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スマート製造の中核的な構成要素と しては、インテリジェントなモーション制御が挙げられます。
インテリジェントなモーション制御は、 高精度なフィードバック、高度なセンシング、高性能な制御、 シームレスな接続を組み合わせることで実現されます。インテリジェントなモーション制御を適用したスマート製造では、迅速に再構成を実施できるようになります。製造の工程が完了するまでの時間を短縮し、製造フローを最適化してスループットを高めることにより、エネルギーの消費量を削減し、より持続可能なスマート製造を実現できるようになります。
このカタログについて
ドキュメント名 | スマート製造の柔軟性、 生産性、持続可能性を高める |
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ドキュメント種別 | 製品カタログ |
ファイルサイズ | 1.3Mb |
取り扱い企業 | アナログ・デバイセズ株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
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このカタログの内容
Page1
Thought Leadership Article
スマート製造の柔軟性、
生産性、持続可能性を高める
著者:Maurice O'Brien、ストラテジック・マーケティング・マネージャ
スマート製造を支える インテリジェントなモーション制御
インテリジェントなモーション制御 ソリューションの進化
スマート製造(Smart Manufacturing)の中核的な構成要素と モーション制御は、グリッドに接続された単純なモータから、工
しては、インテリジェントなモーション制御が挙げられます。 作機械や産業用ロボット向けの複雑な多軸サーボ・ドライバへと
それにより、効率が高く柔軟性に優れた製造を実現することが 徐々に進化してきました。スマート製造の時代を迎え、その進化
可能になるからです。インテリジェントなモーション制御は、 はより一層加速されてきました。但し、それには、生産性、柔軟
高精度なフィードバック、高度なセンシング、高性能な制御、 性、自律性のレベルを高めるためにオートメーション機構がより
シームレスな接続を組み合わせることで実現されます。その結 複雑になるという代償が伴いました(図1)。
果、デタミニスティックなモーション制御が行えるソリューショ
ンが得られます。動きに関する知見をPLC(Programmable グリッドに接続されたモータ
Logic Controller)や製造実行システム(MES:Manufacturing 最も基本的なモーション制御のソリューションは、グリッドまた
Execution System)にシームレスに引き渡すことで、高度な分 はAC電源に接続された、速度が固定の3相モータをベースとし
析を行い、製造フローを最適化し、製造ラインが停止する前に潜 たものです。このソリューションでは、開閉装置を使用してオ
在的な問題を特定することが可能になります。インテリジェント ン/オフ制御と保護回路を実現します。このような基本的なソ
なモーション制御を適用したスマート製造では、迅速に再構成を リューションは、負荷の変動には関係なく、比較的固定された速
実施できるようになります。それによって、バッチ・サイズ1の 度で動作します。出力の抑制は、機械的な制御によって実現され
製造など、よりアジャイルでスケーラブルな製造に対応すること ます。スロット、ダンパ、ギア、バルブ、ポンプ、ファンなどが
が可能になります。製造の工程が完了するまでの時間を短縮し、 代表的なアセット(設備)の例です。
製造フローを最適化してスループットを高めることにより、エネ
ルギーの消費量を削減し、より持続可能なスマート製造を実現で
きるようになります。インテリジェントなモーション制御を適用 インバータ駆動のモータ
する対象としては、以下のようなものが挙げられます。 グリッド/AC電源に整流器、DCバス、3相インバータ段を追加
して周波数と電圧が可変の電源を構成し、それをモータに接続す
X ポンプ X 印刷機 れば、可変速度の制御を行えるようになります。このようなイン
X ファン X 押出機 バータ駆動のモータでは、アプリケーションや負荷に応じた最適
な速度でモータを回転させることによって、エネルギーの消費量
X ホイスト X 工作機械
を大幅に削減することができます。高効率のポンプやファンがそ
X HVAC(暖房、換気、空 X ロボット の実装例です。
調) X ピック&プレース
X コンベア X ハンドリング
X 巻き上げ機
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Page2
機能的に安全な
自律的機械制御
多軸の機械制御 機械的な 経路の
機械的な 機械の 統合 制御
統合 制御 安全性の
高性能の制御 センシング
速度が固定の機械 整流器と 電流の AC
AC MoAtCAC or
AC電源 AC電源 3相インバータ フィードバック MMootAotACor
MoAtCor
MotCorr モータ
̃ AC ̃ AC 位置情報の MoAtCor
モータ モータ フィードバック モータ
位置の 衝突の
開閉装置 開閉装置 センシング 回避
グリッドに接続されたモータ 可変速ドライバ 産業用ロボット 移動型ロボット
インバータ駆動のモータ サーボ駆動システム 協働ロボット
整流器と 整流器と 電流の
3相インバータ 機械的な 機械の
AC電源 AC電源 3相インバータ フィードバック 統合 制御
̃ AC AC 位置情報の 安全性の
モータ ~ モータ フィードバック センシング
AC
開閉装置 開閉装置 AC MMo
A
otA
CoC
モータ MotAo
r
MtAo
CrrC
モotーoタr可変速機械
高性能の
同期型制御
機能的に安全な
多軸機械制御
図1. インテリジェントかつコネクテッドな
モーション・アプリケーションへの進化
可変速ドライバ 産業用ロボット、協働ロボット、移動型ロボット
より高い性能が求められるモーション制御アプリケーションで 産業用ロボットでは、3次元空間の複雑な位置決めを実現するた
は、可変速ドライバ(VSD:Variable Speed Drive)が使用さ めに、高度な機械制御アルゴリズムを組み合わせた多軸サーボ
れます。それにより、正確なトルク、速度、位置の制御が可能に 駆動を導入すると共に、機械的な統合を行う必要があります。通
なるからです。これを実現するには、基本的なオープンループの 常、ロボットは協調的な制御が必要な6つの軸を備えています。
インバータ駆動機構に電流と位置の測定機能を追加します。それ ロボットがレールに沿って移動する場合には、7つの軸が必要に
により、モータの速度、位置、トルクをより正確に制御できるよ なることもあります。協働ロボット(コボット)には、産業用ロ
うになります。コンベア、巻き上げ機、印刷機、押出成形機は、 ボットのソリューションをベースとしてPFL(Power and Force
そうしたアプリケーションの代表的な例です。 Limiting)機能が追加されます。それにより、機能的に安全な多
軸機械制御を実現し、オペレータがコボットと一緒に安全に作業
サーボ駆動システム を行えるようにします。また、移動型ロボットには、安全性を確
より複雑な動きが必要なアプリケーションでは、同期型の 保するために位置情報のセンシング機能と衝突の回避機能を備え
多軸サーボ駆動システムが使用されます。工作機械やCNC た自動操縦型の機械制御が適用されます。
(Computerized Numerical Control)加工機では、極めて正確
に位置の情報をフィードバックし、複数の軸の同期をとらなけれ インテリジェントなモーション制御が
ばなりません。一般に、CNC加工機では5軸の協調動作が行わ 進化した要因
れます。工具とワークの両方が空間内で相互に移動する場合には、 インテリジェントなモーション制御の進化は、主に4つの要因に
最大12軸の動作が必要になることもあります。 よって加速されています。すなわち、エネルギー消費量の削減、
アジャイルな製造、デジタル・トランスフォーメーション、新た
なビジネス・モデルへの移行の4つです。新たなビジネス・モデ
ルとしては、スマート製造におけるダウンタイムの低減とアセッ
トの利用率の向上を目的としたサービス・ベースのものが登場し
ています。以下、これら4つの要因について詳しく説明します。
2 スマート製造の柔軟性、 生産性、持続可能性を高める
Page3
(1)エネルギー消費量の削減 す2。可変速ドライバやサーボ駆動システムでは、電圧、電流、
産業分野では、消費電力の約70%が電気モータ・システムで費 位置、温度、出力、エネルギー消費量などのデータと、振動をは
やされていることがわかっています1。インテリジェントなモー じめとするプロセス変数を監視する外部センサーを組み合わせて
ション制御のソリューションは、エネルギー効率に関する規制を 使用します。モーション制御のアプリケーションでは、IT/OT(情
背景として発展してきました。より多くのアプリケーションにお 報技術/運用技術)向けに統合されたイーサネット・ネットワー
いて、速度が固定のモータから高効率のモータや可変速ドライバ クによってデータや知見をやり取りします。そのため、動きに関
への移行を進めることにより、エネルギー消費量を大幅に削減す するデータや知見をより取得しやすくなります。また、強力なク
ることができます。このトレンドは今後も続く見込みです。エネ ラウド・コンピューティングとAIによって分析を行うことで、製
ルギーの消費量を削減することにより、より持続可能な製造を実 造フローを最適化し、あらゆるアセットの健全性を監視すること
現することが可能になります。スマート製造では、動きに関する が可能になります(図2)。
知見を取得して製造フローを最適化することにより、エネルギー
の消費量をより一層削減できるようにします。 (4)配備済みのアセットを対象とする
新たなビジネス・モデル
(2)アジャイルな製造 アセット(設備)のメーカーは、単に製品を販売するだけではな
現在、多くの業界では、消費者の需要や購入者の行動の変化に遅 く、製品に関連するビジネス・モデルを新たに創出したいと考え
れることなく適応するための取り組みが行われています。その結 ています。生産性やアセットの利用率に基づいたアフターサービ
果、カスタマイズ性を高めつつTAT(Turn-around Time)の短 スを受託するといった具合です。例えば、ポンプのメーカーは、
縮を実現するために、再構成が可能な製造ラインをベースとする 単にポンプを販売するだけでなく、新たな予知保全サービスも
アジャイルな製造が求められるようになりました。つまり、消費 提供したいと考えています。ポンプで送り出す液体(水や燃料な
者の需要に応えるべく、少品種大量生産から多品種少量生産へ ど)の容量に基づき、1m3ごとに課金するといった形態も想定
の移行が進んでいるということです。これを実現するためには、 できます。今後の5年間で、ポンプ・メーカーの総売上高のうち
工場の製造フロアをより柔軟性の高いものにしなければなりませ 50%~60%は、そうしたサービスによって生み出されると予想
ん。複雑な作業、反復作業、危険な作業は産業用のロボットによっ されています3。システム・インテグレータも、単にアセットの
て行われるようにすることで、スループットと生産性の向上が実 初期導入に対して代金を請求するだけではなくなります。つまり、
現されています。アジャイルな製造では、トラブルが発生した際 設置したアセットの稼働時間に基づいて課金を行いたいと考えて
のレジリエンスも高められます。更に、変化する顧客のニーズに います。新たに提供されるインテリジェントなモーション制御ソ
対して迅速に対応できるようになります。 リューションには、状態監視機能が統合されます。例えば、アセッ
トの健全性をリアルタイムで監視する機能を導入することによ
(3)デジタル・トランスフォーメーション り、メンテナンスの計画(スケジュール)を立てられるようにな
デジタル・トランスフォーメーションに対しては、2023年まで ります。このような監視を行うことにより、アセットの予期せぬ
に6.8兆米ドル(約770兆円)に達する投資が行われる見込みで ダウンタイムを回避し、生産性とアセットの利用率を改善するこ
とができます。インテリジェントなモーション制御を適用したシ
ステムは、サービス・ベースの新たなビジネスの基盤になります。
エンタープライズ
/IT ゲートウェイ
PLC、DCS PLC、DCS PLC、DCS
セル・ セル・
コントローラ コントローラ
HMI HMI
制御/OT
モーション・ モーション・
プランナ ドライバ PLC、DCS プランナ ドライバ
CNC CNC
フィールド
/OT
エンド・ノード コンベア・ 工作 ロボット ポンプ コンベア・ 統合型 工作 ポンプ
/OT プーリ 機械 ファン プーリ ドライバ 機械 ロボット ファン
現在: リアルタイム対応の産業用イーサネット・プロトコル 将来: リアルタイム対応の産業用イーサネット・プロトコルを使用する統合型TSN
RS-485 100Mbpsの産業用イーサネット
標準的なイーサネット 1Gbps/TSN対応の産業用イーサネット
図2. デジタル・トランスフォーメーションの例。
産業用イーサネットによるシームレスな接続によって実現されます。
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製造施設 オフィス
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インテリジェントなモーション制御の要件 り持続可能なスマート製造を実現する上での鍵になります。ア
スマート製造において、生産性と持続可能性のレベルを高めるに セットの寿命を延ばすことができれば、交換用のアセットを製造
は、インテリジェントなモーション制御ソリューションを導入し、 するための原材料とエネルギーの消費量を大幅に削減することが
先ほど説明した4つの要因によるメリットが得られるようにしな 可能になります。電源のレギュレーションと保護を実現するには、
ければなりません。インテリジェントなモーション制御に求めら パワー・マネージメントのソリューションが必要です。そうした
れる主な要件を図3にまとめました。 ソリューションも、信頼性が高く堅牢なアセットを実現する上で
!" 重要な意味を持ちます。パワー・マネージメントの要件としては、
高度な 優れた IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)用のハイサイドの
センシング モーション制御 電源、FPGAやプロセッサ用の電力密度の高いソリューション、
パワー・マネージメント用のテレメトリに対応するデジタルPoL
(Point of Load)、EMC(Electromagnetic Compatibility)性能、
高い周囲温度での動作、高電圧からユーザを保護するためのデー
タ/電源の絶縁などが挙げられます。SiCやGaNなどのワイド・
バンド・ギャップのパワー・トランジスタ(スイッチ)を高い信
頼性で使用できるようにするには、過電流保護システムの高速化
など、堅牢な動作を実現するための新たな課題や要件が加わりま
す。
堅牢性、
リアルタイムの 安全性、 リアルタイムの接続
接続 信頼性 多軸対応で同期型の高性能なモーション制御では、制御のタイミ
ングについて、高精度、デタミニスティック、タイム・クリティ
図3. インテリジェントな
モーション制御の要件 カルであることが求められます。特に、制御サイクルの時間が短
く、制御アルゴリズムの複雑さが増大している場合には、エンド
優れたモーション制御 toエンドの遅延を最小限に抑えなければなりません。そうした
高性能のアプリケーションで複雑なモーション制御を行うには、
優れたモーション制御を導入すれば、製造の工程が完了するまで
ネットワークのサイクル時間をミリ秒以下に抑えたリアルタイム
に要する時間を短縮することができます。スループットと生産性
の接続が必要です。スマート製造では、モーション制御システム
が高められ、エネルギーの消費量を削減することが可能になりま
と共にビジョン・システムを使用し、製造品質を監視しつつ安全
す。例えば、位置やトルクを高い精度で制御することにより、部
性を高めます。そのため、リアルタイムかつデタミニスティック
品の複雑な加工に必要な工程の数や時間を削減することができ
なモーション制御用のトラフィックと、ビジョン・システムのベ
ます。つまり、高速/高品質の機械加工を実現できるということ
スト・エフォート型のトラフィックが、産業用イーサネットを採
です。優れたモーション制御を実現するためには、いくつかの主
用し、帯域幅が最大ギガビット・レベルに達するネットワーク上
要な要件を満たす必要があります。例えば、制御ループの性能の
で共存できるようにしなければなりません。また、製造施設全体
向上、過酷な産業環境向けの堅牢なソリューション、信頼性が高
にわたってシームレスなデータ・フローを構築し、上位の管理シ
く小型のフォーム・ファクタを実現できる高レベルの統合といっ
ステムに対するデータの透明性を確保するためには、ネットワー
たことが挙げられます。これらの要件を実現するには、低遅延、
クに接続された機器やコントローラの相互運用性が重要になりま
低ドリフト、多相電流/位置のセンシング、トランジェントに対
す。加えて、コミッショニング時間を短縮し、ネットワークの柔
する高い耐性、集積度の高いコンポーネントから成るシグナル・
軟性とスケーラビリティを向上させる必要があります。IT/OTを
チェーンなどが必要になります。
統合したイーサネット・ベースのネットワークにより、上位の管
理ソフトウェア・システムが、動きに関する知見をシームレスに
堅牢性、安全性、信頼性 取得/分析できるようにすることが重要です。それにより、製造
信頼性が高く堅牢なソリューションを導入すれば、アセットの耐 フローを最適化し、デジタル・トランスフォーメーションを加速
用年数を延ばすことができます。そうしたソリューションは、よ することが可能になります。
4 スマート製造の柔軟性、 生産性、持続可能性を高める
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高度なセンシング 高精度の測定
高度なセンシング・ソリューションを活用すれば、動きに関する 複雑なモーション制御を実現するには、高い精度で電流のフィー
知見を生成することができます。そうした知見を活用することに ドバックを行えるようにしなければなりません。そのためには、
より、製造フローを最適化し、故障の兆候を早期に検知すること 高精度の変換技術が必要になります。電流のフィードバックは、
が可能になります。センシングの対象になるものとしては、位置、 絶縁型/非絶縁型の両ソリューションを利用し、高精度で高速な
電流、電圧、磁界、温度、振動、衝撃などが挙げられます。高度 過渡応答が得られる制御ループを実現するために行われます。こ
なセンシングを適用することにより、アセットの健全性をリアル れは、駆動性能を向上するための基盤になる技術だと言えます。
タイムで監視し、稼働時間に基づく予知保全サービスを提供する それによって全体の制御帯域幅と応答時間が決まるからです。電
といった新たなビジネス・モデルが生み出されます。高度なセン 流のフィードバックに関する主な要件としては、PWM(Pulse
シングの要件としては、過酷な産業環境(ほこりが多い、など) Width Modulation)のサイクルと同期をとった測定、絶縁型の
に対する堅牢性、位置の正確なセンシング、大電流の非接触の 測定または高いコモンモード電圧に対応した測定、トルクのリッ
センシング、電流/振動の広帯域幅のセンシング、ソリューショ プルを最小限に抑えるための小さなオフセット・ドリフト、分解
ンの精度を確保するためのキャリブレーション回数の削減、エン 能が14~18ビットで低遅延の同時サンプリングによって実現さ
コーダを使用するアプリケーション向けの小型のソリューション れる位相電流の測定などが挙げられます。高精度の変換技術は、
といった事柄が挙げられます。 エンコーダを使用するリニア・トラックのアプリケーションにお
いて、正確に位置を測定するためにも必要になります。それによ
モーション制御の付加価値を迅速に り、スループットと生産性の向上が図れます。
高めるための技術
現在は、スマート製造向けにインテリジェントな次世代のモー 絶縁技術とインターフェース技術
ション制御ソリューションが開発されている状況にあります。そ 複雑なモーション制御を実現可能にする次世代のドライバと
うしたソリューションでは、複数の技術を組み合わせなければな モータには、デジタル・データ向けの絶縁技術が必要です。そ
りません。それにより、過酷な産業環境に適した堅牢で高精度の れにより、RS-485、USB、LVDS(Low Voltage Differential
モーション制御を実現することができます。その結果として、高 Signaling)などの通信インターフェースの絶縁を実現できます。
度なセンシングにより、システムに関する知見を取得することが ハイサイド/ローサイドのパワー・トランジスタを駆動し、安全
可能になります(図4)。 規格に準拠する堅牢性/信頼性の高いアセットを提供するために
は、絶縁型のゲート・ドライバも必要になります。
高精度の測定 産業用イーサネット
絶縁技術と
インターフェース技術 磁気のセンシング
パワー・マネージメント 機械の健全性
図4. モーション制御ソリューションの価値を高めるための主要な技術。
システムに関する知見を得るために利用されます。
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ゲート・ドライバは、ロジックレベルに対応するPWM信号をパ クなソリューションを採用することで、より複雑なモーション制
ワー・トランジスタの制御に使用するために、ハイサイドを基準 御が可能になり、製造施設における生産性と柔軟性のレベルを高
とした信号に変換する役割を担います。多くの場合、高電圧に対 めることができます。
応するインバータ・アプリケーションでは、パワー・トランジス
タとしてIGBTが使われます。但し、今後はSiCやGaNをベース 磁気のセンシング
とするトランジスタを採用し、スイッチング周波数を高くしたり、 磁気のセンシング用のソリューションでは、AMR(Anisotropic
スイッチング損失を低減したりすることが多くなるでしょう。な MagnetoResistance)を利用した位置センサーがよく使われま
お、低電圧を扱うアプリケーションでは、MOSFETベースのス す。それにより、エンコーダを使用するアプリケーションにおい
イッチが使用されます。ゲート・ドライバの主な要件としては、 て堅牢性が高く正確な位置の検出を実現することができます。位
速度が速い、伝搬遅延が小さい、遅延スキューが小さい、堅牢性 置情報のフィードバックは、直接的に位置を制御したり、回転速
が高い、コモンモード過渡耐圧が高い、スイッチの保護機能を備 度を推定してサーボ・ドライバで機械の速度を制御したりする場
えるといったことが挙げられます。最後に挙げたスイッチの保護 合に使用されます。磁気のセンシングを利用すれば、ほこりや振
機能としては、DESAT(非飽和)検出、ミラー・クランプ、ソ 動の影響を受けやすい産業用アプリケーションにおいて、光学式
フト・シャットダウン、UVLO(Under Voltage Lock Out)、 のエンコーダを使用する場合よりもコストを抑えつつ、より堅牢
スイッチング制御(可変スルー・レートなど)などが必要になり なソリューションを実現できます。
ます。多くのドライバにおいて、標準的なデジタル・アイソレー
タは高電圧のパワー・エレクトロニクス領域と安全な超低電圧
(SELV:Safety Extra Low Voltage)領域の間で、PWMなど パワー・マネージメント
の方式で信号を伝送する役割を担います。具体的な例としては、 通常、インテリジェントなモーション制御アプリケーションは、
IPM(Integrated Power Module)用の絶縁型信号伝送などが 過酷な産業環境に配備されます。そのため、周囲温度が高い場
挙げられます。完全に統合された絶縁型のパワー・ソリューショ 合でも適切に動作し、伝導ノイズや高電圧のトランジェントに対
ンは、デジタル・アイソレータを含む絶縁手法と組み合わせて使 する耐性を備えることが求められます。一部の分散型アプリケー
用されます。デジタル・アイソレータを採用すれば、ディスクリー ションでは、ドライバは小さな筐体内でモータの近くに配置され
トのトランスを使用するソリューションと比べて大幅な小型化を ます。アプリケーションによっては、ドライバとモータは一体化
実現できます。 されます。フォーム・ファクタが小さくインテリジェントなモー
ション制御アプリケーションを実現するには、高い周囲温度で動
作することが可能で、より電力密度が高いパワー・マネージメン
産業用イーサネット ト・ソリューションが必要になります。
インテリジェントなモーション制御アプリケーション(サーボや
ドライバ)には、デタミニスティックなリアルタイム通信が必
要になります。そのためには、ミリ秒以下のサイクル時間とい 機械の健全性
うネットワーク性能を備えた産業用イーサネットを採用するこ 機械の健全性は、振動センサーや衝撃センサーを使用してアセッ
とになるでしょう。100Mbps~1Gbpsのデータ転送速度に対 トをリアルタイムで監視することによって把握します。それによ
応する堅牢性の高い物理層(PHY)のデバイスを、EtherCAT、 り、予期せぬダウンタイムを回避し、アセットの耐用年数を延
PROFINET、EtherNet/IP、IEEEのTSN(Time Sensitive ばすと共にメンテナンスにかかるコストを削減することができま
Networking)といったレイヤ2の産業用イーサネット・プロト す。また、機械の健全性を監視する機能をモーション制御アプリ
コルと組み合わせることにより、デタミニスティックなイーサ ケーションに統合すれば、新たな収入源を生み出すことも可能で
ネット接続が実現されます。次世代の設計では、複数種のトラ す。デジタル化の戦略を通じ、稼働時間を保証して生産性のレベ
フィック、制御用のサイクリック通信、ベスト・エフォート型の ルを高め、それに関連するサービスをベースとした新たなビジネ
トラフィック(ビジョン・システムや監視システムのトラフィッ ス・モデルを創出するということです。アセットの健全性は、振
クなど)に対応する非サイクリックな通信をサポートする必要が 動、衝撃、温度に関するデータの形で取得されます。それらのデー
あります。そうした統合型のネットワークでは、ギガビット対応 タは、エッジに実装されたAIによって、アセットの健全性に関す
のTSNが使われるようになるはずです。多軸アプリケーション る知見に変換されます。その結果は、有線/無線のソリューショ
でサイクル時間を短縮するためには、遅延の小さい産業用イーサ ンを介して管理/制御用のソフトウェアに伝達されます。このよ
ネットのソリューションが必要です。そうしたデタミニスティッ うにすることで、主要なアセットの健全性に関する情報をリアル
タイムに提供することが可能になります。
6 スマート製造の柔軟性、 生産性、持続可能性を高める
Page7
まとめ ます。図5に示したのは、標準的なモータ制御システムのシグナ
消費者の需要の変化に迅速に応え、バッチ・サイズ1の製造にも ル・チェーンです。このシグナル・チェーンは、6つの主要なブ
対応できるように効率を高めるためには、アジャイルな製造環境 ロックによって構成されています。以下、各ブロックの概要や利
を構築しなければなりません。アジャイルな製造は、ネットワー 用できる製品について説明します。
クに接続され、迅速に再構成できるインテリジェントなアセット
を配備することによって実現されます。それらのアセットは、リ パワー・エレクトロニクス
アルタイムにデータを共有することが可能です。共有されたデー パワー・エレクトロニクスは、モータ駆動システムにおいて電力
タを活用して製造上のボトルネックを特定すると共に、アセット 変換に使用されます。高電圧(100V以上)を扱うシステムの場
の健全性を監視することによって、予期せぬダウンタイムを回 合、絶縁型のゲート・ドライバを使用してパワー・トランジスタ
避し、運用に関するパフォーマンスを高めることができます。 を駆動します。図5に示した「ADuM4122」は、1つのゲート・
スマート製造は、そうしたインテリジェントなモーション制御ソ デバイスを駆動するための絶縁型ゲート・ドライバであり、3A
リューションに基づいて実現されます。消費エネルギーを削減し の短絡電流(3Ω以下)に対応します。EMI(Electromagnetic
つつ、より複雑なモーション制御が行えるので、柔軟性、生産性、 Interference)と電力損失を最適化するためのスルー・レート
持続可能性のレベルを高めることが可能になります。アナログ・ 制御機能を備えており、最大で約800VのDCバスに対する機
デバイセズは、インテリジェントなモーション制御向けの技術や 能絶縁/強化絶縁をサポートします。また、パワー・トランジ
プラットフォームを提供しています。また、お客様やパートナー スタとしてSiC/GaNデバイスを使用する場合にも対応できる高
がモーション制御の価値を迅速に高められるよう支援を行って いCMTI(Common-mode Transient Immunity)と小さい伝
います。そうした取り組みの詳細については、analog.com/jp/ 搬遅延が実現されています。アナログ・デバイセズは、マルチ
intelligentmotionをご覧ください。また、ソリューションの構築 チャンネルに対応するデジタル・アイソレータ「ADuM160N」
に役立つ各種の製品については、以下に示す付録をご覧ください。 も提供しています。これを採用した場合、ゲート・ドライバと
パワー・トランジスタを一体化したIPMで使用されるPWM信
参考資料1:インテリジェントな 号に絶縁を施すことができます。絶縁型のDC/DCコンバータ
モーション制御ソリューション 「ADuM6028」は、デジタル・アイソレータ、絶縁型トランシー
アナログ・デバイセズは、インテリジェントなモーション制御ア バー、絶縁型データ・コンバータなどと組み合わせて使用する製
プリケーション向けの技術やシステム・レベルのソリューション 品です。安全規格に準拠した非常に小さな8ピンのソリューショ
を提供しています。それらを活用すれば、性能のレベルを高め、 ンであり、入手後にすぐに使用することができます。
エネルギーの消費量とダウンタイムを削減することが可能になり
堅牢性の高い
絶縁技術
高精度のモーション制御のための
電流のフィードバック
機械の
パワー・エレクトロニクス 監視
位置の検出
電流の検出
絶縁型ゲート・ドライバ 角度の検出を行う
LVブリッジ・ドライバ AMRセンサー
AC
モータ
機械の健全性
+ – + –
∑-∆ ∑-∆
ADC
ADC
モーション・コントローラ
PWM 電流のフィードバック ASIC
出力 位置情報のフィードバック 高精度のモーション制御に
向けた位置情報の
パワー・マネージメント フィードバック
ネットワーク・ ネットワーク・
Vi Vo スイッチ インターフェース
LDO
PHY PHY
ESD保護に対応する絶縁型/
多軸/ネットワーク接続 非絶縁型のRS-485/RS-422
図5. インテリジェントなモーション制御アプリケーション向けのソリューション。
主にアナログ・デバイセズの製品を使用して構成しています。
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比較的低い電圧(100V以下)を扱うシステムでは、「LTC7060」 ケーションにおいて、絶対精度の高い位置検出を実現することが
や「LTC7000」を使用するとよいでしょう。LTC7060は、 できます(誤差は0.1°未満、寿命期間/全温度範囲で0.5°未満)。
100Vに対応可能なハーフブリッジ・ドライバです。フローティ これらの製品は、磁気の面で過酷な環境でも堅牢性を発揮しま
ング・グラウンドに対応し、デッド・タイムのプログラム機能を す。ホール素子やGMR(Giant Magneto Resistive effect)セ
備えています。一方のLTC7000は、ハイサイドのNMOS用の静 ンサー、TMR(Tunnel Magneto Resistance)センサーとは異
的スイッチ・ドライバであり、150Vに対応します。PassThruTM なり、角度の測定誤差を増大させることなく、広いエア・ギャッ
技術が適用されていることに加え、適応型のシュートスルー機能 プの公差に対応可能です。そのため、システム設計における検
をはじめとする保護機能を備えています。これらのドライバICを 討が簡素化されます。また、光学センサーと比べてほこりや汚れ
使用することで、比較的低い電圧に対応するパワー・トランジス の影響を受けにくいので、産業用途に適しています。市場で普及
タを駆動することができます。なお、LTC7000は、効率を最適 しているキャリブレーション・エンジン内蔵型のデジタル出力ソ
化するために使用するプログラム可能なデッド・タイム機能、強 リューションと比較しても、遅延が非常に小さく抑えられていま
化された電流制御機能、EMIを低減するためのスルー・レート制 す。ADA4571は、周囲の磁界の角度を表すシングルエンドのア
御機能も備えています。 ナログ出力を2つ生成します(正弦と余弦)。一方、ADA4570
は、2系統の差動アナログ出力に対応する信号を生成します。
電流の検出 ADA4571のデュアルバージョンである「ADA4571-2」も提供
絶縁型の電流検出/測定向けには、2次のシグマ・デルタ(ΣΔ) しています。この製品は、安全性が極めて重要なアプリケーショ
モジュレータ「ADuM7701」を提供しています。これを使用す ンにおいて完全な冗長性を実現したい場合に利用するとよいで
れば、アナログ入力信号を1ビットの高速データ・ストリームに しょう。
変換することができます。このICは、iCoupler®技術を採用した 「AD7380」は、分解能が16ビットの逐次比較型(SAR)ADC
デジタル・アイソレータを内蔵しています。また、絶縁型のΣΔ です。4MSPSのデュアル同時サンプリングに対応します。これ
ADC「ADuM7703」は、オフセット・ドリフトが小さいことを を使用すれば、エンコーダのアプリケーションを高い精度、高い
特徴とします(最大0.6µV/℃)。そのため、トルクのリップルを スループット、最小のサイズで実現することができます。小型の
抑制することが可能です。コンパクトな8ピンのパッケージを採 パッケージ(3mm×3mm)を採用しているので、エンコーダの
用していることに加え、LDO(低ドロップ・アウト)レギュレー アプリケーションの小型化に適しています。また、4MSPSのス
タを内蔵しているので、電源設計の簡素化と基板面積の削減に ループットが得られるので、最小の遅延と制御ループの高速な過
貢献できます。CMTIの定格は最小150V/ナノ秒なので、GaN/ 渡応答を実現できます。同ICはオーバーサンプリング・エンジン
SiCデバイスと共に使用することが可能です。 を備えているので、低速動作の条件下でも高い精度が得られます。
「AD8410」は、高電圧に対応する電流検出アンプです。ゲイン
が高く(20V/V、50V/V、100V/V)、オフセット・ドリフトが 機械の健全性
小さい(約1µV/℃)ことに加え、帯域幅が広い(2MHz)という アセットの健全性に関する知見を得たい場合には、エンコー
特徴を備えています。そのため、最適な電流制御を実現すること ダやモータに振動センサー、衝撃センサーを統合します。
ができます。また、同ICは、双方向の電流測定向けに最大100V 「ADXL1002」は、±50gに対応するMEMS加速度センサーで
に対応可能なコモンモード入力を備えています。「LTC6102」は、 す。超低ノイズ(±50gのレンジで25µg/√Hz)で高い周波数
高精度かつゼロドリフトの電流検出アンプです。同ICは、広範な に対応することを特徴とします。21kHzの共振周波数に対応し、
動作条件にわたって精度を維持します。シャント方式の電流検出 最高11kHz(3dBポイント)の広いデータ帯域幅にわたって振
アプリケーションでは、最大100Vのハイサイド電圧から給電す 動の検出が行えます。圧電センサーに代わる、低コスト、低消費
ることが可能です。 電力のMEMS加速度センサーだと言えます。同製品を使用すれ
ば、低速(DCまで)で回転する機器の監視が可能になります。
位置の検出 また、圧電センサーを使用する場合と比べてキャリブレーション
位置情報のフィードバックは、直接的に位置を制御したい場合 の必要性も低減できます。「ADXL354」は、低ノイズ、低消費電
や、回転速度を推定して機械の速度を制御したい場合に使用され 力の3軸MEMS加速度センサーです。小型のパッケージ(6mm
ます。「ADA4570」と「ADA4571」は、シグナル・コンディ ×6mm)を採用しており、3線/4線のSPI(Serial Peripheral
2
ショニング回路を内蔵したAMR方式の角度センサーICです。こ Interface)、I Cの各デジタル・インターフェースをサポートしま
れを使用すれば、モータ・ドライバやサーボ・ドライバのアプリ す。そのため、エンコーダに振動検出機能を統合する場合でもソ
リューションの小型化を実現できます。
8 スマート製造の柔軟性、 生産性、持続可能性を高める
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アナログ・デバイセズは、OtoSenseTMを採用したスマート・モー ます。モーション・コントローラに電力を供給するためには、堅
タ・センサーも提供しています。モータの状態監視に向けたハー 牢性、動作温度、電力密度が高いパワー・マネージメント用のソ
ドウェアとソフトウェアで構成されており、AIをベースとする完 リューションが必要です。多くの場合、モーション・コントロー
全なターンキー・ソリューションとなっています。これを利用す ラとしては、オプションの電源投入シーケンスと電力に関するテ
れば、クラス最高のセンシング技術と最先端のデータ解析機能が レメトリ機能を備えたFPGAまたはプロセッサが使用されます。
得られます。三相誘導モータに特化することにより、最も重要な アナログ・デバイセズは、数多くのPower by LinearTM製品を
診断に対応することができ、データを基に実際に利用が可能な知 提供しています。同ファミリのパワー・マネージメントICやパ
見を導き出すことができます。それらの知見を活用することで、 ワー・モジュールは、現在/将来のインテリジェントなモーショ
メンテナンスのサイクルを予測し、予期せぬダウンタイムを回避 ン制御アプリケーションに電力を供給するための基盤として使用
することが可能になります。 できます。多くの場合、モーション・コントローラは中央のラッ
クに配置されているので、距離の離れた位置にあるエンコーダ
ネットワーク・インターフェース との間で通信を行う必要があります。そのような場合には、絶
スマート製造は、インテリジェントなモーション制御アプリケー 縁型/非絶縁型のRS-485対応トランシーバーを使用するとよい
ションのネットワークをベースとして実現されます。そのアプリ でしょう。そうすれば、モーション・コントローラに対し、エン
ケーションでは、アセットと上位の制御/管理ネットワークとの コーダからフィードバックされる位置情報をシリアル通信によっ
間でデータの共有が行われます。アナログ・デバイセズは、こ て伝送できます。「ADM3066E」は、50Mbpsの全二重伝送が
の用途向けのPHYデバイスとして10Mbps/100Mbpsに対応す 可能なRS-485対応トランシーバーです。IEC規格で定められた
る「ADIN1200」と、10Mbps/100Mbps/1Gbpsに対応する ±12kVのESDに対する保護機能を備えています。高い周囲温度
「ADIN1300」を提供しています。いずれも、堅牢性が高く、消 (125℃)に対応して帯域幅の広い堅牢な通信ソリューションを
費電力が少なく、遅延が小さいことを特徴とします。また、周囲 提供します。3mm×3mmの小型パッケージを採用しているの
温度が最高105℃に達しても適切に動作します。過酷な産業環 で、エンコーダのアプリケーションに最適です。
境で利用できるよう広範な条件でテストされており、EMCの規
格や堅牢性に関する規格に準拠することが保証されています。 参考資料2
遅延の小さいPHYデバイスを採用すれば、サイクル時間の短い 1 João Fong、Fernando J.T.E. Ferreira、André M. Silva、
ネットワークを実現できます。そのため、ネットワークに接続さ Aníbal T. de Almeida「IEC 61800-9 System Standards as
れたより多くの機器に対応すると共に、複雑で性能の高いデタミ a Tool to Boost the Efficiency of Electric Motor Driven
ニスティックなモーション制御アプリケーションのタイミングに Systems Worldwide(モータ駆動システムの効率向上に向けた
関する要件を満たすことが可能です。デタミニスティックな産業 ツールとして機能するIEC 61800-9)」Inventions、2020年3
用イーサネットの接続に向けては、レイヤ2の産業用イーサネッ 月
トに対応する組み込み型の2ポート・スイッチ「fido5100」、 2 Shawn Fitzgerald、Daniel-Zoe Jimenez、Serge Findling、
「fido5200」を提供しています。これらの製品は、任意のプロセッ
Yukiharu Yorifuji、Megha Kumar、Lianfeng Wu、Giulia
サ、プロトコル、スタックに対応します。産業用イーサネットの
Carosella、Sandra Ng、Robert Parker、Philip Carter、
プロトコルとしては、PROFINET、EtherNet/IP、EtherCAT、
Meredith Whalen「IDC FutureScape: Worldwide Digital
Modbus TCP、Ethernet POWERLINKをサポートしています。
Transformation 2021 Predictions(IDC FutureScape:世
界のデジタル・トランスフォーメーション、2021年の予測)」
モーション・コントローラ IDC、2020年10月
モーション・コントローラは、パワー・トランジスタの駆動用の
3
PWM信号を生成する処理エンジンを提供します。電流と位置情 「 2025 Vision: Future of Pumps in a Connected World
報のフィードバックを受け取り、モータの速度とトルクを制御し (2025年のビジョン:コネクテッドな世界におけるポンプの未
来)」Frost & Sullivan、2020年6月
VISIT ANALOG.COM/JP 9
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著者について EngineerZone®
Maurice O'Brien(maurice.obrien@analog.com)は、ア オンライン・サポート・コミュニティ
ナログ・デバイセズのストラテジック・マーケティング・マ アナログ・デバイセズのオンライン・サポート・コミュ
ネージャです。産業用オートメーションに焦点を絞ったシ ニティに参加すれば、各種の分野を専門とする技術者と
ステム・レベルのソリューション提供を担当しています。 の連携を図ることができます。難易度の高い設計上の問
以前は、産業用イーサネットに関する業務に3年間従事。ま 題について問い合わせを行ったり、FAQを参照したり、
た、パワー・マネージメント部門で15年間にわたりアプリ ディスカッションに参加したりすることが可能です。
ケーション/マーケティングに関する業務に携わっていま
した。アイルランドのリムリック大学で電子工学の学士号
を取得しています。
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ます。
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