検討する際に、その部品の全てを3Dプリンタによる生産に置き
換えることを考えます。
しかしながら、現時点の3Dプリンタにおける最大の弱点は生産効率です。まだまだ一つの部品を作
るのに時間がかかりすぎます。プレス機などで作る方がはるかに早いでしょう。
よって、3Dプリンタに切り替えるのではなく、3Dプリンタを複数ある選択肢のうちの一つと考え1%
でも良いので使ってみるということを検討すべきでしょう。
3Dプリンタにおいては、使ってみるという考え方が重要です。
こういった新しい技術に関しては、未知の部分が多く決まったノウハウがありません。
また、3Dプリンタというものには、その特性上個々に調整しなければいけない部分が非常に多くあ
ります。
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素材の良しあし、フィラメントを溶かす温度、ノズルの穴の大きさ、動かす速度。特に温度や湿気には
非常に敏感で、その調整によってできあがったものの品質は大きく変化します。
そう考えると、3Dプリンタはいざという時に買いさえすれば使えるものではありません。
まずは使ってみて、さまざまな試行錯誤を自社で行いつつ調整値をノウハウとして持っておいて初
めて使えるようになるものです。
また、それは3Dプリンタを自社内で迅速に調整することができる人材を育てるという意味でも重要です。
安い3Dプリンタを買って使ってみるのも良いでしょうし、レンタルで借りてみても良いでしょう。
実は、この新型コロナウイルスの騒ぎで3Dプリンタのノウハウが生きた事例があります。
人工呼吸器です。人工呼吸器の部品は主に中国で生産されているものが多いのですが、この新型コロ
ナウイルスによる影響で需要が急速に高まり追いついていません。
その中、アメリカで利用している際に、チューブを接続するプラスチックなどの部品が破損・劣化に
伴う取り換えが必要になった際に、その交換部品が容易に手に入らないという問題が発生しました。
そこで登場したのが、3Dプリンタです。
テキサス州などの中小製造業では、すでに3Dプリンタによる新しい製造業が確立されつつあるとい
うことは以前にも述べましたが、この事例においても3Dプリンタによって交換部品を作るという点で
大いに活躍しました。
つまり、緊急時の代替手段として活躍したわけです。
3Dプリンタの最大のメリットは、形に関するデータさえあれば、どんなものでも作ることができる
ということです。
最近では、金属素材の3Dプリンタが登場し、以前から製造業でよく問題になっていた金型を自社で
生産しようという企業も増えています。
これは実現すれば、金型を空輸する必要がなくなり外部へ依存しなくなるというメリットと、これま
で作ったことのないものでも迅速に金型を作ってプロトタイプを作り顧客に提示できるというメリット、
金型が破損してもすぐに同じものを用意することができ製造ラインを止めなくて済むという三つのメ
リットがあります。
そう考えたとき、この新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)によって、3Dプリンタに
はマス・カスタマイゼーションを担う期待以外にも、緊急時の代替手段としてリスク分散における保険
としての新たな役割が付け加えられたと思います。
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第四章「コロナ収束後を見据えて製造業が今考えるべきこと」
#NEW NORMAL
新型コロナウイルスの影響は当分続くかもしれません。経営に携わる立場の方は、リスクマネジメン
トの観点から、そう考えて備えておくべきだと思います。
■事業再開までのスピードが企業の命運を決める
すでに、飲食業界では去年の同月日に比べ8-9割の売上減などのデータが出始めています。
製造業においても、大手企業が工場を止めているところが多くあり、その影響は取引している各社に
波及しています。
すでに、企業にとって、新型コロナウイルスの感染拡大が収束するのが先なのか、企業の資金が尽き
てしまうのが先なのかといった時間との闘いに陥っていると言っても過言ではありません。
企業の力で感染拡大を収束させることは難しいので、それは国、自治体、研究者、社会全体で協力し一
刻も早く収束させなければならないでしょう。
一方、企業は何もせずにいるわけにいきません。今こそ、事業再開後を見越してできることはやって
おく必要があります。
そもそも日本の企業、特に製造業は自己資本比率が低い傾向があります。
事業再開の判断を行ってから実際に動き出すまで一カ月かかるのか、三カ月かかるのか、この違いが
企業の命運を決めるでしょう。
■元通りには戻らない
ここで注意が必要です。
感染が収束すれば、また発生前に戻るというのは大きな間違いです。
すでに、コロナ禍によって、世の中のさまざまな認識や価値観が変わりつつあります。
例えば、人が一カ所に集まるということが大きなリスクであるということがわかったので、今後なる
べく事業所などは分散化するでしょう。
どこに、どう分散化するかは、コロナ禍もしくは同等の事態が再び発生するという前提で考えなけれ
ばなりません。
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また、調達先についても分散化されるでしょう。
それは、さまざまな国から分散して調達するという考え方もあり、海外からだけではなく国内からも
何割かの調達を行うという考え方もあります。
そうなると、ますます注文が小ロット化する可能性があります。
また、世の中の需要が大きく変わります。
例えば、飲食業界ではレストランなどが休業となり高級食材の需要が落ちています。一方で外食を日
常的に行っていた高齢者夫婦などは自宅での食事を行うようになったので、総菜やカット野菜、パック
米などの需要が急速に伸びています。
これらは、当分続くと思って良いでしょう。
また、安全宣言が出たとき、人々の心情がどう変化しているのか予測するのは非常に難しいでしょう。
では、例えば、車は今後どのように需要が変化するのでしょうか?
経済が停滞し景気が悪化すると、軽自動車が売れるかもしれません。
ガソリンの値段が極端に下がると、電気自動車が売れなくなるかもしれません。
実にさまざまな不確定要素があるために、非常に難しい時代になりつつあります。
■ポイントは動的生産体制
そこで、重要になってくるのは、需要の変化に合わせて臨機応変にさまざまなものを作ることででき
る「動的生産体制」です。
劇的にさまざまなものが変化するパラダイムシフトの時代においては、人・モノ・機械というものが、
動かせないものではなく、状況に応じて迅速に動かすことができることが重要になるでしょう。
例えば、このコロナ禍に対して島津製作所は検査キットを製造し、シャープはマスクを製造しました。
極端に、短期で生産体制を変える必要はありませんが、需要に応じてバランスをとることが重要です。
主力製品の需要が減ってきた場合は生産量や材料調達を減らし、需要が伸びそうなものに関しては
少量でまずは生産してみる。また、急な注文や、カスタマイズの注文に応じる。客からのプロトタイプ品
の製造に短期で低価格で対応するなどの、これまでにない対応が必要になります。
この話は、つまりはこれまで述べているカスタム製品の製造を効率良く大量に行う「マス・カスタマ
イゼーション」の一歩手前の状態を目指すことです。
つまり製造業は、やはりマス・カスタマイゼーションを目指すべきで、それが新型コロナウイルスの
パンデミック(世界的大流行)によって、早急に進めなければならなくなったということです。
■動的生産体制を進めるために今すぐDX・IoT化が必要
当然、動的な生産体制を構築するには、さまざまな新しい要素が必要になります。
大前提として、さまざまな動きがデータ化されており、それがセンシングによって自動収集される必
要があります。
状況監視、生産量の予測、生産計画の作成、人的資源の割り当て、倉庫への配置と物流の手配など、こ
れら全てについて、人間の手作業が入るほど複雑化する生産体制に対応できなくなります。
最終的には、新しい生産体制に移行することが遅れ、それがそのまま企業の悪い結果につながるでしょう。
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最初は、全てがセンシングされていなくても問題ありません。
まずは、全体をデータで把握するところから行うというスピード感が非常に重要です。
また、取引先との密なデータ連係も重要です。
今後、材料一つをとってもリスクマネジメントの観点から、調達先を複数に分散化しなければなりません。
そのとき、次はどこにどれだけ発注すれば良いのかを計画し、なおかつ在庫を極力減らす必要があります。
取引先が東南アジアの場合、船なら一週間以上かかるため、それを見越して発注を行う必要があります。
感染拡大の収束後の製造業界全体の姿を思い浮かべると、自宅でのテレワークで現場に行くことが
できない現在でも未来を考え続け、計画を作成するなど、今やらなければならないことはたくさんある
ということに気付いていただけると幸いです。
解最役経伊コA
本ンI体新立営 サ・貴ルI
新技つに タo士ンT
書術 のト
コロナ禍で経営者が考えること(後編)前編
コロナ禍で
経営者が考えること
本 件 に 関 する お 問 い 合 わ せ 先
https://www.orixrentec.jp/
〒141-0001 東京都品川区北品川五丁目5番15号 大崎ブライトコア
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