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実機スケールのシミュレーションを実現
iGRAF (Integrated Granular Flow Simulation Software, アイグラフ) は、離散要素法 (DEM) に基づく粉体シミュレーション と流体シミュレーション (CFD) の両方が可能な統合型シミュレーションソフトウェアです。iGRAFは使いやすさを重視しつつも、 国際学術誌に掲載された物理モデルを多数実装するなど、ユーザビリティと計算結果の信頼性を高い水準で両立しています。様々 な粉体現象のシミュレーションは iGRAF のみで完結させることが可能です。
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このカタログについて
ドキュメント名 | 粉体・流体シミュレーションソフトウェア iGRAF |
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ドキュメント種別 | 製品カタログ |
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登録カテゴリ | |
取り扱い企業 | 株式会社構造計画研究所 (この企業の取り扱いカタログ一覧) |
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このカタログの内容
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粉体・流体シミュレーションソフトウェア
iGRAF makes impossible, possible.
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製品概要
iGRAF (Integrated Granular Flow Simulation Software, アイグラフ) は、離散要素法 (DEM) に基づく粉体シミュレーション iGRAFの最大の特長はCFD(流体)ソル
バーを内蔵していることです。流体の影響
と流体シミュレーション (CFD) の両方が可能な統合型シミュレーションソフトウェアです。iGRAFは使いやすさを重視しつつも、 が大きな粉体現象も経験的なモデルに依
国際学術誌に掲載された物理モデルを多数実装するなど、ユーザビリティと計算結果の信頼性を高い水準で両立しています。様々 存せずにiGRAFのみでシミュレーションで
な粉体現象のシミュレーションはiGRAFのみで完結させることが可能です。 きます。独自の液架橋力モデルなど高性能
な物理モデルも備えており、様々なプロセ
スに対して優れた再現性を発揮します。
シミュレーションとは
2
シミュレーションとは、粉体や流体の動きをコンピューターで計算す
ることによって、現象をコンピューターの中に再現する技術です。通 液架橋力を考慮した解析例
高性能な物理モデル
常は見ることができな による優れた
い装置内部の様子や流 再現性
れ、粉体の詳細な分布
などを可視化すること
ができ、実験では難し
い状況の把握や情報の
取得が可能となります。
iGRAF導入によるメリット
実験的アプローチの限界 つの特長 現実に近い初期状態を簡単に作成できるランダムパッキ
ング(充填機能)、メッシュを意識しない形状認識技術、
粉体の物理は極めて複雑であり、粉体プロセスが関わる分野では実 設定を支援するアシスタント機能、混合度の出力機能、シー
機試験によって製品化や製造工程に関する判断がなされることが主 ムレスな流体との連成計算など、これからシミュレーショ
流です。しかし、従来の方法には、判断や評価に属人化された要素が 3 ンを始める方にも使いやすい設計を追求しています。
含まれ、定量的・客観的な尺度が失われるなどのリスクが内包されて
います。 シミュレーションに
粉体プロセスのデジタル化 必要な使いやすさ
1 を追求
昨今、デジタルトランスフォーメーション(DX)やデジタルツインなど
の潮流が高まり、ITの活用が進められています。iGRAFがあれば、シ
ミュレーションというデジタル空間で粉体プロセスを再現し、属人化 実機スケールの
の解消や定量的・客観的な評価につなげられます。さらに、チャレン シミュレーション
ジングなアイデアや改善策も、デジタル空間では最小限のリスクで を実現
試行錯誤でき、高性能・高付加価値の製品開発に近づけることがで
きます。
開発・改善プロセスの転換 実際の粉体プロセスにおける粒子数は億から兆のオーダー
シミュレーションは開発や改善プロセスの変容ももたらします。実機 に達することが大半です。iGRAFでは、独自開発の粗視化
を使わずに安全かつ短時間で検討でき、試作コストや廃棄物、エネ モデルによる計算負荷の低減、並列計算や陰的アルゴリズ
ムによる計算の高速化・安定化によって、大規模な実機ス
ルギー消費を減らすことができます。国を挙げての取り組みであるカー ケールのシミュレーションを可能としています。
ボンニュートラル、世界的に注目されているキーワードであるESGや 粉体シミュレーションの権威 株式会社 構造計画研究所 特別技術顧問
SDGsにも応えられるシミュレーションソフトウェアがiGRAFです。 東京大学 酒井先生による技術支援 東京大学大学院 工学系研究科
附属レジリエンス工学研究センター/
原子力国際専攻( 兼担)
構造計画研究所では、粉体シミュレーション分野の権威 酒井 幹夫 准教授
である東京大学 酒井先生を特別技術顧問に迎え、最先
端の解析技術やノウハウを取り入れながらiGRAFの開発 専門は粉体・混相流の数値シミュレーション。国内では粉体工学会理事、
を進めています。ご希望のユーザー様には、高度な解析テー 日本粉体工業技術協会粉体シミュレーション技術利用分科会コーディ
マのご相談など、先生を交えた強力な技術支援をご提供 ネータ、同協会AI技術利用委員会委員長、海外では英国インペリアル・
カレッジ・ロンドン客員准教授、英国サリー大学客員教授などを務める。
します。 世界的に有名な学術雑誌のChemical Engineering Science, Granular
Matter の編集委員にも選出されるなど、粉体・混相流のシミュレーション
分野で国際的に活躍する研究者の一人。
持続可能な開発目標 流動層による検証例
(SDGs : Sustainable Development Goals) (黒背景 : 実験, 白背景 : シミュレーション)
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解析事例
iGRAFを用いることによって、粉体プロセスが抱える多くの課題に対し、 シミュレーションの立場から多くの有用な知見や示唆を
得ることができます。ここでは、iGRAFで可能なシミュレーションの一部を具体的な事例を交えながらご覧いただくとともに、シミュ
レーションによってどのような情報が得られるか、どういった評価やフィードバックが行えるかを課題ごとにご紹介します。
混合・攪拌 粉砕
複数の粉体材料の混合・攪拌は製品性能を左右する重要なプロセスの一つです。iGRAFでは、粒子径や密度、形状などが異なる複 粉砕工程は、様々な産業プロセスで用いられる重要な単位操作の一つです。iGRAFでは粉砕容器や媒体粒子を変更したシミュレーショ
数の粉体材料の混合特性をシミュレーションによって評価・検討することができます。 ンを容易に行うことができ、多数の因子が及ぼす影響をスピーディーかつ低コストで比較・検討することが可能です。
粉体配置 攪拌速度 粉砕性 システム検討
粉体材料の初期配置が混合度に及ぼす影響の評価事例です。粉体の 攪拌速度の検討事例です。回転数が混合度に与える影響を評価するこ 乾式ボールミルによる粉砕の解析事例です。粉砕媒体の材質や粒径、 ビーズミルを用いた湿式粉砕シミュレーションの事例です。iGRAF
種類や位置に応じた色付け とによって、最適な運転条件 ミルの回転数などを変えたときの では、湿式ミルで重要な因子とな
によって直感的に混合のイ を選定できます。また、粉体 粉砕性を、衝突の頻度や粒子の速 るスラリー(流体)と粉体粒子の
メージを把握できるほか、 の挙動に基づき、混合度を分 度などの情報から評価することで、 相互作用を扱うことができ、粒子
分散状態から定量的な混合 析することで、改良に向けた 経験則から定量的な指標に基づい の衝突エネルギーなどから、ミル
度を出力することもでき、優 有用な示唆を得ることがで た検討に変えることができます。 の設計に有用な知見を得ることが
れた条件を的確に選定でき きます。 可能です。
ます。
搬送 貯蔵
原料となる粉体を適切に搬送することは、粉体プロセスにおいて必須の課題です。iGRAFでは、スクリュー搬送に代表される機械搬 貯蔵された粉体材料の排出は、多くの産業プロセスで見られる基本的で重要な操作です。iGRAFでは粉体の粒子径や密度だけでは
送と流体搬送の両方を扱うことができ、粉体の供給量や搬送機構をシミュレーションによって検討することが可能です。 なく、付着性の影響も考慮でき、粉体材料が静止状態から流動状態へ移行する過程の把握や排出方法の検討に役立ちます。
供給安定性 閉塞 偏析 ブリッジ
スクリューによる粉体の機械搬送の解析事例です。粉体の供給状況 空気による粉体搬送の解析事例です。適切な粉体の供給量や搬送風 複数の粉体材料が貯槽 (ホッパー)から排出される様子の解析事例で ホッパーから粉体材料が排出される様子の解析事例です。ホッパーに
や搬送過程の可視化、搬送量の評価のほか、スクリューに掛かる力を 速などの評価が可能です。シミュレーションによって、所望の搬送量 す。任意領域における粉体割合を粒 求められる定量での供給性
算出することもでき、安定 を安定して輸送できるか 子の位置から空間的・時間的に評価 能の評価や、粉体の粒子径や
供給のために必要なスク どうかや、粉体の付着性 することができ、特定の粒子径や種 付着性の影響によって排出不
リューの仕様を事前に検 の違いによる閉塞の有無 類が極端に偏る偏析の予測と対策 良やブリッジ(閉塞)を生じな
討することが可能です。 などを検証できます。 の検討が可能です。 いかどうかの検証を行うこと
ができます。
混錬 流動化 充填 分級
「混ぜる」、「 潰す」、「 練る」といった複雑な物理を伴う混錬も、 流動化現象のシミュレーションには流体を考慮することが本質 粒子に作用する重力と粒子間力のバランスなど、iGRAFでは充 iGRAFでは機械的な分級、サイクロンに代表される遠心分級
iGRAFによってシミュレーションが可能です。 的であり、iGRAFにはそのために必要な機能が備わっています。 填に影響するパラメータを考慮したシミュレーションが可能です。 のいずれも扱うことができ、分級精度などの検討が可能です。
粉体材料の混錬の解析事例です。実験的には困難な部位ごとの混錬 粉体の乾燥や加熱などに利用される流動層の解析事例です。シミュ 粉末材料の落とし込み充填の解析事例です。空気の抜け方による充 サイクロン方式の分級機シミュレーション事例です。iGRAFでは機械
状態の評価やメカニズムの把握を行うことができます。また、気体・液 レーションによって、粉体挙動や流体の圧力損失、流動化現象が発生 填速度の違いや、粉末材料が到達しづらい箇所の確認、複数の粉体 的な分級に加え、サイクロンなどの気流による分級もシミュレーショ
体・粉体を合わせた解析で したときの粉体高さ、最適な の充填における偏析など、 ンが可能です。メカニズムの
は、気体の巻き込みの影 流量や流入位置などの流動層 充填メカニズムの理解と 異なる幅広い分級方式に対
響などを検討することも に必要な検討をすべてiGRAF 改善案の検討などを行 し、分級精度の評価などの各
可能です。 で完結させられます。 うことができます。 種検討を行うことができます。
2軸連続装置による混錬シミュレーション
株式会社栗本鐵工所
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粉体シミュレーションソフトウェアiGRAFは、国内の大手企業を含む多くのユーザー様
User Interview にご導入いただき、様々な場面でご活用いただいています。ここでは、iGRAFを日常の
ー 活用事例 ー 業務に利用されているユーザー様の声を一部ご紹介します。
各記事の全文は右のQRコードより当社Webサイトでご覧いただけます。 02 モデルの妥当性が担保されており、
計算結果にも信頼が持てます。
国立研究開発法人産業技術総合研究所 様
鉱物資源の分離プロセスへの活用 こうした課題を抱えていた折、粉体シミュレー
ションソフトウェアiGRAFをご紹介いただきま
01 経験則に頼るような部分を、ある程度理論に 鉱物資源を原材料に加工する際には、鉱山で した。機能や性能を聞き、これなら課題を解決
採掘された岩石を細かく粉砕し、選鉱と呼ばれ できると思い、導入しました。
置き換えていける可能性を感じます。 る分離操作を行いますが、そのプロセスの多く
は経験則に基づいているのが現状です。選鉱 粉体と流体の複雑な連成が可能
プロセスに粉体シミュレーションを使えば、装
味の素株式会社 様 機能面の強みの一つは、複雑な形状をした装
置内の粒子挙動を可視化することができ、高効 置内の粉体挙動を計算できることです。これは、
率で高精度な選鉱プロセスの開発につなげる 他の粉体シミュレーションソフトウェアにはな
ことができます。
実機を使う実験より、効率の良い方法はないか? いiGRAF独自のものです。固体、気体、液体の ポットブレンダーのシミュレーション
複雑な相互作用を含む連成解析を実現できる 離のメカニズムや最適な装置条件などを突き
各種調味料やスープ類をはじめ、当社の商品には「粉もの」がたくさん ソフトウェアも他にはなかなかありません。 止めることができました。さらにiGRAFによっ
あります。私たちは、より良い製品づくりに向けて、粉体物性を制御す さらに、iGRAFは酒井先生の研究室で開発さ て、ポットブレンダーと呼ばれる混合機の混合
る技術や機能を高めるための粒子設計などに取り組んでいるわけで れ、論文にもなっている物理モデルがベースです。 機構も解明でき、こうした研究成果は論文とし
すが、実は粉体というのは、なかなかの“曲者”です。例えば、液体は モデルの妥当性が担保されており、どのように て国際科学誌に採択されています。
混ぜれば基本的に均質な状態を保ちますが、粉の場合は偏析といって、 計算されているのかを理解して使えるため、結
いったん混ざっても、いつの間にか成分の偏りが生じます。そうした成 使い勝手に関しては、パラメータの入力、解析、
果に信頼が持てることも大きな利点です。
分が不均一になったまま製造してしまうことにより、製品を廃棄しなけ 必要なデータを解析結果のファイルから抽出し、
ればならなくなることもあります。 密度や形状が違う粉体の分離については経験 目指すべき結果に加工する部分も問題なく、総
則から脱していない部分が多くありましたが、 じて初めてでも使いやすいソフトウェアだと感
そういった問題が起きないように実験を行うわけですが、実際には小 国立研究開発法人 産業技術総合研究所
鉱物資源研究グループ 研究員 それらをiGRAFで可視化することによって、分 じました。
さなスケールで実験してできたことが、スケールアップするとうまくいか 綱澤 有輝 氏
ないといったことが起こり得ます。そうすると、実験はまた一からやり
直すことになり、試行錯誤に時間を費やし、実験のために原料を無駄
に使ってしまうという問題がありました。
より効率の良い方法がないかと考えていた際に、学会で粉体シミュレー 味の素株式会社
ション技術の存在を知りました。興味を持って、酒井幹夫先生の指導も 食品事業本部 食品研究所
山嵜 寿美 氏, 渋木 一晃 氏, 西ノ宮 武 氏
仰ぎながら、1年間ほどシミュレーションの有用性を検討し、業務への 03 シミュレーションで予測した挙動が
実際の可視化テストでも得られました。
導入を決めました。導入に当たっては、他社のシミュレーションソフトウェ
アも検討したのですが、iGRAFに決めたのは、操作が直感的で使いや iGRAFのノウハウを蓄積し、設計に活かしたい 株式会社栗本鐵工所 様
すく「いいな」と思ったからです。 例えば、実際の粒子径で計算することは難しいと言いましたが、そこに
どういうふうに近づけていくのかといった部分は、事例を積み重ねな
他社の製品は、トレーニングなしでは、自分でパラメータの設定をしたり、 がら、ノウハウを蓄積していきたいと考えています。
計算を走らせたりというのは難しそうでした。しかし、iGRAFはチュー 定性的評価とコストダウン iGRAF で当社の2軸連続装置であるKRC
トリアルを片手に計算できました。この操作が簡単で使いやすいとい ソフトウェアの活用の仕方としては、現場から上がってくる課題に解決 Kneaderのシミュレーションを行ったところ、
私が所属する粉体プロセス技術営業部では、
うのが、一番の決め手でした。 策を提示するというのが一つです。もう一つは、いつも使っている装置 実際の挙動が見られたことと、計算が早い点に
混練・粉砕・乾燥の各設備を取り扱っており、
の最適なオペレーションは何か、という基礎的な知見を積み上げてい 魅力を感じました。また、自分自身で使ってみ
「ざっくりとした再現性」が生むメリット 多種多様な粉体材料、樹脂、化学品などを扱う
くことができるのではないかと考えています。装置を使ったテストを繰 て非常に使いやすく、iGRAFなら当社の課題
メーカー様の設備だけではなく、プロセスも提
いろんな粉末製品がある中、共通するのは混合、排出、充填といった工 り返すことで製品化の工程に進むことが業界の主流でもありますが、 案しています。 が解決できそうだと実感し導入しました。
程です。そういうところから手をつけていこうということで、まずはホッ 本当は別のやり方のほうが、低コストで良いものになっていたのかも
パーに粉を貯めて排出するというプロセスの解析から着手しました。 しれません。そういう、経験則に頼るような部分を、ある程度理論に置 これまで、機器性能は当社テストセンターの設備 新規パドルの設計・製作に成功
き換えていけるのではないかという可能性を感じます。 でテストを実施し評価していましたが、この方法 iGRAFのシミュレーション結果を元に、新たな
私たちが扱う粉体は、1 mmよりも小さな粒子です。その粒子径でそ では経験に依存する傾向が大きく、条件の変更 パドル形状を設計・製作し、可視化テストで確
のままシミュレーションをしようとすると、計算がものすごく大変にな や試行錯誤に時間がかかっていました。これら 認しました。その結果、シミュレーションで予測
ることを踏まえ、現象そのものを完全に再現しなければならないとい の課題を解決するため、実験を行わずにある程 した挙動が可視化テストでも得られました。こ 株式会社栗本鐵工所
機械システム事業部 粉体プロセス本部
う考えは、もともと持っていませんでした。例えばA、B、Cの条件があっ 度の結果が予測でき、コストダウンも図れるシミュ れは非常に大きな成果で、今後パドル設計にお 韓 昌和 氏, 孫 沐紫 氏
たとしたら、それをスクリーニングにかけてみる、という使い方をして レーションソフトの導入を検討し始めました。 いてiGRAFは重要なツールとして活用すること
います。ざっくりとした再現性があれば、ワーストの条件を見つけるこ になると思います。 今後は、2軸連続装置において、混練要素が機
とが可能で、製造ラインを止めてテストするコストは、3分の2に減らせ 内原料の混合状態や滞留時間に及ぼす影響
るわけですから、そうした点での手応えは、大いに感じています。 さらに、iGRAFは計算精度が高く、結果を3D をデータベース化し、テスト前のパドル選定な
動画で表示できる点も魅力です。我々使う側 どに利用していきたいと考えています。 また、
また、異なる装置の形状を試そうと思ったら、実際に装置をつくるため はもちろん、お客様にiGRAFのシミュレーショ iGRAFの強みの一つでもある流動層流れのシ
に数カ月はかかります。実験、分析もすぐ済むというわけにはいきませ ン結果を見せて、こうやってパドルを決めてい ミュレーションを行い、流動層乾燥機の設計に
ん。iGRAFを使えば、結果が1週間くらいでわかるため、時間短縮のメ ホッパー内の粉末排出フロー ますと説明すると、お客様もわかりやすいと納 生かしていきたい。その次は粉砕機と徐々にス
リットも、非常に大きいものがあります。 排出率10 vol% (左),50 vol% (中央),70 vol% (右) 得してくださいます。
2軸連続装置の性能予測 テップアップしていきたいですね。
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主要な物理モデル・機能
iGRAFは日本製のソフトウェアとして、最先端の解析技術やノウハウを取り入れながら開発を継続しています。ソルバーには、粉
体分野を始めとした多くの学術論文で検証実績を持つユニークな物理モデルを数多く実装しており、多様な物理現象の解析機
能と計算の安定性、ユーザビリティという相反する要素を高い次元で両立しています。また、粉体解析に特化した機能を備えたプリ・
ポストも特徴の1つです。
DEM-CFD 物理モデル 粗視化 高速化 自由表面 物理モデル ミキシングインデックス 結果処理
iGRAFには粉体の解析手法であるDEMと流体解析(CFD)の手 実際の粉体プロセスは非常に多くの粒子によって構成されるこ 気体と液体が接する自由表面の解析手法としてVOF(Volume 混合度の定量評価指標として、Laceyのミキシングインデックス
法の一つである有限体積法(FVM : Finite Volume Method)ソ とが大半で、その規模がシミュレーションを行う上で障害になっ of Fluid)法ベースの高精度界面捕獲法の一つであるTHINC/ の出力が可能です。容易に定量的な混合度が得られるため、複
ルバーが実装されています。iGRAFのCFDソルバーは、非ニュー ていました。iGRAFには、独自開発された粗視化モデルが実装 WLIC(Tangent of Hyperbola for Interface Capturing/ 数のシミュレーション結果の優劣を瞬時に判断できます。また、
トン流体、高粘性流体、剛体移動、自由表面など流体解析専用ソ されており、これにより大規模体系のシミュレーションを現実的 Weighted Line Interface Calculation)法を備えています。これ 混合度の出力処理は、ソルバーとは独立して実行でき、シミュレー
フトウェアに遜色ない解析機能を有しているほか、これらを独自 な計算コストで実現しています。粗視化モデルでしばしば問題に によって、自由表面問 ション後に混合度を
の手法でカップリングしたDEM-CFDシミュレーションにより、 なる粉体挙動の再現性については、様々な体系で実験結果との 題のみならず、粉体と 確認する必要が生じ
粉体や流体の単相流に加え、流体の影響を含めることが本質的 検証が行われており、その妥当性が確認されている信頼性の高 自由表面が相互に影 た場合にも、既存の
な混相流もiGRAFのみでシームレスに解析することが可能です。 いモデルです。 響を及ぼし合う固気 解析結果から短時間
液三相流のシミュレー で出力処理を終える
ションに対応してい ことが可能です。
ます。
リファインドグリッド 高速化 ランダムパッキング(充填機能) プリ処理
流体解析用のグリッド(メッシュ)を、粒子の衝突判定に使用する 粒径や物性などが異なる複数の粉体材料が混合した初期状態を
グリッドと独立して設定できる機能です。リファインドグリッドを 作成する機能です。iGRAFでは、粒径の調整と通常の粉体シミュ
用いることによって、粒子径を意識することなく、流体解析に求 レーションと同等の物理演算を組み合わせることによって、自動
められる解像度を設定することができ、狭隘な流路や微細な形 的に不規則な混合状態を作成することが可能で、偏析など混合
状を有する解析対象 状態からの粉体挙動
に対して、計算コスト のシミュレーション
の最適化を図ること を容易なものとして
ができます。 います。
液架橋力/ファンデルワールス力 物理モデル 非球形粒子機能 物理モデル
iGRAFでは付着力として液架橋力とファンデルワールス力の考慮 球形粒子に加え、非球形粒子を考慮したシミュレーションが可能
が可能です。特に液架橋力モデルは、一般的なモデルが水分量 です。非球形性の表現は、回転抵抗モデルを用いたパラメータ表
1~2%程度の範囲までを適用域とする一方で、iGRAFのモデル 現と楕円形関数モデルを用いた幾何表現から選択することがで
は水分量15%程度までの検証実績を有しており、強みの一つで きます。粒子形状は粒状材料の動力学挙動に多大な影響を与え
す。粒子が小さい場合には、重力に対して粒子間に作用する付着 ることが知られており、実際のプロセスで見られる非球形粒子を
力が卓越することが知られていますが、これらのモデルによって 考慮したシミュレーションによって、粉体挙動の高精度な再現や 並列計算 高速化 形状認識技術 プリ処理
付着力が支配的な現象も合理的に予測することが可能となります。 把握が可能となります。 解析規模が大きくなることが多い粉体シミュレーションでは、ソ 任意の固体形状の認識に、符号付距離関数 (SDF:Signed
ルバーのパワフルさが不可欠です。iGRAFのソルバーは、並列計 Distance Function) と 埋 め 込 み 境 界 法 (IBM:Immersed
算と処理の最適化によって、高いスケーラビリティを達成してお Boundary Method)を組み合わせた独自の手法を採用しています。
り、1台のマシンでも大規模な解析を現実的なものとしています。 これにより、規則的な直交構造格子による形状認識が可能となり、
さらに、Linuxクラスター 物体の並進や回転を
機による並列計算にも対 伴う場合であっても、
応しており、より大規模な 煩雑なメッシュ生成
シミュレーションへの展開 や難解な設定を行う
も可能です。 ことなく、シンプルな
操作でシミュレーショ
ンを行うことが可能
です。
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シミュレーションの流れ
シミュレーションの工程はプリ・ソルバー・ポストの3ステップから成ります。最も手間が掛かるプリプロセスでは、煩雑なパラメー 機能一覧 / 動作環境
タやグリッド設定のアシスタント機能を備え、不慣れな方にも使いやすい設計としています。ソルバーには、解析規模が大きな粉
体解析をストレスなく行えるパワフルさを、ポストプロセスではiGRAFならではの混合度出力機能などシミュレーションの結果を CAD インターフェース SOLIDWORKS準拠
最大限に生かす仕組みを備えています。 グリッド作成機能 粉体グリッド / 流体グリッド(リファインドグリッド)
プリ
プロジェクト 複数プロジェクト管理機能, プロジェクト複製機能
Step1 : プリプロセス その他 タイムステップ推奨値算出機能
解析タイプ 粉体単相流(DEM), 流体単相流(CFD), 固気2相流, 固液2相流(DEM - CFD),
プリプロセスでは、モデルデータのインポートや作成、流体や粉体の物性値、 気液2相流(CFD - VOF), 固気液3相流(DEM - CFD - VOF)
装置の動作条件などの解析条件を入力します。 粒子配置 規則配置( 粒子数, 重量), ランダムパッキング( 粒度分布)
粉体間・粉体 ‒ 壁面間相互作用力 ファンデルワールス力, 液架橋力, 潤滑力, 反発係数, 摩擦係数, 回転抵抗
シミュレーションに必要な情報
●装置情報 粒子形状 球形粒子, 非球形粒子( 楕円球関数モデル / 回転抵抗モデル), 異粒径・異密度混合
装置形状 / 運転条件(稼働時間、回転数、流量など) 粉体境界 ばね定数, 反発係数, 摩擦係数, 回転抵抗係数, 接触角, 流入速度
●粉体情報 混合度評価 ミキシングインデックス( Lacey’s Mixing Index)
粒度分布 / 真密度 / ゆるめかさ密度 / かためかさ密度 / 粉体量 / 安息角 /
その他の特徴(形状、湿り気など) 流体 ニュートン流体, 非ニュートン流体, 高粘性流体モデル
●流体情報 ソルバー 乱流モデル LES( Smagorinskyモデル)
密度 / 粘度 / 表面張力 / 接触角 壁面境界 壁面, 流速, 圧力指定
自由表面 VOF法
形状作成 解析条件設定 グリッド設定 剛体運動 回転移動, 並進移動, 振動, テーブル指定( CSVファイル入力)
3D CADデータのインポート / 解析モデル 流体・粉体パラメータの設定 / 初期配置の設定 / グリッド幅の設定 物体形状認識 符号付距離関数( SDF), 埋め込み境界法( IBM)
の作成 (SOLIDWORKSアドイン版のみ) 回転・並進など移動条件 / 解析時間の設定 解析実行 並列計算, 計算中断, バッチ処理
計算負荷低減 粗視化, 多孔質体
他プロジェクト連携 結果転送
Step2 : ソルバー 描画 粉体分布, コンター, ベクトル, 等値面, 流跡線
粉体表示, 断面表示, しきい値による表示範囲クリッピング
プリプロセスで入力された形状データや解析条件に基づいて計算を行います。 ポスト 結果処理 粒子データ抽出, 領域データ抽出
計算の進捗はソルバーステータスでリアルタイムに把握することが可能です。 ファイル出力 画像ファイル, 動画ファイル, CSVファイル
また、大規模な計算対象に対しても、並列計算による高速計算が可能です。 OS Windows 10
CAD SOLIDWORKS 2018, 2019
使用コア数の指定 計算実行 ParaView Ver. 4.0.1
動作環境
CPU Intel 製, 6 コア ~ 20 コア以上, 高クロック数 推奨
メモリ 16 GB 以上, 32 GB ~ 64 GB 以上 推奨
GPU SOLIDWORKS推奨スペック準拠
Step3 : ポストプロセス
提供サービス
ポストプロセスでは、ソルバーから出力されたデータを可視化します。速度や
圧力のグラフィック表示のほか、トルクや圧力損失、混合度評価などの数値
データ出力が可能です。 ソフトウェア販売/導入・運用支援 カスタマイズ
結果処理 iGRAFの開発・販売のほか、導入をお考えのお iGRAFの標準機能には含まれていない物理モ
客様へはシミュレーションの有用性を評価する デルやプリ・ポスト処理などの機能開発をお客
可視化 / 画像・動画出力 / 時刻歴データ出力 ためのベンチマーク解析をご提供します。また、 様のニーズに合わせて有償で行うサービスです。
導入いただいたお客様へは、トレーニングや操 お客様の課題をタイムリーに解決することが可
結果出力方法 作手順書の作成などの運用支援のご相談をい 能です。
粉体描画 / コンター / ベクトル / 等値面 / 流跡線 / ただくことも可能です。
粒子データ・領域データ抽出 / CSV / 静止画・アニメーション出力
受託解析 テクニカルサポート
お客様が抱える課題を、弊社の専門エンジニア iGRAFの保守契約またはレンタル契約を締結
やソフトウェア開発者が有償で解析するサービ されているお客様へ、ソフトウェアの最新バー
スです。解析結果のほか、ご希望に応じて、大学 ジョンや修正プログラム、弊社の専門のエンジ
との連携による高いレベルのコンサルティング ニアによる技術サポートをご提供します。
のご提供も可能です。
粉体描画 コンター表示 ベクトル表示 等値面表示 粒子軌跡
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粉体シミュレーション技術の普及と利用拡大
に努めています。
構造計画研究所は、日本粉体工業技術協会 粉体シミュレーション技術利用
分科会 代表幹事およびAI技術利用委員会 副委員長を務めており、粉体シ
ミュレーション技術の普及に向けたソフトウェア開発、イベント開催やシン
ポジウムなどでの活用事例の紹介などの取り組みを通じて、粉体を扱う実業
界の様々な課題解決と利用技術の普及に取り組んでおります。
株式会社構造計画研究所 SBDエンジニアリング部
Web: https://www.sbd.jp/
E-mail: sbd@kke.co.jp
・本所(東京)
〒164-0012 東京都中野区本町4-38-13 日本ホルスタイン会館内
TEL: 03-5342-1053 FAX: 03-5342-1231 iGRAFについては、こちらの製品Webサイトでも
・名古屋支社 ご覧いただけます。
〒450-6325 愛知県名古屋市中村区名駅1-1-1 JPタワー名古屋 25F
TEL: 050-5306-6985 iGRAF製品サイト:
・大阪支社 https://www.sbd.jp/products/powder/igraf.html
〒541-0047 大阪府大阪市中央区淡路町3-6-3 御堂筋MTRビル 5F
TEL: 06-6226-1231 FAX: 06-6226-1037