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EVの運用形態を改善、バッテリの生涯価値を高めるポートフォリオ アナログ・デバイセズ『ADI Recharge』とは?
ホワイトペーパー
車両の電動化を実現するためには多くの先進的なソリューションが必要です。アナログ・デバイセズが提供する「ADI Recharge™」はEVの運用形態を改善、バッテリの生涯価値を高めることができます。
アナログ・デバイセズの『ADI Recharge』は、車両の電動化を実現するためのポートフォリオです。バッテリ、オンボードのチャージャ、パワー・マネジメント、絶縁に関する主要なソリューションを含み、EVの運用形態の改善とバッテリの生涯価値の向上を実現。最終的にEVの総所有コストを改善します。
同社では、EV用のバッテリに関するデータに基づいた情報関連のエコシステムの構築に取り組んでいます。今回お届けするホワイトペーパーでは『ADI Recharge』の詳細とともに取り組みの全貌を解説します。
【もくじ】
■EV市場の成長
■半導体とソフトウェアが切り開くサステナブルな輸送への道
■堅牢なバッテリ・インサイト・プラットフォーム
■バッテリのライフサイクル全体にわたるシステムの価値
■クリーン・エネルギーを利用するグリッドと電動輸送の融合
このカタログについて
ドキュメント名 | EVの運用形態を改善、バッテリの生涯価値を高めるポートフォリオ アナログ・デバイセズ『ADI Recharge』とは? |
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ドキュメント種別 | ホワイトペーパー |
取り扱い企業 | アナログ・デバイセズ株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
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このカタログの内容
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Thought Leadership Article
車両の電動化を担う
先進技術がサステナブルな
輸送の実現を加速する
著者:Patrick Morgan、コーポレート・バイス・プレジデント
はじめに 能をユーザに提供するためには、システム自体が安全かつセキュ
車両の電動化を実現するためには、数多くの先進的なソリュー アで堅牢なものでなければなりません。これを具現化するには、
ションが必要になります。アナログ・デバイセズはそのための 最高のバッテリ・セルを増産し、バッテリ・パックをロボットで
ポートフォリオとして「ADI RechargeTM」を提供しています。 組み立てられるようにし、LFP(リン酸鉄リチウム)のようなゼ
ADI Rechargeでは、電動モビリティと再生可能エネルギーに関 ロ・コバルトのバッテリ・ケミストリをサポートする必要があり
連するエコシステムにより、電気自動車(EV)の所有者に対して ます。それにより、バッテリのリサイクルや蓄電システムでの再
どのような大きな価値を創出/提供できるのかを再定義していま 利用を可能にする循環型のライフサイクルを実現しなければなり
す。ADI Rechargeを活用することにより、EVの運用形態を改 ません。そのために必要なのが先進的な技術であることは明白で
善し、バッテリの生涯価値を高めることができます。そして、最 す。
終的にはEVの総所有コストを改善することが可能になります。
アナログ・デバイセズは、EV用のバッテリに関するデータに基 半導体とソフトウェアが切り開く
づいた情報関連のエコシステムを構築しようとしています。従来、 サステナブルな輸送への道
そのようなものを実現するのは不可能だと考えられていました。 先述したように、アナログ・デバイセズは電動化向けソリュー
しかし、自動車メーカー、ティア1サプライヤ、バッテリ・メー ションの主要なポートフォリオとしてADI Rechargeを提供して
カー、電力事業者、その他の利害関係者と連携を図ることにより、 います。このポートフォリオは、自動車の所有者、フリートの所
そのための道すじが明確になりつつあります。 有者(複数台の車、複数の車種を所有する法人など)、自動車メー
カー、ティア1サプライヤといったバリュー・チェーンに対し、
EV市場の成長 革新的な機能を提供します。ADI Rechargeには、バッテリ、オ
現在、EVの市場は大きな成長を遂げています。それを強力に後 ンボードのチャージャ、パワー・マネージメント、絶縁に関する
押しする要素としては、将来を見据えた政府の政策、技術の進化、 主要なソリューションが含まれています。それらが一体となるこ
サステナビリティに対する自動車業界のコミットメントなどが挙 とで、EV用のバッテリとパワートレインは、車両全体の機能の
げられます。しかし、多くの人にとってEVはまだ手ごろな価格 中で特に技術的に進歩した部分に変貌します。その中心となるの
のものだとは言えません。また、その価値を明確に認識していな が、アナログ・デバイセズのバッテリ管理(バッテリ・マネージ
い人もいます。EVが抱える課題には、政府の経済政策によって メント)システム(BMS:Battery Management System)で
ある程度までは対応することができます。それでもなお、EVの す。当社のBMSは、ハードウェアだけでなく、ソフトウェア・
普及に向けては障壁が存在します。したがって、それを打破する ドライバやツールも含むシステム・レベルの完全なソリューショ
ための道を切り開かなければなりません。そのためには、輸送、 ンです。無線によるソフトウェアのアップデートをサポートして
エネルギー・グリッド、ビジネス上のサービスなどに関連する電 おり、自動車のサイバーセキュリティに関する最高レベルの認証
動化技術において破壊的なイノベーションを実現しなければなり (ISO 21434 CAL-4)を取得しています。また、有線、無線で
ません。 の操作は当社のネットワーク・プロトコルによって完全にサポー
トされています。このソリューションを採用すれば、自動車メー
このような課題を解決する上で、技術企業が重要な役割を担って
カーはEVの設計を複数の車種向けに展開することができます。
いることは明らかです。手ごろな価格を実現するために重要なの
それだけでなく、エッジにおいて、バッテリ・セルに対するセキュ
は、よりスマートで、より効率の高いバッテリ・パックとパワー
アなインテリジェンスをもたらすことが可能になります。加えて、
トレインを実現することです。それらのシステムは、車両の寿命
バッテリ・パックはソフトウェア定義型のプラットフォームに変
が尽きるまで高い性能を維持する必要があります。そのような性
貌します。更に、車両は、ネットワークに接続されたセキュアな
エッジ・ノードだと見なせるようになります。
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堅牢なバッテリ・インサイト・プラットフォーム X インサイト・プラットフォームのエッジの詳細:セルに接続さ
アナログ・デバイセズは、革新的なソリューションの展開を可能 れる最も重要な IC は、セルを監視するために使用するセンサー
にする新たなエコシステムの構築を支援しています。具体的には、 です。このプラットフォームでは、アナログ・デバイセズが提
バッテリから得られるリアルタイムのデータを基にして生成した 供する第7世代のセンサーを採用しています。そのセンサーは、
インサイトを、バリュー・チェーンが活用できるようにすべく取 当社の先進的な測定機能をベースとして構築されています。
り組みを進めています。これを実現できれば、EVの運用形態を また、データを基に画期的なインサイトを生成するための新機
改善し、バッテリの生涯価値(EVでの利用、セカンド・ライフ 能も追加されています。その機能を使用すれば、バッテリが
を経て寿命を迎えるまでの価値)を高めることができます。結果 寿命を迎えるまで、業界最高の精度を活かして充電状態(SOC:
として、EVやフリートの所有者に対してより良い効果がもたら State of Charge)と健全性(SOH:State of Health)を正
されます。 確に分析することができます。加えて、それらのセンサーの消
費電力は旧来のセンサーと比べて 1/20 に削減されています。
アナログ・デバイセズのソリューションは、セルの監視(各種パ
そのため、貴重なインサイトに関連してエッジで行う処理に電
ラメータの値の測定)を高精度で行うための機能をベースとし
力を振り分けることが可能です。更に、わずか 1 個の IC によっ
て構築されています。それらの機能は業界をリードするものであ
て、最大 100V のスタックまたは 24 個の直列セルのセンシ
り、既に多くの実績を積み重ねています。その基盤になっている
ングを実行できます。まとめると、バッテリの監視に向けて、
のは、エッジにおけるセキュアなインテリジェンス、組み込みソ
高度に統合され、電力効率に優れるセンサーが実現されてい
フトウェア、ワイヤレス通信リンクです。それらを利用すること
るということです。
で、バッテリのライフサイクル全体を対象とし、新たなシステム
やサービスの開発に不可欠なインサイトを提供することが可能に X RF に対応するセキュアなマイクロコントローラ・ユニット(RF
なります。それらのインサイトは、バッテリに関するリアルタイ MCU):センサーの動作は、IC の組み込みソフトウェアによっ
ムのデータを基にして生成されます。このような機能により、車 て制御されます。それによりデータが処理され、アナログ・デ
両/フリートの所有者は、価値をベースとする価格体系に見合っ バイセズが提供するインサイトの生成用のアルゴリズムに供
た恩恵を享受する機会を得ることができます。また、メーカーや 給されます。それらのアルゴリズムにより、SOC の推定がよ
サプライヤは、間接費の削減によって変動費を改善することが可 り正確に行われ、急速充電や航続距離の延長などに役立つイ
能になります。それだけでなく、製品を市場に投入するまでの時 ンサイトが生成されます。それらのインサイトは、RF MCU
間を短縮したり、製造ラインの効率化を実現したりする機会も得 の極めて堅牢な無線機能と組み込みネットワーク・ソフトウェ
られます。更に、これらのイノベーションは、電動モビリティと、 アにより、BMS 用の ECU に伝送されます。各 RF MCU には、
クリーン・エネルギーを利用するグリッドを高い信頼性で融合す セキュリティを確保するための包括的なサブシステムが実装
る機会を生み出すことにも貢献します。 されています。このサブシステムは、ISO 21434 CAL-4 に準
拠しています。重要な特徴として、各 IC には固有のセキュア
アナログ・デバイセズのバッテリ・インサイト・プラットフォー ID が付与されています。これを活用することにより、各バッ
ムの概要をまとめると、以下のようになります。 テリのインサイトの履歴を作成することができます。
X 出発点はデータ・ソース:このプラットフォームでは、バッテリ・ X 中央の処理(BMS 用の ECU):アナログ・デバイセズのアル
セルの直近にあるインテリジェントなセンサーによってデータ ゴリズムは、複数のエッジ・ノードから得られた処理済みのデー
を収集します。それらのデータは、中央の管理プラットフォー タを融合します。それにより、バッテリ・パックや車両のレベ
ムにワイヤレスで送信されます。管理プラットフォームでは ルに対応するインサイトを生成します。
それらのデータに対する処理が行われ、インサイトが生成さ
れます。得られたインサイトは BMS 用の ECU(Electronics
Control Unit)に引き渡されます。アナログ・デバイセズは、
インサイトにアクセスするための製品グレードのソフトウェ
ア・ブロックを提供しています。またプラットフォームは、シ
ンプルな API(Application Programming Interface)を介
して再構成することが可能です。
2 車両の電動化を担う先進技術がサステナブルな輸送の実現を加速する
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有線で接続されたバッテリ・モジュール/セル ワイヤレスで接続されたバッテリ・モジュール/セル
モジュ モジュ モジュ モジュ モジュ モジュ アナログ・センシング用 モジュ モジュ モジュ モジュ モジュ モジュ
ール ール ール ール ール ール のワイヤ・ハーネス ール ール ール ール ール ール
デイジー・チェーン・
ハーネス
CMC CMC CMC CMC CMC CMC CMC CMC CMC CMC CMC CMC
ECU ECU
CMC CMC CMC CMC CMC CMC CMC CMC CMC CMC CMC CMC
12個のモジュール 12個のwBMSモジュール
24本のハーネス 0本のハーネス
48対のコネクタ・ペア 0個のコネクタ・ペア
モジュ モジュ モジュ モジュ モジュ モジュ 12個のCMC モジュ モジュ モジュ モジュ モジュ モジュ 1つのワイヤレス・マネージャ
ール ール ール ール ール ール ール ール ール ール ール ール
プラットフォーム1
ECU(Electronics Control Unit)
CMC(Cell Monitoring Control Unit) プラットフォーム2
プラットフォーム3
図1. BMSのネットワーク。(左)は、複数のコンポーネントを有線で接続した一般的なネットワークです。
wBMS技術を採用すれば、(右)のように簡素化を図れます。
バッテリのライフサイクル全体にわたる リ・パックのデジタル・ツイン・サービスを高い精度で実現でき
システムの価値 ます。その目的は、プロトタイプの使用が可能になるはるか前の
自動車メーカーにとって、車両/フリートの電動化は急務です。 段階で、極めて堅牢性の高いRF性能を実証し、最初から適切な
以下では、持続的な価値の提供を強化するためのいくつかの重要 設計を行えるようにすることです。このことは、バッテリ・パッ
な機会について考えてみましょう。 クの設計や計画の改善に役立ちます。そのため、開発段階で活用
すれば投資収益率が大幅に向上します。
EVの製造の自動化
図1に示したように、ADI Rechargeを採用すれば、BMSのネッ 車両の信頼性の向上
トワークにおいてワイヤ・ハーネスを使用する必要がなくなりま 先述したようにワイヤレス化を実現すれば、ワイヤ・ハーネスが
す。それにより、自動車メーカーに対しては、ロボットによる生 不要になり、コストを削減できます。それだけでなく、車両の潜
産能力が向上するというメリットがもたらされます。つまり、製 在的な故障の原因を排除できることにもなります。ワイヤとコネ
造ラインの効率と信頼性を高めつつ、バッテリ・パックの組み立 クタは、時間の経過に伴って劣化したり、故障したりする可能性
て方法を改善し、製造コストを削減することが可能になります。 があります。また、アナログ・デバイセズのプラットフォームを
そのシステムは、低コストのケミストリを含む既知のあらゆる 使用すれば、車両の製造時や運用時にバッテリに関する自律的
バッテリ・ケミストリに対応することができます。また、バッテ かつ詳細なテストを実行できます。それにより、車両の所有者に
リ・パックのモジュール性が向上するので、EVの製造をエント とって安全上の重大な問題につながる可能性のある欠陥/故障の
リ・レベルからプレミアム・レベルまでスケーリングできるだけ 初期の兆候を検出することが可能になります。
の柔軟性が得られます。ワイヤレスのアーキテクチャは非常に堅
牢なものであり、ソフトウェアとネットワークをアップグレード サイバーセキュリティに関する最高レベルの認証、
することで、バッテリの材料に対する要件を緩和することができ バッテリ・パスポートの実現
ます。ワイヤレス・ネットワークは、有線のネットワークと比べ エコシステムにとって、バッテリに関するデータを中心とした新
て迅速かつ容易に実装できます。そのため、開発期間が大幅に短 たなシステムや付加価値サービスを構築するためには何が必要で
縮されます。また、セルの監視用に当社第7世代のセンサーを採 しょうか。それは、透明性が高いこと、セキュリティの面で優れ
用することにより、アーキテクチャのレベルで簡素化を図ること ていること、配備が容易であることです。アナログ・デバイセズ
も可能になります。例えば、1つのICによって最大24チャンネ は、あらゆるレベルのセキュリティを設計に盛り込み、大量生産
ルのセンシングを実施できることから、カップリングの要件が緩 が可能なターンキー・ソリューションとなる技術を構築しました。
和されます。また、電磁環境適合性(EMC)が優れているので、 アナログ・デバイセズのwBMS(Wireless BMS)は、自動車の
コンデンサなどの外付け部品が不要になります。 サイバーセキュリティに関する最高レベルの認証(ISO 21434
CAL-4)を取得しています。また、各wBMS用のICにはセキュ
バッテリ・パックのデジタル・ツイン アIDが付与されています。これは、業界の目標であるバッテリ・
現在は「ソフトウェア車両」の時代だと表現することができるで パスポートの実現に欠かせないビルディング・ブロックです。
しょう。アナログ・デバイセズのシステムを利用すれば、バッテ
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堅牢、セキュア、安全
アナログ・デバイセズの
ICコンポーネント
アナログ・デバイセズの
ソフトウェア・コンポーネント
モジュール+ ワイヤレス・セル・モニタ #1
LT降圧 カスタマのスクリプトに対応する
ADRFxxxx アナログ・デバイセズのソフトウェア
ADBMS ネットワーク BMSコントローラのサブシステム
68xx セキュリティ
安全性
BMSコントローラ用のECU
ネットワーク・
モジュール- マネージャ カスタマのBMS用
2.4GHzの アプリケーション層
wBMSネットワーク ADRF8850
モジュール+ ワイヤレス・セル・モニタ #N ネットワーク
SPI アナログ・デバイセズ製の
LT降圧 セキュリティ ソフトウェア
ADRF8800 安全性
SPI
ADBMS ネットワーク
68xx セキュリティ パック・
安全性 センサー
モジュール-
図2. 監視用のwBMSシステム(2021年にリリース)
EVの運用形態と性能の改善 アナログ・デバイセズのwBMSによって得られる
サステナビリティ
wBMSをベースとするインサイト・プラットフォームでは、セル
の監視に使用する第7世代のセンサーとエッジ用のアルゴリズム 浪費の階層
wBMSにより最大80%のワイヤを削減できる
を活用します。それにより、急速充電、航続距離の延長、バッテ 削減
リ寿命の延伸を実現すると共に最大限の安全性を保証します。 精度の低さが原因で過剰に大きいバッテリの
採用を強いられることを避けられる 再利用
また、ソフトウェアをアップデートすることによって、一貫性を 修理
2次利用による利益を増やすことで
持った形でバッテリとパワートレインの性能を高めることができ バッテリの再利用が促進される リサイクル
ます。加えて、セキュアなワイヤレス機能により、バッテリ・パッ wBMSにより、修理の迅速化、低価格化、 廃棄
モジュール化が促進される
クの状態の分析を容易に実施することが可能です。更に、故障が
検出された場合でも、ワイヤレスで構成(コンフィギュレーショ wBMSによってパックの分解が容易になる
ン)を実施できることから、取り外しや交換が容易になります。 図3. wBMSがもたらす効果。
バッテリ・パックの修理、再利用、リサイクルが容易になります。
バッテリのセカンド・ライフへのシームレスな移行
バッテリ・パックのコストは、EVの販売価格の30%以上を占め クリーン・エネルギーを利用するグリッドと
ています(2023年の時点)。そのため、経済的な理由から、バ 電動輸送の融合
リュー・チェーンの全体にわたって2次市場を作り出そうという EVの普及が進めば、充電ステーションに対する需要が高まりま
動きがあります。wBMSを利用すれば、バッテリの寿命全体にわ す。その結果、時間的にも空間的にも独特かつ動的な変化が生
たってその状態を正確に追跡することができます。その結果を再 じ、グリッドにかかるストレスが増加します。重要なのは、エネ
販価格に反映させれば、買い手と売り手の間で信頼を築くことが ルギーの蓄電/変換技術をエネルギーの管理技術と組み合わせる
可能になります。また、ある程度使用したバッテリを、初期投資 ことです。それにより、EVはグリッドの安定化に役立つ重要か
の一部を回収するために活用可能な資産として捉えられるように つ貴重なツールに変貌します。
なります。それによって節約されたお金を、車両/フリートの所 アナログ・デバイセズのwBMSは、EVと蓄電システム(ESS:
有者に還元することも可能になるかもしれません。ワイヤ・ハー Energy Storage System)に対し、バッテリに関するインテリ
ネスが不要になれば、バッテリ・パックの分解も迅速かつコスト ジェントなソフトウェアとワイヤレス・リンクを提供します。そ
を抑えた状態で実施できます。アナログ・デバイセズのソリュー れらは、クリーン・エネルギーを利用するグリッド全体のエネル
ションを活用すれば、バッテリのセカンド・ライフとして再利用 ギーの流れを調整することに貢献します。つまり、需要と供給を
やリサイクルを実現するためのシームレスな道筋が得られます。 より効果的かつシームレスに管理するために役立つということで
す。充電料金を変動制にするための仕組みを導入すれば、充電の
スケジュールを最適化し、電気料金をより適切なものにすること
ができます。
4 車両の電動化を担う先進技術がサステナブルな輸送の実現を加速する
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よりサステナブルな未来の実現を加速する
将来に目を向けると、サステナブルな未来を実現するには、地球 著者について
規模の大きな変革が必要になることがわかります。EVの普及は、 Patrick Morgan(博士)は、アナログ・デバイセズのコー
その始まりにすぎません。充電ケーブルの両側には、高度な技術 ポレート・バイス・プレジデントです。オートモーティブ
ソリューションが必要です。バッテリについては、今後も様々な /エネルギー担当のゼネラル・マネージャとして、アナロ
ケミストリを採用したものが登場し、市場は成長を続けるでしょ グ/ミックスド・シグナルIC、ソフトウェア、システムに
う。一方で、バッテリのライフサイクルを循環型に移行させるた 関するリーダーを務めています。車載/民生/産業の各分
めには新たなインサイトが必要になります。サステナブルな未来 野で、27年以上にわたり技術の開発とビジネスの拡大に携
を実現するためには、倫理的な行動を世界に浸透させなければな わってきました。アナログ・デバイセズに入社する前は、
りません。ゼロ・コバルトのLFPなど、紛争の原因となる鉱物を NXP® SemiconductorsとFreescale Semiconductor®
使用しないバッテリ・ケミストリは、今後も市場で支持を得るで (後にNXPが買収)でバイス・プレジデント、ゼネラル・
しょう。アナログ・デバイセズは、高精度の管理技術や制御技術、 マネージャとしてADAS(先進運転支援システム)関連事
リアルタイムの信号処理技術といった領域でイノベーションを生 業の基盤の確立と拡大に貢献。Freescaleの前は、パワー・
み出していきます。それらを活用することにより、エコシステム アンプの新興企業であったJavelin Semiconductorでマー
のあらゆるエッジ・ノードにインテリジェンスを追加できるよう ケティング/営業担当バイス・プレジデントを務めていま
取り組みを進めます。よりサステナブルな未来に向けて、電動輸 した。同社では創業時から通算で5千万ユニットのパワー・
送と、クリーン・エネルギーを利用するグリッドの融合をより高 アンプ製品を出荷。Avago Technologiesに買収されるま
い信頼性でより確実に実現できるよう尽力していきます。 での間、同社の事業を牽引しました。2000年代初頭には、
Silicon Laboratories(テキサス州オースティン)でワイヤ
レス製品のリーダーとして事業を牽引。携帯端末向けの事
業をゼロから10億米ドル超の規模まで成長させました。ス
タンフォード大学で電気工学の博士号を取得。7件の特許
を保有しています。これまでに、カリフォルニア州、テキサ
ス州、アリゾナ州、マサチューセッツ州、ドイツでの在住
経験を有しています。米中西部の出身で子供は2人。現在は
妻であるリンと共にニュー・イングランド地方で暮らして
います。
EngineerZone®
オンライン・サポート・コミュニティ
アナログ・デバイセズのオンライン・サポート・コミュ
ニティに参加すれば、各種の分野を専門とする技術者と
の連携を図ることができます。難易度の高い設計上の問
題について問い合わせを行ったり、FAQを参照したり、
ディスカッションに参加したりすることが可能です。
Visit ez.analog.com
*英 語版ソート・リーダーシップ記事はこちらよりご覧いただけ
ます。
VISI T A N A L O G . C O M /JP
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ログ・デバイセズのエキスパートへの質問、FAQの閲覧がで
きます。 T24769-9/23