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【技術資料】C2B -車載アプリケーション向けの 新たなカメラ・リンク技術

ホワイトペーパー

現在、自動車の業界は、自動運転車の実用化に向けて突き進んでいます。
その過程で明らかになったのは、目標を達成するためには、更に多くのセンサーを自動車に搭載しなければならないということです。

自動運転車の進化を支えるのはセンサーです。その中でも、カメラは最も重要な役割を担っていると言えます。
現在は、次々に新しいアプリケーションが登場している 状況にあります。それに伴って、車載カメラの台数は急速に増加しています。
従来、カメラをベースとするアプリケーション は、生産台数の少ない高級車のためのものという位置づけでした。
それが現在では、より大量に生産される車両で一般的に使 われるものになってきています。実際、カメラを搭載する車両の比率は、増加の一途をたどっています。

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このカタログについて

ドキュメント名 【技術資料】C2B -車載アプリケーション向けの 新たなカメラ・リンク技術
ドキュメント種別 ホワイトペーパー
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取り扱い企業 アナログ・デバイセズ株式会社 (この企業の取り扱いカタログ一覧)

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このカタログの内容

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技術記事 Share on Twitter Facebook LinkedIn Email C2B――車載アプリケーション向けの 新たなカメラ・リンク技術 著者: Fionn Hurley   Analog Devices, Inc. 現在、自動車の業界は、自動運転車の実用化に向けて突き進ん より多くのADAS(Advanced Driver Assistance System)機能 でいます。その過程で明らかになったのは、目標を達成するた が求められるようになったことです。より高度で正確な機能を めには、更に多くのセンサーを自動車に搭載しなければならな 実現するためには、より高い解像度が必要になります。もう1つ いということです。自動運転車の進化を支えるのはセンサーで は、消費者がスマートフォンの高解像度のディスプレイに慣れ す。その中でも、カメラは最も重要な役割を担っていると言え 親しんでいることです。その結果、自動車の各種機能に対して ます。現在は、次々に新しいアプリケーションが登場している も、それに匹敵する画質が求められるようになりました。その 状況にあります。それに伴って、車載カメラの台数は急速に増 結果、より高い画質を得るために、より解像度の高いカメラが 加しています。従来、カメラをベースとするアプリケーション 必要になったのです。 は、生産台数の少ない高級車のためのものという位置づけでし た。それが現在では、より大量に生産される車両で一般的に使 ただ、これについては1つ問題があります。それは、自動車の寿 われるものになってきています。実際、カメラを搭載する車両 命は、スマートフォンの使用期間と比べてはるかに長いという の比率は、増加の一途をたどっています。図1を見れば、車載カ ことです。このことから、自動車のメーカーは、できるだけ長 メラの市場が急速に成長していることを実感していただけるで い期間、時代のニーズに対応可能な車載ディスプレイ・システ しょう。 ムを採用する必要があります。車両の生産を開始する際には、その時点で最新のディスプレイ技術を選択していなければなり 車載カメラの市場(単位:千台) ません。 300,000 自動車のメーカーは、車載ディスプレイとして、よりサイズが 大きく、より解像度が高いものを使用していきたいと考えてい 250,000 ます。そうしたディスプレイに対応するためには、カメラの解 像度も高め続ける必要があります。標準画質(SD)の既存のカ 200,000 メラでは、ユーザ・エクスペリエンスを大いに損ねてしまうか らです。解像度の低いカメラを使用すると、画質も低くなりま 150,000 す。ドット・クロールや色漏れなど、多くの望ましくない視覚 的アーティファクトが、ディスプレイ上にはっきりと表れてし 100,000 まいます。つまり、SDカメラではもはや不十分だということで す。顧客に満足してもらうためには、高精細度(HD)のカメラ 50,000 が必要になります。 – しかし、そうしたカメラを採用するとコストが増加します。コ 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024 2025 年 ストの内訳は、新たに必要になるセンサーと画像処理だけで発 出展:Strategy Analytics 生するわけではありません。カメラから処理装置に映像のデー 図1. 車載カメラの市場 タを転送する際には、自動車のハーネスに組み込まれた銅ワイヤを使用します。実は、この部分でもコストが増加します。 このような成長トレンドは、2025年以降まで続く見込みで そうした車載カメラのリンクにおいて、銅ワイヤを追加しなけ す。20台ものカメラを搭載する自動車が登場する日も、そう遠 ればならなくなるからです。これについては、大きな問題には くはありません。 感じられない方もいるかもしれません。しかし、自動車において、ハーネスは(エンジンとシャーシに次いで)3番目に高価な カメラについては、高い解像度に対するニーズも着実に高まっ コンポーネントです。自動車のメーカーにとって、ワイヤとコ ています。その背景には、主に2つの理由があります。1つは、 ネクタは非常に重要な要素なのです。 analog.com/jp カメラの台数
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2 C2B――車載アプリケーション向けの新たなカメラ・リンク技術 その背景には、ハーネスは多くの場合、1つずつ手作業で組み上 カメラは、車載センサーの中で最も帯域幅が広いものだと言 げられるという事情があります。人件費で見ると、この部分が えます。高解像度のカメラへ移行すると、帯域幅はより広く 全体の最大50%を占めます。またワイヤ・ハーネスは、自動車 なります。既存の車載SDカメラを使用するソリューションで の中で(シャーシとエンジンに次いで)3番目に重いコンポーネ は、UTPケーブルとシールドのないコネクタなど、帯域幅の狭 ントでもあります1。このワイヤ・ハーネスを自動車に配備する いインフラが使用されます。それが許される1つの理由は、SD 作業は、自動車の製造ラインにおいて、より大きな課題として カメラに求められる帯域幅は、HDカメラに求められる帯域幅 認識されています。この部分の製造工程を追加しなければなら よりも狭いからです。もう1つの理由は、NTSCなどのSD伝送 なくなると、更にコストがかさみます。 規格では、マルチレベルの伝送方式を採用することにより、 また、電気自動車の普及を進めるためには、車体重量の増加は ケーブルやコネクタがサポートしなければならない帯域幅が更 避けなければなりません。重量が少しでも増加すると、走行可 に狭められているからです。LVDS(Low voltage differential 能距離に直接的に影響が及ぶからです。新しいセンサーが次々 signaling)方式のSerDes(Serializer/Deserializer)をはじめと に登場し、2020年には220億個もの車載センサーが製造される するソリューションでは、UTPケーブルよりもはるかに広い帯 との予測があります。このことは、コストや重量の問題は悪化 域幅をサポートするケーブルやコネクタが必須です。つまり、 する一方だということを意味します。このような理由から、自 ケーブルについては、同軸ケーブルやSTP(Shielded Twisted 動車のメーカーにとって、ワイヤ・ハーネスの重量とコストの Pair)ケーブルなどを使用しなければなりません。なぜなら、 削減につながる技術は、非常に魅力的なものとなります。言い 現在のSerDesソリューションは、NRZ(Non-return to Zero) 換えれば、この部分に大きなニーズが存在するのです。 の伝送方式を採用しているからです。マルチレベルの伝送方式を使用しないので、ケーブルとコネクタの帯域幅に対する要件 そうしたニーズに応えるものとして、アナログ・デバイセズ は、非常に厳しくなります。ただ、より性能が高く、より広い は、C2BTM(Car Camera Bus)という技術を開発しました。車 帯域幅に対応するケーブルやコネクタを使用すると、ワイヤ・ 載カメラ・リンクだけを対象として最適化されたものであり、 ハーネスのコストと重量がますます増加します。 上記の問題を解決可能な数少ない技術のうちの1つとなってい 2 ます。C2Bは、以下に挙げる3つの目標に基づいて開発されまし C Bでは、SD向けのUTPケーブルやコネクタといった既存のイ た。 ンフラによって、HDのビデオを送信できます。これを可能にするために、C2Bでは、マルチレベルの伝送方式を採用しました。 X SDカメラ用UTP(Unshielded Twisted Pair)ケーブルとコネ それにより、HDのビデオの伝送に必要な帯域幅の要件を緩和し クタという既存のインフラを再利用し、HDカメラへの最も ています。C2Bは、SDカメラからHDカメラへの最も簡単なアッ 簡素なアップグレード・パスを提供します。 プグレード・パスを提供する技術だと言えます。ケーブルとコ X 同インフラを利用しつつ、優れた画質のHDビデオをサポー ネクタについて、既存のインフラに変更を加える必要がないか トします。 らです。このことから、C2Bは、自動車のメーカーにとってコ 同インフラを利用しつつ、車載EMI/EMC(電磁干渉/電磁両 スト効率が高く、貴重で機知に富んだソリューションとなりまX 立性)規格のすべての要件を満たします。 す。 UTPケーブルやコネクタを再利用することには、別のメリット 軽量の コスト効率の 双方向の もあります。それは、ヘッド・ユニットやカメラ用のECU(電 UTPケーブル 良いコネクタ 側波帯通信 HDカメラ 子制御ユニット)が備える汎用ブロック・コネクタの未使用ピ ンを接続に使用できるというものです。つまり、SerDes技術で 求められる専用コネクタを使用する必要はありません。そうし た専用コネクタは、システム・ソリューションのコストを増加 させる要因になります。また、ヘッド・ユニットやカメラ用の ECUモジュール内部の非常に貴重な実装スペースを消費する要 因になります。 C2Bの伝送方式は、車載用途において最大限の堅牢性が得られ 卓越したケーブル るように選択されています。例えば、ケーブルに求められる帯 フリーズ・フレーム検出と 補償性能(最長30m) ビデオ/ケーブルの 域幅は、他のソリューションの1/10です。また、上述したよう 詳細な診断 に、既存のインフラを再利用できることから、HDカメラへのア 図2. C2Bの概念図。同技術は、カメラをベースとする ップグレードが非常に容易になります。加えて、既存のインフ システムに数多くのメリットをもたらします。 ラの性能は、長年にわたって現場で実証されているので、新規のインフラを導入する際に必要な品質評価を実施しなくて済み ます。更に、C2B技術の伝送方式は、この用途に向けて最適化さ れているので、より長いケーブル長(最長30m)に対応できま す。このような理由から、C2Bを採用すれば、自動車のメーカー は他の技術を導入することによって課される制約を回避し、よ り自由にインフラを設計/実装することが可能になります。 ECU
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3 C2B――車載アプリケーション向けの新たなカメラ・リンク技術 カメラ・モジュール カメラ用ECU ビデオ・チャンネル INT GPIO ビデオ(ダウンストリーム) イメージ・ C2B C2B センサー ISP TX RX SOC 制御チャンネル GPIO I2C I2C GPIO(アップストリーム) GPIO(ダウンストリーム) I2C (双方向) 割込み(ダウンストリーム) ステータス(ダウンストリーム) 図3. C2Bのシグナル・チェーン C2Bにおける伝送データの形式は、既存のケーブル/コネクタを インフラとして使用しても、卓越した画質と優れたEMI/EMC性 能が得られるように選択されています。高い周波数における視 覚品質を維持することと、真に優れたビデオ・エクスペリエン スを提供することに重きを置くことで、帯域幅が狭いインフラ でも、HDビデオの画質を維持できるようにしています。画質に ついては、最新の規格に照らし合わせた徹底的な品質試験によ 図4. C2Bに対応するIC製品 って検証されています。 現在、アナログ・デバイセズは、C 2Bに対応する製品として マルチレベルの伝送方式を採用すれば、低コストのケーブル/ 「ADV7990」、「ADV7991」、「ADV7380」、「ADV7381」 コネクタで解像度の高いカメラをサポートできる可能性が生ま を製造しています(図4)。 れます。ただし、課題がないわけではありません。そうしたイ ンフラには、障害を防いだり、干渉成分を減衰させたりする C2Bは、既存のインフラを再利用できるようにすることで、SD 仕組みが存在しません。したがって、車載向けの非常に厳しい カメラ(NTSC対応カメラ)からHDカメラへのアップグレード EMI/EMC規格を満たせるよう放射を抑えたり、耐性を高めた を容易化するソリューションです。この技術は卓越した画質と りするためには、トランシーバーの設計が非常に重要になりま 堅牢なEMI/EMC性能が得られるように最適化されています。複 す。C2Bは、最初からそうした要件を念頭に置いて車載向けに 数の車載カメラを配備する際に発生する問題は、ますます増加 定義/設計されています。そのため、車載向けのあらゆるEMI/ する一方です。しかし、多数のメリットを備えるC2Bを採用すれ EMC規格を満たす卓越した堅牢性が得られることが実証されて ば、そうした問題を緩和する最適なシステム・ソリューション います。 を実現することができます。 C2Bは、様々な機能をサポートしています。例えば、同じUTPケ 参考資料 ーブルを介した側波帯制御通信を使用すれば、カメラ・モジュ ールの遠隔設定が可能になります。これは、カメラの設計のさ 1 「Automotive Ethernet: An Overview(車載イーサネット:概 らなる簡素化につながる機能です。C2Bは、多くの自動車メーカ 要)」Ixia、2014年5月 ーにとって主要な要件となるフリーズ・フレーム検出にも対応 します。
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著者について オンライン・ Fionn Hurley(fionn.hurley@analog.com)は、アナロ サポート・ グ・デバイセズの車載キャビン・エレクトロニクス・グ コミュニティ ループ(アイルランドのリムリック)に所属するマーケ ティング・マネージャです。RF設計技術者としてのキャ アナログ・デバイセズのオンライン・サポート・コミュ リアを積んだ後、2007年に入社しました。アイルランド ニティに参加すれば、各種の分野を専門とする技術者 のユニバーシティ・カレッジ・コークで電気/電子工学 との連携を図ることができます。難易度の高い設計上 の学士号を取得しています。 の問題について問い合わせを行ったり、FAQ を参照したり、ディスカッションに参加したりすることが可能 です。 ez.analog.com にアクセス *英語版技術記事はこちらよりご覧いただけます。 本    社 〒105-6891 東京都港区海岸1-16-1 ニューピア竹芝サウスタワービル10F 大阪営業所 〒532-0003 大阪府大阪市淀川区宮原3-5-36 新大阪トラストタワー10F 名古屋営業所 〒451-6040 愛知県名古屋市西区牛島町6-1 名古屋ルーセントタワー38F ©2019 Analog Devices, Inc. All rights reserved. 本紙記載の商標および登録商標は、 各社の所有に属します。 Ahead of What’s Possible は アナログ・デバイセズの商標です。 www.analog.com/jp TA21280-5/19