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スマート工場化に必要なすべてをワンストップで提供!
製造業のスマート化にはさまざまな検討事項があるうえに、これらのすべての要素に強みをもち、ワンストップで提供できる企業というのはほとんどない。そのため、システムの全体像やコストメリットがみえにくく、導入に踏み切ることが難しいという問題がある。
こうした課題に応えるべく開発されたのが、「IIJ産業IoTセキュアリモートマネジメント」。SRMは、データ収集、ネットワーク、アプリケーションといった産業IoTの一連のシステムをIIJがインテグレートし、ワンストップで提供するソリューションである。
本ホワイトペーパーでは、このソリューションによってどのように顧客が課題解決にしたか、ユースケースを交えてシンプルに解説する。
このカタログについて
ドキュメント名 | IIJ 産業IoTセキュアリモートマネジメント Factory ユースケースホワイトペーパー |
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ドキュメント種別 | ホワイトペーパー |
ファイルサイズ | 2.6Mb |
取り扱い企業 | 株式会社インターネットイニシアティブ (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
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このカタログの内容
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事例
スマート工場化に必要なすべてをワンストップで提供する
IIJ産業IoTセキュアリモートマネジメント/Factory
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工場
生産管理
計測 現場映像
データ監視 監視
設備
稼働監視
産業設備をIoT化し、収集したデータを用いて自社工場の設備保全や生産性の向上を実現するスマート工場。すでにメ
ディアや展示会などを通して数多くの成功事例が紹介されており、その効果を疑う人は少ないだろう。
しかし、いずれの企業も実際に効果が出るまでにはさまざまな苦労を経ている。特に、データ収集からネットワーク(回
線)、クラウド、アプリケーションなど、検討しなければならない事項が多いことが課題となっている。このため、シス
テムの全体像やコストメリットがみえにくく、検討段階で導入を断念してしまう企業も少なくない。
たとえば、産業設備からのデータ収集を行うには、最適なセンサーやゲートウェイ、産業用PCなどの選定が必要だ。異
なる種類・メーカーの設備からデータを収集できるようなオープンな拡張性も確保しなければならない。また、設備のリ
モート監視や制御を行うにあたり、サイバー攻撃の被害を受けないようなセキュアなネットワーク構築が欠かせない。
データの可視化や分析を行うアプリケーションにおいては、自社で(SIerに委託して)開発するには多大なコストがか
かるため、他社の汎用的な製品を利用するケースが多い。しかし、たんにデータを取得して終わりではなく、実際に価
値を生み出すには、自社で容易につくりこみができる拡張性も求められる。汎用性と拡張性をかねそなえたIoTプラッ
トフォームが必要なのだ。
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こうしたさまざまな検討事項があるうえに、これらのすべての要素に強みをもち、ワンストップで提供できる企業と
いうのはほとんどない。そのため、システムの全体像やコストメリットがみえにくく、導入に踏み切ることが難しいと
いう問題がある。
LoRaWAN®対応 マルチベンダ対応 IIJ IoT プラットフォーム 産業向けクラウド
振動・温度センサー 産業用PC/ゲートウェイ機器 閉域モバイル 可視化アプリケーション
設備単位稼働情報 設備単位稼働情報
保守担当者 エンドユーザ
故障原因分類 故障原因分類
閉域モバイル
PLC
ゲートウェイ エンドユーザ工場
「IIJ産業IoTセキュアリモートマネジメント/Factory」のシステム概要図①
たとえば、工場内にある設備のデータは、PLCから有線ケーブルを通じてゲートウェイへと送られる。このゲートウェイにはあ
らかじめIIJが提供する産業IoT向けSIMが内蔵されている。そのため、ゲートウェイに収集された設備のデータは、インターネッ
トを介さないセキュアな「閉域モバイルネットワーク」を通じて、クラウドに送信される。保守や生産管理部門の担当者、「WISE-
PaaS/Dashboard」というアプリケーションを利用することで、稼働状況の可視化や故障原因の分析を行うことができる。
こうした課題に応えるべく開発されたのが、「IIJ産業IoTセキュアリモートマネジメント」(以下、SRM)だ。SRMは、デー
タ収集、ネットワーク、アプリケーションといった産業IoTの一連のシステムをIIJがインテグレートし、ワンストップ
で提供するソリューションである。
この背景には、IIJと台湾のアドバンテックの協業がある。産業用コンピュータの世界トップシェア(IHS Markit調べ)
をもつアドバンテックは、データ収集に必要なエッジデバイスや産業向けクラウド「WISE-PaaS」を、IIJはフルMVNO
として閉域モバイルネットワークやIoTプラットフォーム「IIJ IoTサービス」を提供する。両社が強みとするソリュー
ションをかけ合わせることで、スマート工場化に必要なすべての要素をワンストップで提供する体制を構築している
のだ。
なお、SRMには工場のユーザー向けの「IIJ産業IoTセキュアリモートマネジメント/Factory」と、産業機器メーカー向
けの「IIJ産業IoTセキュアリモートマネジメント/Machinery」の2種類があり、本稿で紹介しているのはFactoryだ。
SRM/Factoryは現在、乳製品メーカー、食料品メーカー、セラミック製品メーカーなどに幅広く活用されている。
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設備のデータ収集に必要なIoTデバイスをすべて網羅、設備とクラウドをセキュアにつなぐ
設備のデータ収集に必要なIoTデバイスをすべて網羅
センサーやゲートウェイ、産業用PC、カメラといったデータ収集に必要なIoTデバイスは、アドバンテックが豊富なラ
インナップを提供する。上の概要図では、設備に搭載されているPLCとゲートウェイ(SIM内蔵)をつなげてデータを収
集する方法を示した。だが、実際の工場ではPLCが内蔵されていない設備やアナログの計測器なども多く、その際には
センサーを設備に後付けしてデータ収集を行うしくみが重要となる。
たとえば、長距離通信・省電力のIoT向け通信規格、LoRaWAN®に対応したワイヤレスセンサを設備に後付けし、そ
のデータをLoRaWAN®対応ゲートウェイで集約するという方法がある(あとで事例を紹介)。また、電力測定器や流
量計などの測定器とI/Oモジュールを接続することで、I/OモジュールからのデータをLoRaWAN®対応ゲートウェイ
へと送るということも可能だ。
また、工場内のさまざまなメーカーの設備をIoT化するには、あらかじめマルチベンダに対応できるシステムを構築
しておく必要がある。これについては、アドバンテックが提供する専用のゲートウェイまたは産業用PCを用いるか、
SCADAソフトウェア「WebAccess」を産業用PCにインストールすることで、国内外250以上のPLC/CNCからのデー
タ取得に対応することができる。
設備とクラウドをセキュアにつなぐ
工場内の各設備からゲートウェイ(または産業用PC)に収集されたデータは、インターネットを介さないセキュアな
「閉域モバイルネットワーク」を通じて、クラウドに送信される(WISE-PaaSのみならず、AzureやAWSなどへのマル
チクラウド連携もセキュアに実行可能)。
セキュリティの観点から、設備のデータを外部のネットワークに出さないことをのぞむ工場も多い。実際、インター
ネットを使った一般的なIoT通信では、外部からの侵入を受けるリスクが高い。しかし、インターネットを介さない閉
域モバイル通信ならその心配はいらない。端末にはプライベートIPアドレスが割り当てられ、自社工場ネットワーク
内の端末として管理することができる。
IIJが提供する、「IIJ産業IoTセキュアリモートマネジメント」のシステム概要図②
クラウドではなく、オンプレミス(自社にサーバを設置する)を選ぶという方法もある。だが、サーバ導入には多大なコ
ストがかかる。また、無線ではなくEthernetなどの有線ネットワークでデータを収集する場合には、配線工事を必要
とする(設備の数が多くなるほど大規模になる)。閉域モバイルを使えば、配線工事の時間を省略し、既存のネットワー
ク環境にも影響を与えず、設備1台からのスモールスタートが可能になる。
SRMでは、低温、高温環境でも動作するSIMや、高振動環境でも抜け落ちのない心配のない組込み型SIMが使われてい
る。また、回線の休止・再開を自由に行えるSIMライフサイクル管理や上り特化のIoT専用SIMカードなど、通信機能や
価格も産業IoTに特化している。
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拡張性の高いアプリケーション群、約100台の設備のIoT化で、点検作業を50%削減
拡張性の高いアプリケーション群
アプリケーションは主に、「IIJ IoTサービス」と「WISE-PaaS/Dashboard」の2つがある。「IIJ IoTサービス」では、SIM
が組み込まれたデバイスの一元管理やリモート監視・制御などを行うことができる。たとえば、産業用PCに搭載した
SIM(通信)の管理やリモート監視、収集したデータの属性情報(工場番号、ライン番号、製造品、担当部課など)の付与
などが可能だ。
「WISE-PaaS/Dashboard」は、データの可視化や分析などを行うためのツールだ。豊富なプラグインが搭載されてお
り、適切なデータさえそろえば開発不要ですぐに利用できる。たとえば、設備保全では稼働情報、故障情報、データ分析、
アラート通知、生産性向上においては稼働情報、生産ライン監視、OEE分析、不良品要因分析などの機能がすぐに利用
できる。画面のカスタマイズも容易に行うことが可能だ。
「WISE-PaaS」は豊富なプラグインを搭載しており、データ可視化・リアルタイム監視をすぐにスタートできる。
約100台の設備のIoT化で、点検作業を50%削減
ここでは、製紙製造を行うA社の事例を紹介しよう。A社は数キロメートル四方の大規模な工場を保有している。課題
は主に2つあった。1つは、品質保証のために、定期的に行われる人為的な設備点検の業務だ(温度・振動・電流値・流量・
ガスメータなど)。広大な敷地内にたくさんの設備があり、この点検作業にはかなりの負担を強いられていた。また、
点検は紙ベースで行っており、その記録を振り返ることが困難で、誤記もあった。
2つ目は、メンテナンスの事後対応だ。従来は、設備に異常が発生してから(主にベテランの)エンジニアが駆けつけ、
原因調査を行うのが通常だった。これは設備の稼働率を下げる大きな要因となる。そのため、設備が故障する前に部品
交換やメンテナンスを行うためのしくみをつくりたいと考えていた。
こうした背景から、A社はSRM/Factoryを導入した。具体的には、数キロメートル四方の工場の中にある約100台の
設備に、LoRaWAN®対応ワイヤレスセンサ(WISE-2410)を後付けし、そのデータを4台のLoRaWAN®対応ゲート
ウェイで収集するしくみを構築した。
同社はWi-Fiのネットワークを敷くことも検討した。しかし、その場合は数百メートルごとにゲートウェイ(アクセス
ポイント)を設置しなければならないが、LoRaWAN®を使えばその台数を縮小できる。実際、LoRaWAN®を使う方
が機器費用・管理負担が大幅に削減できるという試算となった。
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製紙製造を行うメーカーA社の事例。A社では、後付けのワイヤレスセンサやSIM内蔵のLoRaWAN®ゲートウェイ、I/Oモ
ジュールなどを組み合わせることで、約100台の設備の効率的かつセキュアな稼働モニタリングを実現した。
また、同工場では産業設備の電流値や、液体の流量計のデータ収集もLoRaWAN®で行った。この場合は、それぞれ
の測定器をI/Oモジュール(WISE-4610)とRS485アダプタで接続し、I/OモジュールからデータがLoRaWAN®対応
ゲートウェイへと送られる仕組みとなっている。
以上のシステム構築により、それまで人為的な点検が必要だった設備の80%をIoTでセンシングし、点検作業の時間を
50%削減することができた。
LoRaWAN®ゲートウェイ(SIM内蔵)からのクラウドへの通信はモバイル閉域網を採用。ネットワークを通じてWISE-
PaaS/Dashboard上で設備の稼働をモニタリングできる状態となった。また、これにともない紙ベースの記録は廃止
し、過去の点検データの参照や分析もクラウド上で行っている。
A社は、当初はセキュリティ面を考慮しオンプレミスでのサーバ導入も検討していた。しかし、有線LANの配線工事と
サーバ管理負担からモバイル閉域を選択。その結果、初期導入費用をオンプレミスの場合よりも数百万円規模で削減
した。
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株式会社インターネットイニシアティブ
※本内容は予告なく変更することがあります。(2021年5月作成)
※記載されている企業名あるいは製品名は、一般に各社の登録商標または商標です。 IIJ-CAT165-0001