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ロボット導入・自動化お役立ち情報 食品編

製品カタログ

食品工場の自動化に関するお役立ち情報をまとめました。

⑴食品工場の自動化の課題とは?
 ①食品工場の自動化を進める上での課題
 ②食品工場の自動化に最適なロボット
 ③まとめ
⑵生の食品をハンドリングすることができるロボットとは?
 ①生の食品のハンドリングに適したロボットの種類
 ②生の食品のハンドリングに適したハンドツール
 ③生の食品をロボットでハンドリングする事例
⑶食品業界での箱詰め作業の自動化
 ①箱詰め作業とは
 ②箱詰め作業が持つ現状の課題
 ③箱詰め作業を効率化するには
 ④箱詰め作業にロボットケーサーを導入するメリット
 ⑤食品業界・飲料業界で箱詰め作業を効率化するポイント
 ⑥まとめ
⑷食品工場の外観検査で利用される外観検査機とは?
 ①外観検査で検出すること
 ②外観検査機とは
 ③ロボットを使った外観検査
 ④外観検査ロボットの構造
 ⑤外観検査機を導入するメリット・デメリット
 ⑥まとめ
⑸食品のラベル貼りを効率化するには?
 ①食品のラベル貼りで生じる課題
 ②ラベル貼り装置について
 ③ロボットを用いたラベル貼り
 ④食品のラベルはなぜ必要?
 ⑤食品のラベルに記載しなくてはならない情報
 ⑥まとめ

このカタログについて

ドキュメント名 ロボット導入・自動化お役立ち情報 食品編
ドキュメント種別 製品カタログ
ファイルサイズ 7.6Mb
取り扱い企業 株式会社JRC(ALFIS) (この企業の取り扱いカタログ一覧)

このカタログの内容

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ロボット導入 自動化 お役立ち情報 食品編 06-6543-8180 〒 550-0011 大阪市西区阿波座2丁目1番1号 CAMCO西本町ビル9階
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株式会社 JRC ロボットSI 事業本部 ロボット導入・自動化お役立ち情報⑩ 食品工場の自動化の課題とは? 食品工場に最適なロボット 製造業ではさまざまな業界で人手不足が課題となっており、工場の自動化に向けて、産業用ロボッ トの導入が急速に進められています。食品業界もその業界のひとつです。 食品工場の人手不足は顕著で、自動化のニーズは高いものの、他の業種に比べると産業用ロボッ トの導入はなかなか進んでいません。これには、食品工場の特有の課題が大きく影響しています。 この記事では、食品工場における自動化を進める上での課題と、食品工場の自動化に向いている ロボットについて解説します。 1 食品工場の自動化を進める上 のと、賞味期限内に消費するために「中小規 での課題 模の食品工場」で、その地域の消費分だけを 製造するものに分かれます。  人手不足解消が急務の食品工場ですが、そ  大規模な食品工場では、既に特定の専用設 の自動化がなかなか進まないのは、いくつか 備やロボットが導入され、自動化が進んでい の課題があるためです。そのなかでも代表的 ます。一方で、中小規模の食品工場では、多 な課題を紹介します。 品種少量生産が多く、従来の産業用ロボット では費用対効果が合いません。 近年、食品製造業の人手不足・人材不足  生産ラインの変更を、柔軟かつ効率的に行 の問題が深刻化しており、生産性の向上 うことができるロボットが、必要とされてい が急務となっています。 ます。 しかしながら、どのように生産性を向上 食品工場における、作業スペースの確保の問題 させ、またそのための課題にどのように 取り組むかを各企業が独力で見つけ出す  中小規模の食品工場では、スペースに対し のは非常に難しい状況です。 て作業効率を上げる必要があるため、作業者 同士の距離が近くなっています。ロボットを 引用元:農林水産省|食品製造業等の生 導入しようとすると、安全性確保のため、従 産性向上 来の生産ラインを大きく変える必要があり、 https://www.maff.go.jp/j/shokusan/sanki/soumu/seisansei. 場合によっては工場内に必要なスペースがな html?_fsi=1pWeivGt くなってしまうことも考えられます。  生産ラインを変更せずに自動化を実現する ためには、人の作業スペースにそのまま配置 食品工場における、多品種少量生産への対応 できる、安全なロボットが必要とされていま  食品工場の形態は、レトルト食品のように す。 「大規模な食品工場」でまとめて生産するも 1
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株式会社 JRC ロボットSI 事業本部 ロボット導入・自動化お役立ち情報⑩ 仕組みを導入する場合、前例となるお手本が 食品工場は、ロボットが苦手とする作業が多い 重要となります。  食品工場のなかには、さまざまな工程があ  お手本があることで、「費用対効果は十分 ります。食品の異物混入検査や完成検査、包 か?」「どのようなメリットがあるか?」な 装・出荷に向けた搬送などは、他の製造業に どを検討することができます。また、事前に おける工程と大きく変わりません。これらの リスクを想定できるため、その対策を自社で 工程のなかには、既に自動化が進められてい 考えたり、お手本の企業に相談したりするこ るものもあります。 とも可能です。  しかし、肉や野菜などの食材を扱ったり、  食品工場では、業界における自動化が進ん 製造した食品を盛り付けたりする作業をロ でいないため、自社で導入を検討する際に、 ボットで行うのは困難です。ロボットは、や 参考にできる企業がほとんどありません。導 わらかいものやひとつひとつ形が異なるもの 入してはじめて致命的な課題が発覚するリス を扱うことが苦手なため、人と同等レベルの クを考慮すると、導入に踏み切れない企業が 作業ができず、導入の障壁となっています。 多いでしょう。  また、水産加工などでは水や塩分を常に扱 うことになります。他の産業では問題なく導 2 食品工場の自動化に最適なロ 入できる場合でも、塩水の影響により部品の ボット 劣化が速くなるため、耐久性が大きく低下す る可能性があります。  食品工場の自動化の課題を解決し、食品工 場の人手不足を解消するため、多くのメー 食品工場のロボットによる異物の混入リスク カーがロボット開発に取り組んでいます。  食品工場へロボットを導入するリスクのひ  多品種少量生産への対応や、狭いスペース とつに、異物混入があげられます。食品を に対しては、安全柵が不要で人と一緒に働く 扱っている最中に、ロボットの剥がれた塗装 ことできる「協働ロボット」が開発されてい が混入してしまうリスクを懸念する声もあり ます。ダイレクトティーチングによって、作 ます。また、メンテナンスに使用する油など 業を覚えさせるのも従来よりかんたんになっ も異物混入リスクのひとつです。 ています。  人が作業をする場合も、髪の毛などの異物  また、ロボットが苦手とする食品工場での 混入リスクはありますが、長年の経験で対策 作業を効果的にこなすために、人間の触覚に がある程度明確になっているため、リスクを あたる力覚センサを用いて、情報をフィード 抑えることが可能です。一方で、比較的新し バックできるものがあります。食品にあわせ いロボットの場合では、対策が十分に把握で たロボットハンドが開発され、これらは用途 きず、導入をためらう大きな理由になってい に応じて使いわけられています。 ます。  異物の混入に関しても、ロボット本体の定 食品工場でのお手本がないためさらに導入が 期的なメンテナンスを実施することに加え て、塗料が剥がれにくいコーティングなどが 進まない 開発されており、リスクが低減されています。  産業用ロボットに限らず、新たなツールや  今後、これまでの課題がひとつづつクリア 2
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株式会社 JRC ロボットSI 事業本部 ロボット導入・自動化お役立ち情報⑩ できていければ、食品工場においてもロボッ トの導入が進み、前例を参考にしながらさら に導入企業が拡大していくでしょう。 3 まとめ  食品工場は、深刻な人手不足に陥っていな がら、その自動化はまだまだ進んでいません。 そこには、中小規模の工場が多く、不定形で 多品種少量生産を行うといった、食品業界特 有の要因があります。近年、協働ロボットな どの開発も進み、食品にあわせたロボットハ ンドも開発されているため、今後は導入が拡 大していくでしょう。 3
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株式会社 JRC ロボットSI 事業本部 ロボット導入・自動化お役立ち情報⑩ 生の食品をハンドリングすることがで きるロボットとは? ロボットの選定基準や設計事例 製造業では深刻化する人手不足への対策として、あるいは品質の安定や過酷作業の代替を目的 として、人が行っている作業のロボット化が進んでいます。食品製造業界も同様の状況にあり ますが、HACCP 基準を満たす必要があるという点において、他の業界よりロボット導入の難易 度が上がります。特に、材料となる生鮮食品の投入工程や完成した製品の梱包前工程などでロ ボットが直接生の食品に触れるような場合には、異物混入等の発生を防ぎ食品安全性を高める ために、ロボットに求める条件が厳しくなります。 ロボットを使った自動化システム全体のうち、特に衛生管理に配慮した設計にすべき箇所とし ては、ロボット本体とロボットハンド(エンドエフェクタ)部があります。本記事では、その 2つについて現在どのようなものが作られているのかを紹介します。 1 生の食品のハンドリングに適 ・表面カバー等の樹脂部品には、耐薬品性を したロボットの種類  高めるコーティングが施されたプラスチッ  クが使用されている。  食品の製造に使われる装置は、頻繁に清掃 ・金属部品には耐腐食性が高いステンレス素 と殺菌を行います。アルコール等の薬品で拭  材を採用している。 いたり噴霧したりするため、耐薬品性の高い ・凹凸の少ない形状をしており、最近等が発 表面素材や、気密性の高い関節部の機構など  生しづらく洗浄もしやすい。 ロボットが劣化しづらい工夫が必要です。ま ・関節部分の気密性が高く、可動部等に食品 た、ロボットの塗装がはがれたり粉塵が発生  機械用のグリースが塗布されている。 するリスクもあります。  こういったリスクに対する対策はすべての  2種類の食品対応仕様のロボットを紹介し ロボットに施されてはおらず、使用できるロ ます。 ボットの種類は限られています。 ① ( 株 ) 安川電機 MOTOMAN-GP8 8kg 可搬の 6軸垂直多関節ロボットで、オプ 食品対応仕様のロボット ションで食品対応使用があります。  一般の仕様とは異なる、食品や医薬品等に ② 三菱電機 ( 株 ) MELFA F シリーズ 向けた特別仕様のロボットが、各メーカーか 医薬品や食品対応の、耐環境仕様ロボットで ら販売されています。 す。  ロボットそのものが薬品洗浄を行う前提で 垂直多関節形と水平多関節形の 2種類があ 作られており、以下のような特徴があります。 り、それぞれにリーチや可搬重量が数種類用 4
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株式会社 JRC ロボットSI 事業本部 ロボット導入・自動化お役立ち情報⑩ 意されているため、工程に合わせて選択でき る装置の開発には長年蓄積したノウハウがあ ます。 ります。 ロボットカバー 2 生の食品のハンドリングに適  ロボットのハンド部分以外の全体にかぶせ したハンドツール ることで、様々な環境からロボットを守る「ロ ボットカバー」というものがあります。ロボッ  ハンドツールは、ロボットの先端で直接食 トカバーを使用することで、外部環境からロ 品をつかむ部分になります。食品の衛生面だ ボットへの腐食等を防ぐことと、ロボットか けでなく、食品をつぶさず優しくピック&プ ら発生する粉塵の食品への混入を同時に防ぐ レイスするために、ハンドツールの選定や設 ことができます。 計は非常に重要です。  食品対応以外にも耐汚性、耐薬品性、耐熱  ロボットで生の食品をハンドリングするた 性など様々な用途に合わせて作られており、 めにハンドツールに求められる条件につい ロボットメーカーからアクセサリとして販売 て、材質とつかみ方の 2点から説明します。 されているほかに、ロボット周辺機器メー 生の食品のハンドリングに適したハンドツー カーでも製造しています。 ルの材質  オーダーメイドで制作しているロボットカ バーメーカーなどもあり、選択できるロボッ  ハンドツールの材質としては、食品対応の トの幅が広がります。 樹脂やステンレスなどが使用されます。 パラレルリンクロボット  直接食品に触れる部分だけでなく、根本部 分なども同じように洗浄や殺菌を行うため、  パラレルリンクロボットはシンプルで部品 ハンドツール全体が食品対応の素材で構成さ 数の少ない構造から清掃性が高く、昔から食 れている必要があります。 品工場に多く採用されています。  真空で食品を吸着する吸着ハンドなどに  3方向からロボットハンドの位置を制御す は、先端部にゴムのパッドが使われていま る方式により高速・高精度という特徴があ す。多くはシリコンゴムですが、一部には食 り、6軸多関節ロボットなどのような幅広い 品衛生法適合のニトリルゴムなども使用され 工程・作業にマッチする自由度の高差はあり ます。 ませんが、代わりに小さい物や軽いものを少  プラスチック素材としては、食品衛生法に し離れた位置に高速で運搬する、という作業 適合する物から選択します。PA 樹脂、POM は特に得意としているため、コンベアの載せ 樹脂、PET 樹脂、PEEK 樹脂などがあります。 替えや整列・箱詰めといった食品の梱包工程 金属部品の場合はほとんどがステンレス部品 では大活躍します。 です。  JRC【ALFIS】のパラレルリンクロボット 生の食品のハンドリングに適したチャック方式 事業は、1995 年にパラレルリンクロボット を日本で初めて市場導入して以来、食品や医  ワークをロボットでハンドリングする際に 薬品業界を中心に 700 台以上納入しており、 使われるハンドツールは、吸着型と把持型で 生の食品をパラレルリンクロボットで搬送す その多くを占めており、生の食品のハンドリ 5
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株式会社 JRC ロボットSI 事業本部 ロボット導入・自動化お役立ち情報⑩ ングにおいても変わりません。 3 生の食品をロボットでハンド  吸着型は上述のように真空で吸着して持ち リングする事例 上げるかたちで、ワークの真上からあるいは 斜め上方向などから吸着します。  JRC【ALFIS】で設計した生の食品のハン  吸着面がなるべく固く平らで変形しない ドリング事例を 2つご紹介します。 ワークに適しており、クッキーや固い冷凍食 事例① 包装前のお菓子のピック&プレイス 品などに適しています。吸着できれば形や重 さに多少のばらつきがあっても持ち上げるこ とができるため、不揃いな形状の食品にも向 いています。  食品を吸着する際に食品カスを吸い込むた め、清掃を行ったり、カスがを排出する機構 が必要です。また、吸着パッドが劣化し破れ ると異物混入につながるため、食品製造業で は定期的な交換がその他の業界以上に重要で す。  吸着箇所に強い力がかかるため、プリント  焼きあがったラングドシャを横ピロー包装 がすれてしまったりトッピングがあると外れ 機へ投入するために整列する工程を、ロボッ て吸い込まれてしまったり、柔らかい食材の トで自動化しました。 場合変形してしまいますので、そういった場  幅の広いゆっくりとしたコンベア上にラン 合は把持型を使います。 ダムに載ってラングドシャが流れてくので、 1つずつ吸着して持ち上げ、ピロー包装工程  把持型は複数のツメで人の手のようにワー 用のコンベアに 1列に整列させます。 クを握ります。食品の側面を挟んだり、下側  大量に流れてくるラングドシャを高速で流 にツメを入れて持ち上げることもできるた れる細いコンベアに移載するために、パラレ め、上面を保護したい場合に有効です。 ルリンクロボット 2台で作業を行います。  基本的には一定の力で一定の位置まで詰め 事例URL:https://rsi.jrcnet.co.jp/solution-primarypicking/ を動かして挟む構造をしていますが、それだ 事例② 生のパン生地をトレーに整列 とある程度形や大きさがそろっているワーク にしか対応できません。  そのため、最近では爪部分が柔らかい素材 になっていて変形したり、センサで把持力を 調整しながら持ち上げるような、不揃いな形 状でも把持できるハンドツールが続々と開発 されています。 6
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株式会社 JRC ロボットSI 事業本部 ロボット導入・自動化お役立ち情報⑩  パン工場で、1個分ずつ切り分けられたパ ン生地をトレーに並べる作業をロボットで自 動化しました。  もちもちとしたパン生地はハンドにくっつ きやすいため、離形性の高いテフロン (PTFE) 素材のツメをハンドツールに採用していま す。 7
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株式会社 JRC ロボットSI 事業本部 ロボット導入・自動化お役立ち情報⑩ 食品業界での箱詰め作業の自動化 自動化導入のメリット 商品を業者に卸す場合、段ボールなどの箱に詰めて輸送します。商品の量にもよりますが、効率 化しなければ多くの負担がかかるため、手順を工夫することは重要です。 そこで今回は、箱詰め作業を効率化するポイントについて、箱詰め作業の課題点とともに解説し ます。 1 箱詰め作業とは せん。人手不足が発生している要因としては、 箱詰め作業は疲労が溜まりやすく体力が必要  箱詰め作業とは、指定された段ボールなど なため、人員が定着しにくいからです。 の箱に商品を詰めていく作業のことです。化  箱詰め作業は、指定の箱に破損しないよう 粧品・食品・飲料・書籍など取り扱う商品は に商品を詰めていくシンプルな仕事です。し さまざまですが、いずれも商品が破損しない かし、同じ作業を繰り返すため、従業員の疲 ように指定の箱に詰めていく必要がありま 労が溜まりやすいという特徴があります。 す。箱詰め作業はシンプルな業務ですが、ピッ  加えて、飲料など商品によってはかなりの キングや検品などの作業が付随することも珍 重さになるため、仕事が続かなかったり求人 しくありません。付帯作業がある場合は、ピッ を出しても応募が少なかったりする傾向にあ キングや検品をした後に商品を箱詰めしてい ります。 きます。 作業者への負荷が大きい 2 箱詰め作業が持つ現状の課題  作業者への負担が大きいという課題点もあ ります。なぜなら、同じ作業を繰り返すため、  現在、箱詰め作業を要する企業は様々な課 疲労が溜まりやすく、集中力が切れやすいか 題を抱えていますが、課題の例として以下の らです。 点が挙げられます。  作業者への負担が大きいと、作業効率が低 ・人手不足が発生している 下したり、人員が定着しなかったりという問 ・作業者への負担が大きい 題が起こります。 ・付帯する作業が多い 付帯する作業が多い ・人的ミスが発生しやすい  以下では、それぞれの課題点について詳し  付帯する作業が多い点も課題です。 く解説します。 箱詰め作業の多くは、箱詰め作業のみではな 人手不足が発生している く検品やピッキングなどの作業が付帯してい ることが多いです。  人手不足に悩んでいる企業は少なくありま  このような付帯作業は従業員の負担とな 8
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株式会社 JRC ロボットSI 事業本部 ロボット導入・自動化お役立ち情報⑩ り、箱詰め作業の効率低下に繋がってしまう  箱詰め作業の問題点は様々ですが、主な問 のです。 題点としては人手不足や人手不足による従業  とはいえ、ピッキングのみや検品のみ、箱 員 1 人当たりの負担の増加、付帯作業の増加 詰め作業のみと業務を分けてしまうと、その などが挙げられます。これらの問題点をまと 分の人手や人件費が必要となることから、多 めることで、改善策を見つけやすくなります。 くの企業が複数の作業を同時並行していま 動線を見直す す。  動線を見直すことで作業の効率化が行えま 人的ミスが発生しやすい す。  人的ミスが発生しやすいという課題点もあ  箱詰め作業の効率を妨げる原因として、無 ります。 駄な動線が多いことが挙げられます。例えば、  箱詰め作業は人の手で行うと、向きの間違 資材や緩衝材置き場が作業場所から離れすぎ いや内容物のミス、異物混入といった人的ミ ていたり、作業場所と梱包したものの保管場 スが発生しやすい業務です。どんなに注意を 所が離れているなどの場合、動線を見直すこ 払っていても、連続作業で集中力が低下して とで作業時間が削減できます。 いたりすると、そういったトラブルが起こる  商品や資材、緩衝材を取りに行くまでの流 可能性があります。 れ、箱詰めした商品を保管場所に持っていく  人の手で行う以上、人的ミスは避けられま までの流れを見直し、必要に応じて改善しま せん。ダブルチェックをするなど、人的ミス しょう。 を予防する施策を立てることは必要不可欠で 設備や資材を見直す す。  設備や資材を見直すことも効率化に繋がり 3 箱詰め作業を効率化するには ます。  例えば、箱詰めする箱と資材の大きさがあ  ここまでご紹介したとおり、箱詰め作業に まりにも異なっている場合、緩衝材をたくさ は多くの課題があります。とはいえ、箱詰め ん入れなければなりません。緩衝材をたくさ 作業を効率化させることで、改善できる課題 ん使うことはコストがかかるだけではなく、 がいくつもあるのもまた事実です。 梱包がスムーズにできず、箱詰め作業に時間  そこでここからは、箱詰め作業を効率化さ を要してしまいます。 せるポイントについてご紹介します。  また、ワンタッチ式のダンボールやテープ が付いている箱を使えば、その分箱詰め作業 問題点についてまとめる が楽になって効率化できます。このように、  箱詰め作業を効率化するためにまずすべき 設備や資材を見直すだけで作業時間の大幅な ことは、問題点についてまとめることです。 短縮ができる可能性があります。 箱詰め作業が効率的にできないことには、何 人員を増やす かしらの原因があります。その原因を見つけ 出し、原因ごとに適切な対処をすることで効  人手不足が問題となっている場合は、人員 率化ができるのです。 を増やすことで効率化を図るという方法が有 9
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株式会社 JRC ロボットSI 事業本部 ロボット導入・自動化お役立ち情報⑩ 効です。出荷量に対して明らかに人手が足り  食品業界において箱詰め作業にロボット ていない場合、人員を増やすと一気に作業効 ケーサーを導入することには、以下のメリッ 率が上がるでしょう。どんなに作業が早い従 トがあります。 業員がいても、出荷量に対して人員が少なす ・ 複雑な(数多くの食品の SKU に対応できる) ぎると作業ペースは上がりません。一人ひと  の詰め方に対応できる りのキャパは決まっているため、人手不足解 ・ 食品箱詰めに求められる、多くの製品や 消には人員を増やすことが一番の解決策で  段ボールのサイズに対応可能 す。  人が入っても続かない場合は、環境整備を  まず、ロボットケーサーを導入することで 行う必要もあるでしょう。 複雑な詰め方に対応できます。例えば、1 段 作業をマニュアル化してミスを減らす ごとに互い違いになるよう向きを変える、合 紙(間紙)をはさむなど複雑な工程にも対応  人的ミスが課題となっている場合は、作業 することができます。人の手で対応する場合 をマニュアル化することでミスを減らせま は、負担が増えてしまい効率が下がりますが、 す。ミスをする原因は様々ですが、作業をマ ロボットケーサーであれば安定して作業でき ニュアル化することで初歩的なミスを減らせ ます。 ます。  また、ハンドツール等のユニット交換を行  ミスは、業務を増やしたり全体の作業効率 えば、様々なサイズの製品や段ボールに対応 を下げる要因です。ミスが発生しやすい箇所 できるため、汎用性が高いことも特徴です。 を確認したり、作業をマニュアル化してミス の削減に努めましょう。 5 食品業界・飲料業界で箱詰め ロボットケーサーを導入して自動化する 作業を効率化するポイント  ロボットケーサーを導入して自動化する方  食品業界や飲食業界において、箱詰め作業 法もおすすめです。ロボットケーサーとは箱 は人手が多くかかる工程です。前述の通り、 に詰める作業を自動化するロボットのことで 人手不足や作業者の負担が大きいことは効率 す。ロボットケーサーを導入して自動化すれ 化を妨げる要因です。 ば、人員不足や人的ミスを改善できるだけで  そこで、箱詰め作業を効率化するために抑 はなく、作業の効率化ができます。 えておきたいポイントをご紹介いたします。  ただし、ロボットケーサーは、機器ごとに ECRS の原則を意識する 対応している役割が異なります。テープ貼り など他の業務に対応させようとすると、多く  食品業界や飲食業界で箱詰め作業を効率化 の機器が必要となる場合もあるため、事前の させるためには、ECRS の原則を意識しましょ 確認が必要です。 う。  ECRS とは、Eliminate( 排除 )・Combine( 統 4 箱詰め作業にロボットケー 合 )・Rearrange( 順序入れ替え )・Simplify( 簡 サーを導入するメリット 素化 ) の頭文字を取った言葉で、業務改善を 行うための順番と視点を示した言葉です。 10
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株式会社 JRC ロボットSI 事業本部 ロボット導入・自動化お役立ち情報⑩ 検査・小箱包装を経て、箱詰め作業を行います。  具体的に業務の効率化を図る際の検討  これらの工程を効率化するためには、省 は、まず、E の排除から考えます。つま 人化と自動化をいかに進めるかが肝心です。 り、その業務をなくせないかどうかを 1 オートケーサーやロボットケーサーなど、ロ 番最初に考えます。 ボットを活用することは有効な方法の一つです。  次に、C の結合です。いくつかの業務 を 1 つにできないかを考えます。 作業工程ごとに効率化する  さらに、R の交換になります。業務の  箱詰めライン全体の自動化が進めば、作業 順番を入れ替えたり、方法を変更して業 効率は飛躍的に上がるでしょう。しかし、そ 務を効率化できないかを考えます。 のためには多額の費用がかかります。  最後に、S の単純化です。業務の単純  そのため、箱詰めライン全体ではなく、1 化・簡素化を考えます。 つ 1 つの工程に着目して省人化や自動化を進   順 番 は、Eliminate( 排 除 ) が 業 務 めます。人の手で行うには煩雑な作業や、人 改 善 の 効 果 が 大 き く、Combine( 結 員が不足している工程からの検討がおすすめ 合 )、Rearrange( 交 換 )、Simplify( 単 です。 純化)へと業務改善効果が少なくなって  異物検査や金属検出などの工程では、機械 いくので、業務改善効果が最も大きい やカメラを活用することで、より正確で短時 Eliminate(排除)から、まず、検討を 間に処理が進みます。 していきます。 引 用 元: 業 務 改 善 の フ レ ー ム ワ ー ク 6 まとめ ECRS の原則|税理士法人 林総合事務所  箱詰め作業にはさまざまな課題点がありま h t t p s : / / h a y a s h i - s o g o . o r. j p / 2 0 2 1 / 0 9 / 2 4 / % e 6 % a すが、課題を把握して適切に対処することで 5 % a d % e 5 % 8 b % 9 9 % e 6 % 9 4 % b 9 % e 5 % 9 6 % 8 4 % e 3 % 8 1 % a e % e 3 % 8 3 % 9 5 % e 3 % 8 3 % a c % e 3 % 8 3 % b 業務の効率化が図れます。ロボットケーサー c % e 3 % 8 3 % a 0 % e 3 % 8 3 % a f % e 3 % 8 3 % b c % e 3 % 8 2 を導入して人員不足や人的ミスを解消する方 % a f - e c r s % e 3 % 8 1 % a e % e 5 % 8 e % 9 f % e 5 % 8 9 % 8 7 / 法もおすすめです。これまでにご紹介したポ イントを踏まえ、箱詰め作業の効率化を図り  また、マニュアルを作成することもポイン ましょう。 トです。マニュアルを作成することで、教育 コストが減り、スタッフの成熟度に新人の成 長が左右される心配もありません 自動化で生産性を向上する  食品業界や飲食業界において、箱詰め作業 と一言でいってもその作業は多岐にわたりま す。  箱詰めラインのワーク供給からはじまり、 食品ほかの包装前検査・計量・包装・包装後 11
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株式会社 JRC ロボットSI 事業本部 ロボット導入・自動化お役立ち情報⑩ 食品工場の外観検査で利用される外観 検査機とは? 導入方法やメリットについて紹介 商品や製品を外観から検査し、品質の保証や安全を保証する外観検査は、食品工場には欠かせ ない業務です。 色や形状、異物の混入などを正確にチェックすることが求められる外観検査は、外観検査機を 導入することで自動化させられます。 そこで、今回の記事では、外観検査を AI の導入で自動化する際の導入方法やメリットについて を紹介します。 1 外観検査で検出すること 製品に関しては、高い寸法精度は求められて いません。  食品は口から体内に入るため、外観検査を 表面形状に関わる項目 し、欠陥を検出する必要があります。  食品工場の外観検査には主に、「内容物に  表面形状に関わる項目とは、商品や製品の 関わる項目」「表面形状に関わる項目」「包装 表面状態の問題点を検査する項目です。 に関わる項目」の 3つがあります。  詳しくは、以下のような検査がされます。 内容物に関わる項目 汚れ 埃や塵、汚れなどの付着物がある  内容物に関わる項目とは、商品や製品の外 キズ 商品や製品の表面に引っかき傷や擦れによ 観上の問題点を検査する項目です。 る傷がある  詳しくは、以下のような検査がされます。 感触 商品や製品の手触りや感覚が異なる 形状 欠損や変形など、指定された形状と異なる 凹凸 表面の凹凸が指定された形状と異なる 色 変色や色ムラ、ツヤなど色調が異なる シワ・へこみ 意図しない凹凸やシワなど、見栄えにムラ がある 大きさ 指定の寸法が、誤差範囲を超えている 付属品 商品や製品に付属する物の有無 個数 指定された数量に差異がある  表面状態の問題は品質に大きく関わりま す。 異物混入 髪の毛やビニール片、ゴミなどの異物が混 ざっている  一方シワや傷、ムラなどの原因は多岐にわ 印刷 指定された意匠や印刷に差異がある たる他、誤差範囲は商品や製品によって異な るため、判断は難しいといえます。 12
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株式会社 JRC ロボットSI 事業本部 ロボット導入・自動化お役立ち情報⑩ 人的ミスが発生しやすい ズなど判別の難しい外観検査はロボットでは なく、熟練工の感覚や技術に頼っていました。  包装に関わる項目とは、ラベルの破れや印  しかし、技術革新に応じて外観検査ロボッ 字のズレなど、商品や製品の仕上がりの粗雑 トの検査精度が向上したことで、積極的に導 さや丁寧さを測る指標になる項目です。 入されるようになってきています。  詳しくは、以下のような検査がされます。  ロボットが人に代わる作業をすることで、 包装 印字ズレや間違い、パッケージの傷などが 省人化および労働生産性の改善に期待できま ある す。 梱包 入り数の間違いや破れ、穴などがある 4 外観検査ロボットの構造  パッケージに表示される賞味期限や消費期 限、アレルギー表示などに間違いがあると、  外観検査ロボットは、異物混入や傷、へこ 深刻な健康被害を起こす可能性があります。 みがないかを確認する「画像検査装置」部分  ブランドイメージの低下につながることは と、商品や製品を動かさずに自らが動いて画 もちろん、自主回収や商品の廃棄、治療費な 像検査しやすくする「ロボット」部分を組み どがかかります。 合わせた機械です。  ここでは、それぞれの部分について詳しく 2 外観検査機とは 紹介します。  外観検査装置とは、自動で商品や製品の内 画像検査装置 容物・表面形状・包装に関わる外観を検査で  画像検査装置は食品工場の生産ラインにお きる装置のことです。 いて、異物の混入や色のムラ、キズの有無な  数値化されたデータを元に、カメラや赤外 どの外観検査を画像撮影して認識し、商品や 線などの技術で大きさや形、数などの情報を 製品の可否を判別する装置です。 コンピューターが処理し、目視検査に近い検  撮影するカメラ・レンズ・照明・画像処理 査ができます。 ソフトなどで構成され、商品や製品をどのよ  また、近年では外観検査装置に AI(人工 うに画像撮影したいかによって必要になる部 知能)を搭載した装置が普及しつつあります。 品には違いがあり、正確に検査するために調 AI は過去の検査データを蓄積して学習を続 整します。 けられるため、より高精度な検査が可能です。  近年では AI 技術の導入が進み、過去の商 品や製品のデータからパターンを学習させ、 3 ロボットを使った外観検査 検査精度の向上が期待されています。  外観検査ロボットとは、商品や製品の外観 ロボット 検査をするロボットのことをいい、整列や搬  ロボット部分は、スムーズで高精度な撮影 送など他の作業と一緒にする外観検査ロボッ 作業を担い、一般的に多関節ロボットが使わ トもあります。 れます。  従来の外観検査では異物混入やへこみ、キ  多関節ロボットは、人間の腕の様に複雑な 13
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株式会社 JRC ロボットSI 事業本部 ロボット導入・自動化お役立ち情報⑩ カメラワークが可能で、多方向からの撮影が  他にも、「この程度なら大丈夫だろう」と できます。 いう品質の認識違いや見落とし、オーバーキ  定点での画像だけでは画像検査が難しい曲 ルなどのヒューマンエラーが発生する可能性 面やガラス面であっても、ロボット部分があ があります。 ることでさまざまな角度からアプローチで  AI 外観検査機を導入すると、ヒューマン き、複雑な形状をした商品や製品の撮影も省 エラーの発生を防止できるだけではなく、熟 スペースで実現可能です。 練した作業員の基準をデータ化することで、 技術継承問題の改善が可能です。 5 外観検査機を導入するメリッ  また、作業員に代わって外観検査するため、 ト・デメリット 少子高齢化に伴う人手不足の解消にもつなが ります。  AI 外観検査機を導入するメリットは、「検 査品質の安定」「人為的なトラブルの回避」「ラ メリット③:ランニングコストの削減 ンニングコストの削減」があり、一方では「イ  外観検査装置を導入すると、装置のメンテ ニシャルコストがかかる」というデメリット ナンス費用はかかりますが、継続的に発生す があります。 るランニングコストの削減が可能です。  ここでは、3つのメリットと1つのデメリッ  削減できるランニングコストには、検査コ トについて詳しく紹介します。 スト・人的コスト・育成コストなどがあげら メリット①:安定した検査品質 れます。  検査コストは、検査する場所の環境や検査  口に入る食品は、異物の混入や印字の誤り 材料費のことです。 などが発生すると大きな問題につながります。  人的コスト・育成コストは、人件費や採用  従来の外観検査では人の目によるため、見 にかかる費用、人材育成にかかる費用や時間 本を作成したとしても検査品質は作業員の視 のことをいい、ヒューマンエラーで生じる再 力や熟年度、体調などで左右されることがあ 検査やリコールにかかる費用も含まれます。 りました。 デメリット:イニシャルコストがかかる  一方、外観検査装置は設定されたデータを 基に毎回同じフローが実行されるため、基準  外観検査装置を導入する大きなデメリット にバラつきが生じず品質が安定します。 は、初期の導入費用がかかることです。  AI が搭載されている外観検査装置では、  導入の際には、導入ハード機器の費用だけ さまざまな異常パターンを学習し細かな不合 ではなく、ライセンスやサポートなどの費用 格品の判別が可能です。 も含まれます。  また、外観検査装置は休みなく稼働させら  また、大掛かりな装置を導入する際にはス れ、検査時間の短縮にもつながります。 ペースを確保する必要があり、装置の設定に 時間がかかることもあります。 メリット②:人為的なトラブル回避  全ての導入費用がいくらになるかは検査す  目視での外観検査では、作業員の熟練度や る項目や規模に左右されるため、問い合わせ 体調、集中力によってバラツキが生じます。 て見積もりを取りましょう。 14
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株式会社 JRC ロボットSI 事業本部 ロボット導入・自動化お役立ち情報⑩ 6 まとめ  食品工場における外観検査は、異物の混入 や印字のミスがあると大きな被害につながる 可能性があるため、とても重要な作業です。  外観検査機は、設定したデータを基に安定 した検査が可能です。  人材不足の問題やヒューマンミスによる問 題に役立つ一方、イニシャルコストや装置を 導入するスペースの確保、職設定にかかる時 間がかかります。  ALFIS ロボットシステムでは、省スペース 設計でスペースを確保しやすく、「基本ユニッ ト」がパッケージ化されており、導入しやす いという特徴があります。 15
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株式会社 JRC ロボットSI 事業本部 ロボット導入・自動化お役立ち情報⑩ 食品のラベル貼りを効率化するには? ラベル貼り装置について解説 多くの食品には、食品ラベルが貼られています。 食品ラベル貼りは効率化しなければ作業者に多くの負担がかかるため、作業方法を見直すことが 重要です。 そこで今回は、ラベル貼りの効率化やラベル貼り装置について解説します。 1 食品のラベル貼りで生じる課題 ピードやクオリティに差がある点です。  作業の熟練度によって貼り付け位置がずれ  食品のラベル貼りに対応している企業で てしまったり、貼り間違いや貼り漏れが発生 は、多くの課題を抱えています。主な課題例 したりと、さまざまなトラブルが発生します。 は以下のとおりです。  さらに季節やトレンドによってパッケージ ・人手・時間が足りない デザインが変化したり、パッケージの形状が ・担当者によってばらつきがある 異なったりと、多種多様な商品へのラベル貼   り対応が求められるでしょう。  以下では、それぞれの課題点について詳し  したがって担当者は、ラベルの貼り付け位 く解説します。 置を随時判断する必要があります。 人手・時間が足りない 2 ラベル貼り装置について  1 つ目の課題点は、人手や時間が足りない という点です。  ラベル貼りの課題を解決するには、ラベル  手作業でラベル貼りを行う場合、商品数が 貼り装置の導入がおすすめです。しかし、ラ 増えると、それに比例して多くの作業員が必 ベル貼り装置を導入していない場合、以下の 要となります。さらに需要増加やキャンペー ような疑問点が浮かび上がるでしょう。 ンなどに伴って、作業量が急増し、人手不足 ・ラベル貼り装置とは は深刻化します。 ・ラベル貼り装置の種類  手作業でラベルを貼る場合、1 人につき 1 ・ラベル貼り装置の価格 時間あたり 300 〜 500 枚程度の貼り付けが ・ラベル貼り装置を選ぶポイント 可能です。ラベル貼り作業が遅延してしまう ・ラベル貼り装置で起こりやすいトラブル と、商品の出荷ができなくなるため、スピー   ディーな作業が求められます。  そこでここからはラベル貼り装置について 詳しく解説します。 担当者によってばらつきがある  なお、ラベル貼り付けを全自動化した事例  2 つ目の課題点は、担当者によって作業ス は以下で紹介しているため、ぜひご覧ください。 16
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株式会社 JRC ロボットSI 事業本部 ロボット導入・自動化お役立ち情報⑩ ● 樹脂成型品の組み立て工程自動化 たい商品が投入されると、自動でラベルを貼 ります。主にボトルへのラベル貼りに用いら れます。  自動ラベル貼り付け機(オートラベラー) は、商品投入・ラベル印字・剥離・貼り付け の一連作業を全自動で行える装置です。大量 生産を行うラインで重宝されています。 ラベル貼り機の価格  成形された樹脂部品 2 種を組み立て、シー ルを貼り、NG 品を輩出するところまで、ロ  半自動か全自動か、上・下・横貼りが可能 ボットで自動化した事例です。 かなど、ラベル貼り機にはさまざまな仕様が https://rsi.jrcnet.co.jp/solution-assembly_resinmoldedparts/ あります。  機器の仕様や規模に応じて価格は異なりま ラベル貼り装置とは すが、上貼り仕様機器で約 150 〜 200 万円、  ラベル貼り装置はラベラーとも呼ばれ、以 横貼り仕様機器で約 200 〜 250 万円が相場 下のようなラベル貼り付けを全自動で行えま です。 す。  また機器に付随しているベルトコンベア ・商品名 も、価格に大きな影響を与えます。前述の価 ・製造年月日 格はあくまでも本体価格にあたり、装置運搬 ・賞味期限 費用や設置工事費用も別途発生します。 ・バーコード ラベル貼り機を選ぶポイント  ラベル貼りは印字・剥離・貼り付けの 3 工  ラベル貼り機を選ぶ際は、以下のポイント 程に分類され、一部工程にしか対応していな を踏まえるとよいでしょう。 い装置もあれば、全工程に対応している装置 ・機器の処理能力はどうなのか もあります。 ・対象商品の材質や形状に適しているか ラベル貼り装置の種類 ・どのようなラベル形式なのか  ラベル貼り装置の種類は以下の通りです。  機器の処理能力は剥離・半自動・全自動の ・ラベル剥離機 順に高くなり、処理能力に伴って価格が上昇 ・半自動ラベル貼り付け機  します。導入予定のラインに応じて、どのよ ・自動ラベル貼り付け機(オートラベラー) うな処理能力を持った機器の導入が適してい るのか見極めましょう。  ラベル剥離機はラベルの剥離を行い、人の  また、ラベルを貼り付ける対象商品がどの 手で行うよりも安価かつ簡単に作業を進めら ような材質・形状なのかも確認し、適した専 れます。また、ラベルプリンタと組み合わせ 用機器を選びます。 ると印字も可能です。  半自動ラベル貼り付け機は、ラベルを貼り  ラベル形式には以下の 3 種類があります。 17
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株式会社 JRC ロボットSI 事業本部 ロボット導入・自動化お役立ち情報⑩ ・枚葉ラベラー そもそも食品ラベルがなぜ必要か知りたい方 ・ロールラベラー も多いでしょう。 ・タックラベラー  以下では食品ラベルや食品表示法について 解説します。  ラベル形式を加味した上で、適した機器を 食品ラベルとは 選ぶことが重要です。  食品表示法により、食品を販売する際、食 ラベル貼り機で起こりやすいトラブル 品ラベルの貼り付けが義務付けられていま  ラベル貼り機で起こりやすいトラブルとし す。さらに 2020 年 4 月 1 日から新たな食品 て、印字のかすれが挙げられます。印字のか 表示制度が施行され、栄養成分表示の義務化 すれが発生する原因は以下の 2 点です。 も開始しました。 ・貼り付けたラベルを押さえるローラーの  食品ラベルは、消費者が食品を正しく判断  高さが適切でない するためのものです。そのため、販売者には ・ラベル素材とラベルを押さえるローラーの 正確な情報の記載が求められます。食品表示  相性が良くない 法では消費者の立場を考慮し、消費者にとっ て分かりやすい表示にしなくてはなりませ  このようなトラブルを解消するためには、 ん。 貼り付ける商品によって機械の設定を変えた 食品表示法について り、ラベルの材質によってローラーを変えた りすることが大切です。  2015 年に食品表示法の施行が開始されま した。以前の食品表示法ではどのように記載 3 ロボットを用いたラベル貼り するかのみが義務付けられていましたが、新 たに施行された法律では、基本理念として「消  ロボットを用いたラベル貼りでは、ラベル 費者の自立支援」と「消費者権利の尊重」が 貼り機では対応できない動きができます。 重んじられています。 具体例は以下のとおりです。  また、新たな食品表示法が施行される以前 ・大小さまざまなサイズのラベル貼り付け は、食品衛生法・JAS 法・健康増進法を別々 ・箱に応じた貼り付け位置の変更 の法律で管理していましたが、前述の内容を ・ロボット 1 台のみで 2 面に貼り付け 管理していた官庁も一本化されました。  ロボットで対応できる動きは、従来のラベ  新たな食品表示法では、下記 5 つのポイン ル貼り機での対応が難しいため、ラベル貼り トを定めています。 の工程にロボット技術を取り入れると効率的 に作業を進められます。 ・加工・生鮮食品区分の統一 ・機能性表示食品制度の開始 4 食品のラベルはなぜ必要? ・栄養成分表示の義務化 ・アレルギー表示義務である特定原材料の他、  食品ラベルを目にする機会は多いものの、  表示推奨の特定原材料に準ずるルールの改善 18
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株式会社 JRC ロボットSI 事業本部 ロボット導入・自動化お役立ち情報⑩ ・製品製造の工場が 1 箇所でも製造所固有記  この他に、表示が推奨されている「特定原  号の使用は許諾していたが、同一商品を 2 材料に準ずる食品」も 20 品目あります。  箇所以上の工場で製造する場合にのみ製造 保存方法  所固有記号の使用許諾へ変更  保存方法を記載する際は、具体的かつ誰も 5 食品のラベルに記載しなくて が理解しやすい用語を使うようにしましょ はならない情報 う。たとえば「10 度以下で保存」や「要冷蔵」 などは馴染み深い表示といえます。  食品ラベルへの記載を必要とする情報は以  また、食品の保存方法が未開封時と開封時 下のとおりです。 とで異なる場合は、それぞれの保存方法につ ・賞味・消費期限 いて記載が必要です。なお、食品衛生法第 ・アレルギー表示 13 条第 1 項に則り、別途保存方法の基準が ・保存方法 あるものはその基準に従います。    これらの記載が必要とされる理由を解説し 6 まとめ ます。 賞味・消費期限  食品のラベル貼りを手作業で行う場合、人 手が不足したりスキルのばらつきがあったり  賞味期限は、開封せず保存した場合に安全 などの課題点があります。しかし、ラベル貼 性や美味しさを担保できる期限です。そのた り装置やロボットを導入することで、ラベル め、開封後は適用されません。劣化が発生し 貼りに関する課題解決に近づけるでしょう。 づらい食品に記載されていますが、期限が切 本記事で紹介した内容を参考にし、ラベル貼 れてしまっても食べられないというわけでは りに対する課題を解消できれば幸いです。 ありません。  消費期限は、記載通りの方法で保存した食 品を安全に食べられる期限で、劣化の早い食 品に記載されています。期限を過ぎてしまう と商品の安全性が担保されないため、食べら れません。 アレルギー表示  食品におけるアレルギー表示は、アナフィ ラキシーショックの危険性もあり最重要項目 とされています。  食品への表示が義務付けられている「特定 原材料」として、以下の 7 品目が挙げられます。 ・卵  ・乳  ・小麦  ・落花生 ・えび ・そば ・かに 19