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著者:Thomas Brand、フィールド・アプリケーション・エンジニア
あらゆる製品の製造工程には、高精度かつ信頼性に優れた温度測定技術が必要になります。多くの場合、温度は接触型のセンサーを使用して測定されます。例えば、センサーを液体に浸したり、マシンの表面に接触させたりといったことが行われるということです。こうした用途には、サーミスタや熱電体、RTD(測温抵抗体)などの温度センサーがよく使われます。RTDは応答が速く、最高数百μV/℃という優れた感度を有しています。また、-200℃~800℃という広範な温度範囲で、直線的な挙動を示します。RTDには、2線式、3線式、4線式などの種類があり、多様なアプリケーションに適用できるだけの柔軟性を備えています。
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このカタログについて
ドキュメント名 | 4線式RTDに対応する 集積型の温度計測システム、 高精度の計測用途に最適 |
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ドキュメント種別 | ホワイトペーパー |
登録カテゴリ | |
取り扱い企業 | アナログ・デバイセズ株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
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このカタログの内容
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Technical Article
4線式RTDに対応する
集積型の温度計測システム、
高精度の計測用途に最適
著者:Thomas Brand、フィールド・アプリケーション・エンジニア
あらゆる製品の製造工程には、高精度かつ信頼性に優れた温度測 2線式の測定回路では、RTDに励起電流Iを供給する2本のワイ
定技術が必要になります。多くの場合、温度は接触型のセンサー ヤを、電圧の測定にも使用します。この場合、RTDの抵抗値が小
を使用して測定されます。例えば、センサーを液体に浸したり、 さいので、ワイヤの抵抗RLの値が比較的小さくても、比較的大き
マシンの表面に接触させたりといったことが行われるということ な測定誤差が生じます。この誤差は、3線式、4線式の測定回路
です。こうした用途には、サーミスタや熱電体、RTD(測温抵抗体) の場合、最小限に抑えることが可能です。RTDの励起電流は独
などの温度センサーがよく使われます。RTDは応答が速く、最高 立したワイヤによって供給し、電圧の測定に使用するワイヤは通
で数百μV/℃という優れた感度を有しています。また、-200℃ 常インピーダンスの高い測定用デバイスの入力に直接接続できる
~800℃という広範な温度範囲で、直線的な挙動を示します。 からです。
RTDには、2線式、3線式、4線式などの種類があり、多様なア
RTDにおける小さな電圧降下により、残念ながら、生成される電
プリケーションに適用できるだけの柔軟性を備えています。
圧信号はノイズの多いものになりがちです。それらのノイズは、
RTDによって温度に対応する電圧を生成するためには、励起電流 電圧の増幅が信号源(RTD)にできるだけ近い位置で行われる
が必要です。数十mVから数百mVまで、電圧のレベルはRTD製 ようにすることで低減できます。そのため、測定用のワイヤはで
品の種類によって異なります。温度計測システムの精度は、RTD きるだけ短く抑える方がよいでしょう。また、電圧信号を取得し
をはじめとする温度センサーだけによって決まるわけではありま てデジタル・データに変換する処理には、S/N比と感度に優れる
せん。適切な計測器を選択しているか否か、システムをどのよう A/Dコンバータ(ADC)を使用するべきです。例えば、アナロ
に構成しているか、測定用の回路としてはどのようなものを使用 グ・デバイセズの「AD7124ファミリ」のようなADC製品を選
するのかといったことにも依存します。RTDを使用する場合、2 択するべきだということです。同製品は、分解能が24ビットの
線式、3線式、4線式のそれぞれに対応する測定回路を使用する シグマ・デルタ(ΣΔ)型ADCです。アナログ・フロント・エ
ことになります。具体的には図1のような回路を構成します。 ンド(AFE)機能を含む完全な集積化を実現した製品であり、高
精度の計測アプリケーションに最適な高いノイズ性能を備えてい
ます。
R I
I L1RL1
I R
R L2L1 RL2
RTD V RTD V
RTD V
R RL2 L3
RL3
RL4
図1. 2線式/3線式/4線式の測定回路
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入力部は、差動またはシングルエンド/疑似差動として選択的に まとめ
構成することが可能です。AD7124ファミリは、デジタル・フィ AD7124ファミリのようなAFE機能を備えるADC製品を使用す
ルタやプログラマブルなアンプ段も備えています。また、低電圧 れば、RTDをベースとする温度計測システムを比較的容易に実現
のアプリケーションにも最適です。 できます。高い精度、少ない消費電力、小さなノイズをバランス
良く組み合わせられるので、高精度の計測アプリケーションや、
図2に、AD7124を用いた4線式の温度計測システムの例を示し
低消費電力であることが求められる携帯型の機器に最適です。ま
ました。
た、この種のADC製品は集積度や柔軟性が高いので、アーキテ
クチャを簡素化することができます。更に、種類が異なる複数の
AD7124
センサーを用いた計測アプリケーション(温度、電流、電圧など
RTDセンサー R を計測)を短期間で設計することが可能になります。L1
IOUT0 (AIN0)
R L2 1 kΩ
AIN2 著者について
0.01 µF
Thomas Brand(thomas.brand@analog.com)は、
0.1 µF 2015年10月に修士課程の一環としてアナログ・デバイ
R L3 1 kΩ セズのミュンヘン支社でキャリアをスタートさせました。
AIN3 2016年5月から2017年1月まで、アナログ・デバイセ
0.01 µF
R L4 ズにおいて、フィールド・アプリケーション・エンジニア
1 kΩ を目指す人のための研修プログラムに参加。2017年2月
REFIN1(+) にフィールド・アプリケーション・エンジニアとなり、主
0.01 µF
R 5.11 kΩRef1 に産業分野の大口顧客を担当してきました。産業用イー
0.1% 0.1 µF
サネットを専門としており、中欧における関連事業のサ
1 kΩ
REFIN1(–) ポートにも携わっています。ドイツのモースバッハにある
0.01 µF
R University of Cooperative Education(UCE)で電気工Ref2 250 Ω
学を専攻した後、ドイツのコンスタンツ応用科学大学 大学
院で国際営業を学び、修士号を取得しました。
図2. AD7124を用いて構成した温度計測システム。
4線式のRTDをベースにしています。
AD7124のアナログ入力ピンAIN2、AIN3は、差動入力として EngineerZone®
構成しています。これらによって、RTDから生成される電圧を測 オンライン・
定します。RTD用の励起電流は、アナログ電源電圧AVDDを基 サポート・コミュニティ
にAD7124内部で生成し、AIN0から供給します。励起電流は、 アナログ・デバイセズのオンライン・サポート・コミュニ
リファレンス抵抗RRef1にも流れます。RRef1としては高精度の抵抗 ティに参加すれば、各種の分野を専門とする技術者との連
を使用しますが、ここでも電圧降下が生じます。この電圧降下は、 携を図ることができます。難易度の高い設計上の問題につ
リファレンス・ピンREFIN1(+)、REFIN1(-)によって検出します。 いて問い合わせを行ったり、FAQを参照したり、ディス
そして、この電圧降下は、RTDにおける電圧降下に比例します。 カッションに参加したりすることが可能です。
このようなレシオメトリックな構成であることから、励起電流の
変化は、システム全体の精度には一切影響を及ぼしません。RRef2 ez.analog.com にアクセス
は、AD7124が内蔵するアナログ・バッファの正常な動作に必要
なオフセット電圧を生成します。それらのバッファは、A/D変換
を実施する前の信号のフィルタリングに使用します。このフィル *英語版技術記事はこちらよりご覧いただけます。
タによって、エイリアスの除去とノイズの低減が実現されます。
別の方法として、すべてのアナログ入力とリファレンス入力に個
別のRCフィルタを接続することも可能です。AD7124を採用す
れば、計測システムの校正(ゼロスケール校正とフルスケール
校正)を実施することにより、測定の開始前にゲイン誤差とオフ
セット誤差を容易に最小化することもできます。
2 4線式RTDに対応する集積型の温度計測システム、高精度の計測用途に最適
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