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【技術ハンドブック】 キースイッチの基礎知識と安全設計のポイント

ハンドブック

キースイッチの基礎知識と安全設計のポイントをやさしく紹介! 産業用機器装置の安全性と信頼性向上のためのヒントが満載

さまざまな産業用機器装置の制御回路/動力回路に使用される「キースイッチ」。本ハンドブックでは、スイッチ専業メーカーであるクラウスアンドナイマーが、キースイッチを活用して安全性と信頼性を向上させるための機械的・電気的な設計のポイントを解説します。

特に初心者のエンジニア、購買担当者、および、営業担当者向けを意識して作成しており、キースイッチの基本構造、動作原理、安全設計の要点、製品の選定基準などを理解するためのガイドラインとなります。

■ハンドブックの掲載内容■
1. はじめに
・ハンドブックの目的と概要
・キースイッチの基本概念と重要性

2. キースイッチの構造と動作原理
・キースイッチとは何か?
・キー・キーシリンダーとスイッチの動作メカニズム
・接点部の構造

3. キースイッチの安全設計の要点
・機械的信頼性向上策
 - 防塵防水規格準拠
 - キーの抜け位置
キーの逆挿入の破損リスク管理
・電気的信頼性向上策
 - 強制乖離機構 (直接開路動作機構)
 - 多様な接点材料
・キースイッチの選定方法

4. クラウスアンドナイマー社 キースイッチ製品
・キースイッチ製品ラインアップ
・応用事例・導入事例の紹介


「その、ちょっと困った」を解決する安心で安全な機器装置の設計のヒントが満載です。ぜひダウンロードしてご覧ください。

このカタログについて

ドキュメント名 【技術ハンドブック】 キースイッチの基礎知識と安全設計のポイント
ドキュメント種別 ハンドブック
ファイルサイズ 2.4Mb
取り扱い企業 クラウスアンドナイマー株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧)

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このカタログの内容

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なる ほど 安⼼・安全を実現︕ 防塵防⽔や強制乖離機構など解説 キースイッチの基礎知識 と安全設計のポイント 応⽤事例・導⼊事例紹介も 20240606
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目次 04 1. はじめに  ハンドブックの目的と概要  キースイッチの基本概念と重要性 05 2. キースイッチの構造と動作原理  キースイッチとは何か︖  キー・キーシリンダーとスイッチの動作メカニズム  接点部の構造 07 3. キースイッチの安全設計の要点  機械的信頼性向上策  防塵防水規格準拠  キーの抜け位置  キーの逆挿入の破損リスク管理  電気的信頼性向上策  強制乖離機構 (直接開路動作機構)  多様な接点材料  キースイッチの選定方法 11 4. クラウスアンドナイマー社 キースイッチ製品  キースイッチ製品ラインアップ  応⽤事例・導入事例の紹介 16 5. おわりに 3 20240606
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1. はじめに ■ ハンドブックの目的と概要 本技術ハンドブックは、産業⽤キースイッチの基本知識を 体系的に提供することを目的としています。特に初心者の エンジニア、購買担当者、および、営業担当者向けを意識 して作成しており、キースイッチの基本構造、動作原理、安 全設計の要点、製品の選定基準などを理解するためのガ イドラインとなります。 産業⽤キースイッチは、多くの産業機器において重要な 役割を果たしており、その信頼性と機能性は、機器全体の パフォーマンスに大きな影響を与えます。本ハンドブックでは、まずキースイッチの基本概念とその重要性について解説し、 その後に具体的な構造や動作原理に関して詳細に解説します。さらに、安全設計の要点についても重点的に取り上げ、 キースイッチの機械的および電気的な信頼性を向上させるための方策を紹介します。これにより、エンジニアは設計・開 発の際の参考に、購買担当者は適切な製品選定に、営業担当者は顧客への提案に活⽤できるようになります。最後 に、クラウスアンドナイマー社の製品ラインアップや具体的な導入事例を紹介し、実際の使⽤場面での応⽤例を示しま す。 ■ キースイッチの基本概念と重要性 キースイッチは、電気回路を開閉するためのデバイスであり、産業⽤機器の操作と制御において重要な役割を果たし ます。その基本的な機能は、ユーザーのキー操作によって物理的な接点を投入または遮断し、機械や装置の電源や特 定の機能を制御することです。キースイッチは、キーの挿入と回転によって操作されるため、誤操作が起こりにくく、高いセ キュリティが求められる⽤途に適しています。 産業⽤キースイッチは、特に過酷な環境での使⽤を前提に設計されています。これには、防塵防水、耐衝撃性を備 え、工場の自動化システム、制御パネル、重機、計測機器などで広く使⽤されています。これらのスイッチの信頼性と耐 久性は、産業機器の安全性と効率性に直結しています。 例えば、工場の自動化システムでは、キースイッチを使⽤して機械の動作を開始・停止させたり、特定の操作モードを 選択したりします。このような環境では、スイッチの故障や誤動作が生産ライン全体の停止や重大な事故につながる可 能性があるため、非常に高い信頼性が求められます。また、産業⽤キースイッチは、ユーザーインターフェースの一部とし ても重要です。操作の直感性とフィードバックの明確さが、作業の効率化と誤操作の防止に寄与します。適切なキース イッチの選定と設計は、操作性の向上とともに、機器全体のパフォーマンスと安全性を高めることに繋がります。 4 20240606
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2. キースイッチの構造と動作原理 キースイッチは、産業⽤機器の操作と制御において重要な役割を果たすデバイスであり、その構造と動作原理を理解す ることは、適切な選定と設計において極めて重要です。ここでは、キースイッチの基本構造、キーとキーシリンダーのメカニズ ム、接点構造について詳しく解説します。 ■ キースイッチとは何か︖ キースイッチは、キーを⽤いて操作するスイッチであり、特定のキーをキーシリンダーに挿入して回転させることで、キーシ リンダーと連結されたスイッチの接点を開閉するデバイスです。操作にキーを使⽤することで、不正な操作を防ぎ、機器の 安全性とセキュリティを高める役割を果たします。産業分野では、キースイッチは制御パネル、自動化システム、重機など に組み込まれ、機器の動作開始や停止、特定のモードの選択を⾏います。例えば、生産ラインの制御や開始・停止装 置として使⽤されることが多く、確実な操作が求められる環境でその真価を発揮します。 キースイッチは多様な形状や機能を持つキースイッチが存在し、それぞれの⽤途に応じて最適な製品を選定することが 重要です。適切なキースイッチを選ぶことで、産業機器の安全性と効率性を大幅に向上させることが可能となります。 図 1. キースイッチの構成イメージ ■ キー・キーシリンダーとスイッチの動作メカニズム キーとキーシリンダーの動作メカニズムは、キースイッチの基本的な動作原理を⽀える重要な要素です。一般的なキー シリンダーは、内部に 2 種類のピンやディスクを持つ構造で、特定のキーを挿入するとキーの刻みによってピンやディスクを 上下させることが出来ます。そして、上筒と下筒の境界(シアライン)に上ピンと下ピンが整列し、その整列した状態でのみ シリンダーを自由に回転させることが出来ます。 シリンダーが回転すると、そこに接続されたスイッチのアクチュエータ(シャフト形状の軸)がスイッチ内部のカムやギアを 動作させ、電気回路の接点が開閉します。この動作により、機器の電源をオン・オフしたり、特定の回路を制御させたり することができます。このキーとキーシリンダーの機能によって、不正なキーや操作方法ではスイッチに回転操作を伝達出 来ないためセキュリティを高める効果ことが可能となります。 ばね 外筒 上ピン 下ピン シアライン 内筒 キー 図 2. キーを挿入していない状態 図 3. キーを挿入した状態 5 20240606
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■ 接点部の構造 スイッチの動作についてはカムスイッチを例に詳しく解説します。一般的なカムスイッチは、ハンドルの回転操作をハンド ルに接続されたシャフト(軸)を介して、カムにその回転操作を伝え、カムが接点を開閉させて導通を切り替えます。キー スイッチの場合には、このハンドル部がキーとキーシリンダーに置き換わっています。さらに詳しく個々の部品の動作を以下 に説明します。下図 4~7 はカムスイッチの内部構造を示しています。カムは、筐体の中心部に位置しており、カムはどの 角度で接点を ON/OFF させるかによって凹凸を設計され、加工されています。キーを回転させると、その回転がカムに 伝達され、カムが回転します。そしてカムの凹凸によりカムはプッシュロッドを押したり、引いたり(正確には接点ばねによっ て押し返される)します。プッシュロッドは可動接点を固定しており、プッシュロッドが動けば可動接点が動きます。図 4 は 1 ステージに 2 つの接点を持つスイッチを示しています。導通経路は図 5 に示すように固定接点→可動接点→固定接 点のように電流が流れ、⼆か所の接触箇所で開閉します。図 6 は上下の 2 接点が ON 状態となっています。そして、 ハンドルを 90 度操作させた状態が図 7 です。カムの凹凸にプッシュロッドが連動して動き、可動接点を動かすことで固 定接点と可動接点を接触させたり、離れさせたりすることで ON/OFF を制御しています。 接点ばね 可動接点 固定接点 接点ばね 端⼦ネジ 可動接点 電流 プッシュロッド カム 固定接点 図 4. カムスイッチ内部構造 図 5. カムスイッチ接点構造 接点が接触 接点が接触 していない カムの凹部にプッシュロッド がはまって接点が ON カムの凸部に プッシュロッド が押されて接点が OFF 図 6. 上下 2 接点ともに ON 状態 図 7. 上下 2 接点ともに OFF 状態 6 20240606
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3. キースイッチの安全設計の要点 産業⽤機器の信頼性と操作の確実性を確保するためのキースイッチの安全設計の主要な要点を解説します。 機械的信頼性向上策 ■ 防塵防水規格準拠 (IP 規格) 産業⽤キースイッチは、過酷な環境での動作が求められるため、防塵防水性能が重要で ●IP 表示説明 す。防塵防水規格(IP 規格)に準拠したキースイッチを選ぶことで、粉塵や水の侵入を IP□□ 防ぎ、機器の信頼性と耐久性を確保できます。IP 規格は、IPxx の形式で表され、最初 の数字が防塵性能、⼆番目の数字が防水性能を示します。 ① ② 例えば、IP66 規格に準拠したキースイッチは、完全な防塵性能と、あらゆる方向からの 保護特性記号 (International )Protection) 強い水流に対する防水性能を持っています。これにより、粉塵の舞う工場や風雨にさらされ る屋外などの厳しい環境でも、キースイッチが正常に動作し続けることが保証されます。 ●IP(International Protection): IEC60529 に基づいて規定された固形異物と水に対する電気機器/キャビネットの保護等級表示です。 ① 第 1 記号 人体および固形異物に対する保護 第 1 記号 記述 保護の程度 0 無保護 特には保護されていない。 人体の表面積の大きな部分、例えば手などが誤って内部の充電部や可動部に接触する恐れがない。直径 1 50mm より大きい固形物に対する保護 50mm を超える固形物体が内部に侵入しない。 指先、又は⻑さが 80mm を超えない指先類似物が内部の充電部や可動部に接触する恐れがない。直径 2 12mm より大きい固形物に対する保護 12mm を超える固形物が内部に侵入しない。 3 2.5mm より大きい固形物に対する保護 直径又は厚さが 2.5mm を超える工具やワイヤなどの固形物体の先端が内部に侵入しない。 4 1.0mm より大きい固形物に対する保護 直径又は厚さが 1.0mm を超えるワイヤが銅帯などの固形物体の先端が内部に侵入しない。 5 防塵形 粉塵が内部に侵入することを防止する。若⼲の粉塵の侵入があっても正常な動作を阻害しない。 6 耐塵形 粉塵が内部に侵入しない。 ② 第 2 記号 水の浸入に対する保護 第 2 記号 記述 保護の程度 試験方法 0 無保護 特には保護されていない。 試験なし。 鉛直に落下する水滴によって有害な影響を受 滴水試験装置にて鉛直滴下を 10 分間散水する。 1 滴下する水に対する保護 けない。 正常な取付位置より 15°以内の範囲で傾斜 滴水試験装置にて15°傾けて設置し、10分間(各方向2.5分間) 15°傾斜した時落下する水に 2 した時、鉛直に落下する水滴によって有害な影 散水する。 対する保護 響をうけない。 鉛直から 60°以内の噴霧水に落下する水によ 各散水孔当り 0.07L/min で鉛直方向から両側に 60°までの角度で 3 噴霧水に対する保護 って有害な影響をうけない。 10 分間散水する。 いかなる方向からの水の飛沫によっても有害な 各散水孔当り 0.07L/min であらゆる方向から 10 分間散水する。 4 飛沫に対する保護 影響をうけない。 いかなる方向からの水の直接噴流によっても有 放出部ノズル径φ6.3、12.5L/min であらゆる方向から外皮表面積 5 噴流水に対する保護 害な影響をうけない。 1 ㎡当り 1 分間のべ少なくとも 3 分間以上散水する。 波浪または、いかなる方向からの水の強い直接 放出部ノズル径φ12.5、100L/min であらゆる方向から外皮表面積 6 波浪に対する保護 噴流によっても有害な影響をうけない。 1 ㎡当り 1 分間のべ少なくとも 3 分間以上散水する。 規定の圧⼒、時間で水中に浸漬しても有害な 水深 1m(機器の高さが 850mm より低い場合)に 30 分間没す 7 水中への浸漬に対する保護 影響をうけない。 る。 製造者によって規定される条件に従って、連続 メーカーと機器の使⽤者間の取決めによる。 8 水没に対する保護 的に水中に置かれる場合に適する。原則として 完全密閉構造である。 7 20240606
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■キーの抜け位置 キーの抜け位置もキースイッチを使⽤する装置の設計において重要な要素です。例えば、キーの管理者のみキースイ ッチを⽤いて電源のオン/オフ操作が出来る装置があったとします。また、その装置のキースイッチはオン位置でもオフ位置 でもキーを抜くことが出来るとします。仮にこの装置を管理者がオン状態でキーを抜いて、その装置のある現場から離れ たとします。そして、監督者が現場から離れている状態で、突然、予期せぬ異常や事故が発生して、その装置を緊急で 停止させたいケースが発生したとします。しかしながら、キーを持った監督者は現場にいないために装置を停止すること出 来ません。結果として、異常事態を止めることが出来ず問題が拡大してしまいました。このケースで分かるように、電源に 使⽤されるキースイッチはオフ位置でのみキーを抜けるよう設計されるべきです。しかしながら、逆に装置がオン状態でな ければ現場のシステム全体としては危険な状態であり、不⽤意に停止させられると問題が発生する場合もありますので、 その場合にはオン位置のみでキーが抜けるよう設計されるべきです。つまり、キーの抜け位置はその装置の⽤途や全体の システムを考慮して設計されるべきであり、安全性にも深くかかわる重要な要素となります。さらにキーの抜け位置は場 合によっては 1 か所だけでなく、複数個所で抜けた方が装置の機能性や安全性を高めることが出来る場合もあるので、 抜け位置が柔軟に選択できる方が装置や設備の設計の自由度が高まります。 ※円に棒が入っている部分がキーの抜け位置 図 8.クラウスアンドナイマー社キースイッチの標準キー抜け位置の一例 ■ キーの逆挿入の破損リスク管理 リバーシブルで使⽤できるキーとシリンダーの構造を持つ製品を選ぶことは、キーの逆挿入によるシリンダーの損傷を防ぐ 上で効果的です。リバーシブルキーは、どちらの方向からでも挿入できるため、逆挿入のリスクがなく、キーやシリンダーを 誤って破損することを避けられます。ちょっとしたことですが、リバーシブルであることは、ユーザーにとって使い易さにも影響 しますし、キーやシリンダーを⻑年にわたって信頼性高く使⽤できこととなりますので⻑期的にはコスト削減にも寄与します。 図 9. リバーシブルでないキー(上下非対称) 図 10. リバーシブルキー(上下対称) 8 20240606
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電気的信頼性向上策 過電流や短絡による接点溶着に対しては強制乖離機構のスイッチの採⽤が有効です。また、使⽤環境によっては接 点⾦属材料を腐⾷させるガスや粉塵もありますので、それらの環境に適した接点材料の選択も必要になります。以下に、 強制乖離機構と接点材料について解説します。 ■ 強制乖離機構 強制乖離機構(直接開路動作機構/direct opening action)は、産業⽤キースイッチの電気的信頼性を向上さ せる重要な設計要素です。この機構は、仮にスイッチ接点が何らかの異常で溶着していても、スイッチが操作される際に は接点が確実に物理的に開くこと(引き剥がし)を保証しています。これにより、接点の溶着時の事故を防ぎ、安全で確 実な回路の遮断が実現されます。強制乖離機構は、IEC 60947-5-1 および同様の内容を持つ JIS C8201-5-1 規格に準拠して設計されています。これらの規格は、低電圧スイッチギアおよびコントロールギアの動作特性と試験方法 を規定しており、安全性と性能の基準を示しています。IEC 60947-5-1 と JIS C8201-5-1 で規定された強制乖離 機構を備えたキースイッチを選定することで、機器の誤操作や故障リスクを低減し、信頼性の高い運⽤が可能になりま す。このような設計は、特に緊急停止機能や重要な回路の制御において不可⽋です。 ■ 多様な接点材料: 銀接点、⾦接点、セルフクリーニング微⼩電流⽤⾦接 市場には鍵メーカーとスイッチメーカーが提供するキースイッチがあり、それぞれに特徴があります。特に、スイッチメーカー のキースイッチは、スイッチ部分のカスタマイズが柔軟であることが大きな利点です。スイッチメーカーのキースイッチは、使 ⽤環境に応じたカスタマイズが可能です。例えば、接点材料として、標準的な銀接点だけでなく、より環境性能が高い (接点劣化を起こすような雰囲気でも安定した接触が得られる)⾦接点や、図 11 に示すような接点の接触時に表面 を引っ掻くように接触するセルフクリーニング⾦接点を選択できます。 接点が接触して、更にその後に押し込まれたときに、 接点接触部 接触点が横にズレながら表面を削るので、表面の 絶縁層を除去し、クリーニングする効果がある。 可動接点 可動接点 可動接点 固定接点 接点: ⾦ 固定接点 固定接点 固定接点 可動接点(柔軟性あり) 図 11. セルフクリーニング⾦接点の構造と機能模式図 9 20240606
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キースイッチの選定方法 一般的に下記の 6 点をチェックしてキースイッチは適切な製品を選ぶ必要があります。 ① 定格電流・定格電圧 ② 負荷回路/制御回路の種類 ③ 必要なキーの種類 ④ 取り付け方法と銘板の有無 ⑤ 電線の種類・サイズと端⼦ネジのサイズ ⑥ 設置環境 ① 定格電流・定格電圧 適⽤する回路の定格電流、定格電圧を満たす製品を選定します。交流なのか、直流なのか、最大でどの程度の電 圧が印加されるのか、最大電流はいくつかのかによってスイッチ選定します。制御回路の場合には、電圧や電流が⼩さ い場合が多いので、逆に最低電圧と最低電流についても考慮し、動作範囲を満たすかについて確認する必要がありま す。 ② 負荷回路/制御回路の種類 電源(一次側)と負荷回路(⼆次側)の間にキースイッチを配置しますが、スイッチから⾒て負荷側の回路によってカム スイッチを選ぶ必要があります。例えば、負荷回路が抵抗性の回路(例えば負荷種別 AC-21A)であれば開閉時の接 点に与えるダメージも比較的⼩さくなり、定格電流が⼩さな製品で使⽤することが出来ます。一方、負荷回路が直流 モーターのような誘導性の回路(例えば時定数τ=50ms)であれば、接点に与えるダメージは大きくなり、より大きな電 流を扱える製品を選ぶ必要があります。さらに、多数の回路を同時に開閉するのであれば、接点数を増やして、同時に 2 回路、3 回路、またはそれ以上の回路を一つのキースイッチで制御することも可能です。 ③ 必要なキーの種類 設計される⽤途に応じて何種類のキーが必要かを決めます。 ④ 取り付け方法と銘板の有無 キースイッチをどのような設置場所に取り付けるのかを確認します。制御盤にパネル取り付けをする場合はパネル取り 付けタイプ、制御盤の中に収納してしまう場合は背面取り付けタイプを選択します。また、スイッチに銘板が付ける必要 があるのか、銘板無しのタイプにするのかを選択します。 ⑤ 電線の種類・サイズと端⼦ネジサイズ キースイッチに接続する電線の種類・サイズ・方法を確認します。電線の種類と電線径によってスイッチの端⼦に接続 できるサイズが異なってきます。また、圧着端⼦を使う場合には丸型圧着端⼦対応の端⼦構造なのか、または、裸線を そのまま接続するのかによってもスイッチの選定が異なります。さらに圧着端⼦を使⽤するにしても圧着端⼦の外形サイ ズの大⼩によってスイッチの端⼦部に接続できるかを確認する必要が出てきます。端⼦ネジのサイズに合うかを確認する 必要もあります。 ⑥ 設置環境 設置場所が屋内なのか、屋外なのか、塵埃や粉塵を考慮すべきなのかによって必要とされる IP 保護等級を決ます。 10 20240606
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クラウスアンドナイマー社  キースイッチ製品ラインアップ  応⽤事例・導⼊事例紹介 11 20240606
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4. クラウスアンドナイマー社 キースイッチ製品 クラウスアンドナイマー社では、幅広いキースイッチラインアップを揃えており、定格電流の電流レンジは 1mA から 32A までをカバーしています。定格電圧も 440V 以上となっていますので⽇本国内の低圧産業機器⽤途で問題なくご使⽤ できます。ただし、制御信号の切替の場合には最低電圧/電流にもご注意が必要となります。さらに、ご使⽤雰囲気に よっては通常の銀接点ではなく、⾦接点、ツインコンタクト⾦接点、セルフクリーニング⾦接点をご選択できます。 ■キースイッチ⽤スイッチライプ一覧 銘板サイズ スイッチタイプ 定格電圧 定格電流 最大 端⼦ネジ 丸型圧着 接点構造 最低 (V AC) (A) 接点数 サイズ 端⼦対応 接点材料 電圧/電流 CGD4-1 440 5 16 M2.5 × セルクリーニング/⾦ 1mV/1mA CG4-1 440 10 16 M2.5 × ツインコンタクト/⾦ 12V/3mA S00 サイズ (□30mm) CG4 440 10 16 M2.5 × 通常接点/銀 20V/5mA CHR6 690 20 8 M3.5 ○ 通常接点/銀 20V/5mA CHR6-1 690 16 8 M3.5 ○ 通常接点/⾦ 12V/3mA CAD11 600 6 24 M3 × セルクリーニング/⾦ 1mV/1mA CA10 690 20 24 M3 × 通常接点/銀 20V/5mA CA10-1 690 20 24 M3 × 通常接点/⾦ 12V/3mA CHR11 690 6 24 M3.5 ○ セルクリーニング/⾦ 1mV/1mA S0 サイズ (□48mm) CHR10-1 690 16 24 M3.5 ○ 通常接点/⾦ 12V/3mA CHR10 690 20 24 M3.5 ○ 通常接点/⾦ 20V/5mA CHR16 690 25 24 M3.5 ○ 通常接点/銀 20V/5mA CA20 690 25 24 M3.5 × 通常接点/銀 20V/5mA CA25 690 32 24 M4 × 通常接点/銀 20V/5mA ■接点構造 接点ばね 可動接点(銀/⾦) 可動接点(⾦) 可動接点(⾦) 固定接点(銀/⾦) 固定接点(⾦) 固定接点(⾦) 図 a. 通常接点(銀/⾦) 図 b. ツインコンタクト⾦接点 図 c. セルフクリーニング⾦接点 ■主なキーの種類 ● S00 サイズ⽤ ● S0 サイズ⽤ (リバーシブル) キー種類 50 通り キー種類 数万通り 抜け位置 最大 12 箇所(30 度毎) 図 d. 標準キー 図 e. micromec キー 図 f. 標準キー 図 g. KABA キー 12 20240606
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■外形寸法 ( 保護等級 IP66/69k ) ■ 取り付け⽳寸法 ● S00 サイズ キースイッチ ● S00 サイズ キースイッチ L1 アダプタ使⽤時 ● S0 サイズ キースイッチ ● S0 サイズ キースイッチ ● 奥⾏き L1 寸法 CHR11 CGD4-1 CHR10 CAD11 CG4-1 CHR6 CHR10-1 CA10 接点数 CG4 CHR6-1 CHR16 CAD10-1 CA20 CA25 1~2 38.5 43.5 43.5 33.5 37.7 39 3~4 50.5 57.5 57.5 43 50.4 53 5~6 62.5 71.5 71.5 52.5 63.1 67 7~8 74.5 85.5 85.5 62 75.8 81 9~10 86.5 99.5 71.5 88.5 95 11~12 98.5 113.5 81 101.2 109 13~14 110.5 127.5 90.5 113.9 123 15~16 122.5 141.5 100 126.6 137 17~18 - 155.5 109.5 139.3 151 19~20 - 169.5 119 152 165 21~22 - 183.5 128.5 164.7 179 23~24 - 197.5 138 177.4 193 単位:mm 13 20240606
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応⽤事例・導⼊事例の紹介 ⾷品機械メーカー: 毎⽇の清掃と⾼圧洗浄に耐えうる⾷品機械装置の開発に成功︕ 課題 方法 結果 ⾷品機械市場向けは衛生管 キースイッチでありながら防塵 防塵防⽔ IP66 を特徴と 理のために毎⽇の清掃と⾼圧 防⽔ IP66 対応のクラウスア した⾷品機械装置を開発 洗浄に耐えられる防塵防⽔ ンドナイマー社製キースイッチ することが出来た。また、浸 性能を求められ、特に IP66 を採⽤した。 水による機器故障の市場 対応のキースイッチを探してい クレームが激減した。 た。 保護等級 IP66 UP NEW! 防⽔性 品質 防⽔ ⾃動⾞メーカー: 荒っぽい取り扱いにも耐えうる堅牢な⽣産設備への対応に 課題 方法 結果 生産ライン⽤ロボットのティー 国内外のキースイッチ 7 社の 国内外を問わずキーの折 チングコントローラに国内製キ サンプルを入手し、強度試 れ・曲げ問題が解消され、 ースイッチを使⽤していたが、 験・検証の結果、クラウスア 部品交換やメンテナンスの 特に海外工場でキーの折れ・ ンドナイマー社製のキースイッ 工数が削減できた。 曲げによる交換作業が多発 チを採⽤した。 し、堅牢性の高いキースイッチ 強度試験 ⼯数削減 が必要だった。 キー破損 14 20240606
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屋外電動ゲートメーカー: 屋外の直射⽇光の当たる環境下でも⾼寿命に 課題 方法 結果 屋外設置のチェーン式電動 外部露出部に耐候性樹脂を 耐久性が上がって部品交換 ゲートに採⽤したキースイッチ 採⽤し、更に耐環境性防⽔ゴ 頻度が⼤幅に減った。また、 が経年劣化による部品交換 ムを使⽤したクラウスアンドナイ 交換時の⼈件費を抑えるこ 頻度が高く困っていた。特 マー社製のキースイッチを採⽤ とが出来た。 に、直射⽇光があたるため、 した。 ⼈件費削減 外部露出部の耐候性・防 塵防⽔性に課題があった。 耐候性 ⾃動⾞設備メーカー: 反応性ガスの含まれる環境下でも安定運転できる設備を実現 課題 方法 結果 スイッチの接点は銀系接点 反応性ガスにも安定している 接点導通不具合がなくな 材料が一般的であるが、使 ⾦接点を⽤いたスイッチを使 り、設備として安定的に運 ⽤環境かの雰囲気中に銀系 ⽤し、さらに接点表面のクリー 転・操業できるようになった。 接点を腐⾷させるガスが含ま ニング効果がある特殊接点 れており、接点の腐⾷による 構造を持スイッチを使⽤したキ 導通不具合が発生してい ースイッチを採⽤した。 た。 反応性ガス ⾦接点 15 20240606
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5. おわりに 本技術ハンドブックでは、産業⽤キースイッチの基本概念、構造、動作原理、安全設計の要点について詳しく解説し ました。キースイッチは、産業機器の操作と制御において重要な役割を果たしており、その信頼性と耐久性は機器全体 のパフォーマンスに大きく影響します。 各章で述べたように、キースイッチの選定や設計には、機械的および電気的な信頼性を向上させるための多くの要素 が含まれます。防塵防水性能、強制乖離機構、過電流・短絡対策、多様な操作モードとカスタマイズ性など、さまざま な条件を考慮することが必要です。クラウスアンドナイマー社の製品ラインアップを通じて、具体的な導入事例も紹介し ました。これにより、実際の使⽤環境での応⽤例を理解し、適切なキースイッチの選定と運⽤の参考にしていただけるこ とを願っています。本ハンドブックが、初心者のエンジニア、購買担当者、営業担当者など、全ての読者のキースイッチに 対する知識を深め、さらに実務に役⽴てるための一助となることを期待しています。 クラウスアンドナイマー株式会社 東京本社 〒105-0013 東京都港区浜松町 1-11-6 吉和田ビル 5F TEL (03)3436-6151 FAX (03) 3436-6325 大阪営業所 〒541-0054 大阪府大阪市中央区南本町 2-4-6 インターワンプレイス本町 405 TEL (06)4705-8281 FAX (06)4705-8299 E メール sales-jp@krausnaimer.com Web サイト https://www.krausnaimer.com/jp̲ja 16 20240606