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このカタログについて
ドキュメント名 | 作業現場における新たなコミュニケーション |
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ドキュメント種別 | 製品カタログ |
ファイルサイズ | 1.2Mb |
取り扱い企業 | アナログ・デバイセズ株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
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このカタログの内容
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Thought Leadership Article
作業現場における
新たなコラボレーション ――
新世代のコボットにより
人の負担を軽減する
オートメーション技術を活用すれば、作業の危険性、過酷さ、単 後押しする力は倍増したと言えるでしょう。パンデミックの影
調さを軽減することができます。しかし、そのためにはシステム 響で、人々の間にはニュー・ノーマル(新しい生活様式)と
の実装を繊細に行う必要があります。また、作業員に対しては技 いう概念が広まりました。その結果、職場においてもソーシャ
能の再教育を実施しなければなりません。本稿では、この分野に ル・ディスタンスが強く求められるようになりました。また、
関するNicola O'Byrneの洞察を共有します。O'Byrneは、アナ eコマースの取引量が激増し、フルフィルメントのサービスに
ログ・デバイセズでロボティクス担当のグローバル・アンバサダ 対する需要が高まりました。その結果、広範にわたってグロー
を務めています。 バル化されたサプライ・チェーンが実は驚くほど脆弱なもので
あるということが表面化しました。このような変化を受けて、
ロボットの導入の必要性が強く認識されたということです。多
くの業界では、パンデミックによって引き起こされた状況に対
処するための取り組みが進められています。その取り組みにお
いて重要な役割を担うのがロボティクスです。
技術革新が進んだ結果、ロボティクスをベースとするシステム
は、迅速かつ容易に導入できるようになりました。実際、ロボ
ティクスの領域の技術的な課題を解決するのは、以前と比べて
はるかに容易になりました。その結果、注目すべきはロボット
ではなく人間やプロセスであるということが明らかになりまし
た。ロボティクスは、人員の配置パターンや、スキル/トレー
ニングに関する要件、組織の文化、社会全般など、あらゆる事
柄に対して大きな変化をもたらす可能性があります。会社組織
図1. コボットが作業を行っている様子。作業員にとって、
コボットは新しい同僚のようなものです。 や公共機関などは、そうした変化に対して細心の注意を払わな
ければなりません。
概要
ロボティクス技術は、十数年前から様々な分野で利用されるよ ロボティクスを導入する企業に対する
うになりました。その普及は様々な力によって後押しされてお ハイ・レベルのガイダンス
り、現在ではかなりの数のロボットが多様な現場に導入されて 上述した変化にうまく対応できるよう業界を導くことを目的と
います。最も多く利用されている場所は工場ですが、科学研究 して、アナログ・デバイセズはNicola O'Byrneをロボティクス
施設や倉庫、物流施設などでも広く使われています。また、園 担当のグローバル・アンバサダに任命しました。O'Byrneは技
芸をはじめ、多くの人手を要する分野でも利用が拡大していま 術者として長年にわたり、ロボティクス・システム向けのコン
す。 ポーネント開発や技術開発に携わってきました。開発の対象とし
ていたのは、モータ、SLAM(Simultaneous Localization and
2020年3月、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパ Mapping)モジュール、安全性を確保するためのイベントの検
ンデミックが発生しました。それを受けて、ロボットの普及を 出などに必要な要素です。
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現在、O'Byrneはアナログ・デバイセズのお客様ならびにお客様 新たな種類のロボットの新たな役割
のお客様に対し、ロボティクスの導入や拡大に伴う多様な問題に O'Byrneによると、上述したオートメーションの新たな波は、従
関する助言を行っています。新型コロナウイルスのパンデミック 来のものとは異なる性質を持っているといいます。革新的な組織
を受けて、企業によるロボティクスの導入はかつてないほど急速 であれば、新たな種類のロボットに加えて、新たなスキルを有す
なペースで進行しています。「その際には、高いレベルの視点を るオペレータ(人間)を必要とする新たな自動化の手段を見いだ
持つことがこれまで以上に重要になっています」とO'Byrneは語 しているというのです。O'Byrneは、「コボットの設計/配備に
ります。また、O'Byrneは助言に伴い様々な問題提起を行ってい ついては非常に大きな進化が見られました。コボットの役割は、
ます。いくつかの問題について考慮すれば、企業はロボティクス 多くの手作業に伴う単調さと緊張感を排除することです。コボッ
を単に迅速に導入するのではなく、自社や自社を取り巻くコミュ トは、単調でありながら労力を要したり危険であったりする作業
ニティに適した形で効果的にロボットを活用できるようになりま を、オペレータのガイダンスの下で実施します。そうした作業の
す。 例としては、研磨、フライス加工、穴あけ、切断などが挙げられ
ます」と説明します。実際、コボットとの協調によって作業の安
「ロボティクスは、工場の製造ラインにおける生産性を大きく引
全性が高まるということは、既に研究結果として示されています1。
き上げる要素になり得ます。このことを、私たちは実体験に基づ
いて理解しています。しかし、従来ロボットを導入するというこ コボットはオペレータの傍らで稼働します。したがって、その消
とは、設置、コミッショニング、プログラミングに数週間を要す 費電力や占有面積は、従来のスタンドアロン型のロボットと比べ
る大型で高価な機械を導入するということを意味していました」 てはるかに厳しく制限されます。コボットは、自らの稼働環境に
とO'Byrneは指摘します。その上で、O'Byrneは次のように語り ついて認識する能力を備えていなければなりません。自身の工具
ます。 やアームといった可動部の近くに人間がいることを検知したら、
速度を落としたり動作を停止したりする必要があるからです。
「新型コロナウイルス感染症のパンデミックが始まって以来、新
たな種類のロボットの導入に対する関心が高まっています。その コボットのメーカーは、コミッショニングやプログラミングの迅
例としては、コボットとして知られる協調型のロボットが挙げら 速化と簡素化を実現するための新しい手段も見いだそうとしてい
れます。現在は、パンデミックの影響により感染や自主隔離を ます。「コボットのメーカーは、プログラミング向けに高度に抽
理由とした休職が増えて、シフト勤務の計画を立てるのが難しく 象化されたアプローチを導入しています。多くの場合、ユーザは
なっています。また、ソーシャル・ディスタンスが求められるこ コボットの動作を実現するためのコードを全く記述する必要はあ
とから、一部の職場では本来の数の人員を収容できないという問 りません。そうではなく、表形式のコンソール画面によって設定
題が発生しています。そうした労働力の不足分を補うためのもの を行うことで必要な動作を実現できます。その場合、オペレータ
として、ロボットやコボットに注目が集まっているのです」。 はガイドに従ってプログラムを実行します。例えば、コボットの
アームの位置を設定する際には、空間内のポイントを選択するこ
世界のサプライ・チェーンは、米中の貿易摩擦と英国のEU(欧
とでシーケンスを決定することができます。そのシーケンスの情
州連合)離脱が原因で、既に緊迫した状態にありました。そうし
報は、コンソール画面上のボタンを押すことでコボットのメモリ
たなか、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが発生したこ
に保存することが可能です」とO'Byrneは述べています。
とで、サプライ・チェーンには更なる圧力がかかりました。この
ような問題に対する一般的な対策の1つが、製造の国内回帰です。
つまり、購入/使用する場所の近くで製品を製造するということ
です。このような対策においても、ロボットは重要な役割を担い
ます。これについて、O'Byrneは「製造の国内回帰は、事業の継
続性とレジリエンスの面で有効な取り組みです。しかし、欧州や
北米で製造を行う場合、中国などのアジア諸国と同様の低い賃金
で労働力を得ることはできません。ロボットはこのような問題の
解決に役立ちます。それだけでなく、よりモジュール化された柔
軟なアプローチが製造にもたらされることから、マス・カスタマ
イゼーションに向けた取り組みが容易になるというメリットも得
られます」と説明します。
図2. 稼働中のコボット。コボットは今後、新たな分野、
新たな用途で利用されるようになるでしょう。
2 作業現場における 新たなコラボレーション ―― 新世代のコボットにより人の負担を軽減する
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「コボットの設計/配備については非常に大きな進化が見られま る方もいるでしょう。その気持ちは理解できますが、それは杞憂
した。コボットの役割は、多くの手作業に伴う単調さと緊張感を にすぎないと考えています。実際、ロボットによって人から奪わ
排除することです。コボットは、単調でありながら労力を要した れてしまう作業は存在するでしょう。しかし、奪われるのは作業
り危険であったりする作業を、オペレータのガイダンスの下で実 であって、仕事のすべてが奪われるというわけではありません。
施します。そうした作業の例としては、研磨、フライス加工、穴 コボットにはできることとできないことがあります。プロセスの
あけ、切断などが挙げられます。」 管理、創造力を活かしたプロセスの改善や再設計、コボットと協
調するチームの構築といった仕事は人間が行わなければなりま
せん。そうした仕事に必要なのは人間であり、ロボットではあり
ません。しかも、既に雇用されている従業員こそが、コボットの
構成、操作、管理を担うに最もふさわしい場合が多いのです」と
O'Byrneは語ります。これについてO'Byrneは以下のように説明
します。
「工場でプロセスに関する最も細かい知識を持っているのは作業
現場で働いている人々です。つまり、コボットをどのようにして
現場に組み込めばよいのか最もよく理解しているのはその人たち
だということです。もちろん、役割が変化すれば、何らかのスキ
ルや知識が追加で必要になります。企業としては、トレーニング
や、組織の再編のための豊富なプログラムによって、その転換を
図3. 人間とコボットによる協調作業 サポートすべきです。また、人員を投入したり、より広範なコミュ
ロボティクスの業界は、ロボットの利用拡大に向けて1つのビ ニティを活用したりする必要もあるでしょう。更に、そうした動
ジョンを掲げています。それは、より迅速かつ容易に導入できる きに向けては、公的な機関も大きな役割を果たすことができるは
小型で安価なコボットを実現するというものです。人間とコボッ ずです。例えば、大卒者を対象として、ロボティクスに関連する
トが協調して作業を行うことにより、人間の安全性をより高めつ 職業教育課程を用意するといった具合です。そうすれば、新卒者
つ、はるかに多くの成果を得られるようになります。また、それ は就職先における自らの価値をより高められるようになります」。
によって仕事や職場を新たに構築するための大きな機会が生み出 新たなロボティクス技術を導入すれば、誰もが満足する結果を得
されます。すなわち、手作業で実施するのが当たり前だと思って ることが可能になります。ただ、当社のO'Byrneをはじめとする
いた仕事を別の形に転換し、肉体的な負担、単調さ、危険性を軽 専門家たちは、それに向けて明確なメッセージを発信しています。
減できる可能性が得られるのです。加えて、人的ミスが生じる余 「ロボットを適切に導入するためには、技術を中心に据える必要
地を排除することも可能になります。そうした作業から解放され があります。しかし、新世代のロボットがもたらすメリットを最
た労働者には、経験的な知識に基づいた能力を有効に活用するこ 大限に活用したいのであれば、技術だけに注目してはなりません。
とができ、労働意欲をかきたてられる仕事に携わる機会が与えら 重要なのは、人間とプロセスに注意を払うことです」(O'Byrne)。
れます。
但し、O'Byrneは「業界を取り巻くコミュニティの同意を得るた 参考資料
めには、慎重な管理の下で転換を進める必要があります」とも 1「What Do You Know About Cobots?(コボットについてご
指摘しています。「世の中には、特に資格などを必要としない賃 存じですか?)」Matthews Intelligent Identification、2017年
金の低い仕事がたくさんあります。そのような領域では、ロボッ 1月
トが人間にとって代わってしまうのではないかという不安を覚え
VISIT ANALOG.COM/JP 3
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著者について EngineerZone®
Nicola O'Byrne(nicola.obyrne@ オンライン・サポート・コミュニティ
analog.com)は、アナログ・デバイセ アナログ・デバイセズのオンライン・サポート・コミュ
ズのストラテジック・マーケティング・ ニティに参加すれば、各種の分野を専門とする技術者と
マネージャです。オートモーティブ事業 の連携を図ることができます。難易度の高い設計上の問
部門の自律型モビリティ・チームに所属。 題について問い合わせを行ったり、FAQを参照したり、
A/D変換、モーション制御、ロボティクス ディスカッションに参加したりすることが可能です。
・システムを専門とし、社歴は25年に達します。数多くの
特許を保有するほか、カンファレンスやフォーラムでの講
演や業界誌向けの記事の執筆も行っています。アイルラン
ド国立大学コーク校(UCC)で電気工学/マイクロエレク Visit ez.analog.com
トロニクス工学の学士号を取得しました。
*英語版ソート・リーダーシップ記事はこちらよりご覧いただけ
ます。
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