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恥ずかしがらずに聞いちゃいました。これ、ちょと面白いです。 樹脂に関する疑問や加工に関する疑問に回答してます。
樹脂加工の業界ってどんなことをしているのか、聞きづらいことから素朴な疑問まで、
新入社員の目線からそのノウハウをわかりやすく説明しています。
皆様から新たな疑問がございましたら何なりとご質問ください。
このハンドブックは皆様の声を繁栄させてこれからも追記させて頂く予定です。
このカタログについて
ドキュメント名 | 樹脂加工専門メーカーQ&A集-39問 樹脂加工品のプロフェッショナルからお伝えしたいこと |
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ドキュメント種別 | ハンドブック |
ファイルサイズ | 656.7Kb |
取り扱い企業 | 古賀電機株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
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このカタログの内容
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樹脂加工専門メーカー
直 伝 !
Q&A
39問集めました
恥ずかしがらずに聞いちゃいました。
これ、ちょっと面白いです。
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① 材料編
Q1 加工しやすい材料、加工しにくい材料ってありますか?
A. 引張伸び率が高いものや加工時に切り粉(切削時にでる削りかす)が絡みやすい物などは、
加工する際に、刃物が折れないよう気を付ける必要が有ります。
特に PPや PE は引張伸び率が高い材質となります。
また、カーボンやガラスが混ぜてある材料は硬いため、切削抵抗が大きくなります。
その為、加工後のソリや、刃物の摩耗に注意が必要となり、こちらも加工しにくい材料と言えます。
Q2 板材と丸棒の使い分けはどうしてますか?
A. 板材 →立方体形状の部品加工に使用します。主にフライス・マシニングを用いた加工を行います。
また、サイズの大きい円形の加工には、8 角形に切り出して旋盤加工をする場合もあります。
丸棒 → 円柱形の部品加工に使用します。主に旋盤を用いた加工を行います。
Q3 材料ってどうやって製作されていますか?
A. ペレット材と呼ばれる粒状のものから、一枚の板や丸棒が成型されています。
成型方法につきましては、基本的にペレットを溶かして、型に押し入れ、徐々に成型します。
イメージとしては、ところてんを押し出しているイメージです。
Q4 よく使われる材料はなにがありますか?
A. 使われる材料は多岐にわたり、弊社には常時 40種類以上の材料在庫があります。
弊社でよく使用している材料は、PI・PC・POMが多いです。
PI=非常に高価ですが、耐熱温度が非常に高く、真空内でのアウトガス性にも優れています。
PC=透明樹脂の中では耐熱温度が 1番高く、曲げ強度も高いです。
POM=安価な材料ですが、非常にバラスが良く、切削性も良いです。
Q5 材料の色によって違いはありますか?
A. 着色しただけの物に関しては、違いはありません。
しかし中には、カーボンファイバー等を添加し特定の機能を付与するものがあります。
例としましては、MCナイロンにカーボンを添加したもので導電グレードが有ります。
本来樹脂は電気を通しませんが、カーボンを添加すれば電気抵抗値が下がり、静電気を拡散してくれる特性が加わり
機能性樹脂となります。
MCナイロンは通常青色ですが、カーボンは黒い為、必然的に黒色になります。
Q6 樹脂は接着加工って出来ますか?
A. 材料によっては可能です。
接着では、溶剤で樹脂を溶かして溶着する事が一般的です。
代表的なものとして、塩ビ(PVC)、アクリル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ABS 等があります。
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Q7 樹脂は曲げ加工って出来ますか?
A.材料によっては可能です。
熱で温めて曲げ加工を行いますので、必然的に耐熱温度が低いものとなります。
曲げ加工に関しては、直角曲げ・R 曲げ等、お客様の要望に合わせて加工可能です。
※R曲げには木型の製作が必要となります。
代表的なものとして、塩ビ(PVC)、アクリル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ABS 等があります。
Q8 有害物質を含む材質はありますか?
A. 弊社では全ての材質において含有物質の調査を行っており、毒物及び劇物取締法等の禁止物質や、RoHS2等の制限
物質、REACH・SVHC等の管理物質に対応しております。
Q9 材料はどのくらいの大きさで入荷されますか?
A. 板材の規格は 500×1000、1000×1000、1000×2000
丸棒は規格の長さが 1000㎜、2000㎜ が一般的な大きさです。
Q10 材料はそのままの大きさで加工しますか?
A. 板材の場合は製品サイズ+5 ㎜程度にカットして加工しております。
丸棒の場合は一つずつ加工して切り落とすため、切り落とししろが必要になります。
Q11 昔と今で使われる材料は変わっていますか?
A. 昔はベークライトが主流でしたが、現在では一般工業、食品機器、医療機器、半導体機器など、用途に応じて様々な
種類の材料を使用しています。
Q12 樹脂ってどんな歴史がありますか?
A. 数千年前に樹木より樹液を抽出したものが一番最初の天然樹脂です。
その後研究を重ね、1909 年にアメリカのベークランド博士によって、フェノール樹脂が初めて工業化に成功しまし
た。
これが、初めて人工的に(植物以外の材料から)合成されたプラスチックになります。
Q13 においのある樹脂ってありますか?
A. ベークライトは、フェノール臭という刺激臭がしますが、ほとんどの樹脂は無臭になります。
Q14 樹脂の種類によって重さは違いますか?
A. それぞれの材質によって重さが異なります。
重い樹脂 → テフロン(PTFE) 水の約 2 倍の重さがあります。(比重:2.2)
軽い樹脂 → ポリエチレン(PE) 水に浮くほどの軽さです。(比重:0.95)
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② 加工編
Q2-1 時間が掛かり、加工困難な品物はありますか?
A. 形状が複雑で工程が多いものや、寸法公差や幾何公差が厳しいものは加工に時間がかかってしまいます。
また、極端に薄い部分があるものや大きさが極端に小さい・大きい物や、形状にアンダーカット(刃物が入らないよ
うな形状)は困難な加工になります。
Q2-2 加工時に固定するものは何を使用していますか?
A. バイス、チャック、両面テープ、真空チャックなどで、加工に応じた最適な方法で、
加工品を固定しております。
Q2-3 精度はどれくらいでますか?
A. 基本的には工作機械の精度保証内にて加工しています。
樹脂は温度変化による寸法膨張が金属と比べると大きい為、どうしても金属よりも精度が安定しません。
30μの公差内を目安に仕上げておりますが、大きさや形状にもよりますので、お問い合わせください。
Q2-4 フライスで加工出来るものはどんなものですか?
A. ブロック形状のものです。
特に板厚加工に関しては、早く仕上げることができます。
Q2-5 6 面フライスとはなんですか?
A. ブロック材の全面(6 面)にフライス加工を施すことです。
Q2-6 旋盤で使用する材料は、丸棒だけではなく板材でも対応可能ですか?
A. 対応可能です。板材を 8角形に切断して加工しております。
Q2-7 旋盤で加工できる部品はどんな形状ですか?
A. 旋盤は材料を回して旋削加工するため、円筒の外側を切削したり、内側を中ぐり加工するのが得意です。
Q2-8 旋盤で対応可能な最大サイズはどのくらいですか?
A. 弊社ではφ600まで対応可能です。
Q2-9 ボール盤の工程では何を行っていますか?
A. 穴あけ、タップ加工、ヘリサート挿入などを行っております。
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Q2-10 ヘリサートとエンザートの違いはなんですか?
A. ヘリサート → コイル状になっているヘリサートを挿入して、ねじ山を補強するのに使います。
エンザート → 雌ねじが加工されているブッシュ状のエンザートを圧入、もしくはねじ込みながら挿入します。
単価は高くなりますが、締め付けトルクはヘリサートより強くすることが出来ます。
Q2-11 刃物の寿命はどのぐらいですか?
A. 樹脂加工の場合は金属加工と比べて、仕上げに使える寿命は短くなります。
これは、刃物の状態がそのまま仕上げ面に転化されるためです。
代わりに、全く切れなくなるまでの寿命は金属加工と比べて長く使えます。
Q2-12 3 軸マシニングセンタで使われている XYZ 軸とはなんですか?
A. それぞれの移動方向を X(縦) . Y(横).Z(高さ)で表します。
Q2-13 5 軸マシニングセンタで使われている XYZAC 軸とはなんですか?
A. それぞれの移動方向を X(縦) . Y(横).Z(高さ)で表し、A.・C(回転傾斜軸)を表します。
Q2-14 マシニングのプログラム(動かし方)はどうやっていますか?
A. CAM で加工プロセスを作成し、Gコードに変換した加工プログラムに従って工作機械を駆動させてます。
Q2-15 マシニングセンタで対応可能な最大サイズはどのくらいですか?
A. 弊社では縦 760×横 1540×高さ 500 まで対応可能です。
Q2-16 マシニング・旋盤・ボール盤の刃物は同じものですか?
A. 用途によってそれぞれ異なります。共通で使用できるものも中にはあります。
下記の様々な刃物の中から、加工に 1 番適した刃物を選定して加工しております。
●ボール盤
ドリル、リーマ、タップ等
●旋盤
バイト(外径バイト、内径バイト、ねじ切りバイト、溝入れバイト等)
●マシニング
エンドミル、ボールエンドミル、ドリル・カッター等
~マシニングで使用する~
~ボール盤で使用する~ ~旋盤で使用する~
エンドミル・ボールエンドミル
ドリル・リーマ・タップ 外径・内径・ねじ切り・溝入れバイト
ドリル・T スローカッター
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③ その他
Q3-1 金属製品を樹脂化するメリットはありますか?
A. 色々ありますが、4点例に挙げて紹介させて頂きます。
① 軽量化
樹脂と金属の 1番の違いは重さにあります。
比重で比較すると「樹脂の比重:1~2」「鉄や銅の比重:8~9」「アルミニウムの比重:3」
鉄や銅と比較すると、約 1/4~1/10。アルミニウムと比較しても約半分の軽さとなります。
軽量化によって、省エネルギー効果をもたらすことが可能です。
② 耐薬品性
金属は一部を除き、酸化しやすく錆が発生します。また酸やアルカリにも侵されやすいという特性があります。
樹脂の場合は、薬品に応じて材質を選定すれば、耐薬品性に優れたものが必ずあります。
正しい材質選定を行えば、部品劣化を防ぐ効果が期待できます。
③ 透明なものが製作可能
金属には透明なものが有りませんが、樹脂にはあります。
中が見えず、作業性が悪かった場所も樹脂にすることにより、可視化が可能です。
④ 柔らかい
金属は非常に硬く、丈夫ですが相手側に傷をつける可能性があります。
その反面樹脂は柔らかいので、相手側に傷をつける可能性を減らせます。
Q3-2 成形品と切削品の違いはなんですか?
A. 成型品は型に樹脂を流し込んで作り、切削品は板材や丸材から削って作ることを言います。
成型品は大量生産、切削品は少量多品種に向いていると言えます。
Q3-3 切粉、バリとはなんですか?
A. 切粉 → 切削した際に出る削りかす。
バリ → 加工時に発生するカエリ(残留物)
Q3-4 加工品の価格はどうやってつけていますか?
A. 加工費(加工時間)+材料費=加工品の価格となります。
Q3-5 加工時間はどうやって出していますか?
A. 切削量と加工方法で加工時間を計算しております。
Q3-6 作った加工品はどのように使われていますか?
A. 様々な産業機械の中へ組み込まれて使われています。
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Q3-7 図面はどうやって作成していますか?
A. 製図ソフト(CAD)を用いて図面を作成しています。
弊社では SolidWorksを使用しております。
Q3-8 加工機は日本だけで作られていますか?
A. アメリカ・欧州・中国・韓国・台湾などでも作られています。
Q3-9 マシニング・フライス・旋盤・ボール盤に難しさ(扱いやすさ)に違いはあるの?
A. マシニングや NC 旋盤は数値制御(NC 制御)で駆動して、フライス・汎用旋盤・ボール盤などの汎用機は作業者が
手で駆動させているため、汎用機には熟練度が必要になります。
数値制御は複雑な動きを、加工プログラムで実行することが出来ますが、汎用機のように手で駆動させる機械は、熟
練度が必要な割には複雑な加工はできません。しかし、加工プログラムが不要なためすぐに加工を始めることが出来
るので、少量ロットの場合は加工時間を短縮することが可能です。
〒140-0011
東京都品川区東大井 1-5-3
TEL:03-5715-2841 / FAX03-5715-2842