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熱処理(ユニタイト社内)は#焼入れ焼戻し#焼ならし#焼なまし#球状化なまし#応力除去焼なまし#高周波焼入れ焼戻し これらの基本情報をホワイトペーパーにまとめました 1枚目はやさしい 2枚目はふつうです
ユニタイト株式会社は鍛造メーカーですが、鍛造後焼入れ焼戻しを社内で行うことで、機械的性質まで社内でコントロールしています。
ユニタイト株式会社は鍛造した製品を焼ならしし、切削加工後納品している部品もあります。
ユニタイト株式会社は切削加工の前処理として焼なましをすることもあります。
球状化焼きなましはベアリング鋼、または冷間鍛造前の軟化処理として行います。
熱間鍛造後の応力除去を目的とした応力除去焼なましはコストを抑える点では有効ではないかと思います。
量産多量品では高周波焼入れ・焼戻しをラインに組み込んでいるものもあります。
その他熱処理については協力メーカー様にお願いしてロット単位で処理をしていただきます。
このカタログについて
ドキュメント名 | 「熱処理」 ~ユニタイト鍛造後社内熱処理の技術解説~ |
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ドキュメント種別 | その他 |
ファイルサイズ | 756.6Kb |
取り扱い企業 | ユニタイト株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
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このカタログの内容
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熱処理技術の基礎
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熱処理について(ユニタイトでできる熱処理)ーやさしいー
焼入れ・焼戻し Quench & Tempering
原則焼入れと焼戻しはワンセットで行い、硬くて丈夫な製品をつくります
高温から急冷するとめちゃ硬くなります
硬いけど、バキって割れやすいもろい状態です
焼戻しとはもう1回加熱していいかんじに硬さを調整しながら、粘りやしなやかさを高めます
焼ならし Normalizing
後工程の切削加工性をよくすることを目的とした熱処理です
鍛造された製品は加工によってひずみが生じて、強さや硬さがバラつくことがあります
材料が持つもともとの性格に戻す熱処理が焼ならし(焼準)です
粒がそろった組織になり、素材の中に残ったストレス(応力)もなくなります
加熱保持後空冷することでノーマルな状態になると理解しましょう
焼なまし(完全焼きなまし) Annealing
後工程が切削加工である素材を軟化して加工しやすくします
切削加工性を良くしたり、組織がパーライトであることを求められることもあります
加熱保持後徐冷(炉冷)する(ゆっくりさます)と軟らかくなります
A3 炉冷
A1(727℃)
空冷
急冷 A1より低い温度は空冷でも変わらない
空冷 空冷
焼入れ 焼戻し 焼ならし 焼なまし 球状化焼なまし
硬くする 硬さ調整 内部応力除去 組織軟化-フェライトパーライト組織 SUJ2の鍛造後処理
強度向上 内部応力緩和 組織軟化 切削性向上 冷間鍛造前組織球状化
耐食性向上 靭性調整 切削性向上 冷間鍛造前処理
耐疲労性向上
球状化焼なまし Spheroidizing Annealing
後工程が冷間加工である素材を加工しやすく軟らかくします
組織がつぶつぶの球状になるので、変形しやすいのです
ベアリング鋼(SUJ2)の鍛造後後処理としても有名です
球状化焼なましの方法は、オーステナイトに変化する温度を何度も行ったり来たりするなどの方法があります
応力除去焼なまし Stress relief annealing
鍛造などで生じたストレス(応力)をなくすことが目的です
ストレスをなくすことで、使用中に割れたりすることを防ぐ効果があります
高周波焼入れ焼戻し Induction quench and tempering
コイルを使った高周波加熱装置により短時間で焼入れ・焼戻しを行い、表面だけを硬くします
浸炭よりも硬い層が深(厚)いことが特徴です
丸棒のような円柱形状が得意な加熱法です
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熱処理について(ユニタイトでできる熱処理)
焼入れ・焼戻し Quench & Tempering
原則焼入れと焼戻しはワンセットで行い、硬くて丈夫な製品をつくります
焼入れ(急冷)することで鋼は非常に硬くなります
(マルテンサイト組織)が、そのままでは脆く、割れなどが生じやすい状態です
焼戻しとはさらに再加熱して硬さを調整しながら、粘りや靭性を高める熱処理です
弊社は水焼入れ、油焼入れ双方の炉があり、材質や素材径によって炉を使い分けています
焼入れ直後は残留オーステナイトが不安定な状態であるため、
加速的に常温下のマルテンサイト変態が生じます
焼入れした状態で長時間放置すると「置割れ」という現象が発生しやすくなります
これを防ぐため、焼入れ~焼もどしまでは~24時間以内になるように管理するのが一般的です
焼ならし Normalizing
切削加工性の向上、後工程での熱処理の寸法変化を軽減することを目的とした熱処理です
鍛造された鋼材は加工によって生じたひずみにより鋼の組織が不均一であるため、
機械的性質が不均一な場合があります
鋼の組織を均一化し、鋼材本来の持つ性質に戻す手法が焼ならし(焼準)です
A1またはAcm変態点より20-30℃高い温度で加熱し、空冷することで結晶粒が微細化するので
靭性などの性質が向上し、同時に残留応力が除去できます
空冷することでベイナイト組織が析出するため適度な硬さになり切削しやすい状態になります
空冷は冷却スピードをコントロールしないため硬さのバラつきが生じる可能性があります
焼なまし Annealing
軟化や、加工性、組織がパーライトであることを求められる熱処理です
切削加工性の向上、熱処理寸法変化軽減を目的とした場合は焼ならしを採用する場合が多いです
鍛造した鋼材はそのままでは加工によって生じたひずみにより鋼の組織が不均一となったり、
加工硬化している場合があります
A1またはA3変態点を20-30℃超えて保持したあと、徐冷(炉冷)する(ゆっくりさます)と
組織は材料そのもののが持つ常温下での組織に戻ります
つまり材料の炭素量に応じて、オーステナイト相からパーライト組織(フェライト+セメンタイト)へ共析変態します
球状化焼なまし Spheroidizing Annealing
主に冷間鍛造前熱処理として用いられ、軟化を目的としています
ベアリング鋼(SUJ2)の鍛造後後処理として、高炭素合金鋼の前処理としても利用されます
筋状になった鋼の中の炭化物(セメンタイト)を球状化させる焼きなましを指します
球状化焼なましの方法は、オーステナイトに変化する温度を何度も行ったり来たりするなどの方法があります
高炭素合金鋼や工具鋼などの焼入れ処理の前処理としてや、冷間鍛造の前処理などに利用されます
応力除去焼なまし Stress relief annealing
鍛造などで生じた残留応力を取り除くことが目的で行われます
応力除去焼なましを行うことで、次工程や使用中に発生する加工硬化が原因の割れなどを防止できます
変態点よりも低い温度で処理することから低温焼なましと呼ぶ場合もあります
高周波焼入れ焼戻し Induction quench and tempering
高周波加熱装置を用いて短時間で鋼の表層のみ焼入れ・焼戻しを行い、表層のみ硬くする熱処理です
一般的には浸炭焼き入れよりも硬化層が深く(厚く)得られることが大きな特徴です
コイルに高周波電流を流すと製品表面にうず電流が発生し、電気抵抗によって発熱するメカニズムです
基本的には丸棒のような円形状の処理物を得意とする加熱方法