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産業機械のセキュアな遠隔監視・制御をワンストップで実現!
製造業の人出不足や顧客ニーズの変化、新型コロナウイルスの感染拡大を背景に、自社製品をIoT化し納入先のアフターサービスを充実させたいと考える産業機械メーカーが増えている。
産業機械のIoT化で得られるメリットの1つは、稼働状況に応じた計画的なメンテナンスだ。従来であれば、機械が故障したときに現場から連絡を受け、修理対応を行うのが通常だ。しかし、機械をIoT化し稼働状況を常に把握しておくことで、機械が故障する前に部品交換やメンテナンスを提案することが可能になる。
本ホワイトペーパーでは、産業機器メーカーがどのようにメンテナンスを効率化し、よりサービス品質を向上していったかユースケースを交えてシンプルに解説。
このカタログについて
ドキュメント名 | IIJ 産業IoTセキュアリモートマネジメント Machinery ユースケースホワイトペーパー |
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ドキュメント種別 | ホワイトペーパー |
ファイルサイズ | 1.8Mb |
取り扱い企業 | 株式会社インターネットイニシアティブ (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
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このカタログの内容
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事例
産業機械のセキュアな遠隔監視・制御をワンストップで実現する
IIJ産業IoTセキュアリモートマネジメント/Machinery
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設備稼働状態監視 設備リモート保全 計測器 IoT化
製造業の人出不足や顧客ニーズの変化、新型コロナウイルスの感染拡大を背景に、自社製品をIoT化し納入先のアフ
ターサービスを充実させたいと考える産業機械メーカーが増えている。
産業機械のIoT化で得られるメリットの1つは、稼働状況に応じた計画的なメンテナンスだ。従来であれば、機械が故
障したときに現場から連絡を受け、修理対応を行うのが通常だ。しかし、機械をIoT化し稼働状況を常に把握しておく
ことで、機械が故障する前に部品交換やメンテナンスを提案することが可能になる。
産業機械のIoT化のメリット①
稼働状況に応じた部品交換やメンテナンスの提案ができる。また、データを利用することで、機械の診断やメンテナンスにおけ
る若手とベテランのスキルの差を埋めることも期待される。
さらに、稼働状況を把握するだけでなく、遠隔地からリモートで機械の制御を行うこともできる。たとえば、機械が故
障して電源の再起動や緊急停止が必要な場合。従来であれば、連絡を受けた保守担当者や地場のメンテナンス事業者
が現場にかけつけ、対応しなければならなかった。しかし機械をIoT化しておけば、担当者はWeb上から機械の再起動
や緊急停止などの対応を行うことができる。
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データ収集、ネットワーク、アプリ開発……。産業IoTは検討事項が多い
産業機械のIoT化のメリット②
納入先の機械のリモート制御ができる。
以上の例は、機械をIoT化することで従来のアフターサービスを改善するという例だ。他方で、機械のIoT化は新しい
ビジネスモデルを提案することにもつながる。たとえば、機器単位での販売ではなく、稼働データにもとづいた課金シ
ステム(サブスクリプション)を提案することができる。
また、機器(ハードウェア)を販売するだけでなく、機械のIoT化やクラウドサービスの提供といったビジネス拡大も可
能だ。実際、特定のメーカー製品のみならず周辺機器や他社の産業機械も包括的にIoT化したいと考える工場も多く、
そうした顧客に対してはとくに大きな付加価値となりうる。
データ収集、ネットワーク、アプリ開発……。産業IoTは検討事項が多い
とはいえ、産業機械をIoT化し、実際に効果を出すことは容易ではない。たとえば、データ収集からネットワーク(回線)、
クラウド、アプリケーションなど、検討しなければならない事項がとても多い。このため、システムの全体像やコスト
メリットがみえにくく、検討段階で導入を断念してしまう機械メーカーも少なくない。
機械からのデータ収集を行うには、最適なセンサーやゲートウェイ、産業用PCなどの選定が必要だ。異なる種類・メー
カーの機械からデータを包括的に収集できるようなオープンな拡張性も確保しなければならない。また、機械のリモー
ト監視や制御を行うにあたり、サイバー攻撃の被害を受けないようなセキュアなネットワーク構築が欠かせない。
データの可視化や分析を行うアプリケーションにおいては、自社で開発するべきか、パッケージソフトを使うべきか
という問題がある。
自社で(SIerに委託して)開発する場合には、PoCと初期システムの構築だけで高額の予算を必要とし、コストメリッ
トが不十分で導入判断ができないということも多い。他方、パッケージソフトを採用する場合には、汎用性に加えて、
顧客ニーズに合わせて柔軟にカスタマイズできるような拡張性の高い製品を選ぶ必要がある。
こうしたさまざまな検討事項があるうえに、これらのすべての要素に強みをもち、ワンストップで提供できる企業と
いうのはほとんどない。そのため、システムの全体像やコストメリットがみえにくく、導入に踏み切ることが難しいと
いう問題がある。
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LoRaWAN®対応 マルチベンダ対応 IIJ IoT プラットフォーム 産業向けクラウド
振動・温度センサー 産業用PC/ゲートウェイ機器 閉域モバイル 可視化アプリケーション
設備単位稼働情報 設備単位稼働情報
保守担当者 エンドユーザ
故障原因分類 故障原因分類
閉域モバイル
PLC
ゲートウェイ エンドユーザ工場
「IIJ産業IoTセキュアリモートマネジメント」のシステム概要図①
たとえば、ユーザー工場にある機械のデータは、PLCから有線ケーブルを通じてゲートウェイへと送られる。このゲートウェイ
にはあらかじめIIJが提供する産業IoT向けSIMが内蔵されている。そのため、ゲートウェイに収集された機械のデータは、イン
ターネットを介さないセキュアな「閉域モバイルネットワーク」を通じて、クラウドに送信される。メーカーの保守担当者やエン
ドユーザーは、「WISE-PaaS/Dashboard」というアプリケーションを利用することで、稼働状況の可視化や故障原因の分析な
どを行うことができる。
こうした課題に応えるべく開発されたのが、「IIJ産業IoTセキュアリモートマネジメント」(以下、SRM)だ。SRMは、デー
タ収集、ネットワーク、アプリケーションといった産業IoTの一連のシステムをIIJがインテグレートし、ワンストップ
で提供するソリューションである。
この背景には、IIJと台湾のアドバンテックの協業がある。産業用コンピュータの世界トップシェア(IHS Markit調べ)
をもつアドバンテックは、データ収集に必要なエッジデバイスや産業向けクラウド「WISE-PaaS」を、IIJはフルMVNO
として閉域モバイルネットワークやIoTプラットフォーム「IIJ IoTサービス」を提供する。両社が強みとするソリュー
ションをかけ合わせることで、産業機械のIoT化に必要なすべての要素をワンストップで提供する体制を構築している
のだ。
なお、SRMには産業機械メーカー向けの「IIJ産業IoTセキュアリモートマネジメント/Machinery」と、工場のユーザー
向けの「IIJ産業IoTセキュアリモートマネジメント/Factory」の2種類があり、本稿で紹介しているのはMachineryだ。
SRM/Machineryを導入・検討している企業は、金属加工業、製紙製造、食品加工機など幅広く、リリース時(2020年
8月)から約6か月で数十件におよぶ。また、このコロナ禍で自社製品のIoT化によりリモートメンテナンスを行いたい
という引き合いは月毎に増加している。
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産業機械のデータ収集に必要なIoTデバイスをすべて網羅
産業機械のデータ収集に必要なIoTデバイスをすべて網羅
センサーやゲートウェイ、産業用PC、カメラといったデータ収集に必要なIoTデバイスは、アドバンテックが豊富なラ
インナップを提供する。上の概要図では、機械に搭載されているPLCとゲートウェイ(SIM内蔵)をつなげてデータを収
集する方法を示した。しかし実際の工場では、PLCが内蔵されていない設備やアナログの計測器なども多い。その際
にはセンサーを機械に後付けしてデータ収集を行うしくみが重要となる。
たとえば、長距離通信・省電力のIoT向け通信規格、LoRaWAN®に対応したワイヤレスセンサを使うという方法があ
る。SRMを導入している工場Aでは、数キロメートル四方の工場の中にある約100台の設備にLoRaWAN®対応ワイ
ヤレスセンサ(WISE-2410)を後付けし、そのデータを4台のLoRaWAN®対応ゲートウェイ(Kiwitec)で収集してい
る。その結果、設備の人為的な点検作業の80%をIoT化し、全体の点検作業の時間を50%削減することに成功している。
産業機械に後付けしたLoRaWAN®対応ワイヤレスセンサを使うことで、効率的かつセキュアにデータ収集を行うことができる。
また、自社製品のみならずさまざまなメーカーの機械をIoT化するには、あらかじめマルチベンダに対応できるシステ
ムを構築しておく必要がある。これについては、アドバンテックが提供する専用のゲートウェイまたは産業用PCを用
いるか、SCADAソフトウェア「WebAccess」を産業用PCにインストールすることで、国内外250以上のPLC/CNCか
らのデータ取得に対応することができる。
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機械とクラウドをセキュアにつなぐ、拡張性の高いアプリケーション群
機械とクラウドをセキュアにつなぐ
工場内の各機械からゲートウェイ(または産業用PC)に収集されたデータは、インターネットを介さないセキュアな
「閉域モバイルネットワーク」を通じて、クラウドに送信される(WISE-PaaSのみならず、AzureやAWSなどへのマル
チクラウド連携もセキュアに実行可能)。
セキュリティの観点から、機械のデータを外部のネットワークに出さないことをのぞむ工場も多い。実際、インター
ネットを使った一般的なIoT通信では、外部からの侵入を受けるリスクが高い。しかし、インターネットを介さない閉
域モバイル通信ならその心配はいらない。端末にはプライベートIPアドレスが割り当てられ、顧客ネットワーク内の
端末として管理することができる。
IIJが提供する、「IIJ産業IoTセキュアリモートマネジメント」のシステム概要図②
クラウドではなく、オンプレミス(自社にサーバを設置する)を選ぶという方法もある。だが、サーバ導入には多大なコ
ストがかかる。また、無線ではなくEthernetなどの有線ネットワークでデータを収集する場合には、配線工事を必要
とする(設備の数が多くなるほど大規模になる)。閉域モバイルを使えば、配線工事の時間を省略し、既存のネットワー
ク環境にも影響を与えず、設備1台からのスモールスタートが可能になる。
SRMでは、低温、高温環境でも動作するSIMや、高振動環境でも抜け落ちのない心配のない組込み型SIMが使われてい
る。メーカーはこれらのSIMを製品開発時に組みこむことも可能だ。また、回線の休止・再開を自由に行えるSIMライ
フサイクル管理や上り特化のIoT専用SIMカードなど、通信機能や価格も産業IoTに特化している。
拡張性の高いアプリケーション群
アプリケーションは主に、「WISE-PaaS/Dashboard」と「IIJ IoTサービス」の2つがある。
「WISE-PaaS/Dashboard」は、データの可視化や分析などを行うためのツールだ。豊富なプラグインが搭載されてお
り、適切なデータさえそろえば開発不要ですぐに利用できる。たとえば、設備保全では稼働情報、故障情報、データ分析、
アラート通知、生産性向上においては稼働情報、生産ライン監視、OEE分析、不良品要因分析などの機能がすぐに利用
できる。画面のカスタマイズも容易に行うことが可能だ。
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「WISE-PaaS」は豊富なプラグインを搭載しており、データ可視化・リアルタイム監視をすぐにスタートできる。
「IIJ IoTサービス」は、SIMが組み込まれたデバイスの一元管理やリモート監視・制御などを行うことができるサービ
スだ。たとえば、産業用PC自体の生死を監視することや、遠隔地から産業用PCへリモートアクセスする機能を利用す
ることが可能だ。導入したIoTシステム自体が健全に稼働していることを監視し、かつ効率的に運用できることが産業
IoT化にあたっては重要な要素となる。
「IIJ IoTサービス」の概要図。SIMが組み込まれたデバイスの一元管理やリモート監視・制御などを行うことができる。
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設備のIoT化をビジネス拡大の好機に
設備のIoT化をビジネス拡大の好機に
ここで、SRM/Machineryを導入している金属加工設備メーカー Bの事例を紹介しよう。B社はこれまで、自社製品
の製造・販売だけでなく、ISDN回線を用いたリモートメンテナンスのサービスも提供していた。しかし、ISDN回線は
固定電話網からIP網への移行にともない、2024年の終了が決まっている。また、ISDN回線で取得できるデータは、
運転状態の「正常」「異常」というわずかな情報に限られており、またそれらは故障時の検知のみに使われるにとどまっ
ていた。
つまり、設備が故障する前に部品交換やメンテナンスを提案する「予兆保全」を行うには、ISDN回線のしくみでは限界
があったのだ。そのため、結局は納入先からクレームや不具合の連絡を受けるたびに担当者が現場へかけつけなけれ
ばならず、人員コストが逼迫しているという課題があった。
他方で、B社の納入先の工場では、B社の製品のみならずその周辺機器や周辺環境のIoT化も行いたいという要望が増
えてきていた。B社はこれをビジネス拡大の好機だと考えた。そこで、B社はまず自社でクラウドサービスをつくろう
と計画し、アプリケーション開発をSIerに依頼した。ところが、PoCや初期のシステム構築だけで高額であり、コスト
メリット踏まえ導入判断に至ることができなかった。
こうした背景のもと、B社はSRM/Machineryを導入した。機械のIoT化に必要な要素をワンストップで構築できるこ
とが決め手の一つだった。コストメリットも明確であることから、導入判断に踏み切ることができた。
現在はアドバンテックが提供するエッジデバイスを用いることで、自社製品だけでなく顧客が保有するさまざまな設
備からのデータ収集(PLCや電流値、流量計など)を行っている。
また、閉域モバイルネットワークを活用することで、それらのデータをセキュアに収集し、機械のリアルタイムでの稼
働監視を実現している。また、納入先の産業用PCにリモートアクセスし、現場に行かずに簡易的な対処(設定値の変更
や機器の再起動など)を実行できる環境を構築した。
アプリケーションは、WISE-PaaS/Dashboardのテンプレートを最大限活用することで、初期開発費用を数百万円規
模でおさえた。さらに顧客ごとの画面のカスタマイズも、メーカーのメンテナンスの担当者が容易に行うことができ
ている(WISE-PaaS上のデータベースに蓄積されたデータに対し、グラフの種類を選んでチャート化し、閾値監視や通
知の設定を行う)。
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Page9
株式会社インターネットイニシアティブ
※本内容は予告なく変更することがあります。(2021年5月作成)
※記載されている企業名あるいは製品名は、一般に各社の登録商標または商標です。 IIJ-CAT161-0001