【導入事例】日産自動車株式会社様　3ⅮCADビューア 金型 放電加工指示　3DTascalX

C a s e S t u d y 日産自動車株式会社様 「現場の疑問は現場で解決」を3D Tascal Xで実現 ローカル／グローバル座標の柔軟切り替えが金型の製作現場を助ける 日産自動車株式会社（以降、日産自動車）のバンパー関連部品の量産用樹脂金型を設計・製作している樹脂技術課では、 2007年から3D Tascal Xを導入して、3次元設計データの金型製作現場での一貫利用を実現した。 特に、放電加工の電極位置など、細かい加工指示の正確な伝達を実現できたことで、製作現場では加工指示情報の 確認時間が短縮できたうえ、加工ミスがなくなり、製作工程の効率化とコストロスの大幅低減に効果をあげている。 日産自動車全生産拠点にバンパー関連部品の 開発の3次元ビューワは、設計工程のために最適化されており、製造 樹脂金型を提供 工程で使うには別の仕様が必要だった。 日産自動車はこの10年間、果敢な改革を重ねてきた。「日産リバイバ 「製造現場で使うツールに求められるポイントは2つあります。複雑な ルプラン（NRP）」、「日産180」「日産バリューアップ」という3つの三 パーツの組み合わせをすばやく認識するために、視野・視点の切り替 カ年計画を達成し、2008年からは、長期的な成長のための新５カ年 えやローカル座標設定が柔軟にできること。もうひとつは、Excelに入 計画｢日産GT 2012｣に取り組んでいる。いずれの改革も、生産準備 力していた加工指示や計測情報も一元管理できること。この2つの 期間とコストの大幅な圧縮が大きなテーマだ。 機能を兼ね備えていたのが、3D Tascal Xだったのです」（橋村氏）。 「金型を担当するわれわれも、内製工数低減と期間短縮のために、さ まざまな角度から改革に取り組んできました」と、車両生産技術本部 A4判3枚の手順説明書でローカル座標を 車両技術部 樹脂技術課 主担の安原正雄氏は語る。 使いこなせるようになった 車両生産技術本部は、神奈川県の座間事業所にあり、さまざまな部 樹脂技術課では、3D Tascal Xのベンチマークを詳細に行った。 品を内製するための金型の設計・製作を行っている。その中にあって、 I-DEAS、IGES、STEPなどの取り込み、パラソリッド変換などのトラン 樹脂金型を設計・製作するのが、樹脂技術課だ。特にバンパーなどの スレータ機能はもとより、実際の仕事の流れに沿って使ってみて、設 外装部品については、日産自動車の世界中の生産拠点の金型を、 計者の意図が確実に伝わるかどうかを検証した。 樹脂技術課が提供している。 焦点になったのは、本当に紙を完全になくせるのか、データを再加工 する必要がなく、一貫した流れを作れるのかということだった。その結 製作現場が欲しいのは設計情報と加工指示を 果、製作現場へ図面情報と加工情報を流し、さらに現場で加工時に 一元的に扱えるツール わかったコメントや計測データを入力し、これを上流工程へフィードバッ 樹脂技術課が3D Tascal Xを知ったのは、改革活動の一環でさまざ クするという全体の流れが、3D Tascal Xという単一のソフトを使うだ まなツールを調べているなかで、シーセットが開催するセミナーに参加 けでスムーズにできた。 してみたのがきっかけである。 「樹脂金型の製作を効率化して、期間短縮とコスト削減を実現するに は、上流工程で作られている3次元データを最大限に活用して、加工 情報を電子化することが不可欠であることはわかっていました。それで は、どのようなツールを使えば最適な流れにできるのか。必要なツール を自社で開発することも視野に入れながら、いろいろ検討している時 期でした」と橋村氏は当時を振り返る。 日産自動車は、製品設計から金型設計までは、3次元一貫設計を確 立している。採用しているCADはI-DEAS（現在はI-DEAS NX）で、 I-DEASに合った3次元ビューワも自社開発し、設計の効率化を達成 した。しかし、その後工程で製作現場へ情報伝達するには、紙文書が 使われていた。 製作現場で3次元データを見られるようにする手段として、まず、 「I-DEASを配布するのはナンセンス」（橋村氏）であった。また、自社 日産自動車株式会社 日産自動車株式会社 日産自動車株式会社 車両生産技術本部 車両生産技術本部 車両生産技術本部　 車両技術部 車両技術部 車両技術部 樹脂技術課 樹脂技術課 樹脂技術課 主担 安原 正雄 様 橋村 弘明 様 肥田 健司 様

「OA用のノートPCでも動いて、グラフィックカード装着が不要である 社外の協力会社でも「3DX Reader」を気軽に活用 こと。3D Tascal X形式のデータを閲覧できる専用無償ビューワ 3D Tascal Xの導入によって、樹脂金型の製作現場では、設計工 『3DX Reader』（スリーディーエックス リーダー）があることも評価し 程およびCAM工程で作成したデータをそのまま、再加工することなく、 ました」と、樹脂技術課の肥田健司氏は言う。 活用できるようになった。作業指示、および設計者の意図が、正確に 決め手になったのは、製作現場の人にとって操作がわかりやすかっ 伝わるようになったことで、手戻りややり直しも少なくなり、コストロスが たことだ。 発生しなくなっている。樹脂金型の製作効率化、期間短縮、コスト削 「『良いソフトなら、使う人が支持するはず』と思い、最初に現場でデ 減という目標を大きく前進させることができたのである。 モしたところ、大変好評でした。さらに、『アセンブリデータの中から見 ペーパーレスも実現でき、膨大な枚数の紙文書が不要になった。転記 たいパーツだけを表示させて座標をローカルにして計測する』という や集中入力の手間もなくなり、手作業が入ることでミスが発生するリ 操作をA4判3枚の手順説明書にまとめたところ、全員がすぐにグ スクも軽減された。 ローバル座標とローカル座標をフレキシブルに使いこなすようになり 加工担当者は、不明点をCAMデータ作成部署まで問い合わせたり、 ました。3D Tascal Xが良いソフトであることは、現場での利用が定 返事が来るのを待ったりするタイムロスから解放された。不明点は自 着したことが証明しています」と橋村氏は言う。 分で測定するなどして解消できる。現場の疑問を現場で解決できるの だ。製作現場では、加工内容をチェック・確認する時間が、20～ 放電加工の電極位置の指示にローカル座標を活用 25％短縮できた。 樹脂技術課は、2007年1月に3D Tascal Xを導入し、現在、フロー 加工データをさらに後工程で活用できるのも大きなメリットだ。加工者 ティングライセンスを使用している。 はワークを測定して削り不足だとやり直したりするが、その履歴も3D 作業の大まかな流れとしては、製品設計および型設計の情報は、 Tascal Xに残るため、生産技術の管理者は、現場と打ち合わせて工 I-DEAS NXから直接3D Tascal Xに読み込む。一方、Tebisや 具を変えたり、設計の改善提案に生かしているのである。 WorkNCを使ってCAMデータを作る部署では、CAMデータに入力 「3DX Reader」も大変便利に活用されている。計測の必要がなく、3 した加工用情報や計測検査指示の情報をIGES出力して3D 次元形状が指示通りにできているかをチェックする場合には、現物の Tascal Xへ送る。製作現場では、設計データで断面図を見て、同 そばにノートPCを持っていき、「3DX Reader」ですばやく確認作業を 時に加工指示も確認して加工を行い、加工寸法を測定して3D 行っている。社外の協力会社でも気軽にダウンロードして使っており、 Tascal Xに数値を入力する。検査担当者はこれらのデータを3D コミュニケーションを密にするのに役立っている。 Tascal X上で確認し、必要であればCSV出力して解析を行う。 「シーセットにはさまざまな要望を出していますが、要望によってはバー 特に役立っているのが、細かい部品加工と放電加工の部署である。 ジョンアップで対応してくれるため助かっています」と安原氏。たとえ 放電加工は、電極間で放電して鉄を溶かす加工方法で、細かいとこ ば、測定器の中心点（データ出力点）を自動的に判定する機能は、次 ろに正確な角を出すときなどに用いる。「これまで、バンパーという大 バージョンにリリースする予定だ。 きな部品の中で、電極という小さな部品の位置をわかりやすく指示 「今後も、わかる人が回答してくれるのを待つのではなく、現場で解決し するのには苦労してきました。型の中心からの寸法で仕事をしたい場 て作業を先に進めていきたい。つまり『、現場でわかる』の範囲を広げるこ 合もあれば、個別の加工寸法を知りたい場合もあるので、紙では正 とで、効率化をさらに前進させていきます」と安原氏は意欲的に語った。 確な指示がむずかし かったのです」と橋村 氏は言う。 現在では、視点を自由 に変え、ローカル座標と グローバル座標を柔軟 に切り替えながら、加 工する場所をフォーカ スして電極の位置を確 認できる。位置間違い のミスはほぼゼロに なった。 ローカル座標とグローバル座標を柔軟に切り替えられる3D Tascal Xのおかげで、 バンパーという大きな部品の中で、 電極という小さな部品の位置を正確に把握することができるようになり、 位置間違いのミスはほぼゼロになりました。 株式会社シーセット　http://www.3dtascal.com/ ユーザー様データ 日産自動車株式会社　Nissan Motor Co., Ltd. 東京事業所： 〒160-0023 東京都新宿区西新宿7-22-27 西新宿KNビル5Ｆ TEL.03-5338-2725 FAX.03-5338-2710 http://www.nissan.co.jp/ 売上高：10兆8,242億円（2008年3月期連結） 本社/R&Dセンター： 〒432-8021 静岡県浜松市中区佐鳴台4-14-28 本社：東京都中央区銀座六丁目17番1号 事業概要：日本を代表する自動車メーカーのひとつ。日産が高 設立：1933年（昭和8年）12月26日 性能リチウムイオン・バッテリーに注力し、ルノーはクリーンディ 3D Tascal Xは株式会社シーセットの商標登録です。 資本金：6,058億1,300万円 ーゼル開発に取り組むなど、磐石なルノー・日産アライアンス体 また、それ以外に記載されている会社名及び商品名も各社の商標または登録商標です。 従業員数：単独31.453名、連結180,535名 制を環境活動にも活かしている。